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Slash(m/m小説) レビューブログ

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The One That Got Away
Madeleine Urban and Rhianne Aile
★★ summary:
記者であるDavid Carmichael はある日偏頭痛に苦しみ、転んで肩をひどく痛めてしまう。
彼の親友でありライバル紙で働く記者のTrace Jacksonは一人暮らしのDavidの面倒を見るために彼の家に泊まりこみはじめる。その時は、どちらも何も考えず、それが何よりも自然なことのように思えた。
DavidもTraceも独身で記者という共通点があったが、彼らの間には決定的なちがいがあった。Davidはカミングアウトしたゲイであり、Traceはプレイボーイとして浮名を流すことも多いストレートである。だがそのことが2人の友情に影響したことはなかった。

TraceはDavidの面倒を見、食事を作り、2人は冗談をとばしては笑いあい、映画のDVDを見た。相手の存在が心地よく肌になじむ、そんな日々の中で、Davidはいつのまにかこの「親友」に恋に落ちはじめている自分を発見するが、そこに望みはなかった。Traceはストレートであって、そして何よりDavidの一番の友である。友情を失うより恋を捨てる方がまだましだった。

だがTraceの中にもまた、Davidに対してこれまで感じたことのなかった感情が芽生えはじめていた。それが何であるのか、彼はまだ知らない。だが2人の間でテンションは高まりはじめ、ゲイの男とストレートの男はその境い目で彼らの道を探しはじめる。
果たして友情は友情のまま愛へとかわるのか、それともTraceが感じているのはただの好奇心なのか? 深く踏みこんで友情を傷つけることを恐れながら、彼らは互いへと落ちていく。
.....


ゲイの男とストレートの男、という組み合わせの恋の話です。「男は好きじゃないけどお前は別だ」タイプ。
これはその中でも非常に軽いタッチの話で、「男を好きになるなんて俺はどうかしてる!」的ネガティブな逡巡はあまりありません。TraceはDavidのことを本当に心の底から大切な友人だと思っているし、Davidが自分を同じように大切にしていることも知っている。わりといい年の大人の男たちなんですが、互いに対してもともとちょっと盲目的です。
互いの間にあるものに気付いたTraceは一瞬あわてはするんだけど、どこかで「Davidならまあいいか」的な安心感もある。この場合の「まあいいか」は「恋をしてもいいか」で「カップルになってもいいか」とはちょっと距離があるんですが。
この話のおもしろいところは、「ああ、恋に落ちた」と思ってからのステップの踏み方です。男を「好きだな」と思って、その感情を受け入れても、ストレートであるTraceはその欲望までは簡単に受け入れられない。
え、男にキスする?本気かよ。…まあ何とかなるかも。してみると意外と悪くない感じ。
しかし男のペニスにさわる?ちょっと待て、それはないだろ!絶対ない!
大体、そんな感じで話が進んでいきます。そこのところの、じれったいほどに「少しずつ」な進み方と丁寧な描写がおもしろい。

もともとゲイであるDavid側にはそっちのためらいはないんですが、Traceが足踏みしているのはよくわかる。彼を強いたくはないし、友情にひびを入れたくもない。Traceよりちょっと年上で、とても優しい男です。恋がうまくいかなかった場合はどうにかしてTraceと友人に戻る道も残しておきたい。Traceの嫌がることをするとか弱味につけこむとかは死んでも嫌だ。…でもやっぱり欲しいぞ、と。
そんなふうにちょっとぐるぐるしながら、少しずつTraceの了解を得て、少しずつ互いの肉体的な距離をつめていく。ふれればふれるだけ、ほしくなるのもまた事実。果たしてDavidはTraceを安心させながら「最後」まで導くことができるのか。

洒落た会話とユーモア、それに優しさがちりばめられた、楽しい一冊です。どことなく映画っぽい雰囲気も漂う。
最後まで安心して読める感じで、親友同士のカプとか、おだやかなハッピーエンドが好きな人におすすめ。

★ゲイ/ストレート
★友情からはじまる恋


※2010年1月、15000語書き足した新バージョンがここで発売されました。気になる…

Sutcliffe Cove
Ariel Tachna & Madeleine Urban
SutcliffeCove★☆ summary:
Gerald Saundersは色々なことをして仕事以外の時間をつぶしてきたが、今度彼が興味を持ったのは乗馬であった。乗馬のレッスンをしているという牧場Sutcliffe Coveを訪れた彼は、牧場のオーナーBrett Sutcliffeに出会い、初心者レッスンを受けはじめる。

Brett Sutcliffeは、この魅力的な男がゲイなのかどうか知ろうとするが、GeraldはBrettのほのめかしにまったく応じない。この男はストレートだと判断し、彼は乗馬のレッスンと、友情のみに互いの関係をとどめることにした。
だから、しばらくしてGeraldがゲイだと知った時、Brettは心底驚いたが、その時彼にはもう新しい恋人がいた。それはカジュアルなつきあいで、決して深まらないタイプの関係だが、それでもBrettは二股をかけられるような性格ではなかった。

数月のうちに、Geraldはレッスンを受けにくるだけでなく、牧場の手伝いに訪れ、子供のレッスンのサポート役まで受けるようになる。かわりにBrettは無料のレッスン時間を提供し、彼らは古い友人のようになじみはじめていた。2人でいる時間がごく自然で、まるで当然のように感じられることを、2人のどちらもがこっそりと驚いていた。
そんな時、Geraldははじめて長い休暇を取り、祖父と祖母を訪れにいく。彼の長い不在は、互いに相手の存在の大きさを感じさせ…
.....



牧場で、乗馬を通じて近づく2人の男が、やがて恋に落ち、そしてそのもっと先にある深い関係へとたどりついていく話です。
全体におだやかな展開ですが、関係の進み方が繊細で説得力があります。

BrettとGeraldがつきあいはじめてから、Brettはとても幸せなのですが、どうしても気持ちに残るものがある。Geraldは何にでも気軽に「OK」と答え、反駁したりためらったりする様子がない。
乗馬のレッスンの後で、夕食を食べていけと言えば「OK」、泊まっていけと言えば「OK」、かと言って何も誘わずに帰してしまっても落胆した様子を見せない。
自分が押しすぎてしまっているのか、Geraldに選択の余地を与えていないのか、それともGeraldにとってこの関係は迷うほどのこともないカジュアルなものなのか。
一緒にいる間は忘れてしまっているけれども、離れている間、BrettはGeraldの気持ちがどこに向いているのかわからずに時おり袋小路に入ってしまいます。

Geraldは全般に呑気なんですね。ほのめかしとか、そういったものを一切読まない。自分が快適である限り、大体の物事は抵抗なく受けいれる。
Brettといる時間は彼にとって快適この上ない時間なので、大体そういう時に反駁したり迷ったり、あまりあれこれ考えたりはしません。
で、呑気なものだからBrettが何を悩んでいるのかさっぱわからない。ただ彼が何かを悩み出したのは感じていて、どうにかそれを解決してあげたいと思う。勿論、BrettはGeraldにとって誰よりも大切な相手ですが、呑気なものだからそういうことを口に出して伝えようとしない。伝えてやれよ。

この2人の、のどかな行きちがいがとても可愛らしい。読んでいてほのぼのと楽しめます。
牧場の生活や、馬房の掃除、また乗馬についても結構細かい描写があり、きっちりと生活感が感じられるあたりも気持ちのいい話です。馬かわいいなー!

★乗馬

Warrior's Cross
Madeleine Urban
Abigail Roux
Warrior's Cross★★ summary:
「Tuesdays」というレストランでウェイターをしているCameron Jacobsは、きわめて平凡で平和な生活を送っていた。
彼の生活の中でもっとも危険なことは、家でいつも彼を待ち受けている4頭の子犬と遊ぶことくらいだった。

Julian Crossが彼の生活に姿を現すまでは。

それは、火曜日に姿を見せる男だった。決まった時間に、高そうなスーツをまとって決まった席に座る。
ハンサムで、どこか危険な匂いのする男。

1年近く、ただの客とウェイターとしての距離を保っていた二人は、だがある冬の日を境に急速に近づきはじめる。
CameronはたちまちJulianに恋に落ちたが、Julianは謎めいた男だった。どこに住んでいるのか、何を仕事にしているのか。
彼はCameronを愛していると言いながら、何一つ自分のことをCameronと分け合おうとはしない。
それはCameronを危険から守るためなのだと、Julianは言うのだが…

Julianへの気持ちと、迷いやためらいがCameronの世界をかき乱す。そして、Julianの言葉にもかかわらず、危険はすぐそこまでせまっていた。
.....



殺し屋×ウェイター。
Madeleine Urbanは、一人で書いているよりも合作ものの方が安定している気がします。

平凡な暮らしをしてきた平凡なウェイター、Cameronを中心にして話が進みます。つきあうようになってから、意外なJulianの素顔を見つけては喜ぶCameron、色々なことを聞きたいと思いながらも距離を開けられるのが怖くて聞けないでいるCameron。
そんな彼を、Julianは愛しているけれども、彼は長年の間にたくさんの敵を作ってきた男で、Cameronを自分の弱みにするわけにはいかない。Cameronを守ろうとする、彼の秘密主義や自分の回りにめぐらせた壁が、Cameronを傷つけていきます。

そんな二人の状態がきめ細かく書かれています。
いつ物事がバランスを失ってしまうのか、そうした緊張感がある一方で、いつもクールなJulianが怪我をするととにかく不機嫌で子供みたいになったりとか、ギャップもとてもかわいい。てゆーか注射嫌いすぎだろう、Julian。
ところどころに自然なユーモアがちりばめられてて、Cameronの子犬とか、Julianの飼ってるわがままな猫にも萌え萌えします。

少し気になるのは、それまでCameronとJulianの視点だけで話が進んでたのに、後半にレストランの従業員とかオーナー(Julianの友達だけど)の視点が入ってくるのが唐突に感じられる点。
それまでふたりだけの視点で物語を読んでいるので、あまりに唐突でちょっとびっくりします。あれは別の形で処理できただろうに。
Julianについての細かな正体とか、そのへんの締めもやや甘い感じですね。アクションはあるけど、気持ちのドラマに焦点が置かれていて、ロマンス系の話です。

殺し屋の苦悩と、純情な青年の苦しみと、彼らを追ってくる敵と。その間で交錯する気持ちの物語。
悩む部分が長いので、心理描写が好きな人におすすめ。ほぼ10万語なので結構ボリュームあります。
Julianの執事がクールでむっちゃ格好良いので、「主従」が好きでもいけると思うよ!

★殺し屋×平凡

★Three-Star rating system★


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