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Nine Lights Over Edinburgh
Harper Fox
Nine Lights Over Edinburgh★★ summary:
刑事のJames McBrideは、もう少しのところまで人身売買の組織を追いつめてきた手応えを感じていた。

だが、彼の生活はすでにほとんど破綻していた。離婚、別れた妻からの娘への面会の禁止、上司の引退とともにやってきた新しい上司とはそりがあわず、仕事の上でぶつかり続けていた。
仕事のパートナーは若く、だが考えなしで、McBrideとの一度のあやまちがいつまでも二人の間に横たわっている。

上司に言わず、一人で勝手な捜査を続けながら、McBrideはイスラエル大使の警備業務を命じられる。
彼らは襲撃を受け、McBrideを銃口から救ったのは、大使についているイスラエルの護衛チームの中にいるTobias Leitnerという男だった。モサドの男。

救われる価値などない、とMcBrideは思う。すり減ったこの人生に意味など残っているだろうか。
だがクリスマスの直前、彼の幼い娘が行方不明になり、McBrideには何よりもクリスマスの奇跡が必要だった。ただこの1度だけでも。
.....



クリスマスものの企画アンソロジーの一編なので、ハッピーな感じのものを想像したら結構ハードでびっくりしました。
ハードってのはエロじゃなくて、話が。

人生に疲れてすり減っていて、頑固で、奈落の淵すれすれにいるような男、McBride。彼は人身売買の組織について執念深く捜査を続けているけれども、それは正義感からと言うよりもほとんど、自分の存在意義だからすがりついているような捜査の仕方です。
そんな彼を、誰もが少しずつ見離し始めている。誰よりもMcBride自身がすでに自分を見離している。
唯一の救いは幼い娘の訪問だけれども、それすら奪われかかっている。
そんな彼の日常が息苦しくて、重苦しい。ちょっと英語が硬質で(ハードボイルド系の硬質さがある)読むのに少し時間がかかったのですが、全体の雰囲気がうまく閉塞感を描き出していると思います。

Tobias LeitnerはそんなMcBrideを銃弾から救うのですが、Leitner自身も様々なものをかかえこんでアメリカへやってきた男です。かつてのパートナーを失い、傷ついている。
果たして二人にクリスマスの奇跡は訪れるのか。

大人の男とか親父とか、そのへんが好きな人ならこの「重さ」がツボだと思います。
しかし、新しい女上司の使えなさ具合がちょっと映画版の「踊る大捜査線2」みたいで、ここは読んでてかなり苛つきますね。上昇志向が強すぎて下がおろそかになるって、やっぱりひとつのステレオタイプなんだろうか。

疲れた親父のMcBrideと、傷ついたいい男のLeitnerの組み合わせはロマンティックで、重いながらも、最後はちゃんとクリスマス。
親父同士の、人生背負った重いロマンスが好きな人におすすめ。

★親父×親父

HisForTheHolidays.jpg
4人の作家によるクリスマスアンソロジーの一編なので、バラで買うほかにこちらで4編まとめ買いできます(ちょっとお得)

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Winter Knights
Harper Fox
WinterKnights.jpg★☆ summary:
Gavin Lowdenは若い歴史学者で、アーサー王伝説についての検証を行いにNorthumberlandを訪れていた。
アーサーとランスロットとの間に特別なつながり──ロマンスがあったというのが、彼の説だった。

そしてそのクリスマスの日、ホテルで、彼は恋人のPiersを待っていた。敬虔なカトリックであるPiersは、宗教的な罪悪感や、家族に秘密をもつ後ろめたさをかかえながら、Gavinとの関係を続けてきた。
彼を楽にしてやりたくて、Gavinはこのクリスマスの日、家族にカミングアウトしてホテルに来るようにPiersに提案したのだった。

だが、恋人は来ず、かわりに別れの電話だけがくる。
雪の中にさまよい出したGavinは、やがてふたりのレスキュー隊員に救い出されるが、それは思いもかけずにエロティックな一夜となり…
.....



MenUnderTheMistletoe.jpgCarina Pressのクリスマスアンソロジー「Men Under the Mistletoe」に含まれている1篇。
それぞれバラでも買えますが、いいアンソロです。


この話を書いたHarper Foxは、人の心の痛みを書かせると本当にうまい。痛みがどっしりと心にのしかかってきて、ひびを入れ、今にも体ごと粉々になりそうなつらさが、文章からにじみ出してくるようです。
一方でそこに気合い入っちゃって、別のところがおろそかになる気配があるんですが。シーンはすごくいいけど話全体のバランスが。
どう言ったらいいのか、いびつでアンバランスですけど、読みごたえはある。


今回の話はかなり変わったクリスマスストーリーで、GavinとPiersというメインカップルよりも、Gavinを助けるふたりのレスキュー隊に話のフォーカスの半分があたっています。
謎めいたレスキュー隊で、しかも片方はGavinと地下にとじこめられた最中にちょっとエロい展開になったりして、読んでいるとびっくりします。いいのかそれ?と思うんですが、その先に「実は…」という真実のターンテーブルも用意されていて、正体が段々見えてくる。
この2人がマジですごく格好いいです。何とも心痛む、でも愛らしいカップル。

一方で、GavinとPiersには読んでてもあんまり気持ちがときめかなかったかなあ。とは言え、宗教的な重荷に苦しみつつGavinとの関係を続けてきたPiersの決断とか、彼の立場に立って思いやることが出来なかったGavinが自分の身勝手さに気付くシーンとか、印象深い萌え場面はいくつもあります。
もう少し話が短い方が、その印象は際立ったかもしれない。Gavinがレスキューの2人の正体を知ったあたりでどんと切ってくれたら、★ひとつ上がったと思うんだけど、ちょっと話の尻が長かったですね。
痛みとか別れとか、そういうドラマティックなシーンを書くのは半端なくうまいけど、それ以外の淡々としたシーンを書きこなすのがこの作家の課題かなと思います。期待してますが。

クリスマスの奇跡が、ひびわれたカップルをふたたび結びつける。そんなロマンティックな話です。
アーサー王伝説と噛んでますが、とりあえずアーサー王の友人で頼れる騎士がランスロット、というところだけ押さえておけばいいでしょう。Gavinはガウェイン、Piersはパーシヴァルと、ほかの騎士の名前とも絡めてあるんだと思うけど。
苦悩と幸福の対比が鮮やかで、読みごたえがあります。いくつかマイナスポイントはあるものの、読後感もよく、骨太のクリスマスストーリーが読みたい人におすすめ。

★超常現象
★レスキュー

★Three-Star rating system★


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