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[タグ]CarolLynne の記事一覧

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Saving Noah
Carol Lynne and Cash Cole
Saving Noah★★ summary:
カンザス州の小さな町Schicksalにある叔母の家をDexter Krispinが訪れたのは、つきまとってくる元恋人から離れて、博士論文を仕上げるためだった。

Noah Stoffelは、その町の小さな牧場でずっと家族だけで暮らしてきた。父の死後、1度は大学へ進学したが、結局戻ってきて今は病気の母親の面倒を見ながら、町の色々な雑用を片付けてどうにか食べている。
Noahは自分がゲイであることを隠してきた。保守的で頑固な母親は決して彼を認めないだろう。それでなくとも父が死んでからの母親は気難しく、食事もろくに取らず、医者にかかることも拒否して、1日中ベッドで寝ている。
彼女の世話をし、牧場の動物に餌を食わせ、町に出て小さな仕事を片付ける。その繰り返しがNoahの日常、Noahの毎日だった。
Dexterに出会うまで。

DexterとNoahは互いに惹かれる。Dexterがいずれ彼の生まれ育った都会に戻ることをNoahは知っていたが、だからといって自分の気持ちをとめることもできなかった。
そして物静かなNoahにDexterは強い興味を持ち、彼を殻からひっぱり出そうとする。

だが、何かがおかしかった。Noahとともにすごす時間は楽しい。それなのに何かが理屈にあわない。
Dexterは周囲の人々の奇妙な反応に気付いていく。
Noahの墓場への恐怖、拒否、母親への極端な傾倒。その奥にあるものが明るみに出るまでに、それほど時間はかからず…
.....



よく働くが奥手で優しいNoahと都会からやってきた青年Dexterのほのぼのラブストーリーかと思いつつ、タイトルの「Saving Noah」の「Save」の部分もきっとほのぼのな展開だと踏んでいたら、足を大きく踏みはずしました。
ちょっと怖いです。いい話なんですが。
Carol Lynneは「Cattle Valley」というカウボーイタウン(しかもゲイの集まる町)のロングシリーズを持っている人気作家で、とてもハートウォーミング系の作家なので、これはほんとに予期していなかった。

キャラはなかなか愛らしくて、Noahは特にかわいいと思う。いじらしいというか、繊細で、両親を愛していて、毎日をどうにか暮らしていくことに少し疲れてもいる。
そんな彼にとって、Dexterとの出会いは一瞬の、滅多にない楽しみですが、それが自分が思ったより深いものであるかもしれないと気付いて、彼は怯えます。

DexterはNoahの人生に色々なことが欠けているのを見て、胸を痛めます。一晩家を離れて遊ぶこと、楽しみのために買い物をすること、それだけのことすらNoahには難しい。
Noahの中にある傷つきやすさをDexterは愛しいと思い、一晩のデートでとにかく彼を甘やかす。守ってやりたいと思う。
DexterとNoahの関係はあまり日にちもなく恋に落ちていく感じですが、感情表現が丁寧なので違和感はない。Noahって実際、なかなかに「守ってやりたい」タイプです。彼のキャラクターがよく書けているので、後半の展開にも違和感なく引きこまれます。

前半のちょっと緊張しつつもほのぼの展開が、途中でぐっとひねられ、後半でいきなり状況が一気に裏返る。色んな伏線がぱっとひとつになる、そのへんがなかなかうまい。
心理をこまごまと掘り下げるというよりは、話の展開として非常にうまく使っているので、内容のわりには重く読ませない、そのあたりもうまいと思います。

タイトル通り、Noahは本当に「救い」を必要としていますが、彼自身にはそれが見えていません。
Dexterでなければ彼を救うことができない。町の外から来た男。彼でなければ、Noahをそこから出してあげることはできないのです。まあ町の人もいい人たちなんだけどね。
余談だけど、「小さいコミュニティ」のよさと怖さも同時に出ていると思う。

守ってやりたい受けが好きな人(まあリバなんだけど)、展開にひねりのある話が読みたい人におすすめ。

★謎解き
★救済

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Brier's Bargain
Carol Lynne
Brier's Bargain★★☆ summary:
Brier Blackstoneは数年前まで、生涯のほとんどを病院ですごしてきた。
まだ幼児の頃、父親の虐待で頭に傷を負ったため彼は知能の発達が標準よりも遅れ、感情のコントロールが難しい。虐待から保護するために、政府は彼を家族と離した。
ほんの十年前まで、双子の弟すら彼の存在自体を知らなかった。

その弟の尽力によって、Brierは病院から出て人並みの生活を営むことが出来るようになり、ボディガードの会社の事務として働くまでに回復した。
そして、その会社で想像もしてなかった素晴らしい相手と出会った。
Jackie Benoit──会社のボディガードスタッフの一人。
Brierの恋人。

そのJackieが中東の任務でひどく負傷し、片足を失って帰ってきた。

Jackieはこの無垢でひたむきな恋人を愛していた。彼が乗りこえてこなければならなかった過去も知っている。かつて病院を脱走し、感情のままに罪を犯したこと、収監された病院で性的虐待を受けていたこと。
それをのりこえ、ハンディキャップを持ちながらフルタイムで働き、様々なことにチャレンジし始めたBrierの姿は、Jackieが自分の傷と向き合うための力でもあった。

だがまだBrierの心は脆い。
そんな時、性的虐待の加害者が捕まったとFBIから連絡があり、JackieはBrierにどう話したものか悩む。FBIはBrierの調書を取りたいと言うが、ふたたびあの体験を思い出させるのは気が進まない。

しかしBrierの覚悟は決まっていた。Jackieや、双子の弟が思う以上に。そしてきっと、彼らが望む以上に。
.....



Brierは軽い知能障害があるけれども、きちんとまっすぐに物事を考える人です。彼なりの筋道を立て、人のことを思いやりながら生きている。36歳。
Jackieは彼の初恋。
そのJackieが中東へ仕事へ行ってしまっている間、淋しさのあまり感情的にめちゃめちゃになって双子の弟を心配させたりしてしまいます。

でもJackieが負傷して帰ってきてから、Jackieの世話をし、そばで暮らしながらBrierの気持ちも落ち着いていく。
そんな彼のひたむきな様子と、彼にめろめろのJackieの様子がかわいらしい。また実際、Brierの弱いながらも凛としたたたずまいが綺麗で、Jackieの気持ちがまっすぐ彼に向かっているのもつたわってくる。
JackieがBrierの面倒を一方的に見ているわけでも、子供のように扱っているわけでもなく、彼らは互いに支えあう対等な恋人同士なのです。そこがいい。

周囲の人間はBrierを守ろうとするけれども、Brier自身は段々と自分の頭で物事を噛みしめ、自分の足で歩こうとしていて、その覚悟は時たま周囲とぶつかる。
そのBrierの気持ちの変化と、それを受け入れていかざるを得ない周囲との変化が書かれています。

読み始めて、知能障害というのはあまり好きなテーマではないので迷ったのですが、とてもおもしろかった。読んでいる間も、読後感もいい。兄に罪悪感を感じながら過保護にふるまう双子の弟もかわいい。
作者のCarol Lynneは前にも下肢の障害がある人の話を書いたりしていたので、何らかのハンディキャップ(精神的な弱さとかも含む)をかかえたテーマが好きなのかもしれない。うまくツボを押すエピソードが重なっているけれども、決してお涙ちょうだい系でもありません。
この作者のキャラは根がポジティブでたくましいので、重いテーマでも話が暗くならないのかな。性格はわりと乙女っぽかったり繊細だったりするんだけど、それでもどこか前向きで、世界を信じている感じがします。

Brierが過去をのりこえ、自分の新しい一歩を世界に刻んだことが、最後の騒動からもよくわかる。
世界は彼にとって優しい場所ではないけれども、彼はまだその世界を信じ、人間の善意を信じている。Jackieが、Brierの視点を通して見える世界が美しいと思うのも無理はない。

この「Bodyguards in Love」は作者の新しいシリーズで(まだ全部読んでないんだけど、代表作のCattle Valleyシリーズが終わったのかな?)、このボディガード会社を舞台に進んでいくと思う。
見るからにゲイばっかりの会社ですが、まあそれもよし。先が楽しみです。

ある意味かなり極めた「包容攻め×けなげ受け」なので、そういうシチュ萌えの人に特におすすめ。エロも多めで、全体に楽しく読めます。

★障害
★保護欲

Texas Hold 'Em
Carol Lynne
Texas Hold 'Em★★☆ summary:
Zac Graingerの人生は至っておだやかなものだった。高校のフットボールチームのコーチをしながら、友達と毎週土曜に集まってポーカーを楽しむ。
ある夜、ポーカーの途中でデリバリーピザを受け取りに出たZacは、配達の青年を見て、呆然とした。見たこともないほどゴージャスな男が、そこにいた。

Eric Stantonはサンフランシスコの大病院でインターンとして働きながら、少ない時間を縫って叔父のピザ屋の配達の仕事をしていた。
ただでさえインターンのシフトは厳しい。眠る時間を作るのも難しかったが、彼は懸命に働き続けていた。

Zacはふたたびピザの配達を頼み、現れたEricを誘惑しにかかる。だがEricは気乗りがしなかった。
Zacに魅力を感じなかったわけではない。逆だ。それでも、人と関係を結べるほどの時間の余裕が自分にあるとは思えなかった。
Zacの腕は暖かく、気持ちがいい。だがただ居心地がいいからと言って、この男に甘えていいものだろうか。

ぎりぎりのところにあるEricの生活は、彼の心の余裕も奪い、医者を目指す仕事の中でEricは大きな壁に突き当たってしまう。
ZacはEricを助けたかった。
だが、Zacがさしのべようとする手をただ握りしめるには、Ericのプライドは頑固すぎるものだった。
.....



Poker Nightシリーズの1作目。
このシリーズは、サンフランシスコに暮らす6人のゲイたちの友情を中心にして書かれています。にぎやかで、たまにほろりとする、「大家族」的なノリのシリーズです。
6人は仕事も性格も趣味も生い立ちも、何もかも異なっているけれども、数年前から集まってポーカーをする。友人同士、何かがあればすべてを投げ打ってでも駆けつけて、力を貸します。

このシリーズは、冊数を読んだ方がおもしろい。一冊だけだとまあ普通に楽しいスラなんだけど、シリーズが進んで1人ずつの内側が描かれていくにつれ、彼らの強固であたたかな友情にぐっときます。

1冊目であるこの「Texas Hold 'Em」は、ポーカー仲間の1人Zacの話で、友人たちは顔見せ程度ですが、仲良くポーカーをやっている様子がかわいい。Zacがピザの配達人に恋をするやそれを容赦なくからかい、でもZacの幸せを願ってる様子がよくわかる。
ひとりひとりは立派な大人なんだけど、集まるとどこか子供のようで、その中にこっそりと恋模様もまざっていたりして(それはまたの話ですが)、じつに彩り豊か。ちょっとかしましいですが、いい友達です。

ZacとEricは互いを深く思うようになり、互いが自分の運命の相手だと悟りますが、Ericの生活の無茶苦茶な時間帯とともに、彼の経済状況の悪さが互いの障壁になる。
Zacはあまり気にしていないけれども、Ericが気にしているんですね。独立心が高く、家族の反対を押し切って医学生となった彼は、奨学金を早く返そうと、もがくようにして毎日働き続ける。

過干渉になってしまうZac、必要以上にかたくなに拒否するEric。
彼らは自分たちの主義を曲げてでも、お互いうまくやっていく方法を探さないとなりません。

適度なアップダウンもあり、スパイスのきいたラブラブ話。キャラの輪郭がきちんと立っていて、気持ちよく読めます。
基本的にラブラブでえろえろっと楽しい。イメクラみたいなプレイもあるでよ。
「spin-cycle」の上にEricを座らせるようにしてエロってるシーンがあったのだけど、どうも腰高くらいの洗濯乾燥機みたいですね。ハイパワーっぽい。

タイトルのTexas Hold 'Em(テキサス・ホールデム)はポピュラーなポーカーのルールのひとつで、各プレイヤーに2枚ずつ配られた手札と、場の中心にオープンされた5枚のカードを合わせて勝負するのが特徴です。
少しずつ登場人物が重なったシリーズ物が好きな人とか、大勢でわやわやっとドラマしているものが好きな人におすすめ。色々あってもみんなで楽しそうにしていて、読むのも楽しいです。

★エロ多め
★過保護

Slow-Play
Carol Lynne
Slow-Play★★ summary:
Bobby Quinnはチャータークルーズの船長という仕事と、まかされた船を愛していた。この船は彼が手に入れ、すみずみまで修復し、美しく磨き上げた。人生そのもののように愛した相手だった。
だが義理の兄はBobbyからその船を奪い、ただの雇われ船長として彼を働かせ続ける。かつてあれほど愛したこの船が、今はBobbyをつなぎとめる鎖となっていた。
家族からなるべく距離を置き、誰かと付き合うこともなく、Bobbyが遊びに出かけるのは友人たちとのポーカーだけであった。

Jules Petersは、孤独に慣れ、そして孤独に疲れていた。
目指した医者になり、大きな家に住みながら、彼のすることと言えば古い車を買い取り、パーツをひとつひとつ集めて元のように美しい姿に直すことだけだった。そんなことでもしていなければ、あまりにその家は孤独すぎた。

サンフランシスコ湾でのクルーズをプレゼントされたJulesは、船長のBobbyと出会う。
この若い男にかつてないほど強く惹かれながら、Julesはためらっていた。彼はもう孤独に慣れきっていて、その殻から出るのには勇気を要したし、Bobbyの若さは、Julesが望むような長い関係を求めていないように見えた。

BobbyもJulesに惹きつけられていたが、何より、今のBobbyには他人と付き合う余裕がなかった。
兄との関係はますます悪くなり、Bobbyは追いつめられる。自分を曲げて兄のために働き続けるか、それとも心から愛した船を捨てて別の人生を探すか。だがそれは、自分の体の半分をもぎ離すようなものだった。
.....



Poker Nightシリーズ2。

ポーカー仲間の1人Bobbyと、前作「Texas Hold 'Em」のEricが働いている病院の医師Julesとの話。
気付かぬままに人生の壁に行き当たり、疲れている2人の男が出会って、それぞれに新しい道を見出す話です。

40代前半あたりのJulesは、その年になるまで1人しか恋人と呼べる相手がおらず、そしてその関係は相手の死によって悲劇的な結末を迎えている。
彼はおだやかな人間ですが、用心深く、他人を自分のテリトリーにすぐ招き入れたりしない。
Julesの心には死んだ恋人が、もう20年近くも住みついていて、苦しんだ記憶はたやすく彼の心を離さない。

Bobbyは自分の金持ちの家族が道具のように人を使う様子を見て育ったため、金のある人間を信用しない。Julesのこともすぐには信用できない。彼もやはり、Bobbyを道具のように使っているのではないだろうか。死んだ恋人からのリバウンドで、手近に来た若い男に傾いているだけなのではないだろうか。
互いの悩みや、行き違いが、ストーリーを通してくっきりと浮き上がってきます。

ちょっと子供っぽく、一本気なところがあるBobbyと、慎重でおだやかなJulesとの組み合わせがいいコントラスト。
JulesはBobbyと付き合いはじめて、否応なくほかのポーカーの仲間とも関わりあっていく。JulesとBobbyだけではなく、友人全員が力を合わせ、Bobbyの窮地を救っていくのです。
「友人達+Jules」ではなく、全員まとめて友人になっていく様子がいい。前作のEricもごく自然にメンバーの中に馴染んでいて、相変わらず忙しいようですが、彼とZacもうまくやっているようです。

いったん壁を越えるとやたらとエロエロな関係になるので、たまにおいてけぼりの感もあるほどですが、それもCarol Lynneの作品の楽しい部分。
体の関係を作るのも、気持ちよさに溺れたり誤魔化されたりするのもいいけれども、それを支える信頼の土台を2人は作らなければならない。
そうやって向き合い、もがき、互いの大切さに気付いていく様子がかわいいです。

タイトルの「Slow-Play」はポーカーの戦略で、強い手を持っているのに逆に振る舞い、相手が賭けにのってくるよう仕向けるやり方。
シリーズ1と同じように「仲間で結束してがやがや」というのが好きな人におすすめ。「死んだ恋人の記憶から逃れられない年上の男」が好きなら、さらにおすすめ二倍です。

★船乗り/医者
★仲間

Pocket Pair
Carol Lynne
Pocket Pair★★ summary:
高校教師Trey Hugginsは、この3年、ずっと校長のCole Hardingを見ていた。
だがColeがゲイかどうかもわからないし、たとえそうだとしてもTreyのような男には興味を持たないだろう。それはよくわかっていた。

毎週ポーカーをする友人たちはいたが、Treyは孤独だった。
ネット上で知りあった相手とブラインドデートにこぎ着けるが、相手はTreyの家に押し入り、レイプした上、彼を刺す。
体の傷と同時に、Treyはいかに自分が愚かでつけこまれやすかったか、自分を責め、傷ついていた。

Coleはこの職について25年、仕事とプライベートライフを完璧に分けてきた。
同じ職場の部下、Treyの物静かでおだやかな物腰に惹かれ、彼がコーヒーに砂糖を3つ入れて飲んでいることまで知りながら、ColeはTreyへと1歩を踏み出すことが出来なかった。
だがTreyが刺されたと聞いた時、自制を振り切ってほとんど反射的に行動する。もっと早く手をのばすべきだった。Treyに、彼は孤独ではないと知らせていれば、起きなかった事件でもあった。

Treyを刺した犯人はデート強盗の常習者で、警察はTreyに裁判の証人になってほしいと言う。
ゲイのレイプ殺人まで絡んだその裁判は大きなスキャンダルとなり、マスコミや、ゲイを糾弾するグループが大挙して町へ押し寄せて、Treyは追いつめられ…
.....



Poker Nightシリーズ3。週末のポーカー仲間の1人、Treyの物語。
Treyは1話の「Texas Hold 'Em」でもZacの買い物につきあって料理のレシピを丁寧に教えてくれたりと、とてもいい人です。でもその時も「自分のような人間とつきあいたい男なんてあまりいない」的に、少し自虐的なところも見せている。
この人は「shit」とか「damn」とか毒づかない。丁寧な物腰と口の聞き方の人のようで、それを友人からからかわれたりしています。

そんな奥手で繊細な彼なので、ブラインドデートで男に殺されかかって、かなりの自己嫌悪に陥る。
友人たちが彼を助け、Treyは「Slow-Play」のカプであるBobbyとJulesの家に滞在して、面倒を見てもらう。
今回は本当にみんなが団結してTreyを助けよう!としている様子が鮮やかに出ていて、友情模様がなかなか素敵です。
誰も、Treyの心の中がそれほど孤独だとは思っていなかった。だから今回の事件はTreyだけでなく、彼ら全員を揺さぶる。そして彼らは全員で、そこを乗り切ろうとします。

ColeはTreyに惹かれるが、自分が25年もかけて築き上げてきたキャリアをそこに賭けていいものかどうか悩む。
しかもTreyは今や時の人で、裁判の渦中にいる。
証人として証言を求められ、追いつめられるTreyをColeは支えたいと思う。恋人が一番苦しい時にそばにいることもできず家で待つしかないなんて、それはどんな男だろう?

繊細なTreyが傷つけられる姿が痛々しくて、保護欲とためらいに揺れるColeとの関係がいい。
この話では、ポーカー仲間でありながらこれまでちょっと仲間と距離をあけていたAngeloが、Treyを守ろうとしてがんばる図がすごくけなげでいいです。Angeloはよく仲間のからかいの種にされているんですが(洒落た高いスーツとか、スニーカーフェチとかまあ色々あって)、Treyは繊細なので、Angeloがからかいで本当に傷ついた時がわかる。そういう時に助け船を出してあげてきた。
その恩返しと言うわけではないけれども、今回、AngeloはTreyをほとんど体を張って守ります。スーツをびしっと着込み、でかい刑事に恐れず強い口をきいたりとか、萌えるぞAngelo。

TreyとColeの恋模様もいいですが、やはりこのポーカー仲間の団結ぶりが見ものです。
Treyはいくつなのかなあ。30歳くらいじゃないかと思うんだけど、Coleは大体47、8歳らしいので、実のところ年の差カプっぽいような気もする。

傷ついた繊細受けが好きな人、友達同士の団結ものにぐっとくる人にお勧め。

★奥手受け
★レイプ裁判

Different Suits
Carol Lynne
Different Suits★★★ summary:
Angelo Pilatoは貧しい家で育ちながら、そこから抜け出してセールスマンとして成功した。
いつも上等のスーツに身を包んで高いビールを飲み、仲間からは気取り屋のように見られることもあったが、彼は見た目ほどやわな男ではなかった。

ポーカー仲間のTreyを守ろうとして、Angeloはアンチゲイの教会のリーダーと対立してしまう。
嫌がらせが始まったのは、その直後だった。彼は仕方なく、最近知りあった刑事のMoody Torranceに相談する。
MoodyはAngeloがそれまでつきあってきたタイプとはまるで違っていた。大柄で、強靭で、頑固で、荒々しく、支配的。惹かれるところなどかけらもない。
その筈だった。

Moodyは、このイタリア男が臆せず彼の前に立ちはだかった時から、Angeloが欲しくて仕方なかった。
Angeloの中にある強さは彼を揺さぶり、苛立たせ、惹きつける。
Angeloの固い殻を砕いて、その向こうにある男を手に入れるためにはどうすればいいのだろう。彼を守りながら、彼の守りを崩すためには、何が必要なのだろう。
.....



Poker Nightシリーズ4。
スノッブだが実際には修羅場を何度もくぐり抜けてきたイタリア男と、誰もが一目で恐れるたくましい刑事の話。

前作のTreyの裁判で出会ったAngeloとMoodyは、互いに反発し、対立しながら、強く互いに惹きつけられています。
その緊張感と、たまにMoodyが見せる優しさにうっかりめろっといってしまいそうになるAngeloの揺らぎ方が、なかなかたまらない感じです。
Moodyは37歳で、Angeloも30代だと思うんだけども、2人とも自分の力で自分の地位を作ってきた男で、己に誇りを持っている。
そして互いの強さに惹かれていく。

Angeloにとって「人に頼る」のはほとんどはじめてのことで、Moodyに優しくされるのが気持ちがいい一方、そんな自分にとまどい、苛立ってもいる。
彼は、嫌がらせが自分の手に負えなくなった時、遠くに引っ越して新しい仕事を始めようとします。それは勿論嫌がらせから逃れるためであると同時に、きっとMoodyから距離を置いてみようという気持ちが働いたのでしょう。
好きだ、もしかしたら愛しているかもしれない、でもそんなものに全部よりかかってしまって後悔しないだろうか。
ずっと1人でいて不自由を感じたことなどない筈なのに、Moodyにたよってしまう自分に落ち着かない。

その様子を、いつもはAngeloを容赦なくからかう友人達も、少しはらはらしながら見ています。
彼らだって本当はAngeloに幸せになってほしい。Moodyだったら、Angeloが友人達にさえひらいてみせない心の奥へと入りこめるかもしれない。
「Angeloは、本当は見た目どおりの(スノッブでやわな)男じゃないんだ」と友人達は口をそろえて言う。「じゃあどんな男なんだ」とMoodyが問うけれども、Angeloの奥にあるものを、誰も知らないのです。
そのさりげない距離を保った友人たちの思いやりがいい。

この話の中ですごくいいのは、嫌がらせをとめるためにMoodyが考え、Angeloが実行した解決手段ですね。力づくでもなく、弱腰でもない。
あれはすごく小気味のいい、洒落た対応だったと思います。

これまでシリーズ3冊であまり輪郭の見えてこなかったAngeloが、実に魅力的に書かれている話です。
強気×強気とか、強引な包容攻め×意地っ張り受けにぐっとくる人におすすめ。

★強気同士
★エロ多め

Full House
Carol Lynne
Different Suits★★☆ summary:
Marco De Le Santoの人生は決して優しくはなかった。母親が死に、ドラッグの商売をしていた父親を家から追い出してからずっと、彼は身ひとつで弟達と妹を養うべく働いてきた。
16歳だったMarcoは、18で高卒だと嘘をついてKent Bakerの会社に雇ってもらった。
それが8年前。やっと上の弟が就職できる年になり、妹の面倒もかわって見てもらえるようになり、Marcoは夜学に通って高卒の資格を取った。

ポーカーの仲間たち、その中でも特に雇い主でもあるKentが、Marcoのことを遊び歩いている不真面目な男だと思っていることは知っていた。寝不足や、常に忙しくしている様子など、彼らの誤解をMarco自身も解こうとしなかった。
からかわれ、苛つかれるのはいい。同情され、見下されるのに比べればはるかにその方がいい。
だが高卒の資格を得、弟を無事育て上げた今、Marcoは友人達にすべてを話そうと思っていた。特にKentに。

Kentは、Marcoが雇ってくれと言ってきた8年前から、ずっとMarcoを見ていた。Marcoが19になった時、Kentは彼をデートに誘おうとしたのだ。
だがその時、ちょっとした偶然でMarcoがまだ17だと知り、彼はひどい自己嫌悪とともにあきらめた。
8年の間、気持ちはいつもMarcoへ向かっていたが、忙しそうな彼が遊び歩いているのだと思いこんで、ついMarcoにきつくあたってしまう。

8年、友人達の冗談のネタになるほど、MarcoとKentはお互いの周囲を回ってきた。
彼らの間をつなぐ強い感情に、気付いていないのは当人たちだけだった。
.....



Poker Nightシリーズ5。
最終巻かな?

1からずーっと、ことあるごとに言いあう様子が「こいつらは」という感じで描かれていた、MarcoとKentの話。ついに。
それと同時に、いささか身の上や暮らしぶりが謎めいていたMarcoの事情が描かれます。
弟2人を育て、とじこもりがちの幼い妹の面倒を見て、金のやりくりをして、プレイボーイ風の見た目と裏腹に苦労人です。
そのことを知っているのはポーカー仲間内でもAngeloだけで、誰にも言わないと約束した通り黙っているけれども、KentがやたらとMarcoに当てこすりを言うのを見ながら、Angeloは苛々している。
17歳の子供をひっかけようとしてしまった!と8年前の一件がKentにとってショックだったのはわかりますが、それを引きずって、ちくちくと相手を苛めるなんてお前こそ子供か。
でも、そのへんの不器用さがKentのよさでもある。

Marcoの父親がまた金をせびりに現れて騒動になり、MarcoとKentは長年の誤解を解きますが、まだまだとても障害が多い。
13歳の年の差はともかく、Marcoの父親のことも解決してないし、Marcoは弟妹のことを何より優先しなければならない。そしてMarcoはKentの豪邸を見て、互いの境遇の差にひるむ。金銭感覚が違いすぎる。

2人は障害をのりこえ、話し合い、お互いに妥協しながら新しい関係を作っていかねばなりません。
たとえば、買い物はMarcoがクーポンを切り抜くから必ずそれを持っていくこと、とかね。

ここまで4冊分、ずーっと顔を合わせれば憎まれ口を叩き、Marcoが「Kentは俺を嫌ってるから」とへこむほどの関係だった2人が、やっと相手に手をのばす様子がほのぼのしていていいです。何となく、読んでいるこっちも(4冊分の)感慨があるのが、シリーズ物の良さでしょう。
相変わらずポーカー仲間はみんな仲がいい。
ここまでの4冊で、ZacにはEric、BobbyにはJules、TreyにはCole、AngeloにはMoodyと、カプが成立してくるたびに「仲間」の数が増え、ついに10人のポーカー仲間は団結して、ハッピーな未来へ向けて歩き出す。
(しかし地の文に「11人が幸せに」って書いてあるんですが、あと1人って誰だ。うっかりかな?)

5冊まとめて、幸せな感じのシリーズですので、楽しく読書したい人におすすめ。

★ハッピーエンド
★家族連れ

★Three-Star rating system★


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