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Adder
Ally Blue
Adder★★ summary:
音楽、セックス、名声…それさえあれば何もいらない筈だった。
「L」ではじまるあの言葉すら。

Adderには、はっきりとした人生の目的があった。自分の音楽で身をたて、名声を得ること。人生を楽しむこと──すべての点において。
少年時代からその目標に向かってつき進み、手に入るすべてのものを楽しんできた。男だろうが、女だろうが、音楽だろうが。ファンに愛され、寝る相手にことかいたことなどない。それで満ち足りていた。
誰かと真剣につきあおうなど、1度たりと思ったこともなかった。

バンドの新しいドラマー、Kalilが自分の目を引いた時も、それまでと何も変わらないと思っていた。寝てみたいが、それだけのことだと。
KalilもAdderに惹かれるが、彼はAdderのようなやりたい放題の男の相手をするつもりも、バンドメンバーとつきあって物事をややこしくするつもりもなかった。
だが強引なAdderに、結局Kalilは押しきられてしまう。

1度寝てみて、好奇心と欲望を満たして、だが物事はそれで終わらなかった。2人の間にあるものは、彼らが考えていたよりも深く、強烈なものだったのだ。
そしてその気持ちは、彼らのどちらをも動揺させ、怯えさせる。

一方、バンドにもついに大きなチャンスが訪れ…
.....



Adderはとにかく自己主張が強く、わがままで、やりたい放題、貞操観念などかけらもなく、あからさまで、臆面もない。格好が何かキラキラしていて悪趣味。一言で言うと、性格も見た目もけばけばしい男です。
でも音楽には真摯で、友人には嘘をつきません。勝手だけど、いい加減なわけではない。そのバランスが魅力的で、時々とても笑えます。

Kalilは根っから真面目で、頑固で、融通がきかない。独占欲が強いし、ところかまわず誰かと寝たりはしない。
Adderと性格があうわけがない…と思いながら、奔放なAdderに惹かれ、結局何だかうやむやに2人でつきあっているような状態になってしまうのですが、その状況もKalilを悩ませます。
Adderともし別れたら、大好きなこのバンドを出ていかなければならないんじゃないだろうか。Adderがそのへんの女といちゃいちゃしてるのが気に入らない。でも別に何を言う権利があるわけでもないし。ああ何か息苦しい!
鬱々としながらも何も自分からは言えないKalilを、Adderはじいっと見て、悩みを聞き出して、何度も「大丈夫だ」と悟す。でもKalilは悩むのをとめられない、そういう性格。よくAdderとつきあっているもんです。

それでもって、ここはAdderが受けです。Adderいわく「俺は受けしかやらないし」だそうで、「つっこみたければ女と寝るじゃん?」ということらしい。理屈が通っているような、いないような。
Kalilも基本的に受けなんですが、Adderが「俺はやだ」と言うから、仕方なく彼が攻め役をやっています。
不憫な奴…

2人の関係が深まるうちにバンドにとっても大きなチャンスが振ってわいて、Adderはそれを本気でものにしたい。だがそれは、はじめてのKalilとの対立を生むのです。
行き違い、嫉妬なんかも含んで、若さと疾走感のある話です。
真面目でうろたえやすい、でも時にAdderも手こずるほどに頑固なKalilがAdderにいいように翻弄される様と、わがままで俺様なAdderがいつのまにかKalilにめろめろになっている様子が読みどころ。楽しい。

Ally Blueは人気作家なんですが個人的には相性が微妙で、現状は勝率5割。しかしたまにこういうヒットがあるから買ってしまう(話がつまらなかったことは1度もないし)。これとか「The Happy Onion」が好きです。
筋立にいつも工夫があって、人と人の対立やドラマのあるストーリーを書く人です。ここは可愛い年下攻めが、めっぽう強気で頑固。

Adderというキャラが好きになれるかどうかで、この話の評価が大きく変わると思います。
わがまま勝手で型破りなだけではなく、なかなかユニークに一本芯が通った(通り方がおかしなことにはなってますが)キャラなので、興味がある人は是非どうぞ。
バンドの他のメンバーもなかなかいい味出してます。

★バンド
★頑固×奔放(ヘタレ攻め気味)

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A Red-Tainted Silence
Carolyn Gray
A Red-Tainted Silence★★★ summary:
Brandon AshwoodはNicholas Kilmainに出会った瞬間のことを忘れられなかった。
青い瞳、黒髪、舞台の上で他を圧するたたずまい、そしてその歌声──
Nicholasと一緒なら、夢見た音楽を作れる。どこまでもいける。そう思った17の時。

だが、彼らにはその時予想もしなかった困難な道が待っていた。
出会い、再会、恋、そして失望と、やっとつかんだ成功。
その裏でBrandonはNicolasを守るためなら何でもした。彼から離れることすら。

10年以上に及ぶ彼の苦しみは、Nicholasの誘拐と拷問という無残な形ではね返る。それでもついにNicholasを取り戻したBrandonは、これですべてが終わったと思っていた。
Nicholasを傷つけ、周囲の人間を傷つけつづけた日々は終わるだろうと。もう一度、彼らはやり直せる。

しかしそれはまだ、すべてのはじまりにすぎなかった。
.....



31歳のBrandonが病院でNicholasの看病をしながら、17の時にNicholasをはじめて見た時の回想をするシーンからはじまります。
彼は、自分がくぐりぬけてきたもの、何故愛していながらNicholasを傷つけたのか語るために、回想録をパソコンで書き始めるのです。

現在と回想の過去が折り重なる形で進むので、最初は「過去のもつれをといて、めでたしめでたし」という話かと思いましたが、もっとずっと複雑でした。Brandonの中には彼自身も押し殺している(と言っても時おりそれが表層に出ているような描写もあるのですが)暗い記憶があって、それは彼を離さず、さりとて彼自身が語る回想の中にもなく、その空白がぽっかりと物語の中に口を開けている。
やがてNicholasも気付く。Brandonがその闇に呑み込まれそうなこと、それに自分で気付いていないことにも。
Brandonが誘拐されたNicholasを救い出したように、今度はNicholasがその闇を探して、Brandonをそこから救い出さなければならない。でもNicholasにはBrandonを苦しめている物が何なのか、そもそも何を探せばいいのかがわからない。

いくつもの現実が折り重なった構成がなかなか見事で、読んでいて驚きました。
最初は彼らの置かれた状況が全然見えてこないのですが、Brandonのつづる過去と同時に、彼らのいる現在が見えてくる。
同時に、10年以上に渡ってBrandonを苦しめつづけていた悪意が、ふたたび彼に襲いかかります。誰がその牙の持ち主なのかわからないまま、2人はもがき、現在の苦しみに過去の苦しみが折り重なるようにつづられていく。
しかしその「過去」もあくまでBrandonによって語られる過去で、そこにちょっとしたトリックというか錯誤があります。あれはうまい。

BrandonもNicholasも繊細な青年で、夢を追いかけながら互いを見つけ、スターダムにまで駆け上がった。
物静かでシャイなBrandonに対してNicholasは活力にあふれ、人々の称賛や注目を必要とする、根っからのスター気質。わがままなところもありますが、飴を欲しがる子供のような純粋さは彼の魅力でもある。
2人は強く惹かれあっているけれども、Brandonは段々とNicholasの影にひきこもるようになり、Nicholasはそれに気付かない。2人の距離は離れていきます。
そんな過去が、Brandonの回想録には痛々しく記されている。その様子が読む側に少しずつ見えてくるもどかしさは、登場人物のもどかしさとシンクロしているようで、ここにも叙述のうまさが光ります。

たまにNicholasには腹が立つけれども、でもいい子なんだよなー。Brandonを自己否定や自己嫌悪から引きずり出せるのは彼の愛の力だけ!というのはよくわかる。あそこはほんとに2人でひとつだ。
2人ともかなりささいなことに悩んだり、怒ったりして、しばしば足元をあやまる。自分の視点にとらわれて、どれほど間違っていてもそこから抜け出せなくなったりする。
そんな愚かさとか、悪循環の怖さなんかもあったりして、とても「人間らしい」2人の様子がくっきりと描き出されている話です。

いくつか設定に甘いところもなくはないし、私の好みとしてはちょっとキャラ泣きすぎ!と思ったりもしましたが、そんな細部はさしおいて、骨太なテーマに貫かれた非常にいい作品だと思います。久々に横っ面を張られたような気分。
21万語とかなり長いですが、最後まで緊張感が持続していて、その分の読みごたえはあります。(一般に長編=Novelで4万語から5万語以上)

心理が繊細に描かれた話が好きな人に特におすすめ。苦しんだり蹂躙される主人公に萌える、という人にもおいしい一冊だったり。
それにしてもいいタイトルだ。

★トラウマ
★自己犠牲

With the Band
L.A. Witt
With the Band★☆ summary:
Aaron McClureは、バンドのメンバーと恋に落ち、彼らの関係と破局がバンドをも終わらせてしまう。
バンドメンバーと肉体関係を持つことほどまずいことはない。
その教訓を胸に刻み、彼はバンドと恋人の元を去って、故郷へ戻ってきた。

そこで待っていたのは新たなバンドのオーディションだった。
無事テストに合格し、兄と姉がメンバーになっているハードロックバンド「Schadenfreude」のリードボーカルとして迎えられたAaronは、このバンドが成功への道を駆け上がっていくことをほとんど確信していた。それだけの力のあるバンドだ。

その一方で、AaronはメンバーのBastianに強く惹かれていく。ほとんど息苦しいほどに。

バンドメンバーとの関係は、バンドに悪影響をもたらす。バンドのことを考えたら、Bastianとの距離は保っておかなければならない。
だが、もし…
.....



バンドもの。
ロックバンドの仲間がみんな仲が良く、かなりキツい冗談を飛ばしたりお互いを楽しく罵ったりして、「バンド」感がよく出てます。
ステージの上での緊張感もよく伝わってくる。

AaronとBastianとの間にある磁力も鮮やかで、一気に坂をころがりおちるように関係を深めていくスピード感が充分に味わえる1冊です。
特にキスシーンがなかなかに秀逸。とにかく相手を離したくない、離せない、バンドメンバーにばれないように早くみんなのところに戻らなければならないのに、どうしようもなく「one more kiss」をくり返してしまう様子がかわいい。

AaronもBastianも、互いの関係だけでなく、自分がゲイだということも兄弟や家族に秘密にしています。バンドに対して自分たちの関係を明かすということは、ゲイであるとカミングアウトしなければならないことも意味する。
バンドは少しずつ成功への道をのぼりつつある。そんな時に水を差すようなことを言いたくはない。でもどこかからばれる前に言わなければならない、それはわかっている。複雑に絡みあうプレッシャーの中で、「いつかは言わなければ」と思いながら、「いつか」を先のばしにしてしまう様子はリアルだと思う。

ただ、後半の展開がちょっと解せないまま、消化不良に話がまとめあげられた感じで、終わり方が唐突です。うーん。複雑な感情を書くのはうまい作家なので、その技が見られなかったのは残念。
色々と納得できないところが残ってしまって、ちょっと宙ぶらりんな感じですね。勿体ないなあ。2人だけの問題ではなく「周囲の」問題でもあるんだけど、そこがそのまま棚上げされてしまっているのが消化不良。

ロックバンドの疾走感とか、それと同じペースで恋に落ちていく2人の様子を読むのが楽しい1冊。エロシーン多し。切羽つまったギリギリのところで相手に手をのばし、しがみつく、そんな刹那の濃厚さがいいです。
BastianがAaronにベースを教えるシーンもエロティックで印象深い。

バンドもの好きな人におすすめ。秘密の関係に萌える人にも。

★エロ多め
★バンドもの

How I Met Your Father
L.B. Gregg
howImetYourFather.jpg★★ summary:
数年前、ボーイズバンドのメンバーとしてかつて人気の絶頂をきわめたJustin Hayesは、今は音楽業界でそれなりにおだやかに暮らしている。
だがこのクリスマスは、シカゴでのんびりしているわけにはいかない。バンドのメンバーでもあり、随一の親友の結婚式があるのだ。バンドのメンバー全員が集まる。クリスマスに、とある島に。

ナーバスな気持ちで飛行機に乗っていたJustinは、乱気流で動揺する。落ちるかも!
隣に座っていた年上の男が手を握って落ちつかせ──二人は勢いのまま、空港のトイレで盛り上がってしまい、乗り継ぎの飛行機をのがす。

にぎやかなパーティに遅れてついたJustinは、自分の相手が花嫁の身内だったと知って動揺する。バンドの人気とイメージのため、ゲイだということは隠してきた。今はもうカミングアウトしてもいい──だが、隠してきた習慣は根強い。
クリスマス、パラダイスのような島で、花嫁から花婿まで巻きこんだにぎやかな数日が始まる……
.....



L.B.Greggさんは少し執筆から離れていましたが、作家仲間のすすめやサポートもあって戻ってきたらしい。これは久々の中編です。めでたい!彼女のようなユーモア小説を書く人はほかにはいないし。てわけで新刊ひっつかんできましたよ!

さて、主人公はちょっとナーバスで空回りしたり暴走したりする感じの、どこか守りたくなる男。
飛行機の乱気流で「うわあああ」「ああああ」となりかかっていた彼の手を、隣の席の男がぎゅっと握ってくれる──でもその手は段々、ちょっと不埒な雰囲気を漂わせてくるわけです。
かつて誰もがきゃあきゃあ言った人気絶頂のバンドのボーカル、Justinは、まだカミングアウトしていない。人から見られたらどうしよう!と思いつつ、うかうか流されて、その場から逃げ出す。その感じがすごく可愛い。

飛行機を乗り継いで島にたどりつくと、かつてのバンド仲間がみんなすでに集まっていて、実ににぎやか。がやがやとお互いにはやしたて、悪口を言い、楽しんでいます。
その「パーティ」感と「クリスマス」感の中にまぎれてしまおうとするJustinですが、「歌おうぜ!」とそそのかされてみんなで歌った翌日にtwitterでそのビデオが大拡散されていて、しっかり身バレ(自業自得)、もはやおしのびでもなんでもなくなってしまう。しかも飛行機で出会った男は花嫁の──(ごにょごにょ)

ほかにも山登りしたり、「あいつ実は妊娠してるんだ」の告白タイムあり、次から次へと翻弄されていく主人公がとても楽しい話です。
久々ということもあるのか、まだこの作家の本来のリズムは完全には戻っていないかなっとも思いますが、でもやっぱり主人公可愛いなあ、がんばってるなあ、と気持ちよく読める中編でした。にぎやかで、甘々ではないのに何故か幸せで、というクリスマス/結婚式のお話。後味も可愛い。

★元セレブ
★年の差!

★Three-Star rating system★


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