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Under My Skin
M. L. Rhodes
★★ summary:
Sebastian Kellerは「The smart guy」という、自分に貼られるレッテルが嫌いだった。だが人はいつでも彼をそういうふうに見る。
幾度かの手ひどい破局のあと、他人と関係を持つことに自信を失った彼は自分の経営する旅行ガイド書店でそれなりに幸福にやっていた。
ある日、隣のテナントにタトゥの店が入るまでは。

彼らが大ボリュームでかける音楽、彼らへの客で商店街の駐車場が占拠されてしまう状態、それがSebastianを苛立たせる。かつて彼を甘い言葉でだまし、すべてを彼から絞りとって消えた以前のボーイフレンドはタトゥを入れ、大型バイクに乗っていた。二度とそういうタイプの人間とはかかわるまいとしていたのに、隣にそういう「信用ならない」連中が出入りしていることが彼の怒りをかきたてる。

何よりも嫌なのは、「Rad Tattoos」というその店のオーナー、Dylan Radamacherを見るたびに自分自身の心が乱れることだった。自分がまだ凝りていないということにSebastianは心底うんざりし、距離をおこうとするが、DylanはDylanでSebastianとどうにかして和解したいと思っていた。
.....


短編~中編くらいの長さですが、おもしろかったです。
「過去に傷ついている男、その心をひらこうとする男」というテンプレですが、やっぱり普遍的なドラマだからテンプレになるわけで。そのへんの葛藤、自分自身への苛立ちや過去を振り払おうとしながら振り払えず、傷ついているがゆえの怒りを他人に向けて相手を傷つける──そんな入り組んだ気持ちがドラマティックに凝縮されている。

Sebastianは、「他人が自分に貼るレッテル」は嫌っているのに、自分自身がDylanにレッテルを貼りつけていることには気づいていない。過去ばかりをのぞきこんで、どうしても一歩を踏み出すことができない。
Dylanを過去の恋人とまとめて「こういう"タイプ"には二度と近づかない」と切って捨てようとするSebastian、「チャンスをくれ」というDylan。だが、あらゆる不幸や破綻が訪れるのをひたすら待って、すべての物事に悪い面を見ようとするSebastian。
ほんの一瞬のささいなことから、感情は修復できないほどにもつれる。

続編の「Under My Skin II」も出ていまして、最初は似たような感情の交錯のくりかえしの「後日談」風味かと思ったんですが、こっちも予想外の事件がおこっておもしろかったです。
相手を気づかって押すまいとする男、その曖昧な態度から悪いサインばかりを拾いあげてしまう男。過去はのりこえたようでいて、何もおわっていない。過去を手ばなしていないのは自分自身でもある。
感情的な悪循環の物語ではありますが、短編だからこそ読む方も繰り返される悪循環に食傷せず、一気に楽しめるタイプの話だと思います。
IIの中で、電話で「一緒に朝日を見ようか」と言うシーンは、とてもロマンティックで綺麗だった。

まあ短編でも2つ買うと7ドルこしちゃうんですけどね。それでもおすすめ。

★短編

Bring The Heat
M. L. Rhodes
Bring The Heat★★ summary:
Riley Ellisonはコーヒーショップに立ち寄って飲む1杯のコーヒーを楽しみにしていた。
そこで見かける若く美しい男の姿も最近の楽しみのひとつだったが、何かがおこると思っていたわけではなかった。
だからある時、ショップで渡されたカップにその男からのメッセージと電話番号が書いてあるのを見ても、それをすぐに信じることが出来なかった。

いかにも派手で綺麗な顔のあの男が、地味な自分に興味を持つことなどあるだろうか。
結局彼はその番号に電話も出来ず、コーヒーショップに足を向けることも出来なくなっただけだった。

そんな時、男性ストリップ劇場の裏の路地でストリッパーが殺され、Rileyは捜査を担当する。
被害者の同僚のストリッパーの事情聴取に向かったRileyは、ドアを開けて出てきた相手を見て愕然とした。
彼だ。

Dane Scottは華々しいモデルの生活をやめて静かな暮らしをしながら、楽しみのためにストリッパーとして働いていた。
彼はずっとコーヒーショップでRileyを見ていた。誠実で、おだやかで、シャイで、折り目正しい男。どうしてもその男が欲しくて仕方なかったが、強く押せばRileyが逃げ腰になるのもわかっていた。考えた揚げ句のコーヒーカップのアプローチも裏目に出たのだ。
そのRileyをついに目の前にして、Daneはこのチャンスを逃すまいとする。

刑事とストリッパー。
Rileyはうまくいくはずがないと思い込み、DaneはそれでもRileyの手を離すつもりはない。
だが事件の夜、現場近くでDaneを目撃したという証言があり…
.....



ここのところ重めのレビューが多かったので、軽いものを。
M. L. Rhodesらしい、控えめでシャイで地味な自己嫌悪を持つ及び腰の男と、積極的にアプローチしてくるゴージャスな男の話。こんな組み合わせがこの人は好きですね。真面目と奔放とか。実際、そこからラブラブになっていく様子は萌える。

話は短めでそれほど複雑な要素はないですが、2人が惹かれあう様子と、Rileyの抗いと、色々な手段を駆使したDaneの誘惑が楽しいです。ごはん作るのがプロ級にうまいのは反則だと思うよ!
Daneはのびやかで奔放に見えるけれども、彼には彼の過去がある。華やかなモデルの世界を離れ、父親を一人で看取り、きらびやかな虚像の世界に愛想をつかして背を向けた。
そんな彼は、Rileyを見つけた時、これこそ自分の求めてきたものであると思う。
虚像ではない本当の自分を分かち合える相手、一瞬の情熱をこえた深い感情を預けられる相手を、Rileyの中に見つけたのです。

でもRileyはやはり「こんな綺麗で、何でも手に入れられるような男が自分に興味を持つはずがない」という場所からなかなか抜け出せない。
抜け出せないまま、Daneとにっちもさっちもいかなくなってしまい、強烈に惹かれる。惹かれながら、信頼できない。「Daneのようなタイプ」のレッテルの向こうにあるものをまっすぐに見据えることが出来ず、ただうわべにあるものに惑わされる。
それはDaneの問題ではなく、Rileyの問題なのです。

困ったなあ、と思いながらもちゃんと引くところは引いてあげるDaneが大人で可愛い。傷ついたり怒ったりするRileyの一挙一動にくらくらしている様子が、本当に好きなんだ!という感じでぐっときます。

Rileyの本能はDaneを求め、理性は抗う。
そんなぐらぐら具合と、駆け引きと、エロがよみどころ。
楽しく萌えっと読める1本。軽めの読書におすすめ。

★エロ多め
★短い

★Three-Star rating system★


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