Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
→このブログについて

[タグ]シリーズ:BodyguardsInLove の記事一覧

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Brier's Bargain
Carol Lynne
Brier's Bargain★★☆ summary:
Brier Blackstoneは数年前まで、生涯のほとんどを病院ですごしてきた。
まだ幼児の頃、父親の虐待で頭に傷を負ったため彼は知能の発達が標準よりも遅れ、感情のコントロールが難しい。虐待から保護するために、政府は彼を家族と離した。
ほんの十年前まで、双子の弟すら彼の存在自体を知らなかった。

その弟の尽力によって、Brierは病院から出て人並みの生活を営むことが出来るようになり、ボディガードの会社の事務として働くまでに回復した。
そして、その会社で想像もしてなかった素晴らしい相手と出会った。
Jackie Benoit──会社のボディガードスタッフの一人。
Brierの恋人。

そのJackieが中東の任務でひどく負傷し、片足を失って帰ってきた。

Jackieはこの無垢でひたむきな恋人を愛していた。彼が乗りこえてこなければならなかった過去も知っている。かつて病院を脱走し、感情のままに罪を犯したこと、収監された病院で性的虐待を受けていたこと。
それをのりこえ、ハンディキャップを持ちながらフルタイムで働き、様々なことにチャレンジし始めたBrierの姿は、Jackieが自分の傷と向き合うための力でもあった。

だがまだBrierの心は脆い。
そんな時、性的虐待の加害者が捕まったとFBIから連絡があり、JackieはBrierにどう話したものか悩む。FBIはBrierの調書を取りたいと言うが、ふたたびあの体験を思い出させるのは気が進まない。

しかしBrierの覚悟は決まっていた。Jackieや、双子の弟が思う以上に。そしてきっと、彼らが望む以上に。
.....



Brierは軽い知能障害があるけれども、きちんとまっすぐに物事を考える人です。彼なりの筋道を立て、人のことを思いやりながら生きている。36歳。
Jackieは彼の初恋。
そのJackieが中東へ仕事へ行ってしまっている間、淋しさのあまり感情的にめちゃめちゃになって双子の弟を心配させたりしてしまいます。

でもJackieが負傷して帰ってきてから、Jackieの世話をし、そばで暮らしながらBrierの気持ちも落ち着いていく。
そんな彼のひたむきな様子と、彼にめろめろのJackieの様子がかわいらしい。また実際、Brierの弱いながらも凛としたたたずまいが綺麗で、Jackieの気持ちがまっすぐ彼に向かっているのもつたわってくる。
JackieがBrierの面倒を一方的に見ているわけでも、子供のように扱っているわけでもなく、彼らは互いに支えあう対等な恋人同士なのです。そこがいい。

周囲の人間はBrierを守ろうとするけれども、Brier自身は段々と自分の頭で物事を噛みしめ、自分の足で歩こうとしていて、その覚悟は時たま周囲とぶつかる。
そのBrierの気持ちの変化と、それを受け入れていかざるを得ない周囲との変化が書かれています。

読み始めて、知能障害というのはあまり好きなテーマではないので迷ったのですが、とてもおもしろかった。読んでいる間も、読後感もいい。兄に罪悪感を感じながら過保護にふるまう双子の弟もかわいい。
作者のCarol Lynneは前にも下肢の障害がある人の話を書いたりしていたので、何らかのハンディキャップ(精神的な弱さとかも含む)をかかえたテーマが好きなのかもしれない。うまくツボを押すエピソードが重なっているけれども、決してお涙ちょうだい系でもありません。
この作者のキャラは根がポジティブでたくましいので、重いテーマでも話が暗くならないのかな。性格はわりと乙女っぽかったり繊細だったりするんだけど、それでもどこか前向きで、世界を信じている感じがします。

Brierが過去をのりこえ、自分の新しい一歩を世界に刻んだことが、最後の騒動からもよくわかる。
世界は彼にとって優しい場所ではないけれども、彼はまだその世界を信じ、人間の善意を信じている。Jackieが、Brierの視点を通して見える世界が美しいと思うのも無理はない。

この「Bodyguards in Love」は作者の新しいシリーズで(まだ全部読んでないんだけど、代表作のCattle Valleyシリーズが終わったのかな?)、このボディガード会社を舞台に進んでいくと思う。
見るからにゲイばっかりの会社ですが、まあそれもよし。先が楽しみです。

ある意味かなり極めた「包容攻め×けなげ受け」なので、そういうシチュ萌えの人に特におすすめ。エロも多めで、全体に楽しく読めます。

★障害
★保護欲

スポンサーサイト

Seb's Surrender
Carol Lynne
Seb's Surrender★★☆ summary:
Bodyguards In Loveシリーズ 2

Jared Grantは人生のほぼすべてに渡って、様々な虐待を受けてきた。
自殺を試みて入れられた病院では看護人からの性的虐待を受け、退院してからも、その男につけこまれてみじめな暮らしをしていた。
警備会社で働くBrierが、裁判の証言者として彼を探し出し、説得してそこから連れ出すまで。

そして今、Jaredは警備会社の寮に世話になっていた。周囲をボディガードの男たちに囲まれ、Jaredにとって、それは人生で初めて安全な時間であった。
だがそれも、逮捕されている筈の彼の虐待者から脅迫の手紙が届くまでだった。

ボディガードのSebastian Jamesは、Jaredのくぐり抜けてきた虐待について、自分自身の過去の経験から多少の想像がついた。
心身ともに傷ついたJaredを守ってやりたいと思うのは、共感からだろうか。
Sebは弟を失ってから、誰かに気持ちをよせたことはない。必要以上な関わりは避けてきた。だが長い年月で初めて、JaredはSebの心の奥のやわらかな部分にふれる存在だった。

SebはJaredを守ろうとするが、Jaredは深い傷をかかえていて、簡単に気持ちをひらこうとしない。
彼には学ぶことがたくさんあった。自立して生きること、誰かをたよること、酒を飲んだからといって誰もが人を殴るわけではないということ。
そしてSebもまた、Jaredに信頼してもらうためには、長年自分を覆ってきた殻をひらかねばならない。誰も知らない過去の自分を、見せなければならないのだった。
.....



前作はBrierとJackieの話でしたが、そのラストでBrierが救い出した同じ虐待の被害者Jaredと、ボディガードの会社で働くSebの話。
こういうちょっと弱い感じのキャラを書くと、Carol Lynneはうまい。
ただ深刻に書くのではなく、深刻な一面を切り取りつつ多少の軽みも加えて読みやすく仕立てているあたりが、さすがだと思います。

長年の虐待の被害者であるJaredの様子が、またよく出ている。
誰かにたよることを知らず、何かが起こっても立ち向かうのではなく、ただそれが過ぎ去っていくのを待とうとする。
意見の食い違いからSebが怒った時に、思わず頭を抱えこんでその場にうずくまるJaredの様子は、その象徴でしょう。Jaredにとっては当然の行動ですが、Sebは自分に殴られるのを恐れるかのようなJaredの行為にショックを受ける。

2人ともに、心に壁があります。
Jaredは被害者としての殻にこもっているし、Sebはかつて弟を失った時のつらさから、誰かに心をひらくのを拒んでいる。
どちらも、もしかしたら恋に落ちる準備はできていないのかもしれないけれども、彼らはわりとおだやかに、何だか相手の存在に気付くように関係を深めていきます。
実のところ、色々なトラブルがあって、そんなにのどかに構えてはいられないのですが、染みこんでいくような恋の展開はなかなか素敵だ。

うまく色々なことを盛り込んであって、読んでいる間に気持ちをそらさない、切なくも前向きな話です。ほのぼのだけじゃない色々なおっかないエピソードもこみですが、そこもいい味。

たよれる男がトラウマからひっぱり出してくれる、とかその手の話が好きな人におすすめ。このボディガード会社はほんとにでっかい家族みたいなので、「仲間」という感じが好きな人にもおすすめです。
今は金持ちの男をたぶらかしてる遊び人Ravenの話とか、そのうち読めるかな。読みたいなあ。

★虐待
★立ち直り


ここの会社の経営者たちの話は別のシリーズにも出てきますので、もしBrierの兄のBramや下の弟の話が読みたい人は、この「Reunion」ものぞいてみるといいかと。BrierとJackieがはじめてくっつく時のエピソードも楽しい。
こっちはやたらとキャラが多いので、多少人間関係の基礎知識つけてから読んだ方がおもしろいと思います。

★Three-Star rating system★


[カテゴリ]View ALL
レビュー (310)
★★★ (88)
★★ (188)
★ (34)
モノクローム・ロマンス (10)
電子ブックリーダー (23)
iPodTouch・Stanza (19)
nook (4)
雑談 (84)
英語 (29)
文法 (4)
読書日記 (11)
…このブログについて (8)
…書店情報 (2)
[タグリスト]

05 | 2017/06 [GO]| 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

カテゴリ一覧 最近の記事一覧 プロフィール リンク一覧 メールを送る
[カテゴリ]


モノクロームロマンス(M/M翻訳)


■公式サイト■

・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。