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Ransom
Lee Rowan
Ransom★★★ summary:
18世紀、フランスと戦争中(フランス革命戦争)のイギリス海軍が舞台。
その時代、同性愛は禁忌であるだけでなく、死に値する罪であった。海軍においては吊るし首となる。
1796年、Titanに着任した士官候補生William Marshallは、その一週間後に決闘で上官を撃ち殺す。上官が仕掛けてきた淫らないたずらに、彼は誰の味方もないまま敢然と立ち向かったのだ。Davidの長年の苦しみの元は、Willの放った一発の銃弾で倒れた。
多分その瞬間、士官候補生David Archerは、William Marshallに望みのない恋をしたのだった。

3年後、ともにCalypsoに任官してからもDavidの思いはかわらなかったが、彼らは互いにかけがえのない友人となっていた。DavidのWillへの思いは決してかなわないものだった。同性愛は罪であり、それ以上に、Willは二度と、彼を友人としてすら近づけなくなるだろう。真面目で融通のきかない、そして誇り高いこの友人を失うことは、恋を秘めることよりも耐えがたいことだった。
Willはすでに任官試験に合格して士官となり、後ろ盾がいないにもかかわらず、未来もほぼ約束されていた。Davidの任官試験も目の前にせまっていた。2人で士官となってともに働けば、いつか──それも遠くない未来に──Willが自分の艦を持った時、きっと親友のDavidを副官として伴ってくれるだろう。それが今のDavidのひそかな夢だった。

だが上陸時間の間に、彼とWill、そして彼らの艦長Smithの3人は馬車ごと誘拐されてしまう。つれていかれた先は海賊の船で、艦長と引き離されたDavidとWillは2人だけで小さな船室に閉じ込められ、海賊の首魁であるAdrianはDavidにひとつの条件を出してきた。SmithとWillの安全と引き換えに、Davidの体をさし出せという。

事情を知らないまま、憔悴していくDavidをWillは案じていた。その思いが単なる友情と言うには深すぎることに、彼はまだ気付いていなかった。
........


船やら海軍やらの用語はちょっと難しかったんですが、とてもおもしろかった。わからない単語は大体スキップしても話は何とかなるんじゃないかな?と思います。船の描写なんかも詳しいので、そのへんが好きな人にはいろいろな意味でおいしい。やはり帆船ものはこのあたりの時代が多いですね。
かつては上官の気晴らしに体をもてあそばれ、今また海賊の首魁にいいようにされ、とかなり大変なDavidですが、本人はユーモアあふれる前向きな男で、決して運命にただ流されるタイプではない。ちょっとやんちゃな感じもして可愛いんだよな。融通のきかない、やや石頭のWill(しかも聖職者の息子…)とはとてもいいコンビ。
頭で考えるWillと、感覚で判断するDavid。互いを案じたりからかったりはげましたりと、恋とか抜きにしてほんとにかけがえのない友人なんだなー、という感じがいいです。

異様な状況の下で、彼らは互いに相手を守ろうともがき、脱出の手段を探そうとする。そんな中でついに思いを通わせながらも、すぐには近づくことができない。禁忌でもあるし、さらに、自分たちの艦に戻った先のこともある。船には秘密を保つだけのプライバシーなどないし、自由時間もなく、上陸することも滅多にない。仮に思いをとげたとして、彼らの関係には未来がない。

この2人もいい感じなんですが、海賊の首魁のAdrianもちょっと気になった。貴族階級の雰囲気を漂わせる彼だが、金のために誘拐をくりかえしながら、手元にひきよせた被害者たちを蹂躙する。Davidが無反応でいようとする、その抵抗を打ち砕くために薬を盛ったりしますが、何となく彼の行動の底には切羽つまったものがある気がします。
もともとは相棒と一緒に誘拐仕事をやってたようなんだけど、その相棒はAdrianについていけなくなって去った…とかそういう一文もあって、何か色々想像が(いや妄想か)ふくらむところです。勝手に。

DavidとWillの話はつづきが出てまして(「Eye of the Storm」と「Winds of Change」)、彼らの波瀾万丈な恋と、歴史の大きなうねりを書いています。フランスとイギリスで休戦が結ばれて陸に上がるWillとか、船を降りようかどうか悩むDavidとか、フランスへ潜入する任務とか。
エロシーンは少なめですが、ある時は濃厚。とにかく人目をさけなければならないので、我慢したり飢えている感じがなかなか味わいぶかい。
心の変化の描写も繊細で、「ロマンス」というテイストの言葉がよく似合う話です。「Eye of the Storm」の最後の方にある、滝の裏でのエロはとっても美しいシーンだった…

わりと受け攻め分かれてる感じ(あくまで傾向)なので、BLっぽい雰囲気もあり、そういうの好きな人にもおすすめ。

※リンクはLinden Bay Lomanceに貼ってありますが、My Book Storeからも買えます。MBSではちがうフォーマットのファイルを落としなおすことができるので、MBSの方がおすすめ。Lindenのファイルはちょっと作りが甘いので、使ってるリーダーの種類によってはきちんと読めないかもしれない…


★歴史もの
★サスペンス

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Bound by Deception
Ava March
Bound by Deception★★☆ summary:
1822年、ロンドン。
弱小貴族の青年、Oliver Marsdenには誰にも言えない秘密があった。
子供の頃に侯爵の次男であるVincent Prescot と出会い、固い友情を築きながら、彼はずっとこの友人に恋をしていた。
誇り高く、有能で、貴族らしいたたずまいのVincentは彼にとってかけがえのない友であると同時に、決してかなわない恋の相手だった。

だがある日、OliverはVincentがロンドンの娼館で男を買っていることを知ってしまう。
ギャンブルで勝った金を持ち、Oliverは娼館の女主人に特別な願いをたのみこんだ。
Vincentが次に訪れる時、自分を男娼としてVincentの部屋に入れてほしいと。

ついにその日、顔がわからないほどに暗く灯りを絞った部屋でVincentを待ちながら、Oliverは部屋にそろえられた道具を見て驚く。Vincentが男を買っているというのも充分以上の驚きだったが、その部屋にあるものは彼の友人に対する想像をこえていた。
鎖、手枷、鞭。それはOliverの知らない世界であったが、Vincentがそれを求めるならすべてをさし出す覚悟が、Oliverにはあった。

一度、ただこの一夜。Vincentの手が、唇がこの体にふれるなら。
ほかのことはどうでもよかった。一生に一度、ほしいものを手にできるのなら。
.....



思いが高じて、だますようにして友人に抱かれようとする男と、娼館で男を買いながらも自分が男を好きであることを否定している男の話です。

Ava Marchは「Object of His Desire」がおもしろかったのですが、これも同じ、ヒストリカルなスラッシュです。
相変わらず心理描写が繊細で、同時にとてもキャラクターが魅力的です。どちらも彼らなりの欠点をかかえ、彼らなりの長所があり、だがとても誠実な男たちです。

Vincentは、Oliverの求めるすべてを持っている。名誉、力、金、己に対する強い誇り。
Oliverもまた、Vincentにはないものを持っています。VincentはOliverに話を聞いてもらうのが好きで、Oliverが何気なく言う一言に、自分を理解されて受けとめられていると感じる。彼にとっては得難い友人です。
だが、あの娼館で一夜の行為を共にした相手、心に残って消えない男娼が、まさかこの友人だったとは思っていない。

そしてまたVincentはその誇り、完璧な息子であろうとする自意識の中で、自分の性癖を自分に対しても否定している。たしかに娼館で男を買っているが、自分は彼らの求めるものを与えているにすぎないのだと。
2人が向きあった時、Vincentは自らの弱さをそのままOliverにぶつけ、自分の醜い言葉にたじろぎます。それが本当の自分の姿だったのかと。暴かれるのは、一夜のことだけではないのです。

高まっていく緊張の中で彼らの友情はどうなるのか。VincentはOliverの行為を知るのか、そして自分自身を受け入れることができるのか。

BDSMプレイはそれほどキツいものはないですが、きちんと雰囲気や気持ちの流れが描かれていて、とてもいいシーン。彼らが「対」であることが、シーンからつたわってくる。
全体を通して端正な、誠実な物語だと思う。どこかクラシカルな文章が物語の舞台や雰囲気とよくあっていて、貴族やヒストリカルなものが好きな人だけでなく、おすすめの一作です。短編というわけではありませんが、それほど長くもないので、気軽に手を出せる1本かと。

続編の「Bound to Him」も出ていまして、同じように誠実で、静かな色気と緊張感のある話です。
これはこのままシリーズ化するかな? するといいなあ。

★ヒストリカル
★BDSM

Str8te Boys
Evangeline Anderson
Str8te Boys★★ summary:
Maverick HolmsとDuke Warrenは同じ大学のサッカーチームに所属し、4年の間ルームメイトであった。
Dukeは陽気で、不屈で、時に騒々しいほどのところがあったが、Mavはこの友人を心の底から大事にしていた。

大学生活、そしてDukeとのルームシェアが終わろうとしている時、2人で払っている家賃の半分をDukeが使いこんでしまう。
金に困った2人に、ゲイの友人が「Str8te Boys」というサイトを紹介してくれた。それは男同士の写真をのせているゲイ向けのサイトだが、タイトル通り「ストレートの」男をテーマにしたもので、あまり「ゲイっぽい」ものではない。ちょっと雰囲気のある写真を取るだけだ。
そのモデルをして、金の穴埋めをしないかと言うのだ。

Mavは少し迷ったが、それほど抵抗があるわけではなかった。MavもDukeもゲイではない──だがたまに2人は、「gay chicken」というチャレンジをして遊んだ。ふれたり、極端に近づいたりして、先に引いた方が負けというものだ。
2人のふざけあいは、時にかなりきわどいところまでいった。どちらも負けまいとして、そのチャレンジはどんどんエスカレートし、キスをしないという暗黙のルールさえもいつのまにかなし崩しになっていた。

それでも、彼らはどちらもゲイではない。
少なくともそれがMavの信じていることだった。そして彼は、Dukeとともに写真のモデルになることを承諾するのだが…
.....



卒業を目の前にした、大学生のルームメイト2人の話。
「Str8te Boys」てのは「Straight Boys」の意味で、ストレートっぽい男たちの、きわどい雰囲気の写真をのせているサイトです。2人はここでモデルをして稼ごうとする。

2人はとても仲がよくて、でもMavはそれをすべて友情だと思っている。
話はMav視点から語られるのですが、彼の視線を通してすら、「お前は鈍いよ」と言いたくなる鈍さというか、かたくなさです。「gay chicken」ゲームでキスをしても問題ない、何故ならそれはゲームで、相手はDukeだから。別に何もおかしなことはないな。Mavの頭の中ではそんな感じで物事が回っています。
気付け。せめて、キスの先にいってしまった時に気付け! ゲームを自分から仕掛けるようになった段階で、気付けよ! 
と、そのへんを楽しむ話でしょう。

陽気な雰囲気があって、全体に何か「大学生っぽさ」というか、荒削りな情熱で進んでいく感じがおもしろいです。話全体のノリがよくて読みやすい。
「gay chicken」とかも実際にあったらどうよ、という遊び方なんだけど、大学生だと思うと悪ノリはありだと思う。青春ぽいというか。
それでまた、気持ちの裏にあるものが段々わかってくるにつれ、Dukeの視点から物事を考え直すとすごく楽しいです。あー、ここで耐えてるな、とか。ここは地獄だなとか。

本当にノーマルだと思っていた、とか、自分との葛藤とか、同級生からの疑いや反射的な否定など、大体一揃い分のドラマが入って楽しく読める一本です。長さもそんなにないし。
友情発展ものが好きな人、言いたくて言えない感じが好きな人におすすめ。

★ルームメイト
★チャレンジゲーム

Boys of Summer
Cooper Davis
Boys of summer★★☆ summary:
Hunterは、親友Maxと恋に落ちた自分を知っていた。
だがMaxはゲイで、彼はストレート──少なくともMaxと恋に落ちるまで、自分がストレートだと思って、生きてきた。

もしMaxとつきあうのならば、友人や、周囲の人間に彼らの関係を隠しおおせるものではない。今のように親友としてすべてを覆い隠すことはできない。
Maxはそんな、暗い秘密のような扱いを受けるいわれはない。それはHunterにもわかっていた。

彼らはフロリダの海岸へと2人でバカンスに出かける。互いの気持ちをたしかめ、それをはっきりと認めるために。
Maxは長い間、その時を待っていた。Hunterに恋をした彼は、ほかの誰とも寝たことがない。そしてHunterの覚悟がはっきりと固まるまで、彼と寝るつもりもなかった。

友人たちから数千マイル離れたフロリダの海岸で、2人は互いと向き合う。
それが一瞬の夏の出来事で終わらないことを、彼らのどちらも知り、どちらも望みながら、その瞬間を深く恐れてもいた。
.....



ゲイとストレート(だと信じていた)の若者の話。
2人は惹かれあい、恋に落ちますが、まだ決定的な体の関係には至っていません。

Maxがちょっと古風というか、純情で、どうしてもHunterとの関係を「特別」なものにしたい。彼は隨分前にクローゼットから出て(=カミングアウト)、もう戻るつもりはない。だからもしMaxとHunterが関係を持つのならば、それは友人たちにすべてを明らかにするという覚悟の上でなければならない。
でもHunterは、Maxの存在、彼と最後の一線をこえることが自分の人生を変えてしまう、そのことに怯えています。Maxがいなくては生きていけないと思う。だけれども、この先に待つだろう人生の変化も怖い。

そのあたりの気持ちの揺れがHunterの視点から書かれた、非常にきめのこまかい物語です。
一夏の、濃密な思い出を作りながら、彼らはどちらも踏みこんだことのない場所へと踏みこみ、互いを変えていく。

夏の出来事を書きながら、同時に彼らの過去が描かれていきます。
Maxへの気持ちや自分がゲイである可能性を否定しようとするHunter、それでも離れられないまま2人は行き違い、ほとんど絶望的に求めあう。嵐のような感情と、痛みに近い葛藤。
カジュアルによそおったはじめてのデート、お互い同士を友人だと見せかけながらの夕食、ファーストキス──そしてそのキスひとつで、彼らは離れられなくなる。そんなふうに何よりも互いを必要としながら、最後の一歩を踏み出せない。
生々しく、痛々しい気持ちの揺れの重なりあいが丁寧で、なかなかに読ませます。

描写が繊細で、エロシーンにも独特の切羽つまった色っぽさがある。表現が詳細なわけではないんですが、生々しいというか、感情と体が剥き出しになった感じがあります。
中編くらいの長さで、全編を通してあやうい緊張感が張りつめている。
若者だからか「青春」っぽい繊細さもあって、「はじめて」シチュが好きな人や、迷いやためらいがある話が好きな人におすすめ。

続編「Taking You Home」が出てます。

★友情→恋
★はじめて

Gobsmacked
LB Gregg
※出版社の問題で一時的にリンクを外してます。
Gobsmacked★★★ summary:
Mark Meehanは、同居している恋人Jamieが大家の男と寝ている現場を見てしまう。
怒りにかられ、恋人を聖書で殴り倒した彼は、次々とショッキングな事実を発見する。Jamieがあちこちで浮気をしていたらしいこと、自分以外の人間はみなそのことを知っているらしいこと、いつのまにか自分の貯金を残らず使いこまれていたこと。

頭にきて恋人──元恋人──の荷物を家から放り出した彼は、古くからの友人Tony Gervaseの家へ酒を飮みにころがりこんだ。
警官のTonyは3つ年上で、Markはずっと昔から彼が好きだった。だがTonyにその気がない様子を見てとって、友情の先を望むのはやめたのだった。

JamieはMarkから手を引こうとはせず、荷物を返せと暴れ回る。突如として暴力的な面を見せはじめた元恋人をMarkは恐れるが、同時に自分の金を取り戻そうとして動きはじめた。Jamieは何に金をつかったのか。金を取り戻す方法はあるのか。
そんなつもりはないまま、彼は動くたびに次の騒動をおこし、Tonyを巻きこんでしまう。
Tonyは怒りながらも、Markを守ろうとする。だが過保護で命令的な彼にMarkは惹かれながら反発し、その反発がTonyをさらに怒らせて…
.....



Men of Smithfieldシリーズの1作目です。今3冊出てますが、どれもおもしろい。

ある朝いきなり不幸に直面したMarkが次々とさらなる災難に襲われ、目の前が真っ暗になりつつ頑張る話。

普段のMarkは、おだやかな人柄で知られているらしい。この話の中では恋人を殴り、彼の持ち物を雪の中に捨て、大家を脅し、人のパソコンのパスワードを変えと、おだやかなところなんかかけらもない気がしますが。
友人で警官のTonyは強く、保護欲があり、Markに対して過保護なほどの関心を示している。少しの間、2人は疎遠にしていましたが、とても仲のいい友人同士です。その「友人」というカテゴリからかつてMarkは踏み出そうとして、Tonyは一歩引いた。
だが、今回の一件が彼らの関係を変えていく。

守ろうとする年上のTonyと、あっちこっちで騒ぎをおこしてTonyを苛立たせるMarkの組み合わせが、すごく可愛い。
Tonyはいかなる時でも冷静で、自制を失わない強い男ですが、Markだけは彼を後戻りがきかないほどに苛立たせる。愛しさと怒りが入り混じってぶちっと切れてしまう様子が、読んでいて楽しい。
それほどどうしようもなく執着されていることに、Mark本人が気付いてないあたりも可愛いです。

このシリーズは基本的に「活発で可愛い受け」と「冷静で強い攻め」の組み合わせでできています。
しかしMarkはただのドジっ子ではなく、ただの考えなしでもなく、考えた挙句に自信満々にドツボにはまっているというか、はまり方がなかなかに絶妙。Tonyが彼を守りたくなるのもよくわかります。
ちゃんとした一人前の男でもあるんですが、妙にあぶなっかしい。その行動力がやばい。
後ろめたい事情を誤魔化そうとするMarkに、電話の向こうで黙っていたTonyが「今、何か馬鹿なことをしているだろう。わかってるんだ」と言い出すシーンがあって、思わず笑ってしまいました。これは目を離すのが心配だろうなあ、Tony。

キャラも生き生きしていて、話全体にもスピード感があります。終わり方はあっさり気味だが、後味がいい。
適度なドラマと軽さがまざった中で、人の動き方に説得力があるんですよね。そういう作家は貴重だと思う。カプもツボだし(鉄板の過保護攻めと無自覚受け!)、個人的に今後の「買い」リストに文句なく入る作家です。

受けを守ろうとする強い攻めとか、受けが心配なあまりにうっかり怒鳴って受けを怒らせちゃう攻めが好きな人におすすめ。
楽しい読書がしたいなー、という時にも是非おすすめです。

★過保護攻め×強気受け
★昔なじみ

Be The Air For You
T. A. Chase
Be The Air For You★★☆ summary:
Rod Hannahはロックスターの頂点にまでのぼりつめ、ツアーのために世界を駆け回っていた。だがはなやかな生き方の影で、彼は今でもかつての中毒の影と戦っていた。
ドラッグ、アルコール──長年の中毒からRodがかろうじて抜け出すことができたのは、友人Hawk McLeodのサポートがあってこそだった。
Hawkはいつもそこに、Rodのためにいた。必ず彼を支えた。

ツアーの最中、RodはHawkに夜中の電話をかけながら、孤独と戦う。Hawkと話し、彼の声を聞けば、薬を服用せずとも眠ることができた。

Rodはもう長い間、Hawkに恋をしていた。
だが一度として踏み出すタイミングは訪れず、今となってはあまりにもHawkは彼にとってかけがえのない存在になっていた。
決してHawkを失うことはできない。離れてしまうくらいなら、友人のままでいる方がいい。

Hawkの経営するクリニックに経済援助を続けながら、Rodは彼らはこのままずっと変わらないのだろうと思っていた。いつまでもこのままなのだろうと。
だがそんなある時、Hawkに理由のわからない変化があり…
.....



ロックスターと小さなクリニック(眼科?)の医者の友情。
これまで一歩を踏み出すには、あまりにも相手を大事にしすぎてきた、そんな2人の話。

保護者系、包容系のHawkも素敵ですが、Rodのキャラクターがいい味出してます。かつて中毒に落ち、幾度となくリハビリをくり返したRodは、最後の最後に「これで駄目だったら俺はもうお前のそばにはいられない」というHawkの最終通告をつきつけられ、すがるように立ち直った。
それでも今でもなお薄い刃のような境界線の上にいる自分を知っている。いつかまた、向こう側へ転がり落ちるかもしれない。
Rodの繊細さがあちこちの描写からにじんでいるので、彼のHawkに対する思いとためらいもよくつたわってきます。
彼はHawkの存在に支えられ、Hawkへの思いで日々をこらえている。

一方のHawkには、Rodに秘密がある。
いつまでも隠しておくつもりの秘密でもなく、彼はRodにそれを語りますが、その秘密の重さは彼らの上に強くのしかかり、彼らの人生を変えてしまう。
その中で揺さぶられながら、2人は互いを思いやり、互いを支え、時に1人で苦しんだり、2人で苦みをわけあったりしていく。
信頼、愛情、苦悶、そして絶望。
そんな彼らの気持ちの交錯が短く(話が短めなので)、でも丁寧に書かれています。

愛情にあふれた関係と、思いもかけない運命の試練が絡み合った、短いけれども読みごたえのある話。
包容系とか保護者系が好きな人におすすめ。あと闘病もの好きも。

★ロックスター
★友人同士

Pinky Swear
Lynn Lorenz
Pinky Swear★★★ summary:
LaneとMattは10歳の時から分かちがたい親友同士だった。
馬鹿げた、だがわくわくする冒険を一緒にくぐりぬけ、互いを支えてきた。

LaneはいつもMattの勇気に憧れ、彼の強さを羨望のまなざしで見つめていた。
それがただの友人にたいする気持ちでないことに気付いたのは早かったが、Laneには気持ちを言葉にできなかった。Mattのような生き生きと輝いた少年が、どうして引っ込み思案でどもりのあるLaneを恋人にしたいと思うだろう?

2人はいつも、互いの秘密を小指で誓ってきた。
大人に知られたくない物事、Mattがゲイであるというカミングアウト、そして家出しようとするMattをLaneは小指の誓いで引きとめる。大学を卒業するまで去らないと。
彼らはいつも、その誓いを守った。

2人は一緒に大学へ行き、ルームメイトとしてすごす。
一度としてMattがLaneに友情以上の気持ちを見せたことはなく、Laneは彼らの関係をあきらめていた。
だが、小指の誓いが切れてMattが去っていく寸前、2人の関係は大きく変わる。
そしてMattはLaneの心を砕き、彼の人生から姿を消した。

2人が新たな小指の誓い──「pinky swear」を立てるまでには、長い時間が必要だった。
.....



pinky swearっていうのは、wikipediaによると日本で言う「指切り」のようです。
古来、約束を破った者は小指を切り落とされた。その故事が子供同士の約束となって今に残っているのだとか。
この話の中では、さらに互いの小指を引っぱりあい、指切りが外れるまでのカウントを「約束を守る年数」として互いに誓う。バリエーションかな?
そのpinky swearが、とても効果的に使われている話です。

何せこういうネタは萌えます。
幼なじみ、子供の憧れ、友人として距離を保とうとする緊張感、ルームメイト。うーん。列挙してるだけで盛り上がる。

子供時代のLaneは、墓場にしのびこんで骨を拾ってくるようなMattの豪胆さを崇拝し、その気持ちはそのまま愛情へと変化していく。
でも彼はMattに言うことができない。大学でルームメイトとして一緒の部屋ですごしながら、Mattが色々な男をひっかけてやりたい放題やっているのを見るしかない。

一方のMattは、いつもLaneの強さに支えられてきた。彼にしてみれば強いのはLane、誓いを守り、いつでもそこにいてMattを支えてくれたのはLaneなのです。MattはいつでもLaneの輝ける部分を見ていた。
そのことが後半になって彼の視点から物事を見た時に、しみじみと語られていて、2人の間にある絆が見えてくる。もっとも、2人にはどちらもその絆が見えていないわけですが。
そんな彼らのすれちがい、相手への気持ちがじれったくも可愛い。
2人ともそれぞれに相手に真心を抱いているのだけれども、行き違って、離れてしまうのです。

彼らが育ったニューオーリンズをカトリーナが襲う、その時にまた2人の運命は変わります。
最近カトリーナの話を読んだな、と思ったらつい数日前にレビューした「Breakfast At Tiffany's」ですが、これ作者が同じです。この人、ニューオーリンズ出身なんですね。

幼なじみネタに萌える人は鉄板。
話に意外性はあまりないけれども、キャラがきちんと練り込まれていて、ほのぼのと読めます。Mattの父親に関してその後のフォローがないのがちょっと気になりますが(読み飛ばした可能性もあるが…)、ほかの周囲のキャラも全体によく書けていて、バランスがとてもいい話です。
目新しい話もいいけど、丁寧に書かれた話はやはり読んでいて気持ちがいい。

★幼なじみ
★片思い

★Three-Star rating system★


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・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
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