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The Tin Star
J.L. Langley
TinStar★★ summary:
テキサスの牧場「Tin Star」の経営者であるEthan Whitehallには、古くからの無二の親友、John Killianがいた。
Johnは長男としてKillianの家に生まれ、牧場経営を小さな時から叩きこまれてきた。父親はほとんどJohnばかりを可愛がり、弟と妹は母の愛情のもとで育っていた。そんな母も3年前死に、妹は家を離れて看護師として働く一方、年の離れた弟Jamesは牧場に残って働いている。

その弟Jamesがある日Johnと父親に「自分はゲイだ」とカミングアウトし、父親は即座にJamesを家から追い出した。
狼狽したJohnからその話を聞いたEthanは、Jamesを放置できず、行き場を失った彼に自分の牧場で働くようすすめる。Jamesを保護すればJohnの父親は怒り狂うだろうが、ためらいはなかった。
ただどうしてJamesが黙っていられずにカミングアウトしたのか、そのことにはEthanは賛成できなかった。小さな、そして保守的な町でゲイだとカミングアウトすることは、人から石を投げつけられることを意味する。それもずっと自分を知っている、小さな頃から馴染んできた人々から。
父親の拒否や嫌悪以外に、Jamesはもっと多くの人々からの敵意や妨害を受けなければならないだろう。若いJamesには、自分が向きあわなければならないものがまだわかっていないように、Ethanには思えた。

若く、溌剌としてユーモアにあふれたこの親友の弟を、Ethanは深く心にかけるようになる。
だが悪い予感はあたり、Jamesへの敵意はさまざまな形をとってあらわれる。時にそれは現実の暴力であり、そして、ついにEthanにまで襲いかかる。
また、Jamesには、当人の知らない出生の秘密があった…
.....



J.L. Langleyはすごくしっかりとしたというか安定した筆力の作家で、SFのシリーズの「My Fair Captain」とか「Englor Affair」のレビューを書こうと思ってたんですが、そっちを読み直す前に「Tin Star」シリーズの1作目を読んだので、レビュー。
表紙がちょっと…だったのでこれまで買ってなかったんだけど、SFがおもしろかったんで、がんばって表紙をのりこえてみた。

カウボーイものですが、なんと舞台がテキサス。ほんとずーっと「ワイオミングのカウボーイもの」ばかりにあたってきて、テキサスはこっちがイメージするほどカウボーイの州じゃないのか?って思いかかってましたが、やはりちゃんとテキサスのカウボーイものもあるわけだ。

Jamesが非常に愛らしい。あまり父に愛されず、牧場で働く男から牧場の仕事を学び、母から掃除や料理を学んできた彼ですが、とてもまっすぐな性格をしています。だからこそ「自分を偽ることができず」にカミングアウトに至るわけですが、父から家を追い出されたこと、その後の父からのさまざまな妨害行為に大きなショックを受ける。
そんな中でも頭を上げ、持ち前のユーモアを発揮して、周囲をなごませていきます。
Jamesの兄のJohnも結構ふざけた性格で、EthanがJamesに車を買ってやることを聞くや「いっそお前、俺の恋人にならないか」とか平気でEthanに言っちゃう。「セックス抜きだけど」とか言われて、Ethanはちょっと頭をかかえたりするわけですが、ここの友人同士の仲のよさは笑えます。
ほかにもたくさん笑いどころがある。
全体に重いテーマを扱ってはいますが、楽しい小説です。

家族との葛藤、Ethanとの関係、町の人々の反応や実際の妨害行為など、Jamesは多くのものに向きあわなければならない。
彼は戦うことにためらいはありませんが、自分の愛する者たちにまで害が及んだ時、ついに揺らいでしまう。町を出ていけばすむのかもしれないが、ここで逃げたら一生逃げつづけなければならないのかもしれないと。

この作者の作品の特徴として、「下唇を噛むのが受け」という規則があります。こだわりだ…
受けと言ってもリバ表現もないことはないですが、エロだけでなく、基本的に攻め受けの役割分担がしっかりついている感じです。庇護者と被保護者というような。
攻めは格好よく、強く、たくましく、常に受けのことを一番に考えて溺愛していて、ラブラブ。
格好いい男×素直な受けが好きな人なら、とてもおすすめ。受けっぽいとは言っても、ちゃんと男らしい受けです。
あと、犬がかわいい!!

Ethanが何故わざわざ毎年とても醜いクリスマスツリーの木を買うのか、それが気になる…のですが、クリスマスの続編があるようなので、今度読んでみようと思ってます。

★溺愛系
★エロ多め

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The Christmas Tree Bargain
J.L. Langley
TheTinStar
★ summary:
クリスマス前からクリスマスプレゼントを見たがって家中を捜索するJames(Jamie)に手を焼きながらも、Ethanは今年も恋人のために特別なプレゼントを用意していた。それは…
.....



「The Tin Star」のクリスマス外伝。
本当に短いのでほぼストーリーはなく、いちゃいちゃっとして終わり、という話なのですが、大変にJamieが愛らしいので「The Tin Star」を楽しんだ人におすすめ。(本当はJamesですが、誰もがJamieと呼ぶ)
「The Tin Star」から4年たっていますが、Ethanはまだ醜いクリスマスツリーを買ってきて飾りつけているようです。毎年どこでそんなに醜い木を買ってくるんだ、というくらいやばいっぽい。
「何故そんなに醜い木が好きなのか」の答えが話にあるかなーと思いましたが、それはなし。別に大した理由はないのかなあ。気になってるんですが。


ここのところ、ちょっと読むものにハズレが多いので、ここは「固い」作者の話でも買って気晴らしするかーという動機で買ってみたけど、楽しい話でした。
同じ理由でLanyonも買ってしまったので、これから読みます。
「The White Knight」とか「Allergies」とかレビュー書きたいもの自体はたまってるので、ぼちぼちとー。

★短編
★エロ

Without Reservations
J. L. Langley
WithoutReservations★★★ summary:
ネイティブアメリカンの血を引く獣医のChayton Winstonは、実は人狼でもあった。満月になると狼に姿を変えて狩りに出かける。
ある時、彼の群れの仲間が撃たれた狼を──それも人狼を──Chayのもとに運びこんできた。白い狼を一目見た瞬間、いや見るまでもなく近づいた時から、Chayはそれが彼の「mate」であると知る。
狼には運命の相手がいる。それはただの恋ではなく、どこか大きな力で運命づけられたただ一人の相手。否応なしに惹きつけられ、一生を分かちあう相手だ。
Chayはまだ4つの時から、ずっと自分のmateを夢に見てきた。白い肌と青い目のパートナー。ついに出会ったことにChayは喜ぶが、同時に予期せぬ驚愕にもとらえられていた。彼の運命の相手は、雄狼──男だったのだ。

Keaton Reynoldsは傷から回復して目をさまし、自分がmateとともにいることを悟る。一瞬で、彼は惹かれ、とらえられるが、次の瞬間に相手がストレートの男であることを知って、その喜びは砕け散る。
昔の恋人が「自分はゲイではない」と周囲にふるまう態度に傷つけられたことのあるKeatonは、「ゲイではない」男とまたかかわりあう気はなかった。mateであれ、何であれ。

Keatonは彼らの出会いをなかったことにしようとするが、Chayは後に引かない。はじめのうちこそ驚いたが、Chayはずっと望んでいたmateを前にして後ずさりするような男ではなかった。そしてKeatonと少しずつ関係を積みかさねながら、Chayは心の底から、この美しく、強情で癇癪もちの、小柄な狼を好きになっていく。まさしくKeatonは、彼の求めるmateだった。
Chayの心を信じながら、それでもKeatonは彼らの未来を信じられない。いつか、Chayはやはり女の子の方がいいと思いはじめるのではないだろうか。それにChayの家族や友人が、彼のmateが男であると知ったらどう思うだろう? 自分の存在や、自分たちの関係はChayの未来や幸せを傷つけてしまうのではないだろうか。

そんなある日、Keatonの車のブレーキホースが切断されて、事故をおこし…
.....



J.L. Langleyの人狼もの。
ここの人狼は、興奮すると目だけ狼になります。狼の目で見つめあったりして、大変エロい。
んでもって、女性の人狼はいないそうです。だからChayは、白い狼が自分のmateだ!と気付いた時、まず「女の狼がいるんだー」と感心する。まちがってるぞお前。でもまちがってることにびっくりしてなお、Chayはひるみません。小柄なKeatonを「Little Bit(ちっこいの)」と呼び、他にもKeatonを苛立たせるいろんな渾名を勝手につけながら、彼はどんどんKeatonの生活に入りこんでくる。ためらわないし、迷わない。
Keatonは希望と自制の間で揺れ動きながら、どうにかしてChayを自分の生活から押しやろうと思うけれども、一度「これは運命だ」と決心したChayをどうにかできるわけもない。

ゲイとストレートのカプの話ってのはそんなに珍しくないですが、ゲイ側(Keaton)がとにかく逃げよう逃げようとしているのがおもしろい。逃げると言ってもただの及び腰ではなく、「女じゃなくってすいませんね、こっちに気を使ってくれなくても全然結構ですよ」みたいな、ちょっと攻撃的な逃げ方です。
J.L. Langleyの受け(タイプ)はみんなそうなんですけど、Keatonも小柄で敏捷で、ユーモアと反骨精神に満ち、愛らしい癇癪もちでもあります。この受けを、包容で強引な攻め(タイプ。たまにリバやるので)が溺愛するという、まさに鉄板カプ。しかもすごい可愛い。
Keatonはとても強い狼で、Chayが属する群れの中でもおそらく最強の狼ですが、戦いや主導権争いを好まない。16歳の時に家族や仲間にゲイであることをカミングアウトし、拒絶された彼は家をとびだして自力で学費を稼ぎ、自分だけの力で生きてきた。その彼がはじめて自分を預けられるほど信頼した相手が、Chayです。逃げよう逃げようとしながら、Keatonは頑固で誠実なChayにふれるにつれ、彼に傾いていく。

2人が飼っている子犬(ChayからKeatonへのプレゼントです)がまた可愛い。いいムードになったところでChayの爪先をかじり、Chayが狼に変身すれば「遊んで!」とばかりにChayの耳をかじる。どうにかしてくれ!と狼のまなざしでKeatonにうったえるChayが笑えます。狼なのに。
Chayの友人や母親など、障害は多けれど、彼らは互いとともに新しい生活を作りはじめる。
その一方、誰かがKeatonを狙っていることが段々とあきらかになります。はたして彼らはすべてのトラブルを無事のりこえられるのか?

ほんとーに愛らしい、笑えるカプです。
いくらか残った問題が気になるのですが、何故ChayがKeatonの狼としての強さを嗅ぎとることができないのかとか、銀の弾丸が最後に効かなかったのはどうしてかとか、あれは裏設定があるのかないのか。
まあでもそれはさておいて、とても楽しめる一冊。気になる友人のRemiの話は、続編が出てるので読んでみるつもりです。

★人狼もの
★運命の相手(mate)

With Caution
J. L. Langley
WithCaution★★ summary:
兄弟としての誓い。恋人としての約束。どちらも守るのは命懸けとなる。

Remington Lassiterは命を落とすところを人狼の血によって救われ、その結果人狼となってしまう。新しい生活に慣れるのに必死の彼に、弟から助けを求める電話がかかってくる。
年の離れた弟は、Remiにとって唯一の「家族」のようなものだった。子供を束縛し母やRemiを殴る父親と、その父親から離れられず言いなりになる母に、彼は愛情を感じられない。
だが弟を守るためなら、Remiは父の言うことすべてに従った。まだ14歳の弟がどうにか無事に大人になるまで、Remiは何でも耐える覚悟だった。

探偵事務所を営むJake Romeroは、Remiを助けようと決心する。
Remiは気付いていないが、彼を人狼に変えたのはJakeの血であった。その時にもう、彼はRemiは彼のmate(運命の相手)だと知っていた。だがそのことをRemiには言えない。Remiは人狼になったばかりで、しかもストレートで、友人のChayが男の恋人を持った時に口をきわめて罵った「ホモ嫌い」である。そして今や、弟と父親についてのトラブルもかかえている。
やむなく自分の欲望を押しこめ、JakeはRemiを守ろうとする。
Remiの父親の過去を調べはじめた彼は、やがて暗いRemiの過去と、そこにある殺人事件に行きあたる。

その一方で、RemiはどんどんとJakeに惹かれていく自分を抑えきれなくなってきていた。また、人狼としてのRemiにも奇妙な現象がおこりはじめ…
.....



Without Reservations」の続編です。Without..に出ていたChayの友人のRemiと、群れの仲間のJakeの話。
前作のネタバレ含むので、ご注意。


Remiは前作でKeatonを「おかま野郎」と罵倒したほどのhomophobia(恐怖症というより、homohaterって感じですが…)です。なので、Jakeが彼のmateであることは皆で「しばらくRemiには伏せておこうか」ということになっている。
しかしそれを知らないまま、RemiはJakeに惹かれて、あれだけ拒否反応を示したにしちゃJakeに近づくことに対してあまり葛藤がない。
Remiが何故そうなのか、何故あれほどKeatonをののしったのか、何故前作であれほど「嫌なやつ」でありながらChayの長年の友人だったのか、そういうことがこの作品できちんと語られていきます。
彼が何から自分を、そして年の離れた弟を守らなければならなかったのか。守るために多くを捨て、自分を覆い隠し、攻撃的な態度を身にまとった、そんなRemiの人生が次第に浮き上がってくる。

自分自身を犠牲にして弟を守ってきたRemiは、Jakeと出会ってはじめて弟と同じほど──あるいは弟以上に大切な存在を見つける。そのことが彼に戦う勇気を与えますが、過去の恐怖をのりこえることは簡単ではない。
それでも手遅れになる前に、彼は弟を父親の手から救い出そうとする。

この弟(Sterling)がかわいいんですよ。まあよくしゃべるよくしゃべる。明るくてこまっしゃくれてて、勘がよく、たじろがない。
Remiが彼をかわいがるのもよくわかります。SterlingにとってもRemiは父親がわりのようなもので、RemiがJakeやその友人と会っていることを知ったSterlingは(兄に友人ができたことを喜びつつ)、彼らを見定めにかかります。14歳ながらも、Remiのことを守ろうとするんですね。
だがその彼もまた、この戦いの中で無傷ではいられない。

一方で、Remiは狼として「オメガ」であり、Jakeは彼の「アルファ」であるということがわかる。それは彼らの属する群れを2つに割る結果となり、彼らは元の群れを離れて自分たちの群れを持たねばならない。
なかなか大変です。はたしてRemiはSterlingを守りきれるのか、そしてJakeはRemiを守りきれるのか。

補足すると、人狼もののスラにはよく「アルファ」「ベータ」、そしてたまに「オメガ」が出てきます。
動物学上、群れのリーダーをアルファ、そしてそのアルファをサポートする副官的存在がベータ、さらに群れで最弱の個体をオメガと言う。オメガはどうしてもみそっかすにされたりいじめられたりするのですが、群れという全体を構成する上で必要な存在らしい。
スラの場合、大抵オメガは珍重されます。オメガは弱いが、オメガを手に入れるということは名誉であり、オメガを自分のものにするということは自分が群れのアルファになるということを意味する。
で、何か元ネタがあるんじゃないかと思うけど、「オメガは戦いには向かないが、特殊能力がある」という設定がとても多いです。いわゆる超能力レベルのものから、群れをまとめるための何らかのシンパシー的能力まで色々ありますが。また一般に人狼のオメガは「オメガとして生まれる」存在で、オメガでなかった者がオメガになったりすることはない。
このへんの「お約束」はどこからはじまったんだろうなあ。


Remiの印象が前作とあまりにちがってくるのでとまどいましたが、次第にそれも納得いくし(もうちょっと変化の過程がほしい気もしましたが)ドラマティックでおもしろい話でした。
SterlingとRhysの話がまた後に引いてますけど、これはそのうち書くそうです。本当に愛らしいぞSterling。彼らの短編がJ.L.Langleyのサイトにのっていますので、本編読了後にどうぞ(下部の「free story」のところから)。
何かゴージャスで手に負えない男になりそうだなあ、Sterling…

ボリュームが結構あるんですが、スピード感もあり、バランスのとてもいい話です。
前作の「Without Reservations」を楽しんだ人なら絶対におすすめ。

★人狼もの
★運命の相手

The Broken H
J.L. Langley
The Broken H★★★ summary:
The Tin Starシリーズ(独立して読めます)

保安官Grayson Hunterは、かつてあれほど愛した両親と、彼らの経営する牧場から遠ざかって久しかった。
いや、Grayが避けていたものは、両親でも牧場でもない。
彼が向き合うことのできない相手は、両親にとって「もう1人の息子」とも言うべき存在であり、牧場を切り盛りしているShane Cortezであった。
Grayの初恋の相手。そしてその初恋を砕いた相手。

Grayは傷心に追いたてられるように故郷を去ってロデオのカウボーイとなり、特殊部隊にくわわり、やがて故郷に戻って保安官となった。だがあれから12年たってまだ、Shaneへの思いと傷は彼の中で生々しいままだった。

ShaneはGrayがそんなふうに傷ついているとは知らなかった。両親に蹴り出されるように故郷を離れるしかなかったShaneは、Grayの父親に拾われて牧場に転がりこんでから20年、ずっと牧場のために働いてきた。もはやGrayの親は彼にとっての両親であり、ここが彼の故郷であった。そして彼をこの牧場につなぎとめるものはそれだけではなかった。

打ちひしがれて飢えた少年として、未来への希望もなく牧場にやってきたあの遠い日。Shaneを、大きな緑の目で見上げた子供がいた。憧れと尊敬に満ちたまなざしで、彼はShaneに聞いたのだった。
"Are you a war chief or a peace chief?"
そのあどけない問いとまなざしが、Shaneを暗闇から救い出した。
それからずっと、ShaneはGrayを守ろうとしてきた。たとえShane自身からでさえ。

どちらも互いを求めながら、どちらもそれぞれの理由で互いの間に壁を築いた。
そして時がたち、その壁は崩れようとしていた。
.....



The Tin Star」でちょこっと出てきた保安官、Grayの話です。
Grayは複雑な人間で、理知的で、考えすぎるが、それは彼の思慮深さをあらわしています。物事を見た目で判断しない。いつも、その裏にあるものを見ようとする。
その彼が唯一直視できなかったものは、過去のShaneからの「拒否」。
Shaneが、ゲイであるGrayを拒否したのだと感じたGrayは、いてもたってもいられず、故郷を去る。愛する両親、愛する牧場、そして何よりも愛する相手に背を向けて。その裏にあるものを見ようともせず。

Shaneには一方で、複雑な思いがあります。彼は子供のころのGrayを愛し、甘やかし、Grayがほしいというものは何でも与えた。Grayが「あの馬がほしい」と言えば、まだ人に慣れていないその馬を牧場につれ帰り、自分の体を張ってその馬を人に慣らした。
だがあれから時がたち、もはやGrayは少年ではなく、1人の大人の男としてShaneと向き合う。

意地っぱりな男2人の、でもめろめろな愛の話です。めろめろなエロ話でもあります。13歳の年の差。年上はそれを気にして距離をあけようとするし、年下はその態度を拒否だと思う。でも2人はちょっとしたきっかけで互いの求めるものに気付き、後戻りのできない道へと入っていくのです。
ただ、保守的な小さな町ではゲイだということは非常に大きな意味をもち、Grayの保安官再選を目の前にして、Shaneは自分の存在がGrayへの足枷にならないかどうか悩む。その問題は、彼らの間に新たな亀裂を生んでしまう。
Shaneは今でもGrayを守りたいし、Grayはもはや守ってもらいたくなどない。それが互いの思いを犠牲にするのなら。
どちらも強い、誇りをもった男同士の話です。

この作者特有の幸福感があって、とても楽しく、一方で人生の長い時間をかけた恋としても味わい深く読めます。
「保護者」ネタが好きな人なら絶対!
エロは濃厚かつ、感情にあふれていて、読んで楽しい。互いの互いへの信頼がエロを通して見えてくる、それがいい。
それにしてもGray、眼鏡萌えにもほどがある…!

ところで、LanyonDark Horseなんかでも出た「Chief」って何なのかと思ってましたが、目上・年上の人に対する親しみをこめた呼びかけみたいですね。
しかし和英辞書だと「だんなさん」とか訳してありますが、ちょっとそれはなあ…
どう解釈すればいいんだろう。たとえば訳すなら「おやっさん」とか?「おやっさん、愛してる」とか…萌えないことおびただしいのですが。
これに萌えてこそ一人前なのか。何の一人前かはともかく。

いやまあ、英語のまま読むのが一番いいってことですね。

★保護者
★エロ濃い目

His Convenient Husband
J. L. Langley
HisConvinientHusband★★★ summary:
Micah Jiminezは7歳で孤児となった時、貪欲な親族たちによってすべてを奪われ、あやうく施設へ行くところだった。
だが叔父が働く牧場に引き取られ、そこの経営者の一家に育てられて、まるで家族のように受け入れられた。
Michahはあの時の痛みと喪失、自分が得た幸運と恩を忘れたことはなかった。

二度とあんな思いをくり返すつもりはない。そして、愛する者たちの誰にも、あんな痛みをくぐらせたりはしない。

だが今や、牧場は危機に瀕していた。オーナーは年老いて病となり、その医療費は牧場の維持費を食いつぶしている。Michahはあらゆる手を使って金をかき集めたが、オーナーの死も、牧場の破綻も、時間の問題だった。

そんな時、彼はオーナーの遺言を発見してしまう。

遺言の内容に追いつめられたMichahは、ダラスでビジネスマンとして働いているTuckerに助けを求めた。
Tucker。オーナーの孫であり、Michahとは兄弟同然のように牧場でともに育った。
Michahはその頃からずっとTuckerに恋をしていた。そして18の誕生日、Tuckerとともについに一夜をすごしたが、TuckerはそのままMichahに背を向けてダラスへ去っていったのだ。
彼に救いを求めるのはMichahにとって最後の、プライドと痛みを呑みこんだ、ギリギリの決断だった。

やつれたMichahの来訪に驚き、遺言を見たTuckerは、ひとつの結論に達する。
その奇妙な遺言によれば、彼らが牧場を人手に渡さず相続する方法がまだ残されていた。Tuckerが結婚することだ。
そしてTucherは、Michahと結婚することに決める。牧場のためならMichahがノーと言わないことを、彼は知っていた。
.....



J.L.Langleyの新刊。「Innamorati」シリーズの1、ということで、シリーズものらしい。「Innamorati」というのはイタリア語で「恋に落ちた人たち」という意味らしいです。
そのシリーズ名にふさわしい、葛藤と渇望、さらにちょっとコミカルな部分も加えた一編になっています。

TucherはMichahが牧場に来た時からずっと、この年下の少年を守ろうとしてきた。彼が何を失ってきたか知っているから、Michahをすべてのものから守りたかった。たとえ彼自身からでも。
そして4年ぶりに現れたMichahを守るため、Tucherは結婚という手段に打って出る。
だが結婚は形だけのもので、すべてが終われば、また離れるしかない。そのつもりだった。

Micharが18歳の時なら年上のTucherが「つけこんでいる」ような気がして離れていこうとしたのもわかるんですが、22歳になったんだからもういいじゃん、くっついちゃえよ、とはちょっと思います。
でもTucherがMicharにあまりにもめろめろで、タガが外れそうな自分を怖がっているのも伝わってくるので、その気持ちもわかる。
2人は形式上の「結婚」をして牧場に戻り、伯父(相続を争っている)が納得して引き下がるまで頑張ろうとする。一緒のベッドで(相手にふれないようにしつつ)眠り、伯父の目の前であてつけのキスをして、寝室でちょっとエロい声を上げてみせたり。
たまに本気でキスしたくなったり、しちゃったりしますが、我慢我慢。MicharはTucherがいずれいなくなってしまうことを知っているし、Tucherは最後にはMicharから離れなければならないと思っている。
…もういい加減、幸せになろうよ。何故そこで耐えるかなー。

その意地だけでなく、2人の間にはまだまだ大きな溝がある。
何をおいてもMicharを守ろうとするTucherと、子供みたいに盲目的に守られるのは我慢ならないMichar。彼らは対立し、挑みあいます。なんせMicharはラテン系が入ってるので、気性も激しい。

重い部分もありますが、全体に可愛らしくて、互いが互いにめろめろなのに、距離を置こうとしてもがいているのが笑えます。
わりとあっさりと中編くらいの長さ。J. L. Langleyの割にエロは控え目。短いからか。
Tucherなんか嫌いだ!大好きだけど嫌いだ!と頑張るMichahが本当に可愛いので、「意地っぱり受け」とか、うっかりそれをつついてしまう「ちょっと傲慢な年上攻め(受け溺愛)」が好きなら鉄板のおすすめです。

ちなみにタイトルの「His Convenient Husband」の「Convenient」は「お手頃」とか「都合のよい」という意味ですが、「marriage of convenience」で「政略結婚」という成句になります。成程。

★偽装結婚
★遺言

My Fair Captain
J. L. Langley
My Fair Captain★★★ summary:
銀河空軍の艦長であるNathaniel Hawkinsは、家を捨てて軍に入り、二度とその家には戻らなかった。
だが提督は、彼にその「家」の名前と伯爵としての身分を使って潜入任務を果たすよう指示する。奪われた武器の行方と相手の正体を探るために。
Nateはその任務を引き受け、惑星Regelenceに向かった。

潜入先のRegelenceでは、完全に生殖がコントロールされ、貴族社会は男性のみで構成されていた。
そこにはかつて地球文明に存在した宮廷の作法がいまだ息づき、未婚の、25歳以下の男性はかつての「令嬢」たちのように純潔を求められ、誰かと関係を結ぶことはおろか、つきそいなしで出かけることすら許されない。

王の三男、19歳のAiden Townsendの望みはただ絵を描くこと、絵書きになることだけだった。伴侶を得ることなど考えたこともない。
ある日、木の上でいつものようにスケッチに没頭していたAidenは、木から落下した自分が年上の男にかかえられているのを発見する。Deverellの伯爵、Nathaniel Hawkins。抗うにはあまりにも魅力的な男。

NateもAidenとの間に惹かれあうものを感じていた。
だがそれは許されるものではない。彼には仕事があるし、Aidenはまだ19歳で、しかもオフリミットな存在だ。

そんな時、何故かAidenのスケッチパッドが盗まれ始め、ついに彼は命を狙われる。
一体誰が、何の目的で? そしてそれはNateの任務と関わりがあるのだろうか?
.....



階級社会が厳然として生きている(ヴィクトリア朝あたりがモデルかなあ)惑星Regelenceの物語。
生活も服装も古風ですが、技術は非常に進んだ社会です。

Regelenceの王と伴侶(この人がまた格好いい。元殺し屋らしいのだ!)の間には、5人の子供がいる。遺伝子技術で2人の遺伝子を継いだ実子です。
Regelenceの人々はかなり活発な気質で、いざとなると恐ろしい戦士になると銀河でも恐れられていますが、この5人の子供──のうちの4人──も、とてもやんちゃでトラブルメーカー。何しろ王宮のセキュリティをハッキングして、システムを全部落として脱走とかしてしまう。
5人のうち長兄は責任を重んじる性格ですが、あとの4人はつねに親や周囲を引きずり回している。
その三男がAidenです。

J. L. Langleyらしい、不屈で明るいAidenと、強く何物にも曲げられない誇りを持つNateの組み合わせが、ぐっとツボ。
Aidenは箱入りで、外界のことを知らず、ただ絵を描くことだけを望んでいる。絵を描き始めると周囲のことなどまったくおかまいなしになってしまう彼を、両親はいつかとんでもないトラブルに巻き込まれるのではないかと心配しています。
Nateは多分40ちょっと前くらい(探して読み返したけど年が見つからなかった)。18年前に故郷を逃げるように去って、軍で自分の地位を作り、様々な武功を経て己の艦を手に入れた、まっすぐ見据えられると誰もが震え上がるような、鋭く強靭な男です。

そんなAidenとNateは一目で恋に落ちるけれども、どちらもそれぞれの理由で関わりをさけようとする。でもどちらも、互いへの気持ちを抑えようがない。

エロも熱々で、Nateの支配欲がそのままBDSMという形に向かうのを、Aidenはどこまでも受けとめる。Nateが求めれば求めるだけ、許す。無垢で純粋な筈のAidenがNateのもたらす熱の中に落ちていく様がじつにエロティック。
ほいでもってそんなAidenに、Nateはどんどんめろめろになってしまうわけです。

恋と、盗まれた武器の捜索と、その裏にある大きな陰謀が絡み合って、割と長い話ですがどこも飽きさせない。笑いどころも多いです。
周囲のキャラも生き生きしていて、彼らの様子もすっごく楽しい。
Nateの養子であり頭痛とトラブルの元でもある「Trouble」と、王の長子のRexleyのふれあいなんか、笑えるけどじんとくるなあ。
あと、Aidenの父親2人の話が読みたいんだよね。あちこち拾ってつなげるに、当時王位後継者であった少年が殺し屋と恋に落ち、自分の婚約を破棄してその恋をまっとうしたらしい。何て萌えシチュだ!
5人の子供がそれぞれに情熱的なのは、親の血からくるものなんだろうな。全員、キレると怖そうだし。

ラブラブでめろめろな話が好きな人、年の差保護者攻めが好きな人におすすめ。

★軍服萌え
★甘エロ(軽いBDSM)

★Three-Star rating system★


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