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[タグ]ジャンル:SF の記事一覧

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Surrender Love
Kayelle Allen
SurrenderLove★ summary:
Luc Saint-Cyrには多くの秘密がある。
彼は太古の昔に遺伝子操作で作り出された「戦士」たちの系譜につらなる、不死者の1人である。それも、流刑とされた銀河の果てで生きるのをよしとせず、そこから逃れ出た秘匿された一団の1人だった。
彼らのリーダーPietasは「peril」というゲームを作り出し、「死によってこそ生に意味がある」という信条のもと、プレイヤーである不死者たちに「死」と「生まれ変わり」によって数えきれないほどの人生を繰り返させる。
perilからは誰も抜け出せない。ゲームマスターのPiatasの意志の下で、様々な名で、生きてはまた死ぬ。Cyken Tomarusは、そうして数千年を生きつづけてきた。
Cyken Tomarus、今回の彼のゲームこそ「Luc Saint-Cyr」としての人生を生きることである。

その人生ごとに、彼は望みをもって恋をくり返してきた。そのことに何か意味があると信じて。永遠と思えるほどの時間の末に、まだ希望を捨てきれずに。
だが今回の恋も痛みだけを残して終わる。5年間ともにいた恋人のWulfは、Lukを去っていった。

Izzorah Ceeovwは、この2年でブレイクしたロックバンドKumwhatmayのドラマーである。彼は猫系のヒューマノイドであるKinの一族で、猫の目ととがった耳、そして体の一部に毛皮をもつ。
Izzorahもまた、秘密を隠していた。彼は、3つの時からほぼ盲目であったが、それを押し隠している。Kinの従兄弟による一族同士にしか聞こえない耳打ちや、Kin独特のするどい嗅覚がそのカモフラージュを可能にしていた。
男性を好む性癖を表に出したこともない。彼の故郷の星では女性だけが権利をもち、男性は1人の女性の戦士に複数で仕える存在でしかない。男同士の恋愛は死を意味した。Izzorahは15の時に位の高い女性の戦士のところへ嫁がされたが、必死の思いでそこから逃げ出し、5年かけてTarthの惑星にたどりついた。その来歴も、Izzorahが人に言うことのできない秘密であった。

彼らのバンド、KumwhatmayはLuc Saint-Cyrの会社と大きな契約を結ぶために招かれる。
その席でLucとIzzorahは顔をあわせ、互いが互いの運命だと知る。だが、あまりにも多くの秘密が彼らを取りまき…
.....



SFです。
Izzorahは猫科ヒューマノイドですが、Lucも黒い肌と、黒いコンタクトのサイバーアイをしていたりとか。多民族とか他種族のSFですね。

LucやIzzorahといったメインキャラクターもくっきりとした輪郭をもっていて、特に様々なハンディキャップを持ちながら昂然と頭をあげているIzzorahは愛らしく、読みどころは多いです。
なんせ猫科ヒューマノイドって、それだけでちょっと心ときめく。描写を読んだかぎりだと、尻尾がないようなのが残念です。でも耳プレイはあるし耳好きにはおすすめ(いるのかな?)。"pointed ear" としか描写がないんだけど、あれ獣耳(てか猫耳)じゃないのかなあ。pointed earだとエルフみたいな方を想像してしまうのですが、でも個人的には猫耳だとかたく信じております。伏せたりたてたりしてるし。

Lucは複雑な秘密をかかえた複雑な人物で、その幾重もの感情をIzzorahは嗅覚でかぎわけ、彼の望みを満たしたいと願う。Lucを幸せにしたい。
Lucは多くを持つ人間ですが、ただ何もかえりみず自分を幸せにしたいと願ってくれる相手ははじめてだった。
だがIzzorah自身は秘密のほかに、彼自身も知らない心臓の欠陥があり、それは彼の命を危機に陥れる。Lucは彼を救おうと奔走しますが、それによってまたひとつ、根の深い秘密と数千年にわたる陰謀が目の前にあらわれます。

不死者としてのゲームや、彼らの企みもからんでくるので、ちょっとわかりにくいかも。全部つかんでる気がしないのは英語力の問題かもしれませんが。設定がなじむまでややぎこちないですが、中盤からは色々と動いて盛り上がりもあり、とてもおもしろいです。
ただ、大筋と小枝含めて、かなり未解決の問題があるので、これは「待て続編」ってことなのかなあ。一段落はついてるんですが。ちょっと落ちつきの悪い感が残るのが残念です。
ですがSFの部分がよくできていると思うし、Kinの故郷の文化描写なんかもおもしろいので、そのあたりが好きな人にはおすすめ。超年上の不死者をたしなめつつ愛らしく手玉にとる、LucとIzzorahのカプはとてもほほえましいです。猫だしね!

スラには結構正面きったSFがありますね。どうしても設定がきっちりしている分、恋愛要素が薄くなりがちなんですが、この話はそのへんのバランスはいいです。
SF設定こみで、ストーリー全体を楽しみたい人に。

★異文化(SF)
★猫科ヒューマノイド

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My Fair Captain
J. L. Langley
My Fair Captain★★★ summary:
銀河空軍の艦長であるNathaniel Hawkinsは、家を捨てて軍に入り、二度とその家には戻らなかった。
だが提督は、彼にその「家」の名前と伯爵としての身分を使って潜入任務を果たすよう指示する。奪われた武器の行方と相手の正体を探るために。
Nateはその任務を引き受け、惑星Regelenceに向かった。

潜入先のRegelenceでは、完全に生殖がコントロールされ、貴族社会は男性のみで構成されていた。
そこにはかつて地球文明に存在した宮廷の作法がいまだ息づき、未婚の、25歳以下の男性はかつての「令嬢」たちのように純潔を求められ、誰かと関係を結ぶことはおろか、つきそいなしで出かけることすら許されない。

王の三男、19歳のAiden Townsendの望みはただ絵を描くこと、絵書きになることだけだった。伴侶を得ることなど考えたこともない。
ある日、木の上でいつものようにスケッチに没頭していたAidenは、木から落下した自分が年上の男にかかえられているのを発見する。Deverellの伯爵、Nathaniel Hawkins。抗うにはあまりにも魅力的な男。

NateもAidenとの間に惹かれあうものを感じていた。
だがそれは許されるものではない。彼には仕事があるし、Aidenはまだ19歳で、しかもオフリミットな存在だ。

そんな時、何故かAidenのスケッチパッドが盗まれ始め、ついに彼は命を狙われる。
一体誰が、何の目的で? そしてそれはNateの任務と関わりがあるのだろうか?
.....



階級社会が厳然として生きている(ヴィクトリア朝あたりがモデルかなあ)惑星Regelenceの物語。
生活も服装も古風ですが、技術は非常に進んだ社会です。

Regelenceの王と伴侶(この人がまた格好いい。元殺し屋らしいのだ!)の間には、5人の子供がいる。遺伝子技術で2人の遺伝子を継いだ実子です。
Regelenceの人々はかなり活発な気質で、いざとなると恐ろしい戦士になると銀河でも恐れられていますが、この5人の子供──のうちの4人──も、とてもやんちゃでトラブルメーカー。何しろ王宮のセキュリティをハッキングして、システムを全部落として脱走とかしてしまう。
5人のうち長兄は責任を重んじる性格ですが、あとの4人はつねに親や周囲を引きずり回している。
その三男がAidenです。

J. L. Langleyらしい、不屈で明るいAidenと、強く何物にも曲げられない誇りを持つNateの組み合わせが、ぐっとツボ。
Aidenは箱入りで、外界のことを知らず、ただ絵を描くことだけを望んでいる。絵を描き始めると周囲のことなどまったくおかまいなしになってしまう彼を、両親はいつかとんでもないトラブルに巻き込まれるのではないかと心配しています。
Nateは多分40ちょっと前くらい(探して読み返したけど年が見つからなかった)。18年前に故郷を逃げるように去って、軍で自分の地位を作り、様々な武功を経て己の艦を手に入れた、まっすぐ見据えられると誰もが震え上がるような、鋭く強靭な男です。

そんなAidenとNateは一目で恋に落ちるけれども、どちらもそれぞれの理由で関わりをさけようとする。でもどちらも、互いへの気持ちを抑えようがない。

エロも熱々で、Nateの支配欲がそのままBDSMという形に向かうのを、Aidenはどこまでも受けとめる。Nateが求めれば求めるだけ、許す。無垢で純粋な筈のAidenがNateのもたらす熱の中に落ちていく様がじつにエロティック。
ほいでもってそんなAidenに、Nateはどんどんめろめろになってしまうわけです。

恋と、盗まれた武器の捜索と、その裏にある大きな陰謀が絡み合って、割と長い話ですがどこも飽きさせない。笑いどころも多いです。
周囲のキャラも生き生きしていて、彼らの様子もすっごく楽しい。
Nateの養子であり頭痛とトラブルの元でもある「Trouble」と、王の長子のRexleyのふれあいなんか、笑えるけどじんとくるなあ。
あと、Aidenの父親2人の話が読みたいんだよね。あちこち拾ってつなげるに、当時王位後継者であった少年が殺し屋と恋に落ち、自分の婚約を破棄してその恋をまっとうしたらしい。何て萌えシチュだ!
5人の子供がそれぞれに情熱的なのは、親の血からくるものなんだろうな。全員、キレると怖そうだし。

ラブラブでめろめろな話が好きな人、年の差保護者攻めが好きな人におすすめ。

★軍服萌え
★甘エロ(軽いBDSM)

The Englor Affair
J. L. Langley
The Englor Affair★★★ summary:
Regelenceの王宮から武器が盗まれた事件はNateたちによって解決されたが、より大きな陰謀の存在をも明らかにした。
誰が裏にいるのか確かめるため、Nateは惑星Englorへと向かう。

Regelence王の第二子Paytonは、ハッキングの腕前をたよりにされてNateに同道した。
身分は明かせない。慎みが求められる未婚の王族が自由に動き回っていることがばれれば、Paytonの名誉は地に落ちるだろう。

一介の従卒としてNateにつき従ったPaytonは、Englorの海兵隊大佐Simon Hollisterに出会う。
Simonはただの軍人ではなかった。彼はEnglorの女王の一人息子であり、王位の継承者だ。

Simonに惹かれながら、Paytonは迷う。この関係が明るみに出れば彼の名誉は地に落ちる。
だがもし任務を終えて故国に戻れば、Simonとは二度と会えまい。
ただ1度の恋。見つからなければ、誰にもわからない。それに手をのばして何が悪いだろう。

Paytonの身分を知らないまま、Simonはこの小柄で、活発で、勝ち気な年下の青年をどうにかしてそばに置けないものだろうかと思っていた。
そんなことはこれまで1度もなかった。誰と関係を持っても、遊びに飽きればきれいに別れる。それがSimonの楽しみ方だ。
だが、Paytonには何かがあった。王族としての人生を送る限り決して見つけることがないだろうと、Simonがあきらめていた何か。彼の心をわしづかみにする、何かが。
.....



前作「My Fair Captain」のAidenのひとつ違いの兄、ハッキング帝王のPaytonの話。
やはり弟と同じように活発で、不屈で、純粋で、なかなかに保護欲をそそる可愛い受けです。Regelenceの遺伝子の問題だと思うけど、みんな小柄で強靭。

Simonの国(というか惑星)Englorは、同性愛は違法でこそありませんが、表向きにできない後ろ暗い関係です。
そんなEnglorの王位継承者、SimonはPaytonと恋に落ちてしまう。

Simonがまたさわやかで強い。理想を通そうとして退廃の王宮に背を向け、自らの力で人生を切り開いてきた。傲慢なところもあるけれども、自信に満ちた態度と相まって美しい男です。キリリとして、じつに輪郭が強い。
彼はPaytonの正体を知って仰天するけれども、決してそこでびびったりしない。逆に好機とばかりに、Paytonとの関係を公式のものにしてしまう。
でもそれで恋がかなった筈のPaytonは、自分たちの関係が純粋なものではなく、政略的な計算の結果ではないかと思って、思い悩むのです。幸せなのに苦しい。純情だから仕方ないな!

Paytonをめろめろに溺愛しながら、あまりの忙しさにPaytonの迷いに気付かないSimon。
Simonのために尽くそうとして、ひとつひとつの言葉に傷つきながらもそれを隠して働くPayton。
鉄板の傲慢攻めとけなげ受け。

前作より笑いの要素は影をひそめていますが、その分Paytonのけなげさが際立って、カプとしてすごくおいしい話になってます。
好きだけど、こんなことしていいわけがない!とか、好きだけど、こんなに好きなのは自分だけかも!とか、ぐるぐるしてる様子がすごく可愛い。
勿論、陰謀を追うストーリーもきちんと書けていて、おもしろいです。

余談だけど、これがJ. L. Langleyを読んだ最初でした。
読んだきっかけは、「読者が選ぶ表紙大賞」みたいなのに選ばれていたから。…正直、そんないい表紙には見えなかったので、それで大賞を取っているならきっと内容がおもしろいにちがいない!と思って買ってみたのでした。で、大当たりを引いたんだけども。今でも表紙大賞についてはよくわからない。
しかし胸毛好きだよね、あっちの人は。

前作を楽しく読んだ人には勿論、絵に描いたような「格好いい攻め×けなげ受け」がツボな人におすすめ。
単独でも読めないことはないけど、キャラ名がわからなくなるので前作読んでおく方が楽しいです。

★甘エロ
★政略結婚?

Crimson
Ethan X. Thomas
Crimson★☆ summary:
Polisの警察官BenとAdamはドラッグディーラーのTazuを追っていたが、罠にかかってチームの2人以外は全滅した。
どうにか生きのびた2人は、快楽の町Granatasへの潜入捜査を命じられる。

Adamには言っていないが、Benは性的に奴隷の嗜好を持ち、かつてTazuのクローンの1人と「奴隷」として性的な関係を結んでいた。麻薬ディーラーの男を知らずにベッドに招き入れた過去を、彼は強く悔やんでいた。
そのBenをGranatasで待っていたのは、Tazuの別のクローン。
このクローンはBenを知っているだろうか? Benの中にある欲望を?

Adamはstarlingという奴隷種族の出で、成り行きからsymbiotという高性能の寄生体を首の後ろに埋め込まれ、警官となったのだった。彼はBenに強い憧憬を抱いていたが、彼らの関係が、Granatasへ来て緊張感を持ったものに変わったのを感じる。
やはりstarlingの種族は、Benの目には低いものとして見えているのだろうか?

Granatasでの捜査はあやしい地下クラブに及び、BenとAdamは主人と奴隷としてクラブに潜入する。
Adamが奴隷役だ。当然、それしかない。starlingは奴隷種族であって、主人にはなれない。
その筈だった。
.....



Men in Space シリーズ。
ほかをまだ読んでないのですが、作家も主人公も違うようで、別にシリーズとしてのつながりはないのかな。シェアワールドかもしれないけど。
この作者名は2人の合同ペンネームみたいですね。

話はおもしろかったんですがわかりにくいところが多くて、Adamの種族についてとか(羽毛が生えてるみたい)、Benと麻薬ディーラーのTazuの関わりについて、またGranatasの町の様子とか、はっきり説明されないのでいささかめんどくさい。
でも上に書いたあらすじくらいの前提を把握していれば、わりとスムーズに読めるかもしれません。

やや迷いのある読書ではありましたが、色々と印象深い瞬間があります。麻薬Crimsonのもたらす酩酊の中で2人が落ちていく感情的なもつれ、彼らのパワーバランスが崩れる瞬間のダイナミズム。
歓楽街であり、巨大なリゾートビルディングのGranatasはとても魅力的な舞台だし。街のルールとして、感情を色にして映し出すブレスレットをつけさせられるところもいい。
設定はすごくよくできてると思います。つうか、設定でお釣りが来るほど萌えたかもしれない。

BDSMが重要なテーマの一部ではあるけども、掘り込みはちょっと浅いかなあ。それは全体にこの話の問題点でもあり、何つーか「惜しい」という感の話ではあります。寄生体symbiotのおかげだと思うが、2人がテレパシーでやり取りできるあたりとか、Benの背中の翼のタトゥとか、もうちょっとエロ的に使ったらおいしいと思うんだけどな!

好きなテーマで、好きな雰囲気なので、つい「もうちょっと」という気分になるけれども、話としては充分楽しめた一冊でした。
SFが好きだとか、ちょっと凝った設定が好きな人におすすめ。

★SF
★奴隷種族

Soothe The Burn
T. A. Chase
Soothe The Burn★★☆ summary:
宇宙船のパイロットAlvixには秘密があった。彼の存在を、自由をすべて奪いかねない深い秘密が。
追っ手から逃れ、宇宙港を移動しつづけた彼は、あやういところを銀河軍の大尉Cooperに救われる。

Cooperは、全身を金属で覆われた兵士であった。彼と隊の兵士は科学者の作った生体金属アーマーの実験に志願したが、体を覆う生体チタンは予想を超えて増殖し、彼らが傷を負うたびにその組織に入りこんで体の表面を金属に変えた。
彼らは常に危険な任務に投入されてきたが、炎の生命体が支配する惑星でついに罠にかかり、仲間を置き去りに脱出した。

必ず戻る。仲間を残してはいかない。
それがCooperの誓いだ。

だがその危険な惑星に戻って仲間を救出するには、船とパイロットが必要だった。
パイロットAlvixに輸送の依頼を申し出た時、それがどれほど彼らの運命を変えるか、Cooperは知らなかった。

炎を内側に持つ男と、金属に覆われた男。
果たして彼らは互いの心の壁を通して相手の気持ちにふれることができるのか、それともすべては手が届く前に灰と化してしまうのだろうか?
.....



SF、かつパラノーマルもの。
Alvixは長年路上で暮らし、彼の特異体質をおもしろがる男にペットとして弄ばれる人生を送り、逃げ出して輸送船で働き、パイロットになった。
送ってきた人生の割に陽気でいいやつですが、彼は物事を深く考えず、誰にも何も期待しない。
Cooperが部下のために戻るのを見て「俺のためには誰も戻ってきてくれたことがないな」と思うけど、それは自分を哀れむためではなく、事実を事実として呟いているだけ。彼の中はすっかり乾き、体内に抱えこんだ炎でいつも苦しんでいる。

Cooperは冷静な兵士で、立派な軍人で、部下から慕われている。
彼らの隊は全員がチタニウムの生体アーマーを植え付けられ、侵食されていて、そのことについてCooperはいささかの罪悪感を持ってもいるようです。それくらいの堅物。
常に隊のことや任務のことをすべてに優先させる男で、感情を見せない。コントロールを失わない。
Alvixのこと以外には。

お互いに異形であって、お互いにそれを望んでいるわけではない。
でもAlvixの中にある炎を静められるのはCooperの冷たい肌だけで、Cooperの気持ちを揺らすのはAlvixの存在だけなのです。
そういう「運命の相手」っぷりと、それに気付かない双方が、何とももどかしい。

彼らは互いに惹かれるけれども、互いを信頼しないまま、ある程度の隙間を残して、互いの周囲をぐるぐると回っている。
AlvixはCooperとのふれあいはただの「楽しみ」であっていずれ過ぎ去っていくものだと思っているし、CooperはAlvixの正体がわからずに、仲間を見えない敵から守る方法を探そうともがいている。
2人はすれちがい、たまに正面からぶつかって火花を散らし、そしてまた一歩引いてみる。
だから、どう見ても運命の相手だというのに!

隊の連中も生き生きと書かれていて、しまいには実はCooperの知らないうちにあちこちカプができてたんだよ!というのがわかりますが(そっちのカプで続編あるのかも)、いかにも「一緒に死線をくぐってきた」強い絆で結ばれた仲間たちです。
そういうのもまた萌える。

SFとしての設定もきちんとできていますが、それほど深入りせずさらっと書かれていて、わかりやすい。ストーリーにも色々な趣向がちりばめられていて、気持ちをそらさない、楽しい読書です。
パラノーマルものが好きな人、色々な意味でちょっとずつすれちがう2人が好きな人におすすめ。

★金属の兵士
★SF

Freaks In Love
T. A. Chase
Freaks In Love★★ summary:
核が落ちた後の、混沌の世界。
JamesはTriad Cityの西地区のボスの護衛として働いていた。
ある時、東地区のボスとの会談がセッティングされるが、そこで彼らは襲撃を受ける。罠だったのだ。

東のボスのボディガード、Magpieはその襲撃で重傷を負い、Jamesは助けを求めに街の北地区へ向かう。それは、Jamesが守り通してきた秘密を暴く行為でもあった。

壁に囲まれて出入りを許されない、北地区は「フリーク」達が住むフリーク・タウン。彼の故郷。
二度と戻らないと誓った場所だった。

Magpieはまさかフリーク・タウンへ自分が行くとは思いもしなかった。そして彼を救ったのがJames──決して誰にも口をきかず、体毛のない体をタトゥで飾ったこのいかつい男であることが信じられなかった。
フリークの力で自分の傷が治ったことも、そしてその力が自分の中に残ってしまったことも。
何より、Jamesがフリークの1人であることも。
彼を混乱させながら、何もかもがめまぐるしく動きはじめる。

この街で何かが起ころうとしている。ボス達の襲撃はそのはじまりにすぎない。
それが始まる前に、JamesとMagpieはフリーク・タウンを、そしてその街を出なければならなかった。2人で力を合わせ、互いに背中を預けて。
.....



フリークと、若くて口の悪い暗殺屋稼業の男の話。
舞台は核が落ちた後の近未来です。

フリークであることを隠して生きてきたJamesは、蛇型のフリークで、フリーク・タウンでもほぼ最強に近い位置にいるフリーク。
彼は生まれた時に親から負わされた喉の傷が元で、ほとんど口をきかない。口をきくと痛むようです。

Magpieはひとりで生きのびてきた男で、Jamesの分も補うようによくしゃべる。そして悪態をつきまくる。
fuckだのshitだのまき散らしながら、どんどん混沌を増していく状況に毒づきつづけます。
ストリートで育った彼は、慌てたり追いつめられたりすると、その時使っていた言葉づかいに戻ってしまうらしい。ほんとにめちゃめちゃ口が腐ってますが、ちょっと可愛い。

全体にスピードの早い話で、うっかりすると置いていかれそうなくらい早い。
死ぬ寸前のところを免れたためのアドレナリン、生きのびるための緊張感、そういったものの中で2人は惹かれあう。けれども、そこには気持ちが先にあるというよりは何だか肌のあたたかさが先に立つような、少し乾いた感触もある。
彼らは人生の中でずっと孤独で、人を求めたことがない。そんな2人が生きのびるために身をよせあう、それは「恋人」というよりは「相棒」というような、追いつめられた関係にも見えます。
フリークでもいい、今そこにいるのは、信頼できるのは、互いだけだから。

街の北地区、フリーク・タウンは壁に囲い込まれていて、フリークを出さないように厳しく管理されています。
その中は弱肉強食の世界で、普通の人間が生きのびられる場所ではないため、JamesはどうにかしてMagpieを守りながらそこから脱出し、街からも逃げ出す方法を探さないとならない。
そのためにJamesがずっと押し隠してきた「フリーク」としての本性を剥き出しにする、その決心の強さが格好いい。

うぞうぞっとフリークが出てくるフリーク・タウンとか、核の後の世界とか、そういう設定が好きな人、戦う男たちのカプが好きな人におすすめ。
「明日のことは明日考えよう」みたいな切迫感が全体に流れていて、たたみかけるスピード感がいいです。

★ミュータント
★近未来

My Regelence Rake
J.L.Langley
MyRegelenceRake.jpg★★☆ summary:
Sci-Regemcy シリーズ

Colton Townsend、惑星Regelenceの第四王子は、もうずっと長いこと王室警護隊長のWentworth子爵、すなわちSebastian Hastingsに恋をしていた。

だがWentworth子爵は前の結婚で夫と死別し、その後も遊び人として名を馳せる男だった。そしてColtonには見向きもしない。
その恋に望みがないと悟ったColtonは、自分の生きる道を馬に見いだす。競争馬の世界に身を投じようと決心するのだった。

Wentworth子爵Sebastianにとって、遊びは遊びでしかない。
二度と身を固めたり、誰かに自分の秘密を話すつもりなどなかった。
彼の秘密は、もし知られたならば、このRegelenceでは致命的となるほどのものであった。
だがガードをつれずに一人で遠乗りに出かけたColtonを追っていった彼は…
.....



J.L.Langleyの人気シリーズ第三弾。
このシリーズは、イギリスの王朝時代のような厳しい貴族のマナーに支配された惑星Regelenceが舞台で、Tounsend王家の王子たち(5人兄弟)が運命の相手と出会っていく、ハーレクイン仕立てになっております。
そこに、Regelenceやほかの惑星を巻き込んだ大きな陰謀が縦糸になって、シリーズ全体をつないでいます。

惑星Regelenceは特殊な社会で、貴族中心の社会であると同時に科学技術が発展しており、貴族には男子のみが生まれ、彼らは生来男性のパートナーを好む。これは強力な軍隊を発展させてきたこの惑星の、軍事面での強化を目的にしたものらしく、この遺伝子関係の技術を狙う一派もいます。
王の子供も当然男子だけ。そして若い貴族の男子はかつての貴族社会での令嬢のごとく丁寧に扱われ、結婚相手を見つけるか、24(この社会での成人)になるまで純血を通さなければならない。どこへ行くにも大人の付き添いが必要になります。

王家の子供たちは大変にはねっかえりが多く、これまでも城の管理コンピューターをハッキングして城から脱走したりしております。
今回はその中でも、物を壊すことにかけては天下一品で、馬を愛しているColtonが主人公。彼は警護隊長が好きだったが、あきらめて自分の人生を築こうとし始める。しかしそこで、物事は思わぬ方向に転がり始めるのです。

「ずっと好きだった」とか「もう二度と恋は」とか、非常にロマンスロマンスしていて楽しい話ですが、今回の白眉は何といってもパパ。王様であり父親であるSteven。
やんちゃで気さくな人ではありましたが、今回はもう一人の主人公といってもいいぐらいの存在感を発揮しています。マッチメーカーとして、子供を愛する男にくっつけようとがんばるパパ。失敗するパパ。へこむパパ。
いやあかわいいです。
その暴走しがちな気質をよくわかっていて、さりげなくとめようとしたりサポートする配偶者のRaleighもかわいい(この人たちの出会いの話もそのうち読みたいもんです)。この二人の子供だからこそ、Townsendの兄弟はあれだけ不屈で頑固でやんちゃなのでしょう。

ColtonとSebastianの恋愛模様に、Coltonを狙う陰謀なども絡めつつ、さらにもっと大きな謀略も進みつつあり、ドラマティックに一気に読める話です。
馬に対するColtonの愛情もよくつたわってきて、後半を一気に盛り上げます。
私の好きなPaytonとSimonが名前だけの登場だったのが残念だけど、別の惑星にいるので仕方ない。
次の話の主人公ははRexley(長兄)か、末のTarrenか…Tarrenはまだ幼すぎる気がするんだけど、いくつだろう。楽しみ。

設定が独特なので、1、2を読んでからの方がいいです。Sebastianの秘密、というのはその独特のRegelenceの社会の中での大きなタブーなので、そこのところを飲み込んでないとちょっとあっけなく感じるかも。
キャラが生き生きとして愛らしく、読んでいるとほほえましい気分になります。「フルネーム」のほかに「家名(ナントカ伯爵、とか)」が入り乱れるのでうっかりしてると誰が誰か見失うこともありますが、目が慣れればメインキャラは楽に追えます。

★正当派ロマンス
★馬(かわいい)

★Three-Star rating system★


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