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His Convenient Husband
J. L. Langley
HisConvinientHusband★★★ summary:
Micah Jiminezは7歳で孤児となった時、貪欲な親族たちによってすべてを奪われ、あやうく施設へ行くところだった。
だが叔父が働く牧場に引き取られ、そこの経営者の一家に育てられて、まるで家族のように受け入れられた。
Michahはあの時の痛みと喪失、自分が得た幸運と恩を忘れたことはなかった。

二度とあんな思いをくり返すつもりはない。そして、愛する者たちの誰にも、あんな痛みをくぐらせたりはしない。

だが今や、牧場は危機に瀕していた。オーナーは年老いて病となり、その医療費は牧場の維持費を食いつぶしている。Michahはあらゆる手を使って金をかき集めたが、オーナーの死も、牧場の破綻も、時間の問題だった。

そんな時、彼はオーナーの遺言を発見してしまう。

遺言の内容に追いつめられたMichahは、ダラスでビジネスマンとして働いているTuckerに助けを求めた。
Tucker。オーナーの孫であり、Michahとは兄弟同然のように牧場でともに育った。
Michahはその頃からずっとTuckerに恋をしていた。そして18の誕生日、Tuckerとともについに一夜をすごしたが、TuckerはそのままMichahに背を向けてダラスへ去っていったのだ。
彼に救いを求めるのはMichahにとって最後の、プライドと痛みを呑みこんだ、ギリギリの決断だった。

やつれたMichahの来訪に驚き、遺言を見たTuckerは、ひとつの結論に達する。
その奇妙な遺言によれば、彼らが牧場を人手に渡さず相続する方法がまだ残されていた。Tuckerが結婚することだ。
そしてTucherは、Michahと結婚することに決める。牧場のためならMichahがノーと言わないことを、彼は知っていた。
.....



J.L.Langleyの新刊。「Innamorati」シリーズの1、ということで、シリーズものらしい。「Innamorati」というのはイタリア語で「恋に落ちた人たち」という意味らしいです。
そのシリーズ名にふさわしい、葛藤と渇望、さらにちょっとコミカルな部分も加えた一編になっています。

TucherはMichahが牧場に来た時からずっと、この年下の少年を守ろうとしてきた。彼が何を失ってきたか知っているから、Michahをすべてのものから守りたかった。たとえ彼自身からでも。
そして4年ぶりに現れたMichahを守るため、Tucherは結婚という手段に打って出る。
だが結婚は形だけのもので、すべてが終われば、また離れるしかない。そのつもりだった。

Micharが18歳の時なら年上のTucherが「つけこんでいる」ような気がして離れていこうとしたのもわかるんですが、22歳になったんだからもういいじゃん、くっついちゃえよ、とはちょっと思います。
でもTucherがMicharにあまりにもめろめろで、タガが外れそうな自分を怖がっているのも伝わってくるので、その気持ちもわかる。
2人は形式上の「結婚」をして牧場に戻り、伯父(相続を争っている)が納得して引き下がるまで頑張ろうとする。一緒のベッドで(相手にふれないようにしつつ)眠り、伯父の目の前であてつけのキスをして、寝室でちょっとエロい声を上げてみせたり。
たまに本気でキスしたくなったり、しちゃったりしますが、我慢我慢。MicharはTucherがいずれいなくなってしまうことを知っているし、Tucherは最後にはMicharから離れなければならないと思っている。
…もういい加減、幸せになろうよ。何故そこで耐えるかなー。

その意地だけでなく、2人の間にはまだまだ大きな溝がある。
何をおいてもMicharを守ろうとするTucherと、子供みたいに盲目的に守られるのは我慢ならないMichar。彼らは対立し、挑みあいます。なんせMicharはラテン系が入ってるので、気性も激しい。

重い部分もありますが、全体に可愛らしくて、互いが互いにめろめろなのに、距離を置こうとしてもがいているのが笑えます。
わりとあっさりと中編くらいの長さ。J. L. Langleyの割にエロは控え目。短いからか。
Tucherなんか嫌いだ!大好きだけど嫌いだ!と頑張るMichahが本当に可愛いので、「意地っぱり受け」とか、うっかりそれをつついてしまう「ちょっと傲慢な年上攻め(受け溺愛)」が好きなら鉄板のおすすめです。

ちなみにタイトルの「His Convenient Husband」の「Convenient」は「お手頃」とか「都合のよい」という意味ですが、「marriage of convenience」で「政略結婚」という成句になります。成程。

★偽装結婚
★遺言

The Happy Onion
Ally Blue
The Happy Onion★★ summary:
Thomas Stoneにはひとつ、絶対のルールがあった。雇い主とは、つきあわない。
過去の苦い経験から、彼はその一線だけは決して踏みこえまいと決心していた。

クラブの支配人の職を打診されてやってきた新しい町で、だが職も住処もしばらく保留ということになってしまい、Thomは頭をかかえる。
見知らぬ町で途方にくれたが、どうにか小さなレストランにバーテンダーの職を得ると、息抜きに出かけたバーで、彼は年上の男をひっかけて熱い一夜をすごす。

だが、連絡先も交わさぬままに別れた男が新しい職場のボスだとわかるまで、時間はかからなかった。

Philip Sorrellsは、一夜の相手を忘れられなかった。
金髪で、小柄で美しい顔の、Topを好む男。彼がレストランの新しい従業員だと知って、Phillは運命的なものを感じる。
だがThomが職場恋愛を拒否していることを知り、その意志を尊重して、無理強いはすまいと決めた。

問題は、彼らのどちらも、相手のそばにいると情熱を抑えきれないところだった。

惹かれあい、反発しあいながら、2人は互いの存在に落ちていく。Thomは踏み込むことを恐れ、PhillはThomの中にある火のような激しさに引きつけられて、ついついThomを挑発してしまう。
彼らはベッドの中ではパーフェクトなカップルだが、いざ向き合うと、対立してばかりでもあった。
.....



好きなのに、政治的信条とか自分の主義から対立してしまう2人の男の話です。
Thomは本当に可愛い顔をしていて、女の子扱いされたりもするようですが、それなのにと言うかだからこそと言うか、そう言われるのを激しく嫌っています。
人から甘く見られるのを嫌う。独立心が強く、ちょっとしたことで内側の激しさに火がつく。そうなるともう、手に負えない。

そんな年下の男にハマったレストラン経営者Phillは、町の急速な開発に反対していて、仲間と抗議活動をしています。彼もまた信条の男ですね。
優しくて、包容力があるが、許せないものは許せない。その点においては彼も頑固。
強情 vs 頑固。

PhillはThomに自分の信条に合わせてもらおうとは思わないし、そういう政治的なものを嫌う人がいることもわかっているので、あえて自分の活動の説明はしない。
でもある日、そのことがThomに知られて、Thomは怒る。Phillが何も言ってくれなかったことに、まるで子供扱いされたような気持ちになるのです。
その一方で、Phillが抱く開発企業への疑惑は、Thomにとっては噂をかき集めた言いがかりのようにしか見えない。何より、そこはThomに新しいクラブの支配人のポジションをオファーした会社でもある。

そのクラブで働きたいThomと、Thomを説得しようとするPhillは、勿論また対立します。
Thomは感情に流されて話を聞かないし、Phillは聞く耳を持とうとしないThomの頑固さを理解できない。結局彼らは怒鳴りあうか、激情のままにベッドにもつれこむかで、まともな話し合いに至りません。
どちらも相手が好きで、相手の存在が自分の人生を変えてしまう予感を持っている。でも、どちらもいざ向かい合うと、独立心やプライドの高さが邪魔をする。
その様子がもどかしくて、ちょっと笑えます。

恋人としてならいい、でも人間関係としては未熟。
そんな中で、もがきながら互いを、そして自分を見つめようとする2人の話が、ユーモアをまじえて描かれています。
激しい自我が対立し、恋心と情欲に引っかき回される。キャラは魅力的で、噛み合わない様子がなかなかにリアル。喧嘩して、怒鳴りあって、プライドをぶつけ合い、うんざりして、それでも互いが恋しい。
ぶつかり合いながら、少しずつ、彼らは信頼を覚えていく。
恋を通してお互いに変わっていく話というのはいいですね。自分を変えるだけの決心をするのは、とても勇気のいることだと思う。

可愛い強気な年下攻めが好きな人、強気同士が好きな人におすすめ。

★年下攻め

Brier's Bargain
Carol Lynne
Brier's Bargain★★☆ summary:
Brier Blackstoneは数年前まで、生涯のほとんどを病院ですごしてきた。
まだ幼児の頃、父親の虐待で頭に傷を負ったため彼は知能の発達が標準よりも遅れ、感情のコントロールが難しい。虐待から保護するために、政府は彼を家族と離した。
ほんの十年前まで、双子の弟すら彼の存在自体を知らなかった。

その弟の尽力によって、Brierは病院から出て人並みの生活を営むことが出来るようになり、ボディガードの会社の事務として働くまでに回復した。
そして、その会社で想像もしてなかった素晴らしい相手と出会った。
Jackie Benoit──会社のボディガードスタッフの一人。
Brierの恋人。

そのJackieが中東の任務でひどく負傷し、片足を失って帰ってきた。

Jackieはこの無垢でひたむきな恋人を愛していた。彼が乗りこえてこなければならなかった過去も知っている。かつて病院を脱走し、感情のままに罪を犯したこと、収監された病院で性的虐待を受けていたこと。
それをのりこえ、ハンディキャップを持ちながらフルタイムで働き、様々なことにチャレンジし始めたBrierの姿は、Jackieが自分の傷と向き合うための力でもあった。

だがまだBrierの心は脆い。
そんな時、性的虐待の加害者が捕まったとFBIから連絡があり、JackieはBrierにどう話したものか悩む。FBIはBrierの調書を取りたいと言うが、ふたたびあの体験を思い出させるのは気が進まない。

しかしBrierの覚悟は決まっていた。Jackieや、双子の弟が思う以上に。そしてきっと、彼らが望む以上に。
.....



Brierは軽い知能障害があるけれども、きちんとまっすぐに物事を考える人です。彼なりの筋道を立て、人のことを思いやりながら生きている。36歳。
Jackieは彼の初恋。
そのJackieが中東へ仕事へ行ってしまっている間、淋しさのあまり感情的にめちゃめちゃになって双子の弟を心配させたりしてしまいます。

でもJackieが負傷して帰ってきてから、Jackieの世話をし、そばで暮らしながらBrierの気持ちも落ち着いていく。
そんな彼のひたむきな様子と、彼にめろめろのJackieの様子がかわいらしい。また実際、Brierの弱いながらも凛としたたたずまいが綺麗で、Jackieの気持ちがまっすぐ彼に向かっているのもつたわってくる。
JackieがBrierの面倒を一方的に見ているわけでも、子供のように扱っているわけでもなく、彼らは互いに支えあう対等な恋人同士なのです。そこがいい。

周囲の人間はBrierを守ろうとするけれども、Brier自身は段々と自分の頭で物事を噛みしめ、自分の足で歩こうとしていて、その覚悟は時たま周囲とぶつかる。
そのBrierの気持ちの変化と、それを受け入れていかざるを得ない周囲との変化が書かれています。

読み始めて、知能障害というのはあまり好きなテーマではないので迷ったのですが、とてもおもしろかった。読んでいる間も、読後感もいい。兄に罪悪感を感じながら過保護にふるまう双子の弟もかわいい。
作者のCarol Lynneは前にも下肢の障害がある人の話を書いたりしていたので、何らかのハンディキャップ(精神的な弱さとかも含む)をかかえたテーマが好きなのかもしれない。うまくツボを押すエピソードが重なっているけれども、決してお涙ちょうだい系でもありません。
この作者のキャラは根がポジティブでたくましいので、重いテーマでも話が暗くならないのかな。性格はわりと乙女っぽかったり繊細だったりするんだけど、それでもどこか前向きで、世界を信じている感じがします。

Brierが過去をのりこえ、自分の新しい一歩を世界に刻んだことが、最後の騒動からもよくわかる。
世界は彼にとって優しい場所ではないけれども、彼はまだその世界を信じ、人間の善意を信じている。Jackieが、Brierの視点を通して見える世界が美しいと思うのも無理はない。

この「Bodyguards in Love」は作者の新しいシリーズで(まだ全部読んでないんだけど、代表作のCattle Valleyシリーズが終わったのかな?)、このボディガード会社を舞台に進んでいくと思う。
見るからにゲイばっかりの会社ですが、まあそれもよし。先が楽しみです。

ある意味かなり極めた「包容攻め×けなげ受け」なので、そういうシチュ萌えの人に特におすすめ。エロも多めで、全体に楽しく読めます。

★障害
★保護欲

My Fair Captain
J. L. Langley
My Fair Captain★★★ summary:
銀河空軍の艦長であるNathaniel Hawkinsは、家を捨てて軍に入り、二度とその家には戻らなかった。
だが提督は、彼にその「家」の名前と伯爵としての身分を使って潜入任務を果たすよう指示する。奪われた武器の行方と相手の正体を探るために。
Nateはその任務を引き受け、惑星Regelenceに向かった。

潜入先のRegelenceでは、完全に生殖がコントロールされ、貴族社会は男性のみで構成されていた。
そこにはかつて地球文明に存在した宮廷の作法がいまだ息づき、未婚の、25歳以下の男性はかつての「令嬢」たちのように純潔を求められ、誰かと関係を結ぶことはおろか、つきそいなしで出かけることすら許されない。

王の三男、19歳のAiden Townsendの望みはただ絵を描くこと、絵書きになることだけだった。伴侶を得ることなど考えたこともない。
ある日、木の上でいつものようにスケッチに没頭していたAidenは、木から落下した自分が年上の男にかかえられているのを発見する。Deverellの伯爵、Nathaniel Hawkins。抗うにはあまりにも魅力的な男。

NateもAidenとの間に惹かれあうものを感じていた。
だがそれは許されるものではない。彼には仕事があるし、Aidenはまだ19歳で、しかもオフリミットな存在だ。

そんな時、何故かAidenのスケッチパッドが盗まれ始め、ついに彼は命を狙われる。
一体誰が、何の目的で? そしてそれはNateの任務と関わりがあるのだろうか?
.....



階級社会が厳然として生きている(ヴィクトリア朝あたりがモデルかなあ)惑星Regelenceの物語。
生活も服装も古風ですが、技術は非常に進んだ社会です。

Regelenceの王と伴侶(この人がまた格好いい。元殺し屋らしいのだ!)の間には、5人の子供がいる。遺伝子技術で2人の遺伝子を継いだ実子です。
Regelenceの人々はかなり活発な気質で、いざとなると恐ろしい戦士になると銀河でも恐れられていますが、この5人の子供──のうちの4人──も、とてもやんちゃでトラブルメーカー。何しろ王宮のセキュリティをハッキングして、システムを全部落として脱走とかしてしまう。
5人のうち長兄は責任を重んじる性格ですが、あとの4人はつねに親や周囲を引きずり回している。
その三男がAidenです。

J. L. Langleyらしい、不屈で明るいAidenと、強く何物にも曲げられない誇りを持つNateの組み合わせが、ぐっとツボ。
Aidenは箱入りで、外界のことを知らず、ただ絵を描くことだけを望んでいる。絵を描き始めると周囲のことなどまったくおかまいなしになってしまう彼を、両親はいつかとんでもないトラブルに巻き込まれるのではないかと心配しています。
Nateは多分40ちょっと前くらい(探して読み返したけど年が見つからなかった)。18年前に故郷を逃げるように去って、軍で自分の地位を作り、様々な武功を経て己の艦を手に入れた、まっすぐ見据えられると誰もが震え上がるような、鋭く強靭な男です。

そんなAidenとNateは一目で恋に落ちるけれども、どちらもそれぞれの理由で関わりをさけようとする。でもどちらも、互いへの気持ちを抑えようがない。

エロも熱々で、Nateの支配欲がそのままBDSMという形に向かうのを、Aidenはどこまでも受けとめる。Nateが求めれば求めるだけ、許す。無垢で純粋な筈のAidenがNateのもたらす熱の中に落ちていく様がじつにエロティック。
ほいでもってそんなAidenに、Nateはどんどんめろめろになってしまうわけです。

恋と、盗まれた武器の捜索と、その裏にある大きな陰謀が絡み合って、割と長い話ですがどこも飽きさせない。笑いどころも多いです。
周囲のキャラも生き生きしていて、彼らの様子もすっごく楽しい。
Nateの養子であり頭痛とトラブルの元でもある「Trouble」と、王の長子のRexleyのふれあいなんか、笑えるけどじんとくるなあ。
あと、Aidenの父親2人の話が読みたいんだよね。あちこち拾ってつなげるに、当時王位後継者であった少年が殺し屋と恋に落ち、自分の婚約を破棄してその恋をまっとうしたらしい。何て萌えシチュだ!
5人の子供がそれぞれに情熱的なのは、親の血からくるものなんだろうな。全員、キレると怖そうだし。

ラブラブでめろめろな話が好きな人、年の差保護者攻めが好きな人におすすめ。

★軍服萌え
★甘エロ(軽いBDSM)

The Englor Affair
J. L. Langley
The Englor Affair★★★ summary:
Regelenceの王宮から武器が盗まれた事件はNateたちによって解決されたが、より大きな陰謀の存在をも明らかにした。
誰が裏にいるのか確かめるため、Nateは惑星Englorへと向かう。

Regelence王の第二子Paytonは、ハッキングの腕前をたよりにされてNateに同道した。
身分は明かせない。慎みが求められる未婚の王族が自由に動き回っていることがばれれば、Paytonの名誉は地に落ちるだろう。

一介の従卒としてNateにつき従ったPaytonは、Englorの海兵隊大佐Simon Hollisterに出会う。
Simonはただの軍人ではなかった。彼はEnglorの女王の一人息子であり、王位の継承者だ。

Simonに惹かれながら、Paytonは迷う。この関係が明るみに出れば彼の名誉は地に落ちる。
だがもし任務を終えて故国に戻れば、Simonとは二度と会えまい。
ただ1度の恋。見つからなければ、誰にもわからない。それに手をのばして何が悪いだろう。

Paytonの身分を知らないまま、Simonはこの小柄で、活発で、勝ち気な年下の青年をどうにかしてそばに置けないものだろうかと思っていた。
そんなことはこれまで1度もなかった。誰と関係を持っても、遊びに飽きればきれいに別れる。それがSimonの楽しみ方だ。
だが、Paytonには何かがあった。王族としての人生を送る限り決して見つけることがないだろうと、Simonがあきらめていた何か。彼の心をわしづかみにする、何かが。
.....



前作「My Fair Captain」のAidenのひとつ違いの兄、ハッキング帝王のPaytonの話。
やはり弟と同じように活発で、不屈で、純粋で、なかなかに保護欲をそそる可愛い受けです。Regelenceの遺伝子の問題だと思うけど、みんな小柄で強靭。

Simonの国(というか惑星)Englorは、同性愛は違法でこそありませんが、表向きにできない後ろ暗い関係です。
そんなEnglorの王位継承者、SimonはPaytonと恋に落ちてしまう。

Simonがまたさわやかで強い。理想を通そうとして退廃の王宮に背を向け、自らの力で人生を切り開いてきた。傲慢なところもあるけれども、自信に満ちた態度と相まって美しい男です。キリリとして、じつに輪郭が強い。
彼はPaytonの正体を知って仰天するけれども、決してそこでびびったりしない。逆に好機とばかりに、Paytonとの関係を公式のものにしてしまう。
でもそれで恋がかなった筈のPaytonは、自分たちの関係が純粋なものではなく、政略的な計算の結果ではないかと思って、思い悩むのです。幸せなのに苦しい。純情だから仕方ないな!

Paytonをめろめろに溺愛しながら、あまりの忙しさにPaytonの迷いに気付かないSimon。
Simonのために尽くそうとして、ひとつひとつの言葉に傷つきながらもそれを隠して働くPayton。
鉄板の傲慢攻めとけなげ受け。

前作より笑いの要素は影をひそめていますが、その分Paytonのけなげさが際立って、カプとしてすごくおいしい話になってます。
好きだけど、こんなことしていいわけがない!とか、好きだけど、こんなに好きなのは自分だけかも!とか、ぐるぐるしてる様子がすごく可愛い。
勿論、陰謀を追うストーリーもきちんと書けていて、おもしろいです。

余談だけど、これがJ. L. Langleyを読んだ最初でした。
読んだきっかけは、「読者が選ぶ表紙大賞」みたいなのに選ばれていたから。…正直、そんないい表紙には見えなかったので、それで大賞を取っているならきっと内容がおもしろいにちがいない!と思って買ってみたのでした。で、大当たりを引いたんだけども。今でも表紙大賞についてはよくわからない。
しかし胸毛好きだよね、あっちの人は。

前作を楽しく読んだ人には勿論、絵に描いたような「格好いい攻め×けなげ受け」がツボな人におすすめ。
単独でも読めないことはないけど、キャラ名がわからなくなるので前作読んでおく方が楽しいです。

★甘エロ
★政略結婚?

Blood Slave
Kim Dare
Blood Slave★☆ summary:
Keatsは吸血鬼がいないということを認めたくなかった。友人のLelandに、超自然的な存在を探してうろつき回ったり変なパーティに出たりするのはやめると約束したものの、彼はまだそういうものに惹かれていた。
吸血鬼のふりをした人々が集まる、無害なパーティ。それに出るのは約束破りにはならないだろう。
そう思って参加したパーティで、彼はまさに、ばったりと友人のLelandに出会う。

Lelandはもう何ヶ月も、Keatsを噛みたい欲求をこらえてきた。
だが、ハロウィーンの夜、まさに吸血鬼たちが獲物をむさぼろうとするその宴の場所で、好奇心のまま呑気にさまよっているKeatsを見た時、その自制心も吹き飛びそうだった。
Keatsは何を考えているのだ? Lelandが彼を下僕として認めなければ、Keatsは多くの吸血鬼の欲望のままにむさぼられる。だが下僕として宣言すれば、Keatsを自分の物として保護はできるが、それは完全にKeatsがLelandに従わなければならないと言うことを意味した。

吸血鬼と人間は、主人と下僕。それ以外のものではあり得ない。
だが陽気で不屈で、度し難いユーモアのセンスを持つKeatsを、この愛しい友人を、Lelandは下僕として慣らすことが出来るのか?
.....



吸血鬼もの、そしてBDSM、というカテゴリにもかかわらず、ユーモア小説です。
なんつーか、Keatsがかなりぶっとんでるというか、肝が据わりすぎていて、自分を守ろうとしているLelandの鼻っ面を引き回しているようなところがあって、それが度をすぎると笑えてきます。
いやもう、奔放というか、欲望に忠実というか。

Lelandはいい男で、吸血鬼としての風格も、主人としての威厳も備えていますが、Keatsはそんなものには縛られません。言いたい放題、やりたい放題。
それを上から押さえつけようとするLeland。LelandはKeatsを守りたいのです。だが、Keatsはしたたかに、彼の支配をやり返す。

Keats自身はBDSMが好きで、Lelandが好きで、Lelandと主従の関係になるのに否やはありませんが、それが自分の人間性を無視した一方的な関係になるのは受け入れられない。彼はただLelandと楽しみたい、そしてそのためならわりと恥を知らない男でもあります。

シチュが耽美で、吸血鬼と人間の支配関係なのに、内面は「もう勘弁してくれ」の主人と「わああ楽しい」の下僕の話。結局ラブラブだけど。
わりと短くテンション高め、ややトンデモ。
ユーモア系が好きで、何か困ってる主人とか見ると萌える!の人におすすめです。

★吸血鬼×人間

Death of a Pirate King
Josh Lanyon
Death of a Pirate King★★★ summary:
Adrien English Mysteriesシリーズ4。

ミステリ書店を営むAdrien Englishは趣味でミステリを書いていたが、デビュー作がハリウッド俳優Paul Kaneの目に留まり、映画化の話まで舞い込んできた。
Adrienは招待されたパーティに出かけて、ハリウッドの人間を映画化の味方につけようとする。

だがそこで殺人事件が起こり、その捜査にやってきたのはJake Riordan──Adrienの昔の恋人だった。
2年ぶりの再会は、Adrienの気持ちをかき乱す。

Adrienをパーティに招待した俳優Paul Kaneは、どうやらJakeと古い知り合いらしい。Adrienが事件に首をつっこんできた話も知っている様子の彼は、Adrienにこの殺人事件を調査してくれないかと依頼してきた。
驚いたことに、Jakeまでそれに同意したのだった。かつて、Adrienが事件に関わることを何より嫌がった男が。
Adrienは気が進まないが、Paulは映画化の話を彼の鼻先にちらつかせ、仕方なくAdrienはJakeと協力して事件を調べ始める。

それはいい考えではなかった。2年たってもAdrienとJakeの間にあるものは何も変わっていなかった。
そしてAdrienは、JakeとPaul Kaneの間に秘密があることを知る。ずっと前、まだAdrienがJakeに出会う前からの暗く深い秘密は、Adrienへ闇のようにしのびよって‥‥
.....



Adrien Englishミステリシリーズ4作目(3冊目だけど)。
Adrienは相変わらずシニカルで、独特のユーモアセンスから世の中を斜めに見ていますが、「Jakeと別れてからますます孤独に、ますますきつくなった」と母親やみんなに言われてうんざりしている。
新しい恋人とはなじんでいて、特に相手に不満はない。だが何かが足りないような気がしてならず、どこか決定的なものが欠けたまま、そんな日々の中で彼はJakeに再会します。

この話はとてもきつい話で、読んでいる途中に何度か読みすすめられなくなったりしました。Adrienは傷つくだろう、という予感がひしひしと物語の中から押し寄せてきて、つらい。彼は勇気があるけれども、とても繊細で孤独です。人にたやすく心をひらくたちではない。
かつてJakeだけはAdrienの深いところまで入りこんできた。だが彼らの関係は、かなり衝撃的な形で、前作で終わっています。

その傷がまだAdrienの中に生々しく残っている。そのことを自分からも隠すように、Adrienはシニカルに振る舞ってJakeと捜査を進めるけれども、すぐそばに奈落が口を開けているようなひやひやする展開です。
Jakeが苦しんでいるのもわかる。まだAdrienを求めていることも。それはわかるが、この男は本当に困ったもんだと思います。「また友達になれないか」とかさ。
ゲイであることを隠し、「ノーマル」な生活の為に色々なものを犠牲にして、心に多くを抱えこんだ本当にいい男なんだけど。つらい。

もっともAdrienも傷ついてばかりではなく、人を傷つけたり、まちがった判断をしたりする。彼には彼の弱さがあります。
誰もが弱さをかかえ、誰もがもがいている。

捜査は、古い時代の不審死まで遡り、Adrienは犯人にたどりつくのです。
ラストの方でAdrienが犯人に仕掛ける罠はちょっと陳腐で無茶じゃないかと思いますが、それもAdrienがJakeを守ろうとするからの無謀で、それが切なくもある。ドラマティックで、最後の最後に裏切られたと感じるAdrienの痛みが鮮やかです。
痛みと恋と、AdrienとJakeの人生の交錯が見事に描き出されていて、時おり息苦しくなるほどの緊張感が味わえます。
恋は人の価値観を、その人間がしがみついて守ってきたものを変えることができるのか。Jakeは、Adrienのために変われるのか。彼らの人生はどこへ向かって行くのか。

やっぱりこのシリーズは名作だと思う。この中には人生がある。
というわけで、「小説」をがっつり読みたい人におすすめ。シリーズの頭から読まないとなりませんが。
気楽な読書ではありませんが、プラスにもマイナスにも気持ちを揺さぶられる、それは読書のひとつの醍醐味だと思います。

★病弱
★再会

★Three-Star rating system★


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