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Faith & Fidelity
Tere Michaels
Faith and Fidelity★☆ summary:
ニューヨーク市警風紀取締課の刑事、Evan Cerelliは、長年つれそった最愛の妻を交通事故で失ってから、まるで抜け殻のような人生を送っていた。ただ子供たちのために生き、仕事を続けてはいたが、世界はまるで、彼の周囲ですべての色を失ってしまったようだった。
彼は中学で妻に出会い、恋に落ちて、それからずっと他の女性を見たことはなかった。彼女は彼の最大の友人であり、理解者であり、恋人であり、妻であり、子の母であり、彼を世界につなぎとめる存在だった。

元殺人課の刑事Matt Haightは、仲間に背を向けられて警察を去ってから、警備会社で働いてはいるものの、ボトルの底をのぞきこむような日々を送っていた。
アパートにろくな家具も置かず、人生の目的もなく、ただその日をやりすごすために酒に手をのばす。

警官の退職パーティで、2人は出会い、お互いの存在にほっとする。相手を憐みもせず、詮索もせず、余計な世話も焼かない。
ただそこにいて、一緒に酒を飮むだけの友人。2人でいる間は、転落した人生を取り戻そうともがかなくてもいい。何か別のものになろうとせず、自分自身でいられる。

だがその気持ちがいつのまにか、友情以上のものへと変わりはじめる。それに気付いた2人は、仰天する。
それまで自分がゲイだと思ったこともなかった。そんなことはありえない。その筈だった。
.....



Mattは42歳、Evanは30代半ば~後半の筈、だと思う(探してみたけど年齢発見できず。でも長女が17歳だし)。
人生の荒波に叩きつぶされかかった2人が、まるで予期しなかった次の荒波にぶつかって、恐れ、たじろぎつつも、そこから新しい人生を模索していく話です。

Evanは、周囲から愛されています。4人の子供たち、彼の心配をして食事の面倒を見ようとする女性パートナー、理解ある仕事場の仲間。
彼らが自分を案じ、心にかけていてくれることはわかる。でもそのあたたかさを、Evanはもう感じとることができない。
妻が失ってから心がとじてしまった彼は、自分が「ゆっくりと死にかかっている」のを知っているけれども、どうしようもないまま、世界からすべり落ちていく。

その彼にはじめて届いたのが、Mattの存在です。彼のあたたかさにしがみつくように、Evanは人生のぬくもりを思い出していきますが、その先、どうしたらいいかわからない。
Mattと一緒にいて、果たしてどうなる? 事故から1年たったとは言え、亡くなった妻への裏切りにはならないだろうか? しかも男と? 子供たちがこれを知ったらどう思うだろう?
現実の重さをただ恐れ、引いていこうとするEvanを、Mattはとめることができない。

そういう、社会の規範や自分の常識の中で、自分たちの関係をどうするべきかわからない2人の大人の男(てか親父)の心模様を中心にした話です。
そんなに颯爽とした感じもなく、時々情けなかったり、ちょっとよれよれした感じもある親父っぷりがいい。

途中、Mattがたまたまひっかけるone-night-standの相手のJamesがめっちゃくちゃ格好よくて、この一夜のエピソードがいい具合に効いています。(シリーズ次作「Love & Loyalty」は彼が主人公の話です。すごくいい)
いかに色々こみ入ってしまったからと言って、それまで40年自分がストレートだと思って生きてきたMattが「男をひっかけに」夜の町に行くのは正直違和感があるんですけども、Jamesがあんまりいい男なのでそのへんはまあいいか、という気持ちにもなる。

細かい部分はいくつか気になりますが、感情表現が豊かで、全体によく書けている話です。
40すぎて、とか、自分がゲイだと思ったこともない親父、とか、そういうものが好きな人におすすめ。

★ストレート×ストレート(子連れ)
★親父

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Happy Ending
LB Gregg
※出版社の問題で一時的にリンクを外してます。
LB_Happy_Ending.jpg★★ summary:
双子の妹が残した子供を育てるSeth Westonは、ストレスをマッサージでやわらげるのがいつもの習慣だった。
姪を可愛く思いながらも、Sethは6歳児をどう扱ったらいいのかわからない。
妹は癌で死に、彼女を看取っている間にSethの恋人は彼を去った。彼は1人だった。

そんなある日、いつものマッサージ師の臨時の代わりとして現れたのが、David Cookeだった。Sethよりずっと若く、妙なイヤリングをつけ、刺青のある青年。おだやかに見える彼の物腰の下には、頑固で、苛立たしいほどの強気な顔が隠れていた。

Davidは、Sethのタイプとはあらゆる意味でかけ離れていた。それまでのSethの好みは常に同年代の大人で、服装に金をかけ、彼と同じような暮らしをしている男──たとえば、彼を置いて去った前の恋人のような。
だがDavidはSethの自制を打ち砕き、欲望と、名付けようのない荒々しい感情を呼びおこす。
そしてそれを感じているのはSethだけではないようだった。

強烈に惹かれあう彼らの周囲で、様々な物事が巻きおこる。
彼らを脅迫するかのような写真、町に帰ってきてSethと復縁を望む元恋人、いきなり姿を現した、姪の血縁上の父親。
そしてDavidの語らない、過去の秘密。
.....



Men of Smithfieldシリーズ2冊目。
どこかミステリアスで活発な若い男にいきなりよろめいてしまったSethと、生命感にあふれたDavidの話。

このDavidがとても魅力的なキャラで、マッサージ師かと思えばウェイターもやってたり、児童書を書いていたりと、色んなところが謎。
Sethはマッサージ師をやってるDavidを見て「一時的な仕事だろう」と思いますが、Davidがそうした仕事や生き方に誇りを持っていることを見て、自分の中にある差別感に気付き、たじろぎます。
ごく自然に、自分やそれに似た人間たちを世界の中心であるかのごとく考えている。それまで何度もレストランで見かけた筈のDavidのことを覚えてもいない。
DavidはそうしたSethの価値観を揺るがして、彼の壁の内側へ入りこみ、Sethの感情をかき乱していきます。

強く、保守的な年上の男と、若々しく、穏やかに見えて時おり破滅的なほどに強い感情を爆発させる男。DavidはSethを挑発し、挑戦し、Sethのペースをひっかき回す、その様子が読んでいて楽しいです。
SethはDavidのおかげで、子供に対する接し方を覚え、人生に楽しみを取り戻す。当人はあまり気付いていませんが、その様子が幸せそうでいい。

にぎやかで、感情表現の鮮やかな話です。
色々と周囲でおこるものの、それほど複雑な話ではないですが、その分2人の感情の対比がくっきりと見えてくる。
キャラが立っていて、一気に楽しく読める話だと思います。

やんちゃ受けが好きな人、若者にひっかき回される年上の男というシチュに萌える人におすすめ。

★年の差
★子育て

Full House
Carol Lynne
Different Suits★★☆ summary:
Marco De Le Santoの人生は決して優しくはなかった。母親が死に、ドラッグの商売をしていた父親を家から追い出してからずっと、彼は身ひとつで弟達と妹を養うべく働いてきた。
16歳だったMarcoは、18で高卒だと嘘をついてKent Bakerの会社に雇ってもらった。
それが8年前。やっと上の弟が就職できる年になり、妹の面倒もかわって見てもらえるようになり、Marcoは夜学に通って高卒の資格を取った。

ポーカーの仲間たち、その中でも特に雇い主でもあるKentが、Marcoのことを遊び歩いている不真面目な男だと思っていることは知っていた。寝不足や、常に忙しくしている様子など、彼らの誤解をMarco自身も解こうとしなかった。
からかわれ、苛つかれるのはいい。同情され、見下されるのに比べればはるかにその方がいい。
だが高卒の資格を得、弟を無事育て上げた今、Marcoは友人達にすべてを話そうと思っていた。特にKentに。

Kentは、Marcoが雇ってくれと言ってきた8年前から、ずっとMarcoを見ていた。Marcoが19になった時、Kentは彼をデートに誘おうとしたのだ。
だがその時、ちょっとした偶然でMarcoがまだ17だと知り、彼はひどい自己嫌悪とともにあきらめた。
8年の間、気持ちはいつもMarcoへ向かっていたが、忙しそうな彼が遊び歩いているのだと思いこんで、ついMarcoにきつくあたってしまう。

8年、友人達の冗談のネタになるほど、MarcoとKentはお互いの周囲を回ってきた。
彼らの間をつなぐ強い感情に、気付いていないのは当人たちだけだった。
.....



Poker Nightシリーズ5。
最終巻かな?

1からずーっと、ことあるごとに言いあう様子が「こいつらは」という感じで描かれていた、MarcoとKentの話。ついに。
それと同時に、いささか身の上や暮らしぶりが謎めいていたMarcoの事情が描かれます。
弟2人を育て、とじこもりがちの幼い妹の面倒を見て、金のやりくりをして、プレイボーイ風の見た目と裏腹に苦労人です。
そのことを知っているのはポーカー仲間内でもAngeloだけで、誰にも言わないと約束した通り黙っているけれども、KentがやたらとMarcoに当てこすりを言うのを見ながら、Angeloは苛々している。
17歳の子供をひっかけようとしてしまった!と8年前の一件がKentにとってショックだったのはわかりますが、それを引きずって、ちくちくと相手を苛めるなんてお前こそ子供か。
でも、そのへんの不器用さがKentのよさでもある。

Marcoの父親がまた金をせびりに現れて騒動になり、MarcoとKentは長年の誤解を解きますが、まだまだとても障害が多い。
13歳の年の差はともかく、Marcoの父親のことも解決してないし、Marcoは弟妹のことを何より優先しなければならない。そしてMarcoはKentの豪邸を見て、互いの境遇の差にひるむ。金銭感覚が違いすぎる。

2人は障害をのりこえ、話し合い、お互いに妥協しながら新しい関係を作っていかねばなりません。
たとえば、買い物はMarcoがクーポンを切り抜くから必ずそれを持っていくこと、とかね。

ここまで4冊分、ずーっと顔を合わせれば憎まれ口を叩き、Marcoが「Kentは俺を嫌ってるから」とへこむほどの関係だった2人が、やっと相手に手をのばす様子がほのぼのしていていいです。何となく、読んでいるこっちも(4冊分の)感慨があるのが、シリーズ物の良さでしょう。
相変わらずポーカー仲間はみんな仲がいい。
ここまでの4冊で、ZacにはEric、BobbyにはJules、TreyにはCole、AngeloにはMoodyと、カプが成立してくるたびに「仲間」の数が増え、ついに10人のポーカー仲間は団結して、ハッピーな未来へ向けて歩き出す。
(しかし地の文に「11人が幸せに」って書いてあるんですが、あと1人って誰だ。うっかりかな?)

5冊まとめて、幸せな感じのシリーズですので、楽しく読書したい人におすすめ。

★ハッピーエンド
★家族連れ

Family Unit
Z. A. Maxfield
Family Unit★★ summary:
退役軍人のLoganは、癌で死んだ恋人の家に移り住んだ。
恋人の記憶をしのんでいたハロウィンの夜、彼はRichardに出会う。

45歳のRichardには大きな過去があった。
ゲイであることを認める前の混乱、その時に生まれた息子。その息子も事故で死に、彼は8歳になる孫のNickを引き取って1人で育てていた。
Nickは、彼に残されたただ1人の家族だ。孫のためならRichardは何を捨てても惜しくはなかった。

たとえLoganにどれほど惹かれていたとしても、一瞬の情熱や恋のためには捨てられないものがある。
2人だけでも、Richardと孫のNickはまぎれもない家族として暮らしていた。

RichardとLoganは互いに惹かれながら、ただ恋人というだけではない新しいスタンスを探さなければならない。意見のくいちがい、価値観の相違、8歳の子供の存在。
そのすべてを乗り越えて、新しい家族の形を。
.....



45歳のおじいちゃんって若いよね。Loganも最初はRichardが「父親」なんじゃないかと思います。
Richardがのりこえてきた人生は楽なものではありません。若い時の性的な混乱でできた息子とは長年会えず、やっと互いの関係を修復したと思ったら事故で息子は失われ、薬物中毒の母親の手から孫を奪い返し、彼はそのNickをひたすら守って育てている。
かつて恋か子供かという選択を迫られて、RichardはNickを選んだ。それはNickが8歳になった今も同じ。

しかし勢い余ってRichardは過保護にすぎるし、すべてのものからNickを守れるわけではないということを、どこか納得していない風です。時にはNickは1人で戦わなければならない、そのことを受け入れようとしない。
Loganは彼を尊重するけれども、時おり2人の意見は大きくくいちがう。

特に暴力というか、「力」の関わるところになるとRichardは反射的な拒否を示します。
彼には何故Loganが従軍したのか理解できないし、家の中に銃を置いていると知るや彼の家に行くことも拒否する。ある種の潔癖症と言ってもいい。
Richardにはそういう、どこか理想的な完璧さを求めるところがあって、それは現実感覚に優れたLoganとはちょっと相いれない。

でもLoganはいい男だね!彼はRichardの拒否に傷つくけれども、理解している。RichardがNickのことになると過剰反応を示すことも、子供のことが第一に来ることも理解する。理解しすぎじゃないかという時もあるが、でもほんとにいい男だ。
譲歩ばかりするだけでなく、Richardにも理解して歩みよってもらおうと、Loganは色々な努力を重ねます。一方的な譲歩が2人の関係を壊しかねないことを、彼はよく知っている。

Richardの問題は他人との妥協に慣れていないことで、その深くには、「家族」を失ってきたことによる傷がある。ゲイであることが彼にその孤独を負わせた。
孫のNickに対する過保護なほどの愛情はその埋め合わせでもありますが、同時に彼はNickと自分の作った殻にこもって、他人をたやすく入れようとしません。
LoganがRichardと本当の恋人になるためには、「家族」としての信頼を得ないといけない。まあ、Loganは簡単にあきらめるような男でもないけどさ。
そういう2人の様子を書いた話です。

中年になってからの恋ではあるけれども、2人とも結構ピュアなところがあって、人と人との距離を丁寧に描いた話全体に繊細な味わいがあります。軍隊とかそういうあたりの価値観は何と言うか「アメリカン」な感じもするので、そのへんは好き好きあるかも。
ところどころRichardの名前が誤植でNickになっていて、人の名前が間違ってるのってそんなに珍しくはないんだけど、8歳の子供の名前だとさすがにこっちの萌えっとした気持ちがしぼみますね。惜しい。でも最後のオチまできちんと作られていて、いい話です。

価値観のちがう大人たち(片方子連れ)のリアルな恋模様に萌える人に。
ちょっと長めなので、じっくり楽しめます。

★元軍人×非暴力主義者
★家族

The Sheikh and the Servant
Sonja Spencer
The Sheikh and the Servant★☆ summary:
奴隷のNooriは遠い北の海を越えた向こうの民だった。周囲の人々と違うきゃしゃな体つきと白い肌、金髪と青い目からも一目で明らかだ。
父親の死後、借金のためにamir(アラブの首長や王族のこと)に買われた彼は、そこで人の快楽に奉仕する日々をすごしていた。
ある日amirの客として訪れたとあるsheikh(同じく族長)の接待に割り当てられ、彼は熱心に相手に尽くした。
いつか親切な男が彼を買い、今の生活から這い出せるかもしれない。それがNooriの夢であったが、かなわないこともどこかで悟っていた。

だからそのsheikhが旅立ちの前にNooriを買ったと聞いて、彼は驚いた。
sheikhは滞在の間、Nooriの体に指一本ふれなかったのだ。

Shahinというのがその男の名前だった。彼のために、Nooriはすべてを賭けて尽くそうと思う。
だがShahinは、奴隷を得ようとして彼を買ったのではなかった。
Nooriは奴隷の立場から召使いとなり、Shahinによって自分の意思や決断を持つことを求められる。それはNooriにとってとまどうばかりの、だが新鮮な暮らしだった。
そんな日々の中、Nooriの心はShahinを求めるが、寡黙な男は相変わらずNooriにふれようとせず…
.....



アラブ風のファンタジー。日本ではよく見るけどスラでは珍しい気がしますね。
全体にほのぼのとした雰囲気と、淡々とした話運びで、のんびり読める感じです。

Nooriがけなげで可愛い。奴隷の立場を必要以上に恥じたり悲観したりもせず、でもふってわいた幸運には涙を浮かべるほど喜ぶ。まだ子供っぽい、純なところが残っています。
彼はすぐShahinに恋に落ちて、それをほとんど隠そうとしませんが、肝心のShahinが何を考えているのかよくわからず、彼の一言ずつに右往左往してしまいます。
懸命に生きながら、新しい人生に出会って、少しずつNooriが希望を持ちはじめ、持ち前のしなやかな明るさを発揮して場をなごませる、その様子がほほえましい。

ShahinはNooriの知性や品格を見て、快楽奴隷にしておくのは勿体ないと自分のところにつれていき、彼に「自分の判断」を持たせようとします。
それまで奴隷としてひたすら人の言うことだけに従ってきたNooriに、人として自立する道を教えようとする。
そんな日々の中で彼もまたNooriの細やかな心遣いや、優しさに惹かれるが、自分の立場を使って無理強いするようなことは決してできないと、心の深くにそういう気持ちを封印しています。
これがまた寡黙と言うか、ほぼ用事以外はしゃべらない男で、族長としての責任をすべてに優先させるあまり、重荷を背負いすぎているのではないかと周囲に心配されている。前の妻が死んでから、彼が身近に近づけたのはNooriだけなのです。

寡黙な族長とけなげな奴隷、という鉄板カプで、いじらしいというか何ともじれったく話が進んでいきます。
手をつないでるだけで盛り上がったり、微笑を見るだけで幸せになったりしつつ、一向にちゃんとくっつかない。いい感じのじれったさです。

アラブ系の話が好きな人、けなげな奴隷が素敵な主人に買われる話がツボの人におすすめ。エロ少な!ですが、そこが楽しいんだ。
居心地がいい、読み心地がなんとも可愛い話です。

★アラブ
★奴隷

The Ghost and Mr. Moore
Ryan Field
The Ghost and Mr. Moore★☆ summary:
元ハリウッドの有名子役Dexter Mooreは、長年のパートナーとの破局を機に、娘をつれて小さな町の屋敷に移り住んだ。
噂によれば、その屋敷には幽霊がいるという。
何人もの持ち主が立て続けに変わったいわくつきの屋敷だったが、Dexterは気にしなかった。一目でその屋敷を気に入ったし、噂のおかげで破格の値段で買えたのだ。
ハリウッドを離れ、娘のそばにずっといても暮らしていける。何も心配はない。その筈だった。

だが彼は間違っていた。
第一に、その屋敷には本当に幽霊がいたのだ。
若い船長、Lang。この屋敷の最初の持ち主。彼はDexterの前に姿を見せる。
第二に、Dexterの元パートナーが投資に失敗し、彼らが築き上げてきた財産をすべて失ったのだ。

Dexterは幽霊と恋に落ちながら、どうにか金を稼ぐ方法を探し出そうとする。彼はもうハリウッドには戻りたくなかった。少なくとも、フルタイムでは。
生活密着のリアリティショーの取材を受けることにしたものの、それだけでは足りない。

意外にも、彼に答えを与えたのは幽霊であった。
.....



能天気なエロもの、というほどには能天気でもエロでもないんですが、何故かそういう印象の残った一冊でした。いい意味で。
Dexterの呑気さというか、おっとりしたところがそういう雰囲気を醸し出しているのかなあ。
ハリウッドの子役上がりで、かつては知らない者がいないほどのスター、その財産でパートナーとともにのんびり暮らして娘(養女でしょう)を育てているが、そのパートナーが19歳の青年に走って破局、娘と家政婦をつれて隠居。
嫌みなプロフィールなのに、非常になごむキャラです。
ゲイであることを自然に受けとめ、ゲイの多いビーチを散歩しつつ、「そう言えばストリッパーに憧れてたんだよな」と砂浜で彼ら相手にプライベートなストリップショーをしてみせたりする。それも毎日。おさわり禁止。
馬鹿なのか呑気なのか!でもかわいいんですよ。

幽霊が出てきた時も、Dexterは一度は否定するんですが、それにしても船長って格好いいなあと、あっさりエロっといってしまう。相手は幽霊だぞ、よく考えろ。
「金稼がないと」でリアリティショーの取材を受けたものの、「自分の日常なんてつまらないよな」と考え、どうにかならないかと相談した友人によって町の政治的な反対キャンペーンに巻き込まれ、「やるなら頑張らないと」でせっせとインターネットで発信したり、スピーチを暗記。ハロウィンでは気合いを入れて子供のために魔法の大釜(中にドライアイスを入れている)を用意し、自分は海賊の仮装にハイヒールブーツ。
真面目で、呑気で、愛らしい人だと思う。
そんな彼がふらふらと幽霊と恋に落ち、お互いを楽しくたぶらかしている(としか何だか言いようがない)のは何ともかわいい光景です。

もうちょっと幽霊のLangの方に性格とかエピソードがついた方がいいなあと思いますが(海でのエピソードとか聞きたかったな)、紋切り型でも「船長」というだけでとても格好いいし、Dexterにほれ込んでいるのも伝わってきます。
全体に嫌みがなく、楽しく読める話。最後はちょっとほろりときますが、やっぱりどこかおとぎ話っぽくて、後味もきれいでした。
重い話ばかり読んでいるとたまに息が詰まるので、こういう話は大好きだ。やや短めなのでさらっと楽しめます。

★幽霊
★元ハリウッドスター

Duty & Devotion
Tere Michaels
Duty & Devotion★★★ summary:
Faith & Fidelityの続編(Love & Loyaltyとも関連あり)

どちらもずっとストレートとして暮らしてきたにもかかわらず、はからずも恋に落ちた2人の中年男、MattとEvan。
Evanの子供たちもMattになつき、新たな家を買い、彼らの「家族」としての暮らしが始まった。
それは、決して楽なことばかりではなかった。

Evanは自分の新しい暮らし、事故で失った妻ではなくMattとの生活を、どう受け入れるべきかもがきつづける。
一方のMattは、Evanのために子供の面倒を見て家のことを取り回しながら、かつての「妻」がいた場所に自分がはめこまれつつあるのではないかという疑念が拭えなかった。Evanが今でも求めているのは、死んだ妻の影なのではないかと。

そしてまた、Evanは自分が「ゲイ」であることを受け入れられそうになかった。社会に対して。
Mattと二人きりの時ならいい。欲望や愛情を否定するつもりはない。
だが、彼は「ゲイ」として世間からレッテルを貼られたくはなかった。
そのこと──度重なる否定が、Mattを傷つけていることには気付いていたが、Evan自身にもそれはどうしようもなかった。

愛はある。だがそれだけで、2人の人間が新しい人生を作り上げていくことは可能だろうか。
.....



「Faith & Fidelity」は親父ふたりが人生下り坂だと思っていたら、いきなり男と恋に落ちてびっくり!な話でしたが、今作ではくっついた2人の「その後」を語っています。
これがなかなか、一筋縄ではいかない話。

そもそもEvanが一筋縄ではいかない男です。考えすぎるし、それを自分でわかっていてもどうしようもない。世間に対して身構えて、身構える必要があるのかどうか悩みながら、自分の中で新しい価値観を落ちつかせようとしている。
Mattはそんな彼のことはわかっていて、無理に彼の考え方を変えさせようとはしていない。けれども、時おりEvanが自分たちのことを否定しようとしているのではないかと思って、彼はこっそり傷ついている。
EvanはMattと──男と恋に落ちたくなどなかったのではないだろうか。

そんな些細な悩みの積み重ねがなかなかリアルで、それは彼らの気持ちをゆるがせるほどのものではないけれども、積み重なる小さな傷も痛いものです。
そしてそこに、「Love & Loyalty」でのJimの存在もある。一度だけMattと寝た男。今でも彼らは仲良しで、電話で語りあう。
Evanは彼に対して嫉妬している。そしてその嫉妬に、Mattは当惑します。

彼らと、Jimとその恋人(Griffin)と4人で食事をするシーンがあるのですが、まずEvanは人目のあるレストランでMattに近づきすぎるのを恐れている。そしてJimとGriffinとの隠さないスキンシップに居心地の悪い思いをしている。そんな彼の態度にMattは小さく傷ついて、でも仕方ないと流していて、それを見ているJimとGriffinは2人のために苛々している。
ぎこちなくなった雰囲気を救おうとGrifinが一生懸命場を取り持ってしゃべり続け、それを見るJimが「ああ、努力してるな」と心を痛めている、その様子が何だか可哀想です。4人ともに。

愛情ははっきりとそこにあって、彼らは彼らなりに幸福で、でも傷ついている。
そこから抜け出すにはどうすればいいのか。それとも、愛があるのにそれ以上のことを言うのは贅沢だろうか。

40すぎた男たちが自分たちの道を探していく、そんな様子が独特のリアルさで語られていきます。ひとつずつ、彼らはのりこえていかなければならない。

親父好きなら鉄板。「Faith & Fidelity」からね。できれば「Love & Loyalty」も読んどこう、というわけで、これ三部作なのかな。

★親父
★ストレート同士

★Three-Star rating system★


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