Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
→このブログについて

[タグ]キーワード:人見知り の記事一覧

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Quinn's Hart
Cassandra Gold
Quinn's Hart★★☆ summary:
Quinn Delaneyはこれまで出会いに恵まれたことがなかった。6フィート7インチ(約2m)と身長が飛び抜けて高く、シャイな彼は、36歳になる今まで人とうまく接することができなかった。
彼は、酒のみの父親をなくしてから施設で育った。そこで出会った友人が、今やただひとりの彼の家族であり、親友だった。

その彼女のたのみを断りきれず、人数を合わせるために、Quinnは独身ツアーに参加する羽目になる。
ストレート、ゲイ、レズビアン、それらの独身者がごっちゃになってディズニーワールド行きの旅をするのだと言う。
Quinnは旅がひどい結果に終わるだろうと思いつつ、仕方なく参加して、初日から身の縮むような思いをしていた。

31歳の小児科医Josh Hartは、勉強ばかりであまり子供らしい子供時代をすごしたことがなく、はじめてのディズニーワールドへの旅に年がいもなく胸をときめかせていた。
一緒に行く筈だった恋人がつれなく彼を去ったが、幸い、旅行会社の女性は彼の旅をシングルツアーのキャンセルの中に押し込んでくれたのだ。
そしてその旅で、彼は大柄だが優しく、シャイで、殻にこもったQuinnと出会う。
Quinnは彼の「タイプ」ではない──だが、いつもこわばっている彼が笑顔を見せた時、Joshはその笑顔から目を離すことができなかった。

Quinnにとって、Joshはほとんど「理想の男」だった。そんなJoshが自分に興味を示していると感じながら、Quinnは自分の望みを否定しつづける。そんな筈がない。そんな幸運が彼を訪れるわけがない。
だがそれでも、一縷の望みが心の中に残る。
わずかな最後の勇気、Joshと向き合うだけの勇気を、果たしてQuinnは奮い起こせるだろうか。
.....



シャイで引っ込み思案で自分の価値に気付いていない男と、殻に隠れた彼の素顔に恋するいい男。「俺はあいつの本当の価値を知っている」みたいな。
わりとよくあるパターン(だって鉄板だしね!)ですが、その中でもかなりいい雰囲気を醸し出している一作です。

その雰囲気の良さは、繊細なキャラクターによるところが大きいと思う。
Quinnは後ろ向きで、自分を低く見て、Joshの好意もいちいち「親切だから自分をかわいそうに思ってくれたんじゃないか」とか「やっぱり俺は邪魔なんじゃないか」とか勘ぐります。
でもその後ろ向きさは、あんまり陰険なものではなくて、あくまでおだやかです。たまにいる「ドラマクイーン」タイプの悲劇の主人公ではなく、ただひたすらにシャイ。
これまで傷つけられてきた過去を抱き込んで、Quinnは静かです。

Joshは多分、これまで見た目のいい派手な、自分とつり合うような相手とつきあってきたんじゃないかと思う。途中で出てくる彼の元彼も、まさにそういうきらきらしたタイプ。
誰もが「Quinnはお前のタイプじゃない」と言い、Josh自身もそう思いますが、Quinnにゆっくりと確実に惹かれる自分を否定もしない。Quinnの中を見て、そこにある正直さや、くつろいだ時のQuinnの笑顔やジョークにくらっとする。こちらもまっすぐでいい男です。

シングルツアー(しかも毎日テーマパーク!)という、「非日常」の中での出会いと恋ですが、勢いに呑まれているというよりは、互いをちゃんと見つめて、確かなものを作り上げていく恋愛模様です。
周囲の人間たちも彩りよくて、友人同士になったほかの男たちとか、Quinnに目をつけて「俺を縛って叩いてくれないか」とか言っちゃうちょっとお馬鹿な男とか、いい味出してます。最後の方にQuinnが彼を冗談で撃退するのはいいシーンですね。最初に「縛って」と言われた時はもう凍りついて、その場から逃げ出してしまい、みっともなく逃げたことに落ち込んだりしてたのに。

Joshが一方的にQuinnを殻から救い出すのではなく、2人は出会いの中でゆっくりと、互いの存在を認め、自分の価値に気付いていく。
Quinnもまた、Joshのよき理解者であり、時に彼を守る。そのバランスがとてもよく、読んでいて味わいの楽しい一冊です。

シャイな大男に萌える人は鉄板。「殻にこもった繊細な男」のシチュが好きな人におすすめ。
タイトルの「Quinn's Hart」の「Hart」はJoshの名字であると同時に、「Heart」や「Hurt」とかけてるのかなあ…と。わかりませんが。
しかしこのツアー、うっかりすると無法地帯になりそう。

★人見知り
★独身者ツアー

Angel's Evolution
T.A. Chase
Angel's Evolution★★☆ summary:
彼はモンスターだった。
父親は彼を鎖でつなぎ、鞭で打ち、彼の中のモンスターを殺そうとした。

恐怖と憎しみの檻の中で育ちながら、彼は父に連れられ、社交界へと一歩を踏み出す。父親の後継者である彼には、身分のある子女と結婚する義務があった。
だが人を恐れ、女性に惹かれない彼に、そんな未来は何の意味もない。
生き続けることは、痛みと恐れに支配され続けることだけを意味した。

そんなある夜、彼は美しい金髪碧眼の男に出会う。
その男は彼を「Angel」と呼び、彼にくちづけた──
何よりも美しいものを見るように、彼を見つめた。

もしかしたら彼は、父親が言うような怪物ではないのだろうか?

この痛みをこえて生きのびてきたことには意味があるのだろうか。父親の言葉と鞭から逃れたとして、未来には何かがあるのだろうか?
信じるほどの価値のあるものが、まだこの世にはあるのだろうか。
.....



イギリスを舞台にしたヒストリカル貴族物。
父親から「怪物」と折檻をうけつづけ、一度は命を絶とうとした青年、「Angel」の話です。
勿論本名は別なのですが(一度だけ本編内で言及されます)、Angelと謎の男が呼んでから、彼はAngelとしてだけ語られていきます。

父親は色々な過去の事情から、Angelが男を好きなのではないかと恐れ、彼がまだ子供の頃からとじこめ、罰を与えてきた。
Angelは実際に男性に惹かれているのだけれども、その意味をまるで知らない。あらゆるものからへだてられてきたので、ある意味非常に無垢で、純粋で、欲望の意味も快楽の存在も知らないのです。
そんな彼を導こうとするのはNorthampton公爵、国王の腹心でもある男、Grayson。
GraysonはAngelを見た瞬間に運命を感じますが、Angelは恐怖に目がくらんでいて、なかなかそこにある真実を見ることができない。
そしてGraysonの愛情を知ってからも、それが続くものだとは信じられない。

打ちのめされ、望みを失っているAngelを年上の男が導いていく話ですが、闇から這い上がらなければならないのはAngel自身で、彼はGraysonにもたよらず、自分の足で立つ方法を探さなければなりません。
Angelのもがく様子、彼の中にあった独立心の目覚めなどが細やかに書かれていて、ドラマティックな感情描写がちりばめられた一冊。

その裏で、Angelに対してさりげないサポートをしてきた叔父と、その叔父が持つ過去の痛み、Graysonがかつて送ってきた愛のない結婚生活とその報いの後悔、かつて失った恋の痛みを抱えてAngelに近づく謎の男など、周囲の様子も濃密です。
「怪物」と罵られ、己が怪物ではないか、自分の行く道は悪魔の道ではないかと闇の中でさまよっていたAngelが、最後の最後に、己の望みや意志を解放するシーンが鮮やか。
T.A. Chaseにしては珍しいほど文章が大仰だったりするのも楽しいです。やっぱり貴族ものはこうでないと!

虐げられてきた受けが救われる話が好きな人、ヒストリカル貴族ものが好きな人におすすめ。

★虐待
★エロ多め

Duncan's World
T. A. Chase
Duncan's World★★ summary:
20歳のKyle MacDonaldは、つねに頭を低くして怒りっぽい父親の逆鱗にふれるのを避け、人の視線を引かないようにしてきた。
ブル・ロデオのツアーに参加する父親に同道して、父と兄の身の回りの面倒を見ながら、父親の虫の居所が悪い時には殴られる。酒を飲まなければ悪い父親ではなかったが、最近では飲んでいない時の方が少なかった。
勿論Kyleは、自分がゲイであることもひた隠しにしていなければならなかった。

そんなある日、人気のロデオカウボーイDuncan HornsbyがKyleに話しかける。

DuncanはKyleの父親のライバルでもあり、Kyleよりも17歳年上の男だったが、KyleはずっとDuncanに憧れていた。
ロデオのスターであり、何でも手に入れられる、何ひとつ不自由しない筈のDuncanが自分に近づく理由はわからず、そして父親の不興を買うことも恐れながら、Kyleは急速にDuncanとの距離をつめていく。

シャイで控えめなKyleは、Duncanの内側の保護欲を強く刺激した。
これまでDuncanはロデオサーキット周りでゲイであることを悟られないようにしてきた。だが、今回ばかりはリスクに値するかもしれない。
Kyleが自分の殻を破って、自由に歩き出す姿を見てみたい。

たとえそうして世界に対して目をひらいたKyleが、Duncan以外の誰かを選ぶとしても。
.....



英文のあらすじに「Kyleより14歳年上のDuncan」ってあるけど、本文に17歳差とあるのでそっちを優先。17歳差の方が萌えるし!
カウボーイものは最初「カウボーイジャンルがあるなんて変なの」と思ってましたが、今ではかなり要チェックジャンルになっています。大抵、保守的でマッチョな社会でのカミングアウトの重さか、ホームドラマ要素が色濃く入ってくるのが特徴。
今回はその両方。

頑迷で乱暴な父親と、そのミニコピーのような兄に従い、ひたすら頭を低くして暮らしているKyle。
Duncanはそんな彼の中の繊細さに惹かれ、縛りつけられている若さを解放してやろうとする。
それで結局、目が覚めたKyleが俺を去っていくとしてもそれはその時のことさ、と余裕っぽく構えるのがいかにも大人のカウボーイ。まあ内心、そんなことになったら相当傷つくだろうことは覚悟の上ですが。
誠実なDuncanと、シャイなKyle。愛らしい組み合わせです。ふたりとも互いに誠実で、ちょっととまどいつつ、道を探そうとする様子がかわいい。

若いKyleが段々と世界と自分の可能性に目覚めていく過程が書かれています。もともと独立心がないわけでもなく、ただ抑え込まれていただけなので、1度気付いてしまうと頭を低くし続けていることには耐えられない。
怯えて下を向いていたKyleが生き生きと人生を楽しみはじめる様子は、読んでいても気持ちいい。
家族の葛藤もあり、エロもあり、カウボーイは大量に出没し、全体にテンポよくたのしく読める一作となっています。つうか誰かあの兄貴を一発殴ってやってくれんかな。

年の差ものが好きな人におすすめ。

★年の差
★父親からの自立

Taurus: All That You Do
Jamie Craig
Taurus: All That You Do★★ summary:
アンティークの店主Christopher Gleasonは、いつも注意深いスタンスを保ってきた。友人たちをトラブルから遠ざけ、悩みを聞き、彼らの「保護者」のようにふるまうことにも慣れていた。

そんな友人のひとりにつきあってゲイバーに行った彼は、そこにいたシャイで場違いな若者、Gage Kimballに気持ちをかき乱された。静かで、どこか自信なさげで、それでいてその向こうには情熱がひそんでいそうなGageのたたずまいは、Christopherを惹きつける。

Gageはモルモン教の家で育ち、ゲイであることを家族から拒否され、ギターだけを持ってソルトレイクを去った。傷心のままLAにたどりついた彼は、孤独だった。
多少やけっぱちな気持ちで足を踏み入れたバーで、おだやかなChristopherに出会い、Gageははじめての男とのセックスに向かって一歩を踏み出す。
それは新たな世界の入り口になるはずだった──Christopherが、Gageを未経験だと知り、背を向けて去るまでは。

Gageは混乱し、傷つき、望みがないと思いながらもChristopherに惹かれる気持ちをとめられない。
そしてChristopherもまた行き詰まっていた。Gageと友人としての距離を保ち、彼を守ろうとしながら、Christopherはこの若者から目を離すことが出来なくなっていた。

2人は微妙な距離を置き、互いを遠くから見つめる。
.....



「Boys Of The Zodiac」というシリーズ(大勢の作家がそれぞれ十二宮を書くらしい?)の一作。タウロス、牡牛座は「何があろうとあなたを守る」らしいです。

Christopherはとても落ちついた、おだやかな人間で、祖父から引き継いだアンティークショップを経営している。
友人が(やや皮肉も込めてでしょうが)「He's the oldest thirty-one-year-old I've ever known.」と評するシーンがあるほど。いつも友人たちの面倒を見て、皆で飲みに行けば彼が運転するか、タクシーを手配する。
そういう人っていますね。みんなから大切にされているけれども、どことなく微妙に貧乏くじをひいてたり。保護者というスタンスに慣れていて、落ちついているけれども、誰かにそれ以外の自分を見てほしいと思ってもいる。

一方のGageは痛みと夢とをかかえて、音楽で身を立てようと故郷を去った。ゲイであることで、家族も宗教も捨てなければならなかった彼の傷は深い。
それでも前へ進もうとしています。
彼ら2人は惹かれあうけれども、Christopherの拒否とGageの痛みが彼らの間に大きな距離をあけてしまう。

GageはChristopherの拒否を受け入れようとしてもがき、ChristopherはGageの保護者というポジションにおさまろうとする。誰に対してもそうだったように。
ですが、彼らの間にあるものはどんどん濃密になっていって、どちらもそれを無視できない。
その間にもGageは淋しさから刹那的な恋人を作ってしまいます。彼は孤独で、好奇心と欲望を持て余している。Christopherは嫉妬に気持ちが痛みますが、彼の理性と保護欲は、あくまでGageに対して「いい友人」というポジションを崩させない。お互いに、それぞれの理由で足踏みをしています。

2人の距離の開け方がなかなか憎い感じで、読んでいて「くっついちゃえよ!」と思うのが楽しいです。
語数の割にさらっと読める感じで、もうちょっと時間をかけてじりじり近づいてもいいかなあーと思いますが、保護者系攻めが好きならツボの一作。
作者の「Jamie Craig」ってのはPepper EspinozaとVivien Deanの共同ペンネームだそうです。

★保護者攻め
★初体験

Take My Picture
Giselle Ellis
Take My Picture★★★ summary:
Aaronは有名な写真家のスタジオに足を踏み入れた時、何の考えも持っていなかった。家賃を払うために職を必要としていただけで、写真家のアシスタントがどういう仕事をするのかも、相手がどんな写真を取っているのかも知らなかった。

職を求めて現れた大勢の前に、若い写真家が顔を見せ、ほかの誰にも目もくれず、Aaronを指さした。
「あれがいい」
その瞬間、AaronはJakeが頭がおかしいかシリアルキラーなのだと思った。何も聞かずにアシスタントを雇うなんて、どう見てもまともではない。

それから5年、JakeのスタジオにはAaronの居場所がすっかりできあがっていた。
JakeはAaronのために陶芸のろくろと窯までスタジオに買い込み、仕事明けの夜中に彼が壺を作るために危険な夜歩きをしなくてもいいようにした。
彼らは怒鳴りあい、下らない悪口と冗談をかわし、気分屋でスタジオを離れないJakeのためにAaronは色々な用事をこなし、奇妙な要求にも応じた。
Jakeが夜中に電話をかけてくればいつでもそれを取り、"I'm still here." と答えて、2人でおだやかな眠りに戻った。
いつのまにか、AaronはJakeの人生の中心になっていた。

大切な、かけがえのない相手。
だからこそ、JakeはAaronのために、彼を自由にしようとする。たとえそれがJakeの心を砕き、彼の残りの人生を抜け殻のようにしてしまうとしても。Aaronが幸せでいるのなら。
.....



笑えて、切ない、ちょっと馬鹿な純愛話。

とにかくAaronが無茶。口がよく回って、発想が無茶苦茶で、無邪気で、衝動的で、溌剌とした力にあふれている。まるで子供。でもとても可愛い。
彼はどんな夜中にJakeが電話をしてきても怒らない。「大丈夫、ここにいる」と安心させてやることが、どれほどJakeにとって大切なことなのかわかっている。電話を取れなかった時、JakeはAaronの部屋までやってきてAaronの帰宅を待つのですが、そのことも普通に受けとめて、たとえ恋人とのデートの最中でもJakeのために相手を帰してしまう。

Jakeは若くして成功した写真家ですが、スタジオをほとんど離れず、気まぐれで、傲慢で、孤独。
彼とAaronは水と油のようだけれども、まるでピースがかっちりとはまるように互いの世界を満たしています。Aaronが泥んこの迷い犬を拾ってくればJakeは文句を言い、冷たくあしらいますが、その一方でこっそり飼い主を探し出して交渉し、Aaronのためにその犬を買い取ってやる。エレベーターの嫌いなAaronが、階段を上る気力のない日に下から電話をすれば、Jakeは彼を迎えに行って一緒にエレベーターに乗ってやる。

そうした2人の日々がユーモラスに書かれていて、何ともお馬鹿さんで見ていて笑えて、しかも切ない。
互いのことを誰よりもわかっている2人は、どう見てもどうしようもなく相手に恋をしているのですが、周囲がいくら言っても2人だけは全然わかっていない。

Jakeの女性アシスタントが彼らをくっつけようとして首をつっこむエピソードがあって、あんまり女の子がマッチメーカーとして動くのが好きではないのだけれども(そのパターンちょっと飽きた)、今回ばかりは動かなきゃ駄目だよ!という気持ちになりました。だって、あまりにもこの2人が恋に盲目で、しかもにぶい。
JakeはAaronによく似たモデルが来ると一夜限りの体の関係を持ち、Aaronは恋人から恋人へうつりながら、夜中にJakeの目の色とそっくりな青い壺を焼く。いくつもいくつも。
運命の相手以外のなにものでもない筈なのに、JakeはAaronの手を離してしまう。それがAaronのためだと信じて。
馬鹿だなあ。

可愛い馬鹿ふたりの話です。ほんとに愛らしい。どんだけ好きすぎだ、お前ら!とつっこみたくなるエピソード満載で、しかもふたりとも気付いていない。
テンポもよく、笑えてほろりとできる実に素敵な話なので、明るい、可愛い読書がしたい時に是非おすすめです。

★5年ごしの純愛

Only For Him
Shawn Lane
Only For Him★★ summary:
法律事務所でアシスタントとして働くBarnaby Lassiterは、事務所の弁護士の1人、Nathan Llewellynに惹かれていた。
だが、彼はどうしたらいいかわからなかった。
何故Nathanのような生真面目な、社会的地位のある人間がBarnabyに興味を持つだろう? 髪を染め、逆立てて、ピアスをして化粧をした若者に?
実際、Nathanの目にはBarnabyのことなどうつってないようで、彼らはまともに話をしたことすらなかった。

ひどいインフルエンザでベッドから起きられず、事務所に電話したNathanは、書類を届けにBarnabyが来ると聞いてうろたえていた。
Barnabyは今のNathanが一番会いたくない相手だった。
あのゴージャスな青年のそばにいると、Nathanはまともな口も利けなくなる。まるで初恋に落ちたティーンのように、目を合わせることすらできない。

思い悩みながらNathanがドアを開けると、そこにはBarnabyには見えない、だがたしかにBarnaby本人が立っていた。あの金髪と化粧はどこに行ったのだろう?
Nathanには、何故Barnabyが変わったのか、変わろうとしているのか理解できない。

彼らはまるで違う世界の、違う人間同士。誰が見ても似合いのカップルではない。
だがそんな差をのりこえて、2人は自分たちの恋を育てることができるのだろうか?
.....



opposite attraction、というやつがテーマですね。渋谷系の若者と堅物の弁護士(しかも眼鏡)、10歳差って感じでしょうか。
渋谷系っていうよりビジュアル系入ってる気がしないでもないんですが。

なかなかにBarnabyがかわいくて、彼はNathanが自分を見てくれない!と思い悩んだ末、兄に相談して、「Nathanが相手にしそうな人間」になってみることにする。髪染めと化粧を落とし、社会人らしい格好なんかしてみたりして。
でも、実はNathanは元の、奔放なBarnabyが好きなのです。自分にそういう自由さがないことを知っていて、過去から臆病になっているNathanは、人生を楽しむBarnabyの存在に惹かれている。
噛み合っているようで、噛み合わない2人です。

かいがいしくNathan看病しつつも、病人が寝てると飽きちゃうBarnabyの勝手さとかもかわいらしく書かれています。だってNathanが寝ちゃっててつまらないんだもん!みたいな、その感じがBarnaby。
看病のお礼に夕食をご馳走するよ、とNathanに言われれば天にも昇る心地だし、でもその後何の音沙汰ももらえないと土砂降りに降られたようにへこむ。
そんな活発なBarnabyを見ながら、Nathanは「彼が自分を好きになるわけがない」と勝手に決めている。

Nathanの「常識的なところ」がつい口うるさい注意の形で出たり、積極的に出てみたもののNathanがいつ「やっぱりやめよう」と言い出すのではないかと不安なBarnaby。
お互いの差そのものよりも、その差を気にする自分たちの心の内にこそ恋の障害があるようです。

短めで、ほどほどのアップダウンがあって可愛い一冊です。気楽な読書がしたい人におすすめ。
ここの弁護士事務所は、群像劇風のシリーズの舞台なんだと思います。ほかの本はまだ読んでないんだけど、そのうち読もうと思います。

★正反対の2人

Wolf's Survival
T. A. Chase
Wolf's Survival★★ summary:
アメリカ内務省で野生生物保護の仕事をしているOliver Wingateは、Red Criffの町を訪れる。
絶滅した狼の回復活動の一環として、内務省は狼のペアをRed Criffに接する野生の保護地域に離すことを決定したのだった。
それは狼の種としての回復とともに、野生の動物の生態系のバランスを取り戻すための試みでもあった。

小さな町の保守的な牧場主たちは、狼と役人の両方を毛嫌いして、激しく反発する。
かつてこの地には狼たちの群れがいたが、人々はそこを開拓し、狼を絶滅させてこの町を作ったのだった。

だが、彼らの知らないところで、狼は生きのびていた。
ただ一頭の生き残り。群れを失った狼は、人と関わりをほとんど持たずに孤独に暮らしていた。
家族を失い、最後の一頭となった人狼。
Jacob Tasker。

Oliverに出会ったJacobは、長い年月の中ではじめて誰かに心を許しはじめる。
だがJacobの秘密と長すぎた孤独は、彼を最後のところで押しとどめる。

果たして二人は、Jacobの心の中の壁をこえてお互いに手を差し伸べることができるのか。
.....



今回ぐぐってみて知ったのですが、「狼の再導入」と呼ばれる回復計画は1970年代から行われていたんですね。
人狼の末裔のJacobは、故郷を離れているうちにすべての一族を失い、残っていた妹までも人間のせいで見失った。彼は人を信じていない。
牧場の犬たちだけが、孤独な彼の友です。

Oliverは狼を愛し、人を信じている。
彼は5年前に恋人をイラクで失ってから、その喪失をかかえていきています。前向きだけれども、繊細でシャイな男。

彼らは、出会った時から相手に対して大きな磁力を感じる。けれどもJacobの気難しさや、彼のかかえる秘密が二人の間にたちはだかる。
「狼をこの地に呼び戻したい」とJacobの協力を求めるOliverに、Jacobは「彼らはその時がきたら人の力を借りずに戻ってくる」と冷淡に答えます。彼はもう、人を信じていない。

とは言え、T.A.Chaseのカプらしく、相手に対して純粋な気持ちを向ける様子は愛らしくて、苦しみをかかえたそれぞれの様子もそんなにダークなものではありません。
甥っ子の教育のために「毒づかない」と決めているOliverの口調がかわいくて、「shit」とか「fuck」とか「damn」とか言えないものだから、色々な形で何か言ってます。何故か食べ物が多い。"swedish fishes" とか "duck farts" とか。
あんまりバリエーションがあるんで、今度リストにしてみようかと思います。

Oliverに強い支配欲を覚えつつ、人間不信や自分が抱えた秘密の重さに葛藤するJacobの姿が、物語にいい具合の陰影を付けています。
Jacobが満月の夜、死んだ一族の毛皮を保管している秘密の部屋で、ひとりずつの毛皮の匂いを嗅いで孤独を噛みしめるシーンは深くて、味わい深い。

元々ブログで連載していたストーリーですが、エピローグやシーンをいくつか足していますね。特に追加されたラストは、Jacobの言った「狼たちは、その時がきたら戻ってくる」という言葉に呼応していて、希望に満ちています。
孤独な狼と、シャイだけど強気な男のカプに萌える人におすすめ。Oliverに対する自分の保護欲の強さにとまどっているJacobの様子なんか、とても愛らしいです。でかくてゴツくて、支配的なのに、肝心なところでたまにたどたどしいんですよ。

★最後の狼

★Three-Star rating system★


[カテゴリ]View ALL
レビュー (314)
★★★ (90)
★★ (190)
★ (34)
モノクローム・ロマンス (10)
電子ブックリーダー (23)
iPodTouch・Stanza (19)
nook (4)
雑談 (84)
英語 (29)
文法 (4)
読書日記 (11)
…このブログについて (9)
…書店情報 (2)
[タグリスト]

10 | 2017/11 [GO]| 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

カテゴリ一覧 最近の記事一覧 プロフィール リンク一覧 メールを送る
[カテゴリ]


モノクロームロマンス(M/M翻訳)


■公式サイト■

・2017年
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas

・ほかにも出るかも
・王子とか何か売れてくれ〜(色々軽くピンチ)
・来年はもふもふやるよ!

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流
・夜が明けるなら(ヘルハイ3)

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。