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[タグ]キーワード:タトゥ の記事一覧

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Under My Skin
M. L. Rhodes
★★ summary:
Sebastian Kellerは「The smart guy」という、自分に貼られるレッテルが嫌いだった。だが人はいつでも彼をそういうふうに見る。
幾度かの手ひどい破局のあと、他人と関係を持つことに自信を失った彼は自分の経営する旅行ガイド書店でそれなりに幸福にやっていた。
ある日、隣のテナントにタトゥの店が入るまでは。

彼らが大ボリュームでかける音楽、彼らへの客で商店街の駐車場が占拠されてしまう状態、それがSebastianを苛立たせる。かつて彼を甘い言葉でだまし、すべてを彼から絞りとって消えた以前のボーイフレンドはタトゥを入れ、大型バイクに乗っていた。二度とそういうタイプの人間とはかかわるまいとしていたのに、隣にそういう「信用ならない」連中が出入りしていることが彼の怒りをかきたてる。

何よりも嫌なのは、「Rad Tattoos」というその店のオーナー、Dylan Radamacherを見るたびに自分自身の心が乱れることだった。自分がまだ凝りていないということにSebastianは心底うんざりし、距離をおこうとするが、DylanはDylanでSebastianとどうにかして和解したいと思っていた。
.....


短編~中編くらいの長さですが、おもしろかったです。
「過去に傷ついている男、その心をひらこうとする男」というテンプレですが、やっぱり普遍的なドラマだからテンプレになるわけで。そのへんの葛藤、自分自身への苛立ちや過去を振り払おうとしながら振り払えず、傷ついているがゆえの怒りを他人に向けて相手を傷つける──そんな入り組んだ気持ちがドラマティックに凝縮されている。

Sebastianは、「他人が自分に貼るレッテル」は嫌っているのに、自分自身がDylanにレッテルを貼りつけていることには気づいていない。過去ばかりをのぞきこんで、どうしても一歩を踏み出すことができない。
Dylanを過去の恋人とまとめて「こういう"タイプ"には二度と近づかない」と切って捨てようとするSebastian、「チャンスをくれ」というDylan。だが、あらゆる不幸や破綻が訪れるのをひたすら待って、すべての物事に悪い面を見ようとするSebastian。
ほんの一瞬のささいなことから、感情は修復できないほどにもつれる。

続編の「Under My Skin II」も出ていまして、最初は似たような感情の交錯のくりかえしの「後日談」風味かと思ったんですが、こっちも予想外の事件がおこっておもしろかったです。
相手を気づかって押すまいとする男、その曖昧な態度から悪いサインばかりを拾いあげてしまう男。過去はのりこえたようでいて、何もおわっていない。過去を手ばなしていないのは自分自身でもある。
感情的な悪循環の物語ではありますが、短編だからこそ読む方も繰り返される悪循環に食傷せず、一気に楽しめるタイプの話だと思います。
IIの中で、電話で「一緒に朝日を見ようか」と言うシーンは、とてもロマンティックで綺麗だった。

まあ短編でも2つ買うと7ドルこしちゃうんですけどね。それでもおすすめ。

★短編

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A Fostered Love
Cameron Dane
FosteredLove★★★ summary:
Marisolは多くの子供を引き取り、里親として育て、送り出してきた。Christian Sanchezもまたその1人であり、成人して29歳になった今もMarisolともっとも近い存在だった。彼がMarisolの葬儀やその後の遺言執行を受け持つのは当然のようなものだった。
葬儀の前日、里子の一人だったJonah Robertsが、その姿をMarisolの家の戸口に見せる。
Jonah。Christianは、Marisolのこの家でわずかな時間ともに暮らした少年を、ふたたびこの目で見ることがあるとは思わなかった。
いつでも人と距離をへだて、何かに怒っていたJonahはついに破滅的な犯罪を犯し、警官に引きたてられてこの家を去った。Christianはその時に自分の心のどこかが壊れたような気がしていた。

あれは15年前。Christianは14歳、Jonahは16歳。Jonahは彼の初恋だった。

一方のJonahはChristianのことを一度も忘れたことがなかった。たとえChristianが自分を忘れてくれるよう願っていても。
少年刑務所で車の修理を覚え、今では自分の店を持つようになった彼だが、自分がほかの人間とちがうことを感じていた。彼は誰も愛したことがなかった。誰かと何かを分けあったこともなく、友人と呼べる存在すらいない。事務的なことを除いて、人とどう関ればいいのかわからず、関ることを望んでもいなかった。
だがその深い奥で、Jonahは自分がChristianを求めていることを知っていた。その感情は、Christianを目にした瞬間から無視しようもなく強まり、彼を心底怯えさせる。彼は生きのびるすべも何かに立ち向かう方法も知っていたが、Christianとどう接していいのか、どうすればいいのかはわからなかった。

Marisolの遺言にそって、彼らは協力しながら、家を売るための修理と手入れをはじめる。
再会は果たしてどこへ彼らを導くのか。15年の空白を経て自分たちの間を何がつないでいるのか、まだどちらにもわからなかった。
.....


Cameron Daneの新刊が出ていたので、読んでみました。
相変わらずとても激しく、どこか攻撃的な恋の話です。
里子の「兄弟」同士の恋。彼らはほんの2月ほど同じ部屋を分け合っただけで、その後の15年、1度も顔をあわせていない。それが里親Marisolの死によってふたたび会い、彼女の家の手入れをはじめる。
里親の思い出、Jonahとともにいた記憶のある家を片付けて人に売ることにChristianは痛みを感じており、その痛みゆえに彼は時おりJonahに攻撃的になってしまいますが、もともととても優しい男です。子供の時からどこか純粋で、ひたむきな少年だった彼を、Jonahは忘れたことがなかった。

Jonahは自分が「hell」と呼ぶような場所で子供時代をすごし、人に道具のように使われて捨てられ、ねじまげられた人生を生きてきた。それらへの怒りや傷を内に秘めたまま、だが彼は2度と道をそれずに、自分の人生をきちんと作りあげる。強い意志を持った男ですが、一方で自分が他人を愛せるような人間ではないと思っていて、他人に近づくやりかたもよく知らない。
Cameron Dane特有の「内側に脆いものをかかえこんでもがく、強い男」そのもので、彼が自分自身の魂を剥ぐように、自分の苦しみをChristianに明かしていく姿がひとつの話の核になっています。

そして相変わらずエロはとても激しい。「そこはもうちょっと理性を」とかつっこみたくなる状況もないではないですが、そこを含めて強烈な感情のぶつけあいがこの作家の魅力でもあり、互いのどちらをも呑みこんでいくような激しさの中で、彼らは相手の存在を自分に刻みつけるように確認していく。特にJonahのように心に高い壁を作りあげてしまった男には、その壁をわずかでもゆるめるにはそれだけの強い衝撃が必要なんだろうなあ、と思わせる、時に痛々しい行為でもあります。
Jonahが自分の中にある夢や人への思慕を、体に刺青として刻んでいるのはとても暗示的です。そしてまた、そうして体に刻むことでしか語ることのできない男が、やはり痛々しい。

かつて、15年前、Jonahがただ破滅への暗い道をころげ落ちようとしていた時、その人生を変える決断をさせたのはChristianの存在だった。
15年たって、彼らはふたたび、自分の人生をかけた瞬間と向かいあう。

激しいものが好きな人におすすめ。

★エロ多め(ちょっとダーティな感じ)
★再会

Tabloid Star
T. A. Chase
Tabloid Star★★★ summary:
一夜の関係、一瞬、切り取られたシーン──

Josh Bauerは夜はバーテンダーとして働きながら、全部で3つの仕事を掛け持ちしていた。誰かときちんとした関係を持つような時間の余裕はない。
だが1人の男が、彼の心をとらえる。Joshは彼を家につれ帰ると、熱い一夜をすごした。
目がさめた時に相手の姿が消えていたことには、驚かなかった。

行きずりの、一瞬の関係。
その筈だった。

だがタブロイドの一面に出た写真を見て、彼は仰天する。あの忘れ難い一夜の相手は、ハリウッドで売り出し中の俳優だったのだ。
そして思わぬことに、Joshは彼のスキャンダルの相手として巻きこまれてしまったのだった。そんな余裕がある筈がない。3つの職をどうにかこなしながら、彼には守らなければならないものがあった。

Ryan Kellarはついに手ごたえのある役をつかみ、主演映画の成功は約束されているかに思えた。
その間の、一瞬の息抜き。誰にも気付かれないと思っていた。だがまちがっていた。
誰が写真を撮ったのだろう。それともあのバーテンダーが、金のために彼を陥れ、路地へ誘い出したのだろうか?

2人の世界は、タブロイドにのった写真によって引っくり返される。どちらも傷つき、怒っていた。
写真を撮ったのは誰なのか。Ryanのキャリアはこれで瓦解してしまうのか。Joshが守りたい人々は、タブロイドの毒牙から逃れつづけることができるのか…
.....



刺青男×男前ハリウッド若手俳優。素敵な組み合わせです。
2人の間には緊張が残り、糸を引きあうようにして互いのバランスを崩しながら、それでも惹かれていく。その緊張感がいい。
純粋に好意だけでつながっているわけではない、でも離れられない、温度が高いカプです。

スキャンダル、エージェントとの対立、Joshが明らかにしたがらない事情など、色々なことが絡みあって、かなりスピーディな話になっています。
彼らのかかえる痛みがそれぞれはっきりと描かれているので、2人が対立するシーンは見ていて心が痛む。でもRyanを脅すJoshはちょっと格好よかった。
2人は熱い一夜の行きずりとして関係をはじめますが、一連の騒動の中から抜け出すためにともに動きながら、相手を間近に見て、互いの奥にあるものを見出していく。
そこから少しずつ、まっすぐな信頼や人間関係を築いていきます。家族、友人。そんな人たちまで巻き込みながら。
一夜の遊びが、タブロイドのスキャンダルのおかげでより深いものへと進みはじめる。それはRyanも、そして勿論Joshも予期していなかったことだった。

さりげなく、他シリーズのキャラが出てきてますね。
直接出てくるのは、まずバーテンダーのJoshの側には「Home of His Own」のMorganとVance。Brodyの友人&ビジネスパートナーです。
彼らのセリフで「Brodyとそのパートナーが遊びにきてて」みたいな言葉があるので、Tonyも一緒にいるんだなーと、何だかすごく嬉しくなってしまった。Tonyに会いたいなあ。大好きだ。
さらにハリウッド俳優Ryanの側には、「Love of Sports」シリーズの双子の片割れであるGarrettと、彼のパートナー。このシリーズについてはまだレビューしてないですね。押しも押されぬハリウッドスターGarrettも、恋人と一緒に格好いい姿を見せてくれます。この2人も幸せそうでよかった。
ちょっとしたお遊びというかサービスなので、そっちの話やキャラを知らなくても全然大丈夫ですが、世界が広がった気がして楽しい。

T.A.の話で私が好きなところのひとつは、読みおわった後に「Happy ever after」がありそうな気がするところです。かと言って、重さがないわけではない。
どんなに障害があるように見えても、どんなに大変な2人でも、2人で手をつないでさえいればいつか「そして、みんな幸せに暮らしました」がやってくるような気がするのです。

この話もそういう話。まだまだ大変だけれども、きっと最後にはみんな──2人だけでなく、周囲のみんなも幸せになれる。そう感じられるストーリーです。

★スキャンダル
★刺青

Happy Ending
LB Gregg
※出版社の問題で一時的にリンクを外してます。
LB_Happy_Ending.jpg★★ summary:
双子の妹が残した子供を育てるSeth Westonは、ストレスをマッサージでやわらげるのがいつもの習慣だった。
姪を可愛く思いながらも、Sethは6歳児をどう扱ったらいいのかわからない。
妹は癌で死に、彼女を看取っている間にSethの恋人は彼を去った。彼は1人だった。

そんなある日、いつものマッサージ師の臨時の代わりとして現れたのが、David Cookeだった。Sethよりずっと若く、妙なイヤリングをつけ、刺青のある青年。おだやかに見える彼の物腰の下には、頑固で、苛立たしいほどの強気な顔が隠れていた。

Davidは、Sethのタイプとはあらゆる意味でかけ離れていた。それまでのSethの好みは常に同年代の大人で、服装に金をかけ、彼と同じような暮らしをしている男──たとえば、彼を置いて去った前の恋人のような。
だがDavidはSethの自制を打ち砕き、欲望と、名付けようのない荒々しい感情を呼びおこす。
そしてそれを感じているのはSethだけではないようだった。

強烈に惹かれあう彼らの周囲で、様々な物事が巻きおこる。
彼らを脅迫するかのような写真、町に帰ってきてSethと復縁を望む元恋人、いきなり姿を現した、姪の血縁上の父親。
そしてDavidの語らない、過去の秘密。
.....



Men of Smithfieldシリーズ2冊目。
どこかミステリアスで活発な若い男にいきなりよろめいてしまったSethと、生命感にあふれたDavidの話。

このDavidがとても魅力的なキャラで、マッサージ師かと思えばウェイターもやってたり、児童書を書いていたりと、色んなところが謎。
Sethはマッサージ師をやってるDavidを見て「一時的な仕事だろう」と思いますが、Davidがそうした仕事や生き方に誇りを持っていることを見て、自分の中にある差別感に気付き、たじろぎます。
ごく自然に、自分やそれに似た人間たちを世界の中心であるかのごとく考えている。それまで何度もレストランで見かけた筈のDavidのことを覚えてもいない。
DavidはそうしたSethの価値観を揺るがして、彼の壁の内側へ入りこみ、Sethの感情をかき乱していきます。

強く、保守的な年上の男と、若々しく、穏やかに見えて時おり破滅的なほどに強い感情を爆発させる男。DavidはSethを挑発し、挑戦し、Sethのペースをひっかき回す、その様子が読んでいて楽しいです。
SethはDavidのおかげで、子供に対する接し方を覚え、人生に楽しみを取り戻す。当人はあまり気付いていませんが、その様子が幸せそうでいい。

にぎやかで、感情表現の鮮やかな話です。
色々と周囲でおこるものの、それほど複雑な話ではないですが、その分2人の感情の対比がくっきりと見えてくる。
キャラが立っていて、一気に楽しく読める話だと思います。

やんちゃ受けが好きな人、若者にひっかき回される年上の男というシチュに萌える人におすすめ。

★年の差
★子育て

Shades of Gray
Brooke McKinley
Shades of Gray★★★ summary:
FBI捜査官のMiller Suttonは、有能で、非情であった。犯罪者を追いつめ、利用し、すべての物事を白黒はっきりつけながら生きてきた。
だが麻薬組織の幹部のひとり、Dannyと向き合った時、Millerのクリーンな世界は崩壊を始める。

FBIの罠にかけられたDannyは、ボスを裏切って裁判で証言するという取引を呑む。
それがどれほど危険なことか、彼は知っていた。裏切り者は楽には死ねない。地の果てまでも、追われるだろう。
FBI捜査官のMillerは身の安全を保障し、証人保護プログラムを組むと言ったが、Dannyはそれを信じていなかった。
だがそれが彼の運命なのかもしれない。泥水を飲むようにして生きてきた。麻薬のディーラーに拾われ、友人を組織に引きずりこんで死なせ、刑務所に入り、そして裏切り者としての死を迎える。
彼にふさわしい最後かもしれなかった。

MillerとDanny。FBI捜査官と情報提供役の犯罪者。
光の当たる場所ですべてに白黒をつけて生きてきた男と、暗い世界で多くの泥にまみれてきた男。
お互いが理解できるはずもない2人だった。だが彼らは互いに惹かれ、Millerははじめて白と黒だけでは解決しない世界の存在をつきつけられる。

生きのびるために。愛するものを守るために。時には暗い選択をし、重荷を背負わなければならないこともある。
その選択を、はたしてMillerはできるだろうか。そしてそんな自分に耐えられるだろうか。
.....



正義を盾に犯罪者を道具のように扱う捜査官と、泥の中で生きのびてきたしたたかな犯罪者。
しかもいずれ証人保護プログラムがはじまれば、彼らは二度と会うことも、連絡を取ることもできない。
こういうシチュは萌える!

MillerとDannyの価値観、2人の変化や融合が丁寧に書かれていて、緊張感のある話になっています。
Dannyがいいですね。減らず口を叩き、癇癪をおこしながらも、彼の中にはひどくやわらかい部分がある。これまで自分が気持ちをよせた2人の相手──古い友人と元妻──の人生を台無しにしてしまったのを見て、もう誰とも深く関わるまいとする。
ボスに対しても、恐れや憎しみもあるが、その一方で時おりに示される信頼や優しさに、心の深くで忠誠をおぼえてもいる。
弱さと強さが複雑に絡み合った様子がリアルで、とても強烈なキャラです。

Millerは、Dannyの中にある繊細な痛みに惹かれますが、その一方で自分が「FBI捜査官」であるということにしがみつこうとして、Dannyを傷つけることもある。
彼にとっては、白黒のつく世界がすべて。
だがDannyは彼を惹きつけ、彼の世界を揺さぶる。これほどまでに誰かを求めたことはない。これまでの白黒のついた美しい世界がすべて色あせて見えるほどに。

過去の追憶と現在の展開がうまい具合に混ざり合っていて、Dannyの中にある深い傷が徐々にあらわれる構成が巧みです。Dannyの人生が明らかになっていくにつれ、Millerとの対比がより際立つ。
彼らはまるで違う世界を生きてきた。まさに白と黒。
そしてDannyは、自分の生きる混沌の世界にMillerを引きずり込みたくはない。たとえMillerがそれをよしとしたとしても、状況はあまりにも絶望的で、彼らに道はない。
そんな中でのDannyの葛藤と荒々しさ、Millerへの愛しさ、そして暗い人生を生きのびてきた男のしたたかさが文章の中に凝縮しています。


Danny wanted to howl and rage like a wounded animal, demand that they find a way to make it work. But there was no point in that. Danny had learned early that sometimes there was nothing to do but suffer through.


Danny視点で、まだ知らないはずのMillerのファーストネームが地の文に書かれていたり、Millerの婚約者の存在感があまりにも薄いことなど、気になる点もありますが、でも全体に骨太で、最後まで緊張感を失うことなく書ききられた話です。
こういう、「心理の成り立ちと変化を詳細に描写した作品」って英語の方がいい気がしますね。日本語でひとつひとつ語られたらかなりループになると思うけど、英語は言葉の輪郭がくっきりしているので、読みやすいというか入ってきやすい。

FBI捜査官と犯罪者とか、マフィアに追われる明日のない2人、とかそういうシチュに萌える人ならまず買いの1作。

★FBI×犯罪者
★密室

Full House
Carol Lynne
Different Suits★★☆ summary:
Marco De Le Santoの人生は決して優しくはなかった。母親が死に、ドラッグの商売をしていた父親を家から追い出してからずっと、彼は身ひとつで弟達と妹を養うべく働いてきた。
16歳だったMarcoは、18で高卒だと嘘をついてKent Bakerの会社に雇ってもらった。
それが8年前。やっと上の弟が就職できる年になり、妹の面倒もかわって見てもらえるようになり、Marcoは夜学に通って高卒の資格を取った。

ポーカーの仲間たち、その中でも特に雇い主でもあるKentが、Marcoのことを遊び歩いている不真面目な男だと思っていることは知っていた。寝不足や、常に忙しくしている様子など、彼らの誤解をMarco自身も解こうとしなかった。
からかわれ、苛つかれるのはいい。同情され、見下されるのに比べればはるかにその方がいい。
だが高卒の資格を得、弟を無事育て上げた今、Marcoは友人達にすべてを話そうと思っていた。特にKentに。

Kentは、Marcoが雇ってくれと言ってきた8年前から、ずっとMarcoを見ていた。Marcoが19になった時、Kentは彼をデートに誘おうとしたのだ。
だがその時、ちょっとした偶然でMarcoがまだ17だと知り、彼はひどい自己嫌悪とともにあきらめた。
8年の間、気持ちはいつもMarcoへ向かっていたが、忙しそうな彼が遊び歩いているのだと思いこんで、ついMarcoにきつくあたってしまう。

8年、友人達の冗談のネタになるほど、MarcoとKentはお互いの周囲を回ってきた。
彼らの間をつなぐ強い感情に、気付いていないのは当人たちだけだった。
.....



Poker Nightシリーズ5。
最終巻かな?

1からずーっと、ことあるごとに言いあう様子が「こいつらは」という感じで描かれていた、MarcoとKentの話。ついに。
それと同時に、いささか身の上や暮らしぶりが謎めいていたMarcoの事情が描かれます。
弟2人を育て、とじこもりがちの幼い妹の面倒を見て、金のやりくりをして、プレイボーイ風の見た目と裏腹に苦労人です。
そのことを知っているのはポーカー仲間内でもAngeloだけで、誰にも言わないと約束した通り黙っているけれども、KentがやたらとMarcoに当てこすりを言うのを見ながら、Angeloは苛々している。
17歳の子供をひっかけようとしてしまった!と8年前の一件がKentにとってショックだったのはわかりますが、それを引きずって、ちくちくと相手を苛めるなんてお前こそ子供か。
でも、そのへんの不器用さがKentのよさでもある。

Marcoの父親がまた金をせびりに現れて騒動になり、MarcoとKentは長年の誤解を解きますが、まだまだとても障害が多い。
13歳の年の差はともかく、Marcoの父親のことも解決してないし、Marcoは弟妹のことを何より優先しなければならない。そしてMarcoはKentの豪邸を見て、互いの境遇の差にひるむ。金銭感覚が違いすぎる。

2人は障害をのりこえ、話し合い、お互いに妥協しながら新しい関係を作っていかねばなりません。
たとえば、買い物はMarcoがクーポンを切り抜くから必ずそれを持っていくこと、とかね。

ここまで4冊分、ずーっと顔を合わせれば憎まれ口を叩き、Marcoが「Kentは俺を嫌ってるから」とへこむほどの関係だった2人が、やっと相手に手をのばす様子がほのぼのしていていいです。何となく、読んでいるこっちも(4冊分の)感慨があるのが、シリーズ物の良さでしょう。
相変わらずポーカー仲間はみんな仲がいい。
ここまでの4冊で、ZacにはEric、BobbyにはJules、TreyにはCole、AngeloにはMoodyと、カプが成立してくるたびに「仲間」の数が増え、ついに10人のポーカー仲間は団結して、ハッピーな未来へ向けて歩き出す。
(しかし地の文に「11人が幸せに」って書いてあるんですが、あと1人って誰だ。うっかりかな?)

5冊まとめて、幸せな感じのシリーズですので、楽しく読書したい人におすすめ。

★ハッピーエンド
★家族連れ

Skin Deep
S. W. Vaughn
Skin Deep★★☆ summary:
Will AmbroseはNYのラジオ局の人気ジョッキーで、ゲイ向けのラジオ番組でリスナーからかかってくる質問に答え、時に相談を聞き、助言を与えていた。
だが彼自身の恋愛関係は悲惨なものだった。何故かいつでもサディスティックな恋人を引き当ててしまう彼は、一番最近の恋人の暴力に悩んでいた。暴力は段々エスカレートしてきていたが、警察には行けない。恋人は警官であった。

そんなある日、彼は友人に連れられてタトゥショップに入る。
そこにいたのは、Cobaltという通り名のタトゥアーティスト。彼の何かがWillに親近感を感じさせたが、どこでこの美しい男と自分に接点があったのか、Willにはわからなかった。

Cobaltは、Willのラジオに一度相談を持ちかけたことを、後悔していた。
ばかげたことだ。恋人が死に、あるいは気が狂ったと言っても、人間がそれを偶然だと思うのは当たり前だ。彼が関わった人間は皆不幸になるのだとも、Cobal自身が人間ではないことも、告げられるわけがなかった。

Cobaltは「Fae」という種族の一員だったが、許されない相手と関係を持ち、追放された。
その相手は何故か人間界までCobaltを追ってきて、彼にいまだに執着している。半ば狂気に陥りかかった彼を避けるため、Cobaltは結界を張った店にこもっていたが、孤独だった。

Willをその目で見た彼は、この人間に惹かれるが、二度と過ちをくり返してはならないとも思う。二度と、誰も苦しめたくはない。
だがWilの恋人の暴力はさらに悪化して‥‥
.....



パラノーマルとかタトゥとかDVとか、色々盛りだくさんの話です。異種エロあり。現代ファンタジー。
Willのキャラがいいですね。DV男をひきあてちゃう受けは弱々しいのが典型ですが、Willはなかなかにしぶとい。なら何故にそういう男にひっかかる、というのはありますが、彼はどうやら微弱なエンパスの能力があるらしく、そのあたりが貧乏くじを引く原因になっているのではないかと思われる。
Cobaltはもう格好いい攻めそのものなんだけど、たまに子供っぽいところが可愛い。Willが絡むとすぐ気持ちが弱くなるし。

この2人がなかなかくっつかず、好きだ、でもどうしよう!を延々やっている様子も楽しいですが、Cobaltの過去の絡みや、彼のもとに逃げ込んできた同種族の男との複雑な関係、段々と明かされていく秘密など、ファンタジー部分の骨子がすごくしっかりしています。
最後のクライマックスに入っていくところは、脇キャラにすごく萌えてしまった。いや、骨肉の争いとか、近親憎悪と裏腹の愛情とか、そういうの好きな人はたまらんと思う。

scarificationという言葉が出てきますが、これは傷で体に模様を描くもので、もともとアフリカの部族などが行っていたもの。今ではピアスやタトゥなどの身体改造の一ジャンルです。
タトゥーショップを舞台にし、scarificationを話題にするわりに、話の中でのそのへんの掘り込みは薄いかな。WillはDVを受けながら、自分にそういう痛みを好む性向があるのかと悩みますが、そのへんからBDSMに入っていくということもなく、最後までエロはわりとノーマルな感じ。
異種エロがあるので「ノーマル」じゃないかもしれませんが、でも全体に恋愛はほのぼのしていて、純で可愛いです。
エロとか、カップリングの感じは、ちょっとBLっぽいかも。

クライマックスで意外にも無力だと思われた人間(Will)がお役立ちするところとか、最後にWillがラジオで受ける相談とか、話の締めがとても鮮やかで、読みごたえがあります。話を読んだ!という手応えがある。
ファンタジーが好きな人、異種ものが好きな人におすすめ。

★現代ファンタジー
★異種

★Three-Star rating system★


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・恋人までのA to Z
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