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[タグ]キーワード:憎しみ の記事一覧

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Bound by Nature
Cooper Davis
Bound by Nature★★ summary:
Hayden Garrettにとって、Josh Petersonは1番世の中で顔を合わせたくない相手であった。
JoshのすべてがHaydenの感情をかき乱す。何よりきまりが悪いことに、HaydenはJoshが近くに来るだけで欲情を覚え、それはあからさまにJoshにばれている筈だった。
「狼」の嗅覚には、Haydenの体の反応を知るのなど簡単なことだ。

彼らはその地区に住むふたつの大きな「狼」の群れの、それぞれ後継者であった。
どちらも服従することを知らない、力の強いアルファ。
そして何よりJoshはストレートだ。Haydenに興味があるわけがない。

だがJoshは、大学から戻ってきたHaydenに近づく。
Joshは昔から、自分とは違って理知的でシャイなHaydenのことが気になっていた。いい友達になれそうだし、彼と一緒に狼として満月の下を走るのは楽しそうだった。

2人が呑もうと約束した夜。
その夜に何かがあった。
何か、感情を昂揚させる素晴らしい出来事。そして、Haydenの記憶を閉ざすほどおぞましい出来事。

その出来事がHaydenを5年もの間刑務所にとじこめ、出てきた時には彼は別人のようになっていた。
JoshはそんなHaydenの信頼を得ようと必死に彼に語りかけるが、Haydenは世の中のすべてを拒む。彼がJoshに見せるのは、裏切られた痛みと憎しみばかりで…
.....



狼2匹の、過去と現在が入り混じった話です。
シャイでちょっと考えすぎで、自分がJoshに惹かれていることを隠そうとして隠しきれず、そのことに自己嫌悪を抱いているHaydenと、何だかHaydenと友達になりたいなーのJosh。
頭脳派と肉体派、みたいな感じですが、どっちも体格はいい。

話は大学から戻ってきたHaydenがJoshに「飲みに行かないか」と誘われるところからはじまりますが、その後、いきなり5年後にとびます。
何故かJoshに裏切られたと思ってうらんでいるHayden。彼はかつて約束された未来を失い、前科持ちとして小屋のようなところに住んでいる。

でもJoshを拒んでばかりもいられません。
5年の間に、2つの狼の群れは対立し、争いが激化して、長老たちは和平が必要だと考えていた。
群れの和平のためには絆を結ぶ必要があって、白羽の矢が立ったのはHaydenとJosh──それぞれの群れの後継者。彼らがMateになれば、争いはおのずとやむ、ということで、要するに彼らは政略結婚を迫られています。
これは大変。つうか、いいのか男同士で(細かいことは気にしない)?

勿論Haydenは拒んで逃げますが、どうしてかJoshはあきらめない。
5年前にHaydenを裏切って陥れた(筈)の男が何故今さら自分を求めるのか、そもそもJoshはストレートじゃないのか? とHaydenは混乱する。
その混乱の中で、5年前に本当は何があったのか、Haydenが失った記憶の中身があらわになっていきます。

「狼」の狼らしさと言うか、本能の強さのようなもの、野生があちこちにちりばめられていて、そこに読みごたえがありますね。
Cooper Davisは描写のきめが細かくて、体温とか匂いの描写が読んでいて気持ちいい。その世界にゆっくりと引き込まれていく感じです。
結局、Joshが5年前のことをどう解決してふたたびHaydenに会うことにしたのか、そのあたりがすとんと腑に落ちない感じはありますが(ちゃんと説明はされてるんだけど穴があると思う)、本編のテンションの高さと、この作者独特の丁寧で情熱を秘めた描写はさすがです。

狼好きだけでなく、傷ついた2人がもがく話が好きな人におすすめ。

★人狼
★裏切り

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Skipping Stones
D. J. Manly
Skipping Stones★★ summary:
Leoの望みは傷心のパリを去ることだけだった。
画材も売り尽くし、家賃も払えない。
残ったのは年上の恋人──元恋人から贈られた時計だけ。

Leoから電話を受けた親友のMarkは、自分が経営にたずさわるリゾートにしばらく身をよせるようすすめる。
彼らは古い友人で、Leoは一度はMarkに恋をしていたこともあったが、Markは別の男と激しい恋に落ち、今でもその恋の中にいた。
問題は、その恋人が不実な男で、遊び歩き、滅多に家に戻ってこないことだった。
LeoはMarkを傷つけ続けるその男が大嫌いだったが、ほかに行き場もなくMarkの言葉に従う。

かつてその男さえ現れなければ、彼ら2人には別の未来があったかもしれない──LeoもMarkも今のように傷つかずにすんでいたのかもしれない。
そんなやりきれない気持ちの中、LeoははじめてMarkの恋人と顔を合わせる。
Reed。はじめて見たその男は、たしかに傲岸さを漂わせ、感情の読めない、勝手そうな男だったが、Leoは気持ちが強く揺さぶられるのを感じる。
これは失恋からのリバウンドなのだろうか?
だが、ReedはMarkの恋人だ。決して関係を持ってはいけない相手だ。

人間関係が絡み合っていく中、LeoはMarkが自分に何かを秘密にしていることに気付いていく。MarkとReedの関係は何かがおかしかったが、どちらも真実をLeoから隠し…
.....



友人の恋人と恋に落ちる、というネタはちょっと苦手で、しかも今回友人のMarkがほんとにいい人!だったので読みはじめはためらいがちだったのですが、この話には見かけ以上の裏があります。
MarkとReedの関係は、Leoが友人から思いこまされているようなものではないのです。

謎の男・Reedが魅力的に書かれています。ぶっきらぼうで、Markを冷たくあしらっているようだけれども、同時に彼を傷つけまいとかなり気持ちを払っているのが(事情がわかれば)見えてくる。
でも彼は、Leoから見れば「親友の人生を踏みにじっている最低男」。地球で一番恋に落ちてはいけない相手です。
そんな男に惹かれてしまい、Leoは混乱する。
2人が互いを見定めようとして、結局互いに落ちていき、でもそれが体だけの関係だと面と向かって言い続け、相手の言葉にどちらも傷つく、その濃密さは読みごたえがある。エロもそんなに回数ないですが、濃い。
数少ない中で、Reedが一瞬感情を剥き出しにする、その瞬間が鮮やかです。

いくつか気にかかるところはあって、友人のMarkが裏返すとあまりにビッチちゃんなので、もう何か納得できるように造形してほしかったなあとか。彼のReedに対する執着は恋というよりある種の強迫観念になってる気がするし。みんな呑気にしてないでカウンセリングにつれてった方がいいんじゃね、とか。何か、展開に合わせていい当て馬にされてる感が拭えない。
でも恋愛ドラマとして楽しく読めます。まあ些細なご都合主義は仕方ないかなー。

寡黙で傲岸ないい男が好きだとか、三角関係に萌える人におすすめ。
「お前なんかひどいヤツだ!」と思いながら恋に落ちちゃう意地っぱり受けもなかなかかわいいし、「どうせお前から見たら俺は非情なだけの男なんだろ」と微妙に拗ねてる寡黙攻めも萌えます。

★三角関係
★失恋

'Til Kingdom Come
Evangeline Anderson
Til Kingdom Come★★ summary:
Elias Trueheartは「虚無」の存在であった。強大な魔法を持つ一族に生まれつきながら、彼は簡単な魔法ひとつ生み出すことができない。一族のつまはじき。
そんな彼の人生は、ある嵐の夜に粉々に砕ける。
魔法を忌避するBlackwaterの王と王子が彼の城を襲い、母の力を奪い、Eliasの首に輪をはめたのだ。
そしてEliasは、第二王子のThrain Blackwaterに人の目の前で犯された。

ThrainはずっとEliasを手に入れようとしていた。暴君である彼の父と兄、そのふたりを排除するために、彼は運命の相手であるEliasの力がどうしても必要だったのだ。
彼らの力を合わせれば、城の地下にとらえられた竜の力を目覚めさせることができる。

だが、Eliasを救うことと引き換えに、彼は兄の命令でEliasの純潔を踏みにじらなければならなかった。
Eliasは2度とThrainを信じないだろう。決して許さないだろう。
それでもどうにかして、2人は竜の力を目覚めさせなければならない。そこにしか、彼らの未来はないのだから。
.....



魔法に満ちあふれた一族の中で力を持たずに生まれてきたみそっかすと、魔法を忌避する一族の中で竜の力を求める男の物語。

「無理矢理→愛情へ」ってのは、BLではテンプレですがスラには余りなくて、「コンセンサスがないものは犯罪だから!」という感覚が根強いように見えます。しかしその中で、無理矢理もいいもんだと思うけどーとかこっそり井戸の中に呟いてる人もいると思う。日本のBL漫画も何だかんだで一部で流行ってるしさ。
「とりあえず合意が必要」というモラルのたがが、ファンタジージャンルになるとゆるみやすくなるようで、ファンタジーにはちらほらと無理矢理カップルがいたりします。

この2人も、最初は無理矢理からはじまります。Eliasは「無理矢理やられちゃった」方ですが、やった方のThrainにとっても不本意な行為だったというのが複雑なところ。
Thrainはあくまで、Eliasの命を救い、彼の信頼を得て、ふたりで敵を倒すつもりだった。この場合の「敵」はThrain本人の父親と兄です。
この兄が暴虐な男で、Thrainは兄の殺意からEliasを守るために兄の目の前でEliasを犯すのだけれども、それによって激しい自己嫌悪に陥る。Thrain自身、かつては兄の欲求のはけ口であり、そこから逃れるために強くなった男だったから。

Eliasは勿論、Thrainを憎む。憎みながら、Thrainの中にある深い傷に気付いていくのが、Eliasが生来持っている繊細さによるものでしょう。

Eliasの中には誰も知らなかった力があり、それは竜の出会いとともに解き放たれはじめる。その力はEliasをも燃やし尽くしかねない。
Thrainは力を尽くしてEliasがその魔法をコントロールする手助けをします。その交流を通して、彼らの気持ちは近づいたり、また遠ざかったりする。ThrainはEliasを助けたいけれども、Eliasは自分がThrainの復讐の道具のように使われている気がしてむなしくなったりとか。
Thrainは、次第に復讐よりもEliasが大切になってくるというのに。

Thrainが実に凛としたいい男で、ファンタジーBL好きなら鉄板な感じで楽しめます。
魔法のコントロールをするために2人でやむなくエロエロしてみたりして、なかなか趣向豊かな感じ。

★虜囚
★剣と魔法の世界

The Distance Between Us
L.A. Witt
The Distance Between Us★☆ summary:
Rhett SolomonはEthan Malloryと10年、ともにすごしてきた。彼らは人生のパートナーとして、2人でRhettと前妻の娘を育て、家を買い、幸せに暮らしてきた。
だがそれももう過去のことだ。

別れる決心をした彼らは、だがまだ同じ家に住んでいた。
不動産市場の冷え込みのせいで、すぐに売ることができないのだ。かと言ってどちらにも別に家を借りるほどの余裕はない。
彼らは悩んだ末、とりあえず家が売れるまでの間、家をシェアするルームメイトを募集することにする。

かつて愛し合った、だが今は顔を合わせれば嫌みばかりを言いあう相手と、2人だけで暮らすのは息が詰まる。
ルームメイトの存在は、どちらにとっても一息つくきっかけになるはずだった。

Kieran Frost。新しいルームメイトは若くて美しい男で、一目でRhettを魅了する。
だがEthanもまたKieranに惹かれ、彼らとKieranの関係は、感情と欲望の中でもつれはじめる。
.....



シアトルでひとつ屋根の下に住む男3人の話。
2人は別れたカップル、1人は年上のイケてる男たちと簡単に寝てしまう、若くてきれいな男。

英語で3Pを読むと「he」ばっかりで誰が何だかわかりにくいですが、結構この話はそのへんはうまくこなしてくれています。
最近は3Pとか複数ものって一部で流行っているようで、たまに警告で「m/m/m/f/f」とか見ることもあります。どーなんだ。どんなでかいベッドだ。一部の書評サイトでは、「エロだくにするためにcockの数を増やしているだけだとしか思えないものもある」とか喝破されてて、笑ってしまいました。
その点、この話は「3人でなければならない理由」があります。エロも濃いめだけどね!

彼らはとてもいびつな状態にあります。主人公のRhettはかつて愛したEthanとの関係を終わらせようとしていて、二人で一緒にいるだけで息が詰まる。
そこに現れた、新鮮で美しい若者Kieran。
RhettはKieranに手を出すわけですが、EthanもまたKieranに早速手を付けている。お互い、それを知っています。
ただの遊びだと思いながら、彼らは家の中で、それなりに大人の顔をしてKieranをシェアしていくのです。

それだけでも充分に家の中は混沌としていますが、割りとKieranがさっぱりしているので、あまり修羅場の空気はありません。この若者は、セックスを娯楽だと割り切って、14歳も年上の男たちとのシェアを楽しんでいる。

でもすでに、種は蒔かれています。RhettはKieranを抱きながら、やはり同じようにKieranを抱いているであろうEthanのことを考えてしまう。そのベッドにはいない、かつて愛した男。
Kieranという新しい男をはさんで、RhettとEthanは自分たちにも解き明かせない、重くてもつれた感情を引き合っていきます。嫌いで別れる筈なのに、一人の男をシェアすることによって彼らは揺さぶられる。

その展開が、この作者独特の冷徹で精緻な筆致で書き明かされていきます。
非常にもつれた位置からはじまっていく関係で、ひねった話で、技ありという感じですね。
私は個人的に、あまりキャラに愛着を持てなかったので、話は楽しんだ一方、あまり感情的には入りこめなかった気もします。特に語りの主人公のRhettが、嫌いと言うわけではないけれども、どうもピンと来なかった。好みの問題だと思いますが、最初は嫌なヤツに見えたEthanの方が人間くさくて好きだなあ。
でも、話はうまくひねられているので、読書として楽しいです。

普通の展開のスラに飽きちゃったとか、ちょっと天の邪鬼な展開が好きな人におすすめ。いい男は2人より3人いた方がうれしい、という人にも。

★3P
★別れたカップル

SWITCHING GEARS
Claire Thompson
SWITCHING GEARS★★☆ summary:
THE SOLITARY KNIGHTS OF PELHAM BAYシリーズ3。

高級車のメンテナンスショップを営むJackは、自分の中にある怒りを扱いかねていた。
特に顧客のMarcosの顔を見るたび、わずかな抑制もそのたがをはじきとばして、怒りは彼を完全に支配してしまうようだった。
Marcos──傲慢で、不遜で、人を見下すあのいけすかない男。

問題をどうにか解決するために、Jackはかつて自分を導いた男、Alexeiに20年ぶりに連絡をとる。
彼が背を向けた男。そして、背を向けた世界。
BDSMの世界に、答えのひとつがあるのではないかと思って。

だがAlexeiに説得されてある館を訪れた夜、裸のJackに引き合わされたのは、この世でもっとも見たくない相手の顔で…
.....



THE SOLITARY KNIGHTS OF PELHAM BAYシリーズ3。
と言っても1や2は読んでないのですが、やや自虐的に「独り者クラブ」を作った男たちのそれぞれの話で、シークエンスのようなシリーズらしいです。PokerNightシリーズみたいな感じかな。

JackもMarcosもそのクラブの一員で、顔見知りではあるけれども、顔を合わせれば毛を逆立てた犬のように相手に噛みつかずにはいられない。
どちらも相手を嫌っていると思っていて、嫌われていると思っていて、でもそれは心の奥底にあるものをお互いにきちんと受けとめていないからではないのか?という話。

Jackの中には、自分や相手を滅ぼしかねないほどの怒りがある。彼は常に自分の存在を誇示するように生きてきた。ほしいものは手に入れてきた。だけれども、人生に安らいだことはない。
彼がかつて安らぎを感じたのは、年上のDom、Alexeiに導かれていたわずかな間だけ。だが、BDSMは自分のシーンではないと感じて、Jackはすべてに背を向けてきた。
今でもD/sのクラブが自分の属するところだとは思えない。だけれども、人生の何かの答えがあるのではないかと思い、JackはAlexeiにアドバイスを乞いにいくのです。完全に追いつめられている。

このAlexeiが、もう年を取っているのだけれども大変にいい「先輩」って感じで、多くの人々を導いてきたのだろうなあという「賢者」のようなご主人様です。
Jackが自分を、自分の芯にあるものを拒否しつづけていること、そのことがずっと彼を苦しめていることを感じたAlexeiは、Jackにひとつの「お願い」をする。一夜だけ、誰かに膝を折って従属すること。
しぶしぶ承知したJackですが、そこに顔を見せた相手は何と!(…ご想像通りなわけです)

楽しみのためのBDSMではなく、自分自身を解放する手段としてのBDSMのシーンが、緊張感を持って、緻密に書かれています。
短めですけど、JackやMarcosのキャラクターがしっかりと描かれているので、一夜のお楽しみシーンというだけでなく「彼らの人生の一部」という重みがちゃんと感じられます。
ほかのシリーズも読んでみようかな。

ホットなBDSMシーンが読みたい人、相手が気になるあまりに敵意をむき出しにしてしまう素直じゃない男たちに萌える人におすすめ。

★BDSM
★嫌いあう2人

Undercover Sins
Hayley B. James
Undercover Sins★★ summary:
潜入捜査官のGabriel Carterは、大きな人身売買組織を摘発するため、幹部のDemetriusに近づこうとしていた。
3ヶ月もの間、彼はラスベガスで男娼に扮してきたのだ。そして、ついにDemetriusの目に留まった。
だが2人ですごした一夜は、思ってもみなかった深みへの入り口だった。

DemetriusはGabrielに共闘を持ちかけ、彼のライバルであるArdenを陥れるために手を貸せと言う。
Gabrielは彼を信用できないが、すでに抜け出せないほど深く、彼は足を踏み込んでいた。

Gabrielは、情報を得るため、Demetriusの「ペット」を演じることに同意する。
それは危険なゲームだった。彼の命にとって。そして、彼の心にとっても。
.....



潜入捜査物、しかも「犯罪者(のボス)/潜入捜査官」というおいしい取り合わせ。
これは萌えます。

Demetriusの正体がとにかく不明で、何回か2人の関係はひっくり返される。ネタバレになるので詳しくは書けませんが。
最初のうち、わりとよくある展開かと思って読んでいたら、途中でいくつかサプライズが入っていて、うまくひねられています。また実際Demetriusに謎で不気味な感じもあるので、ストーリーがひねられるたびにちがう顔が見えてきて楽しい。
GabrielはDemetriusが信用できずに、悪事に手を染めている男だと思いながらも、惹かれていく。そして、憎まなければならない相手と恋に落ちていく自分に自己嫌悪を抱く。潜入捜査のためだと割り切ろうとするも、気持ちは堂々巡りです。

好きなシチュでいい感じの流れなんですが、気になったのはGabrielのストイックさと言うか、青臭さと言うか。モラルに関してDemetriusとしきりに口論になるのが、今いち場違いな気がしてしまった。そんなにナイーブで潜入捜査官やっていけるのか?と心配で、そのたびにちょっと話から気がそれたのが残念。
Demetriusはそういう折れない正義感に惹かれたのかな、とか、あるいは悪事にまみれた深みまで入っていく潜入捜査だからこそGabrielも自分のモラルにかたくなにしがみついていないと流されそうになるのかな、とかは想像するんですが、そのへんが本文から読みとれたらもっとよかったなあ。
個人的にはGabrielがもっと大人な(性格や振るまいがね)感じだったら完全ツボど真ん中だった。もうちょっとDemetriusと対等だったらなあ。
私としては、とても惜しい。でも楽しい1冊でした。

全体にわりとBLっぽい雰囲気がある話で、受け攻め固定。かつ、エロが「いやだと言うけど体はいやがってないぞ」という鉄板の流れ。
「1回じゃ満足できないだろ」とか、色々とナイスシーン!ありで盛り上がります。そういうの好きなら読む価値あり!

DemetriusとボディガードのLeeとの深い結びつきとか、そのへんのストイックな男同士の関係もいいですね。この2人も長い間、闇の中をくぐり抜けようとしてきたのだと思う。
Leeの行く先も気になるなあ。

潜入捜査物とか、だめだと思いながら拒めないとか、背反的な関係が好きな人ならまちがいなく楽しめます。アップダウンが色々あって、エロも緊張感があるので、スピーディな話が読みたい人にもおすすめ。

★潜入捜査
★人身売買

THE HEART OF TEXAS
R.J. Scott
THE HEART OF TEXAS★★ summary:
Riley Hayesは父のおこした石油会社で働きながら、会社のために力を尽くしてきた。だが、父はそんな彼をまるで憎んでいるように接し、Rileyの目の前に条件をつきつけることで応じてきた。
結婚すること、それも利益のためではなく愛情のある結婚を。そして1年間その結婚を継続すること。
それができなければ、Rileyが会社に持つ権利を奪うと。

父とも、兄とも、決して親しいとは言えない関係だった。Rileyはそれでも会社に忠誠を尽くしてきたが、この最後通牒に激怒する。
言われるがままに結婚して、思い通りにはなりたくない。だが自分の権利を失うことなど看過できない。

ついにRileyはすべての条件を満たす結婚相手を思いつく。
父が忌み嫌うCampbell家の次男坊、Jack Campbell。彼と結婚すればいい。父は嫌悪し、激怒するだろうが、Rileyは条件を満たして会社の権利を手に入れられる。
Jackは決して御しやすい男ではないが、RileyはJackが結婚を断れない弱みを知っていた。使ってはならない秘密を。
.....



父親と兄に意趣返しをするために、カウボーイと政略結婚するビジネスマン。
なかなかそそる設定です。
そして期待にたがわず、相手を利用するつもりで結婚したRileyは、とげとげしく攻撃的で、何にも揺らがないカウボーイのJackに落ちていってしまうのです。

しかし、RileyはHayes家の男です。Campbell家にとっては仇敵。

今は石油会社を独占保有しているHayes家ですが、元々、それぞれの父親同士が一緒にはじめた会社だった。しかし彼らは分かれ、Hayesは会社を手にしているが、Campbell家に残ったのは大きな借金と、母の名義だった牧場。Jackは必死でその牧場を保っているけれども、それも楽ではない。ふたつの家の明暗ははっきり分かれています。
Rileyは父親から「Campbellは嘘をついて、我々のものを奪おうと裁判に訴えた」と言われているし、Jackは「Hayesは父の正当な権利を踏みにじった」と言われている。お互いに相手の家にいい印象を持っていない。
RileyとJackはそんな家同士の人間です。
現代版ロミジュリっぽい設定ですねえ。

無理矢理結婚させられたJackは、Hayes家の人間に嫌悪感を感じているし、Rileyが半ば脅すように自分を結婚に引きずり込んだことを許せない。
けれども、Rileyに対して惹かれる自分のことは否定できない。
ふたりの間にあるあやういパワーバランスはなかなか萌えます。お互いを値踏みしようとして、お互いに毛を逆立ててる2匹の犬のようですよ。わりと早めにお互い妥協しますけどね。もっと牙剥いてくれてもいいんだけど!それは私の好みの問題だな。

彼ら2人の話だけではなく、ふたつの家の話でもあって、それぞれの母親とか妹たちのことも細かに織り込まれています。展開はベタというかやや古風ながらよくできてるんだけど、妹や母や友達の視点のシーンがちょこちょこ入ってくるのが、ちょいと気が散る感じだったかな。
あと、Rileyの父親が結局、どういうスタンスだったのかよくわからなかった。彼は何だかんだで最後には家族を守ろうとするのですが、そういう顔と普段見せてる冷たい顔が全然つながらないので、正直違和感がありました。重要な部分なだけに、残念。すとんと腑に落ちない感じが残ってしまった。

あちこち惜しい感もあるのですが、やっぱり「ビジネスマン×カウボーイ」とか、「仇敵の家の2人」とかの設定は萌え萌えで、楽しい読書。
家族事情も含めたドラマが多めで、展開がベタなので、安心して読める感じの1冊。対照的なカップルや、対立軸萌えの人におすすめ。

★結婚取引

★Three-Star rating system★


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・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
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