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Stranger on the Shore
Josh Lanyon
Stranger on the shore★★★ summary:
20年前、幼かったBrian ArlingtonはArlington家の邸宅から忽然と姿を消した。
やがて身代金要求の手紙が届き、差出人は逮捕されたが、Brianは戻らなかった。
よく知られた、大富豪のArlington家の悲劇である。

その悲劇はずっと眠ったままであったが、何故かArlington家の当主がジャーナリストのGriff Hadleyを邸宅に招き、その事件をテーマにした本を書いてほしいという。
滅多にない幸運に、Griffはとびついた。

家族たちの多くは、Brianの悲劇を忘れたがっている。だが年老いた当主はGriffを温かく歓迎し、自由に調査する許可を与えた。
一方、弁護士のPierce MatherはGriffに対して、敵意もあらわな態度を取る。

20年前、幼い子供の身になにがあったのか。犯人は今、獄中にいる男ではないのか?
調べていくGriffの身に、不穏な出来事がふりかかり……。
.....



古い、子供の誘拐事件を追うジャーナリストと、それを眉をひそめて見張っている弁護士。
昔の事件、掘り起こされる敵意、対立する二人、とLanyonさんの得意技がそろってますよ!

いくつもの謎がストーリーの中にちりばめられてます。子供をさらったのは、本当に逮捕された男なのか? そうなら子供はどうなったのか? 殺されたのか? 死体はどこに隠されたのか?
もしほかに犯人がいるのなら、それは誰なのか。その人物はまだ、この壮大な邸宅に、富を蜜のように吸いながら、暮らしているのか……。その謎とGriffの疑心が絡み合って、緊張感が増していく流れがさすがです。

Griffはそれほど名のないジャーナリストですが、「この事件を調べて本を書いてくれ」という誘いにとびつき、これを自分の未来を変える大きな飛躍にしたいと思っている。とても有名な事件だが、Arlington家はその金と権力で自分たちを守り、これまで取材などに応じたことがなかった。
それが何故、20年も経って? そして何故、Griffが選ばれたのか?
その謎をかかえながらも、彼はできるかぎり誠実に、そして果敢に事件の糸をときほぐそうとしていきます。時に自分を疑い、時に家族たちから向けられる敵意にたじろぎ、時に自分の過去に刻まれた傷を隠そうとして必死になる。
迷いながら、それでもあきらめない。派手なキャラではありませんが、けなげさにぐっときます。

一方、Arlington家の弁護士Pierceは、一家に対して何らかの不利益が生じることを案じ、Griffに対して刺々しい態度を取る。
鉄板だな!
いやいや、この人たちの対立と、その一方でPierceが時おり見せる動揺とかひび割れとか、実に萌える。勿論(勿論!)二人は対立しつつも惹かれ合うのですが、惹かれながらも互いに相手を信用できない、そこがまたいい具合に陰影を落としています。

ミステリ部分の構成も美しくて、Lanyonさんは過去への郷愁を書かせると特に手腕を発揮する作家さんですが、今回のこの「20年前の誘拐」というテーマも彼の個性を非常によく生かしていると思う。
派手ではないけれども、隙のない、いい雰囲気のミステリに仕上がってます。

Lanyonさんファンなら鉄板だし、ミステリが読みたい、骨格のしっかりした話が読みたい時にお勧め。

★20年前の事件
★敏腕弁護士

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His Royal Secret
Lilah Pace
HisRoyalSecret.jpg★★★ summary:
2012年5月。イギリス王室の王位継承権第一位のJames王子の恋人、Cassandraの火遊びの写真が新聞にすっぱ抜かれる。不実な恋人として世論に叩かれるCassだったが、Jamesにとってはかけがえのない友人で、そしてJamesを守ってくれる存在だった。
ただし、恋人ではない。一度も。これからも。

新聞社勤務のBenは、本来は経済担当だったが同僚の代打でケニヤの北方、王子のサファリ訪問の取材に行く。
部屋でのんびりしていたBenは、土砂降りになった雨の中を走ってくる人影を見て、こっちに来いと怒鳴る。ためらって、それから走りこんできたのは、James王子その人だった。

世界に二人だけしかいないと錯覚するような厚い雨のカーテンの中、二人はお互いの秘密を語り合い、チェスを始める。濃厚に、互いの距離が近づいていくのを感じながら。
二度と会わない筈だった。
もしふたたび、次は新聞記者と王子として出会っても、なにも起こる筈のない二人だった。起きてはならない二人だった。
.....



続編の「His Royal Favorite」と合わせた二冊シリーズ。

王子と新聞記者の恋!って、じつに古典的というか伝統技の感すらありますが、それを真正面から、きわめて現代的なテーマも絡めて書ききったシリーズです。
Jamesはゲイである自分を恥じているわけではない。ただ、自分のカミングアウトは無理だろうとあきらめています。
イギリスの王は英国国教会の首長でもある。その宗教との兼ね合い。国教会が認めてくれなければJamesは王になることはできない。
そして何より、彼には妹のIndigo(あだ名)がいる。繊細な彼女は人前に出るのを極端に恐れ、プレッシャーに負けて自傷行為に走っては自己嫌悪に陥る。Jamesがもし王位の責任を放って逃げれば、次にそれを背負わなければならないのはIndigoだ。そんな真似ができるわけはなかった。
2012年が話の舞台というところも肝で、イギリスで同性婚を認める法案が成立したのは2013年。だから「話は出ているけれどもまだ決まっていない」くらいの頃なんですね。こんな時期に「王子のカミングアウト」というのは政治的な影響を持ちかねない行為でもある。国民の反発も怖い。

そんな微妙なバランスの中で、それでもJamesはBenに惹かれるし、BenもJamesに惹かれます。
Benは非常に独立心が強く、人に縛られることに耐えられない。Jamesとの秘密の関係は、そんな彼には丁度いい筈だった。なにしろBenとのことを知られたくないJamesはBenを独占する権利もなければそんな関係に発展する心配もない。
でも、だんだんとBenの心がとらわれていき、それにBenは自分で反発してしまう。自分という存在を失いたくない。Jamesの添え物にはなりたくない。

様々な政治的要素も取り込みながら、ロマンスとしての骨格は外さず、二人の恋が時に美しく、時に痛々しく描かれています。
Jamesには王位を捨てられない。Benには「王子のパートナー」として自由を失った生活など考えられないし、耐えられない。パパラッチに四六時中追い回され、一挙一動をあらゆる人間に見張られて? それは普通の人間にはできない暮らしです。
なら、恋を捨てるしかないのか。捨てられるのか。

周囲の人々もそれぞれ生き生きと描かれていて、特にIndigoの存在が物語に深みを出していると思う。人の視線が恐ろしく、自傷して長袖やタイツをまとい、公式の場でうっかり挙動不審になれば新聞やネットで「ラリっているか酔っているか」と叩かれる彼女の逃げ場のなさは、現代的な問題の象徴でもある気がします。
Jamesは彼女を守りたい。でも、スキャンダルを恐れて治療を受けさせることすらできない。

皆が、何かをのりこえなければならない。そののりこえる力を描くのも「ロマンス」のひとつの美しさなのだなと、噛みしめることのできた物語でした。
おすすめの一作です。特に身分差好きならたまらないですよ!

★身分違いの恋
★王族(現代)

★Three-Star rating system★


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*他訳者さん*
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