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Listening To Dust
Brandon Shire
listening to dust★★☆ summary:
Stephenは傷心からフランスに逃げ帰っていた自分をふるいたたせ、アメリカへとやってきた。
ロンドンで出会い、愛した男を自分の元へ連れ帰るために。

Dustinは振り払えない影を背負っていて、自分がゲイだとも認めていない男だった。彼とStephenはロンドンで出会い、Dustinは激しい憎しみをStephenにぶつけるが、二人は恋に落ちていく。
だが結局Dustinはアメリカへと戻っていったのだった。
知的障害のある弟を、暴力的な父親のところに残しておくわけにはいかずに。

だがやっとStephenが町にたどりついた時、すでに悲劇は起こっており…
.....


出口のない物語。

ネタバレになってしまうのであまり詳しいあらすじは書けないのですが、ストーリーはDustinの弟のRobbieが語るシーンから始まる。
とても無邪気な、愛らしい口調で話す彼ですが、その言葉遣いも理屈もまるで子供のもので、読み手は段々と違和感を覚えていきます。あっけらかんと語られるその話が、実はとてつもなく重いものなのではないかと。何か、とりかえしのつかないことが起きてしまったのではないかと。

その重さ、そしてRobbieの明るさとのやりきれない対比が、物語の最後までずっしりとのっかってきます。

もうねえ、切ないっていうか苦しいっていうか、つらい。
途中で「何が」起こったのかは大体わかるのですが、それがもうやりきれない。Dustinたち兄弟が育ってきた背景が切れ切れに語られる中、浮かび上がってくるのはほんとうに悲惨な、傷つけ合うしかなかった人々の物語です。
そんな中、事故でRobbieは知能を損ない、そのことに兄のDustinは責任を感じている。暴力的な父親の元から二人で逃げようとも思ったようですが、Robbieは「パパを置いていくわけにはいかないよ」という。

ほんとにねえ、Robbie、お前は…!
その愛情にあふれた、無邪気で優しい言葉は全編を明るく支えてくれるのだけれども、彼のその愛がなにをもたらしたものか。
そして、Dustinを愛し、ついに迎えにいったStephen。彼の愛が、なにをもたらしたのか。
愛は決して、明るい運命へと続くわけではない。愛や情熱は、時にその純粋さゆえに重い鎖となる。

読んでいる間もしみじみ苦しかったんですが、読み終わってからも「もし」や「何故」につきまとわれてしまう話です。
何がDustinたちをそこまで追いつめたのか。出口はどこにもなかったのか。

タフな一冊ですが、悲劇好きならこれは読むといいと思う。この重さと緊張感は読みごたえがあります。
過去と現在の語りに、途中から手紙の中身も織りこまれてきて少しだけ語り口が入り組んでいますが、話全体の流れはわかりやすいので難易度は高くはないです。
Robbieはthemとtheirを間違えたり、areを使うべきところにisを使っていたりと、典型的な子供の語り口をしています。かわいいんだけど、いや、Robbieのことを考えるのもやりきれない。
胸がぎゅっとなるお話でした。この作者の話を読んだのは二冊目ですが、閉塞感に満ちていて、気になる作家さんです。

★切ない
★自己否定

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