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Diversion
Eden Winters
Diversion.jpg★★★ summary:
薬物の違法取引。それは、ストリートで行われているものだけではない。
もっと大きな、もっと目に見えないマーケットがあり、そこにはストリートギャングたちとは違う種類の商人がいるのだ。
時には紳士の顔をした者まで。

"Lucky"──Richmond Lucklighterは薬物の違法取引で10年の刑をくらったが、今は南カリフォルニアの薬物取締局で働いている。
だが自由の身ではない。
いつ刑務所に戻されてもおかしくない。ただ犯罪者としての、裏の知識を利用され、働いているだけだ。

あと少しで、その契約も終わる。
後任としてやってきた新人Bo Schollenbergerは元海軍だというのに、Luckyの目にはあまりにやわで、あまりに真面目すぎる男に見えた。ベジタリアン、モラルの塊、片付け魔。
こんな男が自分の後任?
彼を叩き直し、潜入捜査で殺されないように仕上げてやるのがLuckyの仕事だ。

廃棄薬物が違法にリサイクルされている証拠をつかもうと、囮捜査が始まり……
.....



Luckyは元犯罪者でまだ刑期は明けていませんが、現在はいわば猶予措置として政府のために働きつつ、口は悪いし態度も悪く、他人をよせつけず他人にたよらない男。
一言で言えばまさにasshole。
今回、組むことになった新人のBoに対しても、彼はひたすら嫌がらせを続けて対立する。嫌なやつなんだけど、じつに憎めない。

Boは絵に描いたような「真面目君」ですが、Luckyが思うように温室育ちのヤワな男ではないことが段々わかってくる。
薬剤師の免許を持つBoは、実は過去に違法に薬物を持ち出していた(理由はあるのですが)という汚点があり、Luckyと同じようにその償いとして政府のために働いているのです。二人ともに、過去に傷を持っている。

Diversionのシリーズは今のところ3冊まで出ていて、一話完結の犯罪捜査もの。薬物取締局近辺の話なので、毎回そうした薬物流通(麻薬に限らず、医薬品横流しなども含む)の事件を取り扱っており、とにかくその話の骨格がしっかりしています。潜入捜査の進行具合、捜査のためにもぐりこんだ側の心の動きや組織同士のパワーバランスなど読みどころが多い。アメリカの医療制度や保険制度などについても鋭く切り込んでいる。
その一方で堅い話になりすぎないのは、ひとえにLuckyの人徳だな。すべてのものを下品に茶化して鼻で笑いとばし、足で踏みつけていく男です。Boのことも踏みつけようとしますが、Boはそこまで簡単な相手ではない。

水と油のような二人の男の関係と、Luckyの悪態と嫌がらせへのBoのしぶとさや不屈さなどは本当に読みどころで、あまりのことに時々にやにやしてしまいます。Luckyは実は一皮剥けば結構かわいい男なんだけど(背も小さいし)誰にでも牙を剥いて人をよせつけないようにしているから、壁が厚い。
がんばれBo!

一巻では、明かされていくLuckyの過去が大きな読みどころ。犯罪者としての暮らしや、結果としてボスを裏切って刑を軽くしたことなど、はさみこまれる追憶シーンが凄くいい。Luckyが何故ああも人をよせつけようとしないのかもよくわかってくる。
特にパスポートに関わるシーンは、クライムものに惹かれる人ならあれは読んでおいて損はない、という名シーンだと思う。
Luckyたちのボスの、でっぷりとして鷹揚で、でも切れ者というWalterもたまらん存在感を醸し出している。

映画のような一冊で、がつっと骨太な話です。シリーズ通していくとBoの成長っぷりも読みどころ。

★犯罪者
★潜入捜査

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Collusion
Eden Winters
Collusion★★★ summary:
Diversionの続編。

かつて違法な薬物取引に絡んで有罪となったLucky Lucklighterは、刑期のかわりに政府の薬物捜査組織の一員となって働いていた。
その取引は終わったが、今は別の名前を持ち、同じ仕事を続けている。
同じ相棒……Bo Schollenbergerとともに。

その年、大きな薬物回収事件が起こり、工場の一時停止などもともない、アメリカ国内では薬品の在庫が品薄になっていた。
多くのクリニックや病院が必要な薬品を手に入れるのに苦労していた。

薬品の値段ははね上がり、高い値段でも手に入れようとする病院はグレーマーケット(違法ではないが合法すれすれのマーケット)に手を出すようになる。
そんな中、汚染された薬物によって患者たちの命が危険にさらされる事件が起き……
.....



LuckyとBoのお話ふたたび。
前回のDiversionで新人だったBoはすっかり仕事にも慣れてきましたが、その中にはまだ脆いところがあって、Luckyはそれを心配しています。潜入捜査はBoに向かないのではないかと。
しかし向いているとか向いていないとか言っていられない。仕事はやらなければならない。

この「薬物品薄」の状態と言うのは、2011年かな、実際にアメリカで起こった事態だそうです。薬価というのは日本では保護されているのですが、アメリカではそれは自由にしていいもの。だから品薄になると値段が上がる。
うーん、怖い話です。
そしてそんな加熱したマーケットには悪者が目をつけるわけで、薬品があるのに値をつり上げるために「ないふり」をする連中、金を荒稼ぎするために薬品を添加物で薄めて売りさばく連中。こうした奴らが今回のLuckyとBoの相手です。
いやあ硬派で読みごたえのある一冊でした。

Boは今回も薬剤師としてクリニックにもぐりこむのですが、そこであまりにもクリニックの同僚や患者に感情移入している気がして、Luckyはハラハラしどおし。心配で仕方がない。
いつか、その優しさでBoがとりかえしがつかないほど傷つけられるのではないかと。
……でも今回、最後のところで命取りの優しさを見せてしまうのはLuckyなんですけどね!この男は本当にガラの悪いツンデレです。

さて、二人の仲は事件のさなかで近づいたり遠ざかったり熱されたり冷えたりしつつ、ダイナミックに変化していく。Luckyは「いや俺は人とつき合うとか無理無理!」ってロマンスから全力で逃げようとしてますが、さてどうなるか。
Luckyに引っぱられるだけだったBoが背中をしゃんとしてくる様子とか、ニヤニヤしてしまいます。
しかしBoっていい家の生まれっぽいですね、名前もあれだし。そのあたりは今後出てくるのか、楽しみです。

骨太のサスペンスもの、捜査ものが好きな人にオススメ。「口が悪い×人がいい」相棒の組み合わせに萌える人にも。

★潜入捜査
★薬物汚染

Corruption
Eden Winters
Corruption★★★ summary:
犯罪者の過去を持つLuckyは、今は薬物捜査局の一員として法の側で働いている。
誰とも親しくならず、誰にも心を許さず…
だが、新人のBoが入ってきてから、Luckyの孤立主義は崩れつつあった。
Boの生真面目で誠実な生き方に辟易しつつも、少しずつ変えられている自分を感じる。

新人であったBoは潜入捜査の訓練を受け始める。
Luckyはそれが気に入らなかったが、Boが見せる才能は否定しようがなかった。
他人になりきる。Luckyの知らない男に。そのBoの変身の鮮やかさはLuckyを落ち着かなくさせる。

そして薬物市場には、新しい薬物の魔手がしのびよりつつあった。Corruption。
BoとLuckyはその組織に潜入をこころみるが、そこでLuckyは過去の影を見る。彼が死なせた、あの男の影を。
.....



Diversionシリーズ3。
新人としてLuckyに引き回されながら成長してきたBoが、文字通り今回「化け」ます。
潜入捜査官としての鮮やかな才能を見せる彼に、Luckyは予想もしていなかった嫉妬を感じたり、教官から「君がBoの足を引っ張っている」と言われてショックを受けたりと、一人で右往左往しながら相変わらず罵声を吐きまくって強がっています。
同時に、Boが化けた強面の犯罪者としての顔にちょっと魅力を感じてしまったり。Cyrus Cooper、Boとは似ても似つかない非情な犯罪者。二人しかいないのに三角関係か?

Boの受ける潜入用のトレーニングがなかなか本格的に描写されていておもしろく、そこにいちいち顔や口を出さなければ気が済まないLuckyも笑える。
そんなに好きなのに、いまだにLuckyは「将来」とか「未来」といった言葉や約束にほとんど反射的な拒否反応を示してしまう。堅実なBoをそのたびに傷つけているのはわかっているけれども、Luckyはどこかで自分はBoに値しないんじゃないかと(口に出しては絶対言わないけど!)思っているのです。
その二人の、ぎくしゃくとしたシーソーゲームが滑稽ながらも、ちょっと悲しい。
好きなだけでいいじゃねえか、今の一瞬だけで何が悪い!というLukcy。でもBoが「それ以上」を求めているのは知っている。いつか、Boは「今だけ」では足りなくなって、Luckyを去るのではないかと。

LuckyはどうしてもBoが心配で、いつも心の中で新人扱いしていますが、Boは着実に成長している。
もしかしたら、2人が対等な関係になって新たな未来への一歩を踏み出すには、Boの成長、そしてLuckyの庇護(や悪口)のもとからの卒業は、必要なステップなのかもしれません。でもまあ、2人ともいろいろ手探りで、出口はまだ遠い感じ。
がんばれ!

新たな薬物が広がっていくのも彼らの心配の種で、Luckyは特にその動きの奥に、かつて知っていた男の影を見てしまう。死んだはずの男です。
まだ彼が生きていて、薬物取引に関わり始めたのか?

プロットや描写が骨太で、がっつりと潜入捜査ものを読みたいという人におすすめ。
いやあ、ほんと、すべてのものを罵倒するLuckyだけど、心の奥底にやわらかいところがあるので、Boもそこのところを汲んであげて…と思うんだけど、憎々しいことには間違いないんだな。Boの忍耐にも頭が下がるけど、どうにかしていつか幸せになってほしい二人です。

★潜入捜査官訓練
★ペルソナ

Manipulation
Eden Winters
Manipulation★★★ summary:
Diversionシリーズ4。

Luckyはかつて違法薬物の取引にかかわって有罪となったが、今ではその過去を活かしてアメリカ南東部の薬物捜査局で働いている。
同じ職場で働くBoとは恋人関係にあったが、真面目なBoが将来のことを考えているのに対して、Luckyはどうしても自分の先のことやBoとの未来を考えることができずにいた。
自分は、そんなものを得る資格はない気がする。
だが、Boのためなら。彼が喜んでくれるというなら、もしかしたら…

潜入捜査中のBoが消え、Luckyにもまた過去からの手がのびてくる。
かつての恋人、Luckyが裏切った薬物取引界の大物、Victorはまだ生きているというのか?
新たなドラッグの開発戦争に巻き込まれていく彼らを待つのは、メキシコの太陽だった。
.....



さてさて、こちらは潜入捜査を主としたかなり硬派なシリーズ。
最初の2作は麻薬ではない薬品の違法な還流などをテーマにしていましたが、3、4とハードさが増して麻薬捜査に足を踏み込んでいます。
当然、危険も増す。
潜入捜査員としてBoはたぐいまれなほどの適性を示すが、それこそがLuckyの心配の種です。この真面目で優しい恋人は、正義のために己を削って、変えて、いつか戻れない線を越えてしまうのではないかと。
正直、読んでいる方としてもBoはとても心配だ…
すでにかなりヤバいところにいる感じがして、その点、LuckyがBoをつなぎとめる役をしているのが興味深い。かつてはふらふらしているLuckyがBoにつなぎとめられていたのに、彼らの関係も変わっていくし、それにつれてLuckyも変わっていく。

今回、Luckyの昔のボスでもありパトロンでもあったVictorが重要な役割を果たすのですが、この男がまあ格好いい犯罪者でさあ。紳士的きわまりない。一巻で惚れましたけど、惚れ直してしまったよ。いやでも、彼に関してはまだまだわからないことも多くて、先の巻が楽しみ!

二人はメキシコにいて、誰の助けも届かない。自分たち同士で、仮面をかぶりながら、証拠を集めて、それを生きてアメリカに持って帰らねばならない。
そんな中での、明日のない切迫したエロシーンは手に汗握ります。
捜査のために、どこまで一線を踏み超えるのか。どこまでそれを、相手に許すのか。許さなければならないのか。
恋人同士である前に彼らは捜査官同士であって、さらに犯罪者の顔をかぶって組織に潜入している。

巻を重ねるごとにプロットが厚くなっていると思う。
なかなか歯ごたえのあるテーマですが、やはり読むなら一巻から。(一巻は最近再編集されて出てますが、基本ストーリーは前と同じ)
二人の関係の変化がよくわかるし、もう口が悪くてどうしようもないLuckyの意外な純情さに胸が詰まるよ!

ちなみに今のところ8巻で完結する予定なんだとか。折り返しということで、ここから先どんなふうに展開していくのかとても楽しみなシリーズです。
口の悪い純情男とか、正義感からあやういラインを歩いている真面目くんとか、煮ても焼いても食えない大人なボスとか好きな人におすすめ。

★潜入捜査
★麻薬組織

★Three-Star rating system★


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