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Fair Winds
Chrissy Munder
FairWind★★☆ summary:
Rudy Haasは船とレースを何より愛していた。
だが、何とかやりくりしてレースの参加費分担を払い、ヒッチハイクで湖にたどりついてみると、仲間のクルーは彼が船に乗るのを拒否した。
Rudyは信じられなかった。5年もともにレースをしてきた仲間が、Rudyがゲイだというだけの理由で、彼をこれほど嫌うとは。

帰りの金もなく、船で寝るつもりだったので夜眠る場所もない。
だが何より、レースに出られないことがつらかった。
どうにかして船に乗るため、Rudyはクルーの募集を探してバーをのぞき、コルクボードに留めてあった紙を見て驚く。Devlin's Due。その船の名を、彼は知っていた。腕のいい連中だ。

Devlin's DueのクルーをたばねるIke Ujarkaは、口数が少なく謎めいた男だった。
Rudyは一目でIkeに惹かれる。それも強烈に。

だがとにかく今の彼は、ヨットマンとしてクルーたちからの信頼を、そしてIkeからの信頼を得なければならない。船を、新たな居場所を得るために。
.....



レースヨットの話。と言っても、まだレースに入る前までの話ですが。
Rudyがいかに海を愛しているかがつたわってくるので(舞台はでかい湖だけど)、彼が船を下ろされた時のショックや、次の船を探すための切羽つまった気持ちがよくわかります。
彼の人生は船のためにある。その居場所をいきなり奪われた、失望はでかい。
でもレースは待ってくれないので、新しい船を探さなければならない。そして彼はDevlin's Dueの連中に出会うのです。

Rudyがころがりこんだ新しい船「Devlin's Due」のクルーは、実に「チーム」感があふれていて、読んでいて楽しい。何だか家族みたいです。互いにののしりあったかと思うと一瞬で結束する。
そしてリーダーのIke。(「アイク」じゃないかと思うんだけど、どうしても「イケ」と脳内でローマ字読みにしてしまう…)
大柄で物静かで、独特の雰囲気をたたえた彼が、至るところで格好いい。彼のセリフは数えるほどしかない気がしますが、それでも格好いい。

Rudyは彼らにクルーとしての適性をテストされる短い日の中で、色々なことを体験します。容赦のないしごき、Ikeへの恋、船の上でのキス、湖上の嵐、事故…
そのすべてがRudyを強く揺さぶる。前の船を下ろされたからというだけでなく、彼の人生はその日々で大きく変わっていくのです。
スラではあるけれども、カプがどうとかと言うよりむしろ、Rudyの成長話という趣が強いですね。それがテンポよく、色々な人生のドラマを散りばめられながら語られます。筋は複雑ではないんですが、うまくできた話で、かなり手練な作者かと思う。

クルーとして迎えられることができるのか、不安ながらも、全力を尽くすRudyの懸命さがなかなかいじらしくて、応援しつつ読んでいました。
IkeとRudyだけでなく(このカプもなかなか味わい深いんですが。…Rudyはちょっと苦労しそうな気がする)、Devlin's Dueのクルーの話の続きが読みたいなあ。
微妙に書き残されたこともあるし。話はきっちり完結してますが、設定がもうちょっと深めに設定されている気配があって、作者側も続きを書くことを前提にしているのかもしれない。
楽しみです。
みんなでレースに出て、Rudyの前の船をけちょんけちょんにしてくれたらすごく嬉しいんだけどな!

スポーツもの、海もの、船ものが好きな人。「仲間」感があるものが好きな人におすすめ。

★ヨットレース

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After the Storm
Chrissy Munder
After the Storm★★☆ summary:
病で余命少ないVincent Poulsenは、最後の自分の住み処として、古い灯台を選んだ。
ここなら心配する誰かに囲まれ、朝から晩までその日の気分を聞かれることもなく、静かにすごすことができる。最後の仕事に集中できる。

望み通り灯台の塔で静かにすごしていたVincentだが、ひどい痛みの発作の後、彼の目の前に幽霊が現れる。
Captain Cason。19世紀の船乗りであり、かつてこの灯台に住んでいた男。そして何故か、死後もそこに住み続けている男。

VincentとCaptainはお互いを追い出そうとしたが、結局のところ合意に至り、しばらく一緒に暮らすことになる。

意外にもそれは悪くない日々だった。CaptainはVincentの痛みが日々ひどくなっても、Vincentのしたいことに口を出すことはなかったし、悪い話相手ではなかった。
だが彼は、何故灯台に住みつづけているのか、その問いには決して答えようとしなかった。
.....



死んでいく男と、灯台に住みついたゴーストのストーリー。
意外なことですが、この二人がカップルなわけではありません。彼らの奇妙な一瞬のつながりや、それがもたらす結果を書いてはいますが、スラとしてはこれは「Captainと、彼が遠い昔に愛した男」の話。

口の固い船乗りは過去のことをなかなか語ろうとしませんが、19世紀の追憶が少しずつ表れてくる。彼が段々と事情を明かすのは、Vincentが死につつある男であることも関係しているのかもしれません。
やがてあらわになる過去の出来事は痛々しくて、Captain Casonが恋人の亡骸を離せずに海に沈んでいくくだりなどは胸に迫るものがあります。
あんまり湿っぽい男には見えないので、余計にそのシーンが美しい。

死の気配に満ちた話ですが、筆致は淡々としていて、物語の輪郭は丁寧です。
Vincentにせまる死、Captainの過去、そして彼らの目の前にやってくる嵐。

「After the Storm」──かつて、嵐の後には、ひとりのゴーストが生まれた。
今度の嵐の後には、また別のものが生まれるのです。

この短さで、なかなかうまく書かれた話なので、幽霊話や寂しげな雰囲気の話が好きな人におすすめ。
色々と、読み終わった後も想像がひろがる話です。

★ゴースト
★病人

Scenic Route
Chrissy Munder
Scenic Route★☆ summary:
Ed Baldwinはシャイで、引っ込み思案で、人に自分の意見を言うことがほとんどできない男だった。
その彼が、ついに両親に恋人を紹介するために、恋人と二人で車の旅をしている。

ついナーバスになって恋人に当たってしまう彼を、Joe Suttonは時に意地悪に、時に優しく受けとめていた。
Joeには、Edが緊張のはけ口を求めているだけだとわかっていたのだ。
だが、ついにいささかうんざりしたJoeは、Edの反対を押し切ってさびれたモーテルの前に車を止める。そこで一晩頭を冷やそうと。

そのモーテル全体が、まるで営業していないかのようであった。
だがカウンターに現れた男からキーをもらって、二人は部屋に入る。
その夜、部屋に奇妙な電話がかかってきて…
.....



短いゴーストストーリー。
「Midsummer's Nightmare」という30の短編がおさめられたアンソロの一編ですが、この話だけでも買えます。正直この表紙はどうよと思いますが、Chrissy Munder 好きなので買ってみた。

ほんとに短いし、わりとありがちなオチだとも思うんですが、EdとJoeのカプの感じが好きです。
ナーバスで、ついつい八つ当たりしがちなEdと、彼にきついことを言ったりうんざりしながらも愛しているJoe。
短い話の中で、シャイなEdを相手にここまでの関係を作るのにJoeが結構苦労したこと、Edが両親に対して賛成されないのではないか(もしかしたらゲイであることを)と不安に思っていること、でも最後には何があろうと「その先」に二人で進むつもりであること、などが浮き上がってきます。

決して感情的に強調された話ではないんですが、この作家は抑えた表現でさりげない人の心の機微を書くのがうまいと思うのです。地味ではあるけど、その地味さが好きさ。

読書の目先を変えたい人や、ちょっとしたゴーストストーリーを読みたい人におすすめ。
主人公が決して「できた男」ではない感じがかわいい。
表紙はアンソロ全体の表紙なので、こういうシーンはないです。いいのか悪いのか…

★里帰り

★Three-Star rating system★


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