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Slash(m/m小説) レビューブログ

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[タグ]キャラ:軍人 の記事一覧

Ransom
Lee Rowan
Ransom★★★ summary:
18世紀、フランスと戦争中(フランス革命戦争)のイギリス海軍が舞台。
その時代、同性愛は禁忌であるだけでなく、死に値する罪であった。海軍においては吊るし首となる。
1796年、Titanに着任した士官候補生William Marshallは、その一週間後に決闘で上官を撃ち殺す。上官が仕掛けてきた淫らないたずらに、彼は誰の味方もないまま敢然と立ち向かったのだ。Davidの長年の苦しみの元は、Willの放った一発の銃弾で倒れた。
多分その瞬間、士官候補生David Archerは、William Marshallに望みのない恋をしたのだった。

3年後、ともにCalypsoに任官してからもDavidの思いはかわらなかったが、彼らは互いにかけがえのない友人となっていた。DavidのWillへの思いは決してかなわないものだった。同性愛は罪であり、それ以上に、Willは二度と、彼を友人としてすら近づけなくなるだろう。真面目で融通のきかない、そして誇り高いこの友人を失うことは、恋を秘めることよりも耐えがたいことだった。
Willはすでに任官試験に合格して士官となり、後ろ盾がいないにもかかわらず、未来もほぼ約束されていた。Davidの任官試験も目の前にせまっていた。2人で士官となってともに働けば、いつか──それも遠くない未来に──Willが自分の艦を持った時、きっと親友のDavidを副官として伴ってくれるだろう。それが今のDavidのひそかな夢だった。

だが上陸時間の間に、彼とWill、そして彼らの艦長Smithの3人は馬車ごと誘拐されてしまう。つれていかれた先は海賊の船で、艦長と引き離されたDavidとWillは2人だけで小さな船室に閉じ込められ、海賊の首魁であるAdrianはDavidにひとつの条件を出してきた。SmithとWillの安全と引き換えに、Davidの体をさし出せという。

事情を知らないまま、憔悴していくDavidをWillは案じていた。その思いが単なる友情と言うには深すぎることに、彼はまだ気付いていなかった。
........


船やら海軍やらの用語はちょっと難しかったんですが、とてもおもしろかった。わからない単語は大体スキップしても話は何とかなるんじゃないかな?と思います。船の描写なんかも詳しいので、そのへんが好きな人にはいろいろな意味でおいしい。やはり帆船ものはこのあたりの時代が多いですね。
かつては上官の気晴らしに体をもてあそばれ、今また海賊の首魁にいいようにされ、とかなり大変なDavidですが、本人はユーモアあふれる前向きな男で、決して運命にただ流されるタイプではない。ちょっとやんちゃな感じもして可愛いんだよな。融通のきかない、やや石頭のWill(しかも聖職者の息子…)とはとてもいいコンビ。
頭で考えるWillと、感覚で判断するDavid。互いを案じたりからかったりはげましたりと、恋とか抜きにしてほんとにかけがえのない友人なんだなー、という感じがいいです。

異様な状況の下で、彼らは互いに相手を守ろうともがき、脱出の手段を探そうとする。そんな中でついに思いを通わせながらも、すぐには近づくことができない。禁忌でもあるし、さらに、自分たちの艦に戻った先のこともある。船には秘密を保つだけのプライバシーなどないし、自由時間もなく、上陸することも滅多にない。仮に思いをとげたとして、彼らの関係には未来がない。

この2人もいい感じなんですが、海賊の首魁のAdrianもちょっと気になった。貴族階級の雰囲気を漂わせる彼だが、金のために誘拐をくりかえしながら、手元にひきよせた被害者たちを蹂躙する。Davidが無反応でいようとする、その抵抗を打ち砕くために薬を盛ったりしますが、何となく彼の行動の底には切羽つまったものがある気がします。
もともとは相棒と一緒に誘拐仕事をやってたようなんだけど、その相棒はAdrianについていけなくなって去った…とかそういう一文もあって、何か色々想像が(いや妄想か)ふくらむところです。勝手に。

DavidとWillの話はつづきが出てまして(「Eye of the Storm」と「Winds of Change」)、彼らの波瀾万丈な恋と、歴史の大きなうねりを書いています。フランスとイギリスで休戦が結ばれて陸に上がるWillとか、船を降りようかどうか悩むDavidとか、フランスへ潜入する任務とか。
エロシーンは少なめですが、ある時は濃厚。とにかく人目をさけなければならないので、我慢したり飢えている感じがなかなか味わいぶかい。
心の変化の描写も繊細で、「ロマンス」というテイストの言葉がよく似合う話です。「Eye of the Storm」の最後の方にある、滝の裏でのエロはとっても美しいシーンだった…

わりと受け攻め分かれてる感じ(あくまで傾向)なので、BLっぽい雰囲気もあり、そういうの好きな人にもおすすめ。

※リンクはLinden Bay Lomanceに貼ってありますが、My Book Storeからも買えます。MBSではちがうフォーマットのファイルを落としなおすことができるので、MBSの方がおすすめ。Lindenのファイルはちょっと作りが甘いので、使ってるリーダーの種類によってはきちんと読めないかもしれない…


★歴史もの
★サスペンス

The Ghost Wore Yellow Socks
Josh Lanyon
The Ghost Wore Yellow Socks★★ summary:
傷心をかかえてサンフランシスコの旅行から帰ってきたPerry Fosterが自分の部屋で見たのは、空のバスタブに入っている死体だった。穴のあいた靴、黄色い靴下。見知らぬ顔。
愕然として、Perryは部屋の外へとびだす。
彼の住むAlton Estateは古い建物で、今は各部屋ごとに住人がいる。Perryと同じ3階には、元海軍のSEALに所属していたNick Renoが住んでいた。
Nickは不承不承ながらも部屋をチェックしてくれる。だが死体はどこにもなかった。

Alton Estateに住む誰もが、そして警官たちも、死体はPerryの思いこみだと判断する。
だがNickだけは少しちがった。彼はPerryの部屋をチェックした時、床に落ちていた古ぼけた靴の片方を、何気なく窓際に置いたのだ。警官が来た時にはその靴は消え、かわりにPerryの靴が置いてあった。
Nickは死体は見ていない。それを信じればいいのかはわからない。だが、この部屋で何かがおこっている。それはたしかだ。

Perryは自分の見たものが幽霊だったとも、幻だったとも思っていなかった。誰かが彼の部屋に死体を隠したのだ。だがPerryが部屋の外に出てからNickが見にいくまでに、一体どうやって廊下を通ることなく死体を運び出したのだろう。Perryは事件を自分で調べようとする。
警告、新たな死体、建物にまつわる古い物語、遠い昔に恋人を奪おうとして死んだ男の伝説。住人たちは皆挙動不審になり、重苦しい空気の中で、彼らが秘めてきた隠された顔があらわにされていく。逃亡者、覗き屋、昔の持ち主の子孫…

その中で、殺人者の顔を持つのは誰なのか。
.....



Perryはゲイであることが原因で親元を離れ、画家を目指している23歳の童顔の青年です。喘息がちで、失恋したばかりで、今月の家賃まで旅費に使いこんでしまった上、とぼとぼと家に戻ってきたら死体が待っていた、と、もう踏んだり蹴ったり。
Nickはそんな彼に巻きこまれることを避けようとします。だがPerryは彼が思っていたような「ドラマクイーンタイプ」ではなく、じつのところは快活で賢く、粘り強い。最初こそじめじめ落ちこんでいますが、すぐに気をとりなおして、根っこにあるポジティブな気性を見せ、自分で建物の謎を調べはじめる。

Nickは軍をやめて仕事を探している最中で、LAの友人のところで職をもらえればバーモントを離れるつもりなので、なるべくPerryに近づきたくはないのですが、少しずつPerryの新たな一面を発見しながら段々と惹かれていくのをとめられない。
その経過はゆっくりで、まるで似たところのない2人が互いの距離をつめていく様子が、物語のもうひとつの核となっています。ものすごくドラマティックなことがおこるわけではありませんが、Nickが「駄目だ」とか「馬鹿げてる」とか思いながらちょっとずつ傾いていくのがおもしろい。Perryに対する庇護欲がどこからわいてくるのかわからなくて、自分でとまどっている。そしてNickが思っているほどPerryは子供でもなかった。
彼らは互いに惹かれるが、たとえ今はうまくいっても、Nickはバーモントへ行ってしまう。続くわけのない関係です。
だからといって踏みとどまれるものでもない。Perryもまた後からくる喪失をわかっていて、一歩踏みこむ。「ただのセックスでいい」と言うPerryに、Nickはたじろぐ。「お前に、そんな言い方は似合わない」

自分がこの場所を去る前に、Nickは死体の一件を解決したいと思う。何だかわからないものの中にPerryを残していくのは気がすすまない。
2人は一緒にこの事件に取り組むことになります。その先にある謎を、彼らは無事解くことができるのか?
そして謎を解いた先には、別れが待っている。


Josh Lanyonはおもしろいのがわかっているので、わざといくらか読み残してあって、その一冊。やはりおもしろいです。
こう、Lanyonの特徴でもある強烈に凝縮された感じはあまりないのですが、その分読みやすいとも思う。ミステリとしての核ははっきりとしているし、NickがぶすっとしながらPerryの面倒をついつい見てしまう様子がほほえましく、Perryは若々しくてかわいい。「こんなガキにかかわりたくない」と思いながらくらっとするNickがいい味を出してます。
甘くはない、さりとて苦くもない、映画のような陰影のくっきりした話です。話自体がおもしろく、雰囲気も楽しめますので、小説全体を楽しみたい人に特におすすめ。

★ミステリ(消えた死体)

Maritime Men
Janey Chapel
MaritimeMen★★☆ summary:
SEAL(アメリカ海軍特殊部隊)の志願者、Cooper FitchとEli Jonesは限界を超えるような厳しい訓練を受けていた。世界から隔絶され、体と精神をいじめ抜き、時おりのわずかな予備時間でバーにいる女をひっかけて、一瞬の楽しみの中に鬱屈を吐き出す。
CooperとEliは一緒のチームとなり、チームの人間は訓練をくぐりぬけていくうちに、まさしく兄弟のような絆を作り上げていた。

Eliはチームの人間を束ね、配置を考え、課せられた訓練を彼らは一丸となって乗り越えていく。
Cooperは、Eliの中にある確信や強さを尊敬していた。Eliのためなら命も捨てるだろう。
Cooperだけでなく、チームの全員が深い忠誠でEliにつながっている。そしてまた、Eliが彼らのために命を惜しまないことも、彼らは知っていた。

そんなある日、疲労や酒、女とのセックスの余韻──そんなものが彼らを肉体的に結びつける。
何が起こっているのか、Cooperにはわからなかった。ただ彼にわかるのは、Eliにふれていると気持ちがいいこと、そしてそれがごく自然に感じられることだった。

彼らは強い絆を足がかりとして、地獄の訓練に耐え抜いていく。
だがEliにさえ、限界は訪れるのだった。
.....



軍隊ものです。
Eliは確信に満ちた静かな男で、Cooperはどちらかと言うとやんちゃっぽい。
Eliは彼をひっぱり、訓練を乗り越えさせる。そしてCooperはEliの弱さをカバーする。彼ら2人だけでなく、チームの人間は全員そんな風に互いをフォローしあっています。それがつたわってくるのがもうひとつの萌えどころ。

色恋沙汰!というほど色々そっちであるわけではなく、「何で男と」という葛藤もほぼなく、むしろCooperとEliは肉体的にあっさりと馴染んでいきます。ですがその裏にあるのは男同士の固い絆で、そういうものに萌える人なら、むしろこの淡々とした描写がたまらないのではないかと。
CooperのEliに対する盲目の信頼が、またたまらない。高空からの降下訓練で、生理的に怯えて正常な判断ができなくなるCooperですが、Eliの命令だけは聞こえる。それにたよって、ただ彼は繰り返し空へ飛び出していきます。どんな恐怖も、彼のEliへの信頼を消し去りはしない。

短めの文章で、内容とよくあった硬派な雰囲気。そんな中に、時おりはっとするような描写があります。
Eliとはじめて最後までセックスをした時のCooper視点の描写(話はすべてCooper視点です)で、Eliを受け入れる時の描写もよかった。

...and let Eli in, and in, and in.



軍人に萌える人はもちろん、たとえば「チーム」とか「忠誠」というキーワードに反応する人におすすめ。
彼らがSEALに配属されてから後の続編が読みたいです。

★軍隊
★訓練生

Border Roads
Sarah Black
Border Roads★★ summary:
イラクから、アメリカ国境へ──
彼らの道はどこまでも険しく、苦難に満ちていた。

イラクでともに戦った分隊の仲間が、故郷近くのアメリカとメキシコ国境付近に集まっていた。
密輸、ドラッグ、密入国。国境には様々な風が吹く。

Chrisは仲間の元を目指しながら、途中の町で買った若い娼婦をともなった。
彼女がいればよく眠れる気がした。そして彼女も、Chrisのそば以外にいる場所がなかった。この世界のどこにも。

国境警備の仕事をしながら、ClaytonはLukeのことを思っていた。Luke。イラクで恋に落ちた、彼の戦友。
だがその恋がLukeをあやうく殺しかけた。不注意になった彼はテロリストの爆弾に吹きとばされ、顎のほとんどを失い、声を失ったのだ。

まだLukeが自分のことを求めてくれるか不安に思いながら、Claytonは彼の元へと出発する。
イラクから帰ってきてからの日々は、彼にとってもう一つの地獄のようであった。もしLukeが彼を拒否したら、Claytonは自分が生きていけるかどうかわからない。
.....



かなり重い話です。
帰還兵たちのそれぞれの暮らし、それぞれの葛藤がえぐられるように書かれている。
エイズにかかった少女娼婦、爆弾の傷を負った兵士、ドラッグの密輸に手を染める弟に銃を向ける兄、国境をこえて密入国した自閉症の子供、「物語」を求めてやってきながら目にした風景に衝撃を受ける記者。
様々な苦痛がその中にある。

いくつか物語があるのですが、ChrisとMelody、ClaytonとLukeが主な中心かな。
Melodyは女の子なので、男女絡みもあり、正直あまり嬉しくないサプライズでしたが(男女が混ざる時は警告がほしいよ)、いい話です。
帰還兵と娼婦。切ないような、どこかピュアな気持ちの交錯がそこにある。

ClaytonとLukeはイラクで熱烈な恋に落ちる。
爆弾による負傷という、Lukeを襲った運命も苛烈ですが、Claytonの中にある嵐のような葛藤にも、彼が魂を削るようにしてギリギリのところを生きているような、剥き出しの悲惨さがあります。
彼の心を救えるのはLukeだけで、彼が求めるのもLukeだけ。
彼らが互いを求めあう激しさと、2人の間に立ちはだかるプライドや怒り、恐れ。殺伐とした国境ぞいを背景に、2人の思いが鮮やかに浮き上がる。
ともに生きていくための道を探そうともがく彼らの様子も、重い。

一方で、国境を越えてきた自閉症の子供Juan(ホアンって読むんでしょうね)の話も切ない。母親に必要とされず、故郷を出て国境をこえるトラックに乗るがそこから落とされ、善意の女性に拾われて牧場につれていかれる。
だがそこにも自分の居場所がないと感じ、人々に迷惑をかけていると思った彼はまた歩き出してしまうのです。

ClaytonとLuke以外はカプと呼べるほどのカプはなく(疑いがあるのはいるけど)、スラ風味は薄い。ClaytonとLukeだけで充分濃くて、萌えますが。
殺伐とした世界がえぐり出されるように描写されています。でもその奥からは暗いことばかりではなく、時おりほのかな明るみがさしてくる。

苦しげなカプとか、群像劇とか、重い話が読みたい人におすすめ。
萌えもあり、心の奥が圧迫されるような何とも言えない気持ちにもなります。読後感はわりとさわやか。

★帰還兵
★負傷

My Fair Captain
J. L. Langley
My Fair Captain★★★ summary:
銀河空軍の艦長であるNathaniel Hawkinsは、家を捨てて軍に入り、二度とその家には戻らなかった。
だが提督は、彼にその「家」の名前と伯爵としての身分を使って潜入任務を果たすよう指示する。奪われた武器の行方と相手の正体を探るために。
Nateはその任務を引き受け、惑星Regelenceに向かった。

潜入先のRegelenceでは、完全に生殖がコントロールされ、貴族社会は男性のみで構成されていた。
そこにはかつて地球文明に存在した宮廷の作法がいまだ息づき、未婚の、25歳以下の男性はかつての「令嬢」たちのように純潔を求められ、誰かと関係を結ぶことはおろか、つきそいなしで出かけることすら許されない。

王の三男、19歳のAiden Townsendの望みはただ絵を描くこと、絵書きになることだけだった。伴侶を得ることなど考えたこともない。
ある日、木の上でいつものようにスケッチに没頭していたAidenは、木から落下した自分が年上の男にかかえられているのを発見する。Deverellの伯爵、Nathaniel Hawkins。抗うにはあまりにも魅力的な男。

NateもAidenとの間に惹かれあうものを感じていた。
だがそれは許されるものではない。彼には仕事があるし、Aidenはまだ19歳で、しかもオフリミットな存在だ。

そんな時、何故かAidenのスケッチパッドが盗まれ始め、ついに彼は命を狙われる。
一体誰が、何の目的で? そしてそれはNateの任務と関わりがあるのだろうか?
.....



階級社会が厳然として生きている(ヴィクトリア朝あたりがモデルかなあ)惑星Regelenceの物語。
生活も服装も古風ですが、技術は非常に進んだ社会です。

Regelenceの王と伴侶(この人がまた格好いい。元殺し屋らしいのだ!)の間には、5人の子供がいる。遺伝子技術で2人の遺伝子を継いだ実子です。
Regelenceの人々はかなり活発な気質で、いざとなると恐ろしい戦士になると銀河でも恐れられていますが、この5人の子供──のうちの4人──も、とてもやんちゃでトラブルメーカー。何しろ王宮のセキュリティをハッキングして、システムを全部落として脱走とかしてしまう。
5人のうち長兄は責任を重んじる性格ですが、あとの4人はつねに親や周囲を引きずり回している。
その三男がAidenです。

J. L. Langleyらしい、不屈で明るいAidenと、強く何物にも曲げられない誇りを持つNateの組み合わせが、ぐっとツボ。
Aidenは箱入りで、外界のことを知らず、ただ絵を描くことだけを望んでいる。絵を描き始めると周囲のことなどまったくおかまいなしになってしまう彼を、両親はいつかとんでもないトラブルに巻き込まれるのではないかと心配しています。
Nateは多分40ちょっと前くらい(探して読み返したけど年が見つからなかった)。18年前に故郷を逃げるように去って、軍で自分の地位を作り、様々な武功を経て己の艦を手に入れた、まっすぐ見据えられると誰もが震え上がるような、鋭く強靭な男です。

そんなAidenとNateは一目で恋に落ちるけれども、どちらもそれぞれの理由で関わりをさけようとする。でもどちらも、互いへの気持ちを抑えようがない。

エロも熱々で、Nateの支配欲がそのままBDSMという形に向かうのを、Aidenはどこまでも受けとめる。Nateが求めれば求めるだけ、許す。無垢で純粋な筈のAidenがNateのもたらす熱の中に落ちていく様がじつにエロティック。
ほいでもってそんなAidenに、Nateはどんどんめろめろになってしまうわけです。

恋と、盗まれた武器の捜索と、その裏にある大きな陰謀が絡み合って、割と長い話ですがどこも飽きさせない。笑いどころも多いです。
周囲のキャラも生き生きしていて、彼らの様子もすっごく楽しい。
Nateの養子であり頭痛とトラブルの元でもある「Trouble」と、王の長子のRexleyのふれあいなんか、笑えるけどじんとくるなあ。
あと、Aidenの父親2人の話が読みたいんだよね。あちこち拾ってつなげるに、当時王位後継者であった少年が殺し屋と恋に落ち、自分の婚約を破棄してその恋をまっとうしたらしい。何て萌えシチュだ!
5人の子供がそれぞれに情熱的なのは、親の血からくるものなんだろうな。全員、キレると怖そうだし。

ラブラブでめろめろな話が好きな人、年の差保護者攻めが好きな人におすすめ。

★軍服萌え
★甘エロ(軽いBDSM)

The Englor Affair
J. L. Langley
The Englor Affair★★★ summary:
Regelenceの王宮から武器が盗まれた事件はNateたちによって解決されたが、より大きな陰謀の存在をも明らかにした。
誰が裏にいるのか確かめるため、Nateは惑星Englorへと向かう。

Regelence王の第二子Paytonは、ハッキングの腕前をたよりにされてNateに同道した。
身分は明かせない。慎みが求められる未婚の王族が自由に動き回っていることがばれれば、Paytonの名誉は地に落ちるだろう。

一介の従卒としてNateにつき従ったPaytonは、Englorの海兵隊大佐Simon Hollisterに出会う。
Simonはただの軍人ではなかった。彼はEnglorの女王の一人息子であり、王位の継承者だ。

Simonに惹かれながら、Paytonは迷う。この関係が明るみに出れば彼の名誉は地に落ちる。
だがもし任務を終えて故国に戻れば、Simonとは二度と会えまい。
ただ1度の恋。見つからなければ、誰にもわからない。それに手をのばして何が悪いだろう。

Paytonの身分を知らないまま、Simonはこの小柄で、活発で、勝ち気な年下の青年をどうにかしてそばに置けないものだろうかと思っていた。
そんなことはこれまで1度もなかった。誰と関係を持っても、遊びに飽きればきれいに別れる。それがSimonの楽しみ方だ。
だが、Paytonには何かがあった。王族としての人生を送る限り決して見つけることがないだろうと、Simonがあきらめていた何か。彼の心をわしづかみにする、何かが。
.....



前作「My Fair Captain」のAidenのひとつ違いの兄、ハッキング帝王のPaytonの話。
やはり弟と同じように活発で、不屈で、純粋で、なかなかに保護欲をそそる可愛い受けです。Regelenceの遺伝子の問題だと思うけど、みんな小柄で強靭。

Simonの国(というか惑星)Englorは、同性愛は違法でこそありませんが、表向きにできない後ろ暗い関係です。
そんなEnglorの王位継承者、SimonはPaytonと恋に落ちてしまう。

Simonがまたさわやかで強い。理想を通そうとして退廃の王宮に背を向け、自らの力で人生を切り開いてきた。傲慢なところもあるけれども、自信に満ちた態度と相まって美しい男です。キリリとして、じつに輪郭が強い。
彼はPaytonの正体を知って仰天するけれども、決してそこでびびったりしない。逆に好機とばかりに、Paytonとの関係を公式のものにしてしまう。
でもそれで恋がかなった筈のPaytonは、自分たちの関係が純粋なものではなく、政略的な計算の結果ではないかと思って、思い悩むのです。幸せなのに苦しい。純情だから仕方ないな!

Paytonをめろめろに溺愛しながら、あまりの忙しさにPaytonの迷いに気付かないSimon。
Simonのために尽くそうとして、ひとつひとつの言葉に傷つきながらもそれを隠して働くPayton。
鉄板の傲慢攻めとけなげ受け。

前作より笑いの要素は影をひそめていますが、その分Paytonのけなげさが際立って、カプとしてすごくおいしい話になってます。
好きだけど、こんなことしていいわけがない!とか、好きだけど、こんなに好きなのは自分だけかも!とか、ぐるぐるしてる様子がすごく可愛い。
勿論、陰謀を追うストーリーもきちんと書けていて、おもしろいです。

余談だけど、これがJ. L. Langleyを読んだ最初でした。
読んだきっかけは、「読者が選ぶ表紙大賞」みたいなのに選ばれていたから。…正直、そんないい表紙には見えなかったので、それで大賞を取っているならきっと内容がおもしろいにちがいない!と思って買ってみたのでした。で、大当たりを引いたんだけども。今でも表紙大賞についてはよくわからない。
しかし胸毛好きだよね、あっちの人は。

前作を楽しく読んだ人には勿論、絵に描いたような「格好いい攻め×けなげ受け」がツボな人におすすめ。
単独でも読めないことはないけど、キャラ名がわからなくなるので前作読んでおく方が楽しいです。

★甘エロ
★政略結婚?

Family Unit
Z. A. Maxfield
Family Unit★★ summary:
退役軍人のLoganは、癌で死んだ恋人の家に移り住んだ。
恋人の記憶をしのんでいたハロウィンの夜、彼はRichardに出会う。

45歳のRichardには大きな過去があった。
ゲイであることを認める前の混乱、その時に生まれた息子。その息子も事故で死に、彼は8歳になる孫のNickを引き取って1人で育てていた。
Nickは、彼に残されたただ1人の家族だ。孫のためならRichardは何を捨てても惜しくはなかった。

たとえLoganにどれほど惹かれていたとしても、一瞬の情熱や恋のためには捨てられないものがある。
2人だけでも、Richardと孫のNickはまぎれもない家族として暮らしていた。

RichardとLoganは互いに惹かれながら、ただ恋人というだけではない新しいスタンスを探さなければならない。意見のくいちがい、価値観の相違、8歳の子供の存在。
そのすべてを乗り越えて、新しい家族の形を。
.....



45歳のおじいちゃんって若いよね。Loganも最初はRichardが「父親」なんじゃないかと思います。
Richardがのりこえてきた人生は楽なものではありません。若い時の性的な混乱でできた息子とは長年会えず、やっと互いの関係を修復したと思ったら事故で息子は失われ、薬物中毒の母親の手から孫を奪い返し、彼はそのNickをひたすら守って育てている。
かつて恋か子供かという選択を迫られて、RichardはNickを選んだ。それはNickが8歳になった今も同じ。

しかし勢い余ってRichardは過保護にすぎるし、すべてのものからNickを守れるわけではないということを、どこか納得していない風です。時にはNickは1人で戦わなければならない、そのことを受け入れようとしない。
Loganは彼を尊重するけれども、時おり2人の意見は大きくくいちがう。

特に暴力というか、「力」の関わるところになるとRichardは反射的な拒否を示します。
彼には何故Loganが従軍したのか理解できないし、家の中に銃を置いていると知るや彼の家に行くことも拒否する。ある種の潔癖症と言ってもいい。
Richardにはそういう、どこか理想的な完璧さを求めるところがあって、それは現実感覚に優れたLoganとはちょっと相いれない。

でもLoganはいい男だね!彼はRichardの拒否に傷つくけれども、理解している。RichardがNickのことになると過剰反応を示すことも、子供のことが第一に来ることも理解する。理解しすぎじゃないかという時もあるが、でもほんとにいい男だ。
譲歩ばかりするだけでなく、Richardにも理解して歩みよってもらおうと、Loganは色々な努力を重ねます。一方的な譲歩が2人の関係を壊しかねないことを、彼はよく知っている。

Richardの問題は他人との妥協に慣れていないことで、その深くには、「家族」を失ってきたことによる傷がある。ゲイであることが彼にその孤独を負わせた。
孫のNickに対する過保護なほどの愛情はその埋め合わせでもありますが、同時に彼はNickと自分の作った殻にこもって、他人をたやすく入れようとしません。
LoganがRichardと本当の恋人になるためには、「家族」としての信頼を得ないといけない。まあ、Loganは簡単にあきらめるような男でもないけどさ。
そういう2人の様子を書いた話です。

中年になってからの恋ではあるけれども、2人とも結構ピュアなところがあって、人と人との距離を丁寧に描いた話全体に繊細な味わいがあります。軍隊とかそういうあたりの価値観は何と言うか「アメリカン」な感じもするので、そのへんは好き好きあるかも。
ところどころRichardの名前が誤植でNickになっていて、人の名前が間違ってるのってそんなに珍しくはないんだけど、8歳の子供の名前だとさすがにこっちの萌えっとした気持ちがしぼみますね。惜しい。でも最後のオチまできちんと作られていて、いい話です。

価値観のちがう大人たち(片方子連れ)のリアルな恋模様に萌える人に。
ちょっと長めなので、じっくり楽しめます。

★元軍人×非暴力主義者
★家族

★Three-Star rating system★


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