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Special Delivery
Heidi Cullinan
SpecialDeliveryLG.jpg★★ summary:
Sam Kellerは母が死んでから、叔父夫婦に引き取られて彼らの店で働きながら、ゲイであることを隠し、自分の性的なファンタジーを押し込め、ひどく息苦しい思いをしていた。
そんなある日、店の倉庫に荷物を届けにきたトラック運転手、Mitchと出会う。二人は即座に惹かれて体の関係を持つが、Mitchは常に街から街へ荷物を運ぶ根無し草だ。

だが、追いつめられてついに家出したSamの声に答えて、Mitchは彼を助手席にすくい上げてくれた。
二人はそのまま旅に──Mitchにとっては仕事の移動だが──出る。

Mitchとの関係を深めながら、Samは自分自身のことを前より深く知っていく。自分の中にある欲望、恐れ。
彼はMitchのことも知りたいと思うのだが、Mitchには語りたがらない過去のシーンがあり…
.....



性の目覚めというか、自立や自分探しのお話です。基本はBDSMで、3Pとかもあり。
迷える青年Samと、自由なようでいて過去に影を持つトラック野郎Mitchの話です。

なかなか味わい深い部分がある話で、Samが母の遺灰を持って家出したり、母親のために美しい景色のところに灰を少しずつまきながら旅をする部分など、彼の繊細さを映していていいシーンだと思います。
性を通した自己発見の話でもあるので、かなりエロだく。
心理描写と性描写を細かく絡ませた、一風変わった話でもあります。

私は、話の前半部分では何だかのれなかったんですが、二人がラスベガスにいってからの後半はかなりおもしろかったですね。もう一人メインキャラがそこでくわわるんだけど、彼が思いの外によかった。
のれなかったのはおもしろくないからというより、個人的にSamの視点にどうにも同調できない感じがあったからだと思う。とにかく迷える青年なので、彼は至るところで迷います。Mitchの手ほどきでかなりディープな世界に踏みこみつつ、一歩ずつ迷う。
で、その感じがちょっと苦手でした。あんまりびくびくしてるから、読んでて居心地悪いと言うか。ただ、それだけ迷っていたSamが後半に成長しているところは、逆に見ごたえがあったので、物語の陰影としてはよかったと思う。ちょっと評価が難しい気分です。気持ちを動かされるシーンもあったし、Mitchとの人間関係は濃密で読みごたえもあり、読んでよかった一冊ですが。

アメリカの広大な景色や、ひとつの家のように設備が整ったトラックを何日も走らせていくその「広さ」の感覚は、よく描き込まれていて充分に味わえます。広い広い、ほんとに広い!
旅ものが好きな人、年上の男にほにゃららと陥落していく迷える青年シチュが好きな人におすすめ。
キャラクターにリアリティがあって、それとセックスシーンがよく絡んでるので、「エロはあった方がいいけどエロだけじゃ」という時にも。何だかんだ言いましたが、読後感はかなり充実していて爽やかです。

★BDSM・3P(ライト)
★トラック野郎

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Carry the Ocean
Heidi Cullinan
CarryTheOcean.jpg★★★ summary:
The Rooseveltシリーズ1。
Jeremeyは高校を卒業したものの、今の望みはただ、大学に入るまでひたすら眠りたいだけ。誰にも気がつかれたくない。誰のことも気が付きたくない。
だがそんな望みは、Emmetと出会った瞬間に消えたのだった。大学で数学とコンピュータサイエンスを専攻するその少年は、頭が回って前向きで、Jeremeyとつきあいたがってて、高機能自閉症だった。

Jeremeyにはそれを気にする余裕はない。自分の気持ちを持て余し、そんな自分を責めていた。
自分と、両親の作った小さな規範の世界から抜け出せずにもがく彼を、Emmetが救い出し、彼らは共同生活を始める。

それぞれに問題をかかえ、葛藤し、二人のどちらにとっても世界は優しい場所ではない。
でもそんな世界でも、幸せに生きる方法はある。きっと。
.....



これジャンル的にはYA(ヤングアダルト:青少年向けの作品。一般に性描写淡し)のようなのですが、正直どこかのカテゴリに入れてしまうのはもったいないパワフルな作品です。
高機能自閉症で、知能は高いが感情の働き方が他人とは違っているEmmetと、鬱病に苦しみ、自分を受け止めることのできないJeremeyの2人の一人称で、物語は進んでいきます。読者はそれぞれの視線を通して世界を再認識することになる。彼らから見える世界、彼らに届く光と闇を通して。非常に挑戦的な、そして高いテクニックを要求される書き方ですが、お見事。
何に彼らが苦しめられているのか、感情を表に吐き出せないEmmetや、自分の感情に圧倒されてその向こうが見えなくなるJeremey、2人の苦しみや葛藤、不安、そして喜びや愛情がはっきりと伝わってくる。

それにしてもEmmetは偉いな!自分の障害を知り、考え、対処し、何か起きればその起因となることをつきとめてあらかじめ対処しようとする。障害を「個性」として生きていく強さがあり、輝きがある。
彼を支える両親も偉い。戦うこと、戦い続けること。それをしっかりと身につけて、Emmetは今度は初めて見つけた恋のために戦おうとするのです。その道は平坦とは言えないけれど。
その愛は、きっとJeremeyと彼の世界を救う。

繊細な、そしてとても豊かな物語です。文中に出てくるタイトルの由来が本当に美しくて、個人的にタイトル大賞をあげたい。
物語にしっかり浸ってみたい時におすすめの一作。

★共同生活
★YA(ヤングアダルト)

★Three-Star rating system★


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