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Without Reservations
J. L. Langley
WithoutReservations★★★ summary:
ネイティブアメリカンの血を引く獣医のChayton Winstonは、実は人狼でもあった。満月になると狼に姿を変えて狩りに出かける。
ある時、彼の群れの仲間が撃たれた狼を──それも人狼を──Chayのもとに運びこんできた。白い狼を一目見た瞬間、いや見るまでもなく近づいた時から、Chayはそれが彼の「mate」であると知る。
狼には運命の相手がいる。それはただの恋ではなく、どこか大きな力で運命づけられたただ一人の相手。否応なしに惹きつけられ、一生を分かちあう相手だ。
Chayはまだ4つの時から、ずっと自分のmateを夢に見てきた。白い肌と青い目のパートナー。ついに出会ったことにChayは喜ぶが、同時に予期せぬ驚愕にもとらえられていた。彼の運命の相手は、雄狼──男だったのだ。

Keaton Reynoldsは傷から回復して目をさまし、自分がmateとともにいることを悟る。一瞬で、彼は惹かれ、とらえられるが、次の瞬間に相手がストレートの男であることを知って、その喜びは砕け散る。
昔の恋人が「自分はゲイではない」と周囲にふるまう態度に傷つけられたことのあるKeatonは、「ゲイではない」男とまたかかわりあう気はなかった。mateであれ、何であれ。

Keatonは彼らの出会いをなかったことにしようとするが、Chayは後に引かない。はじめのうちこそ驚いたが、Chayはずっと望んでいたmateを前にして後ずさりするような男ではなかった。そしてKeatonと少しずつ関係を積みかさねながら、Chayは心の底から、この美しく、強情で癇癪もちの、小柄な狼を好きになっていく。まさしくKeatonは、彼の求めるmateだった。
Chayの心を信じながら、それでもKeatonは彼らの未来を信じられない。いつか、Chayはやはり女の子の方がいいと思いはじめるのではないだろうか。それにChayの家族や友人が、彼のmateが男であると知ったらどう思うだろう? 自分の存在や、自分たちの関係はChayの未来や幸せを傷つけてしまうのではないだろうか。

そんなある日、Keatonの車のブレーキホースが切断されて、事故をおこし…
.....



J.L. Langleyの人狼もの。
ここの人狼は、興奮すると目だけ狼になります。狼の目で見つめあったりして、大変エロい。
んでもって、女性の人狼はいないそうです。だからChayは、白い狼が自分のmateだ!と気付いた時、まず「女の狼がいるんだー」と感心する。まちがってるぞお前。でもまちがってることにびっくりしてなお、Chayはひるみません。小柄なKeatonを「Little Bit(ちっこいの)」と呼び、他にもKeatonを苛立たせるいろんな渾名を勝手につけながら、彼はどんどんKeatonの生活に入りこんでくる。ためらわないし、迷わない。
Keatonは希望と自制の間で揺れ動きながら、どうにかしてChayを自分の生活から押しやろうと思うけれども、一度「これは運命だ」と決心したChayをどうにかできるわけもない。

ゲイとストレートのカプの話ってのはそんなに珍しくないですが、ゲイ側(Keaton)がとにかく逃げよう逃げようとしているのがおもしろい。逃げると言ってもただの及び腰ではなく、「女じゃなくってすいませんね、こっちに気を使ってくれなくても全然結構ですよ」みたいな、ちょっと攻撃的な逃げ方です。
J.L. Langleyの受け(タイプ)はみんなそうなんですけど、Keatonも小柄で敏捷で、ユーモアと反骨精神に満ち、愛らしい癇癪もちでもあります。この受けを、包容で強引な攻め(タイプ。たまにリバやるので)が溺愛するという、まさに鉄板カプ。しかもすごい可愛い。
Keatonはとても強い狼で、Chayが属する群れの中でもおそらく最強の狼ですが、戦いや主導権争いを好まない。16歳の時に家族や仲間にゲイであることをカミングアウトし、拒絶された彼は家をとびだして自力で学費を稼ぎ、自分だけの力で生きてきた。その彼がはじめて自分を預けられるほど信頼した相手が、Chayです。逃げよう逃げようとしながら、Keatonは頑固で誠実なChayにふれるにつれ、彼に傾いていく。

2人が飼っている子犬(ChayからKeatonへのプレゼントです)がまた可愛い。いいムードになったところでChayの爪先をかじり、Chayが狼に変身すれば「遊んで!」とばかりにChayの耳をかじる。どうにかしてくれ!と狼のまなざしでKeatonにうったえるChayが笑えます。狼なのに。
Chayの友人や母親など、障害は多けれど、彼らは互いとともに新しい生活を作りはじめる。
その一方、誰かがKeatonを狙っていることが段々とあきらかになります。はたして彼らはすべてのトラブルを無事のりこえられるのか?

ほんとーに愛らしい、笑えるカプです。
いくらか残った問題が気になるのですが、何故ChayがKeatonの狼としての強さを嗅ぎとることができないのかとか、銀の弾丸が最後に効かなかったのはどうしてかとか、あれは裏設定があるのかないのか。
まあでもそれはさておいて、とても楽しめる一冊。気になる友人のRemiの話は、続編が出てるので読んでみるつもりです。

★人狼もの
★運命の相手(mate)

With Caution
J. L. Langley
WithCaution★★ summary:
兄弟としての誓い。恋人としての約束。どちらも守るのは命懸けとなる。

Remington Lassiterは命を落とすところを人狼の血によって救われ、その結果人狼となってしまう。新しい生活に慣れるのに必死の彼に、弟から助けを求める電話がかかってくる。
年の離れた弟は、Remiにとって唯一の「家族」のようなものだった。子供を束縛し母やRemiを殴る父親と、その父親から離れられず言いなりになる母に、彼は愛情を感じられない。
だが弟を守るためなら、Remiは父の言うことすべてに従った。まだ14歳の弟がどうにか無事に大人になるまで、Remiは何でも耐える覚悟だった。

探偵事務所を営むJake Romeroは、Remiを助けようと決心する。
Remiは気付いていないが、彼を人狼に変えたのはJakeの血であった。その時にもう、彼はRemiは彼のmate(運命の相手)だと知っていた。だがそのことをRemiには言えない。Remiは人狼になったばかりで、しかもストレートで、友人のChayが男の恋人を持った時に口をきわめて罵った「ホモ嫌い」である。そして今や、弟と父親についてのトラブルもかかえている。
やむなく自分の欲望を押しこめ、JakeはRemiを守ろうとする。
Remiの父親の過去を調べはじめた彼は、やがて暗いRemiの過去と、そこにある殺人事件に行きあたる。

その一方で、RemiはどんどんとJakeに惹かれていく自分を抑えきれなくなってきていた。また、人狼としてのRemiにも奇妙な現象がおこりはじめ…
.....



Without Reservations」の続編です。Without..に出ていたChayの友人のRemiと、群れの仲間のJakeの話。
前作のネタバレ含むので、ご注意。


Remiは前作でKeatonを「おかま野郎」と罵倒したほどのhomophobia(恐怖症というより、homohaterって感じですが…)です。なので、Jakeが彼のmateであることは皆で「しばらくRemiには伏せておこうか」ということになっている。
しかしそれを知らないまま、RemiはJakeに惹かれて、あれだけ拒否反応を示したにしちゃJakeに近づくことに対してあまり葛藤がない。
Remiが何故そうなのか、何故あれほどKeatonをののしったのか、何故前作であれほど「嫌なやつ」でありながらChayの長年の友人だったのか、そういうことがこの作品できちんと語られていきます。
彼が何から自分を、そして年の離れた弟を守らなければならなかったのか。守るために多くを捨て、自分を覆い隠し、攻撃的な態度を身にまとった、そんなRemiの人生が次第に浮き上がってくる。

自分自身を犠牲にして弟を守ってきたRemiは、Jakeと出会ってはじめて弟と同じほど──あるいは弟以上に大切な存在を見つける。そのことが彼に戦う勇気を与えますが、過去の恐怖をのりこえることは簡単ではない。
それでも手遅れになる前に、彼は弟を父親の手から救い出そうとする。

この弟(Sterling)がかわいいんですよ。まあよくしゃべるよくしゃべる。明るくてこまっしゃくれてて、勘がよく、たじろがない。
Remiが彼をかわいがるのもよくわかります。SterlingにとってもRemiは父親がわりのようなもので、RemiがJakeやその友人と会っていることを知ったSterlingは(兄に友人ができたことを喜びつつ)、彼らを見定めにかかります。14歳ながらも、Remiのことを守ろうとするんですね。
だがその彼もまた、この戦いの中で無傷ではいられない。

一方で、Remiは狼として「オメガ」であり、Jakeは彼の「アルファ」であるということがわかる。それは彼らの属する群れを2つに割る結果となり、彼らは元の群れを離れて自分たちの群れを持たねばならない。
なかなか大変です。はたしてRemiはSterlingを守りきれるのか、そしてJakeはRemiを守りきれるのか。

補足すると、人狼もののスラにはよく「アルファ」「ベータ」、そしてたまに「オメガ」が出てきます。
動物学上、群れのリーダーをアルファ、そしてそのアルファをサポートする副官的存在がベータ、さらに群れで最弱の個体をオメガと言う。オメガはどうしてもみそっかすにされたりいじめられたりするのですが、群れという全体を構成する上で必要な存在らしい。
スラの場合、大抵オメガは珍重されます。オメガは弱いが、オメガを手に入れるということは名誉であり、オメガを自分のものにするということは自分が群れのアルファになるということを意味する。
で、何か元ネタがあるんじゃないかと思うけど、「オメガは戦いには向かないが、特殊能力がある」という設定がとても多いです。いわゆる超能力レベルのものから、群れをまとめるための何らかのシンパシー的能力まで色々ありますが。また一般に人狼のオメガは「オメガとして生まれる」存在で、オメガでなかった者がオメガになったりすることはない。
このへんの「お約束」はどこからはじまったんだろうなあ。


Remiの印象が前作とあまりにちがってくるのでとまどいましたが、次第にそれも納得いくし(もうちょっと変化の過程がほしい気もしましたが)ドラマティックでおもしろい話でした。
SterlingとRhysの話がまた後に引いてますけど、これはそのうち書くそうです。本当に愛らしいぞSterling。彼らの短編がJ.L.Langleyのサイトにのっていますので、本編読了後にどうぞ(下部の「free story」のところから)。
何かゴージャスで手に負えない男になりそうだなあ、Sterling…

ボリュームが結構あるんですが、スピード感もあり、バランスのとてもいい話です。
前作の「Without Reservations」を楽しんだ人なら絶対におすすめ。

★人狼もの
★運命の相手

With Abandon
J. L. Langley
With Abandon★★☆ summary:
With or Withoutシリーズ4。

Aubrey Reynoldsは由緒ある家と会社の跡継ぎとして、また人狼の群れのリーダーの跡継ぎとして、重圧と期待に応えるために日々苦悩していた。

弟の友人、Mattがアトランタの大学に通うためにこっちにやってくると聞き、彼は自分の住み処の一部屋を提供することにする。
Mattとはメールをやり取りするようになっていて、Aubreyは顔を合わせたことのないこの年若い友人を気に入っていた。

Matt Mahihkanは、空港に迎えに来た女性の匂いに強く反応し、彼女こそが自分のメイト──運命の相手──だと感じて混乱する。Mattはゲイなのに、何故女性のメイトが?
だが、Aubreyに直接顔を合わせた瞬間、真実が明らかになる。Mattは女性についていたAubreyの匂いに反応したのだ。
彼のメイトは、Aubreyだった。

だが、Aubreyは、周囲にはストレートとして通しており、スキャンダルを許すことのできない立場にあった。すべてを秘密にしなければならないと、Aubreyは告げる。ふたりの関係は決して明るみに出てはいけないのだと。
.....



J.LLangleyの人気の人狼シリーズの4です。
今回の新刊は、前回の「With Caution」でJakeの事務所で働いていた派手な格好の男の子、Mattと、その前の「Without Reservations」で主人公Keatonから誤解を受けていた兄、Aubreyの話。
Without Reservations」のエピソードがある程度元になってるので、少なくともこっちを読んでいないとわからないところ多し。

19歳で、純情で気のやさしい男の子Mattは、大勢の兄弟の面倒を見てきた大家族の長男。
Aubreyは30歳で、ホテル経営の家業を継いで苦労している、生真面目で、傲慢なほど自分のやり方を通すことに慣れた男。
ふたりは一瞬でお互いが "mate" だと知るのだけれども、Aubreyは決してカミングアウトするつもりはないのです。Mattは「いつか」を待とうとして、Aubreyは「いつか」Mattを手放さなければならないと思っている。

色々と事情は入り組んでいますが、話は思いのほかシンプルに、2人の気持ちのやり取りや行きつ戻りつを中心にして進んでいきます。Mattに必要以上に惹かれまいと思いながら、ついついチョコレートとか買って帰ってしまうAubreyが可愛い。自分で思ってるほどクールに振る舞えてないぞ!というところが。
Mattの弟のLoganもいい味出してます。あー、彼のプリンス・アルバート(ペニスへのピアス)が狼に変身した時にどう見えるのかはほんとに気になる…

血なまぐさい事件も起こるんだけど、話のトーンは全体に明るくて軽い。
逆にそのせいか、ちょっと展開が散漫な印象もあるのは惜しい。ものすごく盛り上がる刹那のドラマ感や濃厚さはあまりなくて、流れるように読んでしまったかな。Mattの色覚障害とかもう少し使いどころがあった気がするなあ。
しかし生き生きしたキャラ達と萌えシーンがたっぷりあるので、充分楽しめるし、Mattの無垢な感じもほほえましい。Aubreyはあれをちゃんと守らなきゃ駄目だよ。
あとMattの兄弟たち! やんちゃな犬の群れっぽくて、読んでると何ともほだされます。

作者のLanglayは自分のサイトで、出版にあたって本編から削除したシーンを公開しています。話のはじめ部分に一つ、エピローグ近辺(というかエピローグだったんだと思う)にひとつ。特に後ろのはネタバレなので注意。
私はこれ、両方とも入っていた方がよかったんじゃないかと思うんですけど、作者がこれを除いたということは、全体に話をあっさり仕上げたいという意図があったのではないかとも思います。

シリーズのファンには勿論、しがらみに縛られたビジネスマン×純情でシャイな男の子の組み合わせに萌える人にもおすすめ。
人狼の「メイト」は問答無用の運命の相手なのですが、今回はそのメイトの幸せな部分だけでなく、負の部分も描かれているのがなかなかに新鮮です。

★メイト
★秘密の関係

★Three-Star rating system★


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