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[タグ]キャラ:船乗り の記事一覧

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Ransom
Lee Rowan
Ransom★★★ summary:
18世紀、フランスと戦争中(フランス革命戦争)のイギリス海軍が舞台。
その時代、同性愛は禁忌であるだけでなく、死に値する罪であった。海軍においては吊るし首となる。
1796年、Titanに着任した士官候補生William Marshallは、その一週間後に決闘で上官を撃ち殺す。上官が仕掛けてきた淫らないたずらに、彼は誰の味方もないまま敢然と立ち向かったのだ。Davidの長年の苦しみの元は、Willの放った一発の銃弾で倒れた。
多分その瞬間、士官候補生David Archerは、William Marshallに望みのない恋をしたのだった。

3年後、ともにCalypsoに任官してからもDavidの思いはかわらなかったが、彼らは互いにかけがえのない友人となっていた。DavidのWillへの思いは決してかなわないものだった。同性愛は罪であり、それ以上に、Willは二度と、彼を友人としてすら近づけなくなるだろう。真面目で融通のきかない、そして誇り高いこの友人を失うことは、恋を秘めることよりも耐えがたいことだった。
Willはすでに任官試験に合格して士官となり、後ろ盾がいないにもかかわらず、未来もほぼ約束されていた。Davidの任官試験も目の前にせまっていた。2人で士官となってともに働けば、いつか──それも遠くない未来に──Willが自分の艦を持った時、きっと親友のDavidを副官として伴ってくれるだろう。それが今のDavidのひそかな夢だった。

だが上陸時間の間に、彼とWill、そして彼らの艦長Smithの3人は馬車ごと誘拐されてしまう。つれていかれた先は海賊の船で、艦長と引き離されたDavidとWillは2人だけで小さな船室に閉じ込められ、海賊の首魁であるAdrianはDavidにひとつの条件を出してきた。SmithとWillの安全と引き換えに、Davidの体をさし出せという。

事情を知らないまま、憔悴していくDavidをWillは案じていた。その思いが単なる友情と言うには深すぎることに、彼はまだ気付いていなかった。
........


船やら海軍やらの用語はちょっと難しかったんですが、とてもおもしろかった。わからない単語は大体スキップしても話は何とかなるんじゃないかな?と思います。船の描写なんかも詳しいので、そのへんが好きな人にはいろいろな意味でおいしい。やはり帆船ものはこのあたりの時代が多いですね。
かつては上官の気晴らしに体をもてあそばれ、今また海賊の首魁にいいようにされ、とかなり大変なDavidですが、本人はユーモアあふれる前向きな男で、決して運命にただ流されるタイプではない。ちょっとやんちゃな感じもして可愛いんだよな。融通のきかない、やや石頭のWill(しかも聖職者の息子…)とはとてもいいコンビ。
頭で考えるWillと、感覚で判断するDavid。互いを案じたりからかったりはげましたりと、恋とか抜きにしてほんとにかけがえのない友人なんだなー、という感じがいいです。

異様な状況の下で、彼らは互いに相手を守ろうともがき、脱出の手段を探そうとする。そんな中でついに思いを通わせながらも、すぐには近づくことができない。禁忌でもあるし、さらに、自分たちの艦に戻った先のこともある。船には秘密を保つだけのプライバシーなどないし、自由時間もなく、上陸することも滅多にない。仮に思いをとげたとして、彼らの関係には未来がない。

この2人もいい感じなんですが、海賊の首魁のAdrianもちょっと気になった。貴族階級の雰囲気を漂わせる彼だが、金のために誘拐をくりかえしながら、手元にひきよせた被害者たちを蹂躙する。Davidが無反応でいようとする、その抵抗を打ち砕くために薬を盛ったりしますが、何となく彼の行動の底には切羽つまったものがある気がします。
もともとは相棒と一緒に誘拐仕事をやってたようなんだけど、その相棒はAdrianについていけなくなって去った…とかそういう一文もあって、何か色々想像が(いや妄想か)ふくらむところです。勝手に。

DavidとWillの話はつづきが出てまして(「Eye of the Storm」と「Winds of Change」)、彼らの波瀾万丈な恋と、歴史の大きなうねりを書いています。フランスとイギリスで休戦が結ばれて陸に上がるWillとか、船を降りようかどうか悩むDavidとか、フランスへ潜入する任務とか。
エロシーンは少なめですが、ある時は濃厚。とにかく人目をさけなければならないので、我慢したり飢えている感じがなかなか味わいぶかい。
心の変化の描写も繊細で、「ロマンス」というテイストの言葉がよく似合う話です。「Eye of the Storm」の最後の方にある、滝の裏でのエロはとっても美しいシーンだった…

わりと受け攻め分かれてる感じ(あくまで傾向)なので、BLっぽい雰囲気もあり、そういうの好きな人にもおすすめ。

※リンクはLinden Bay Lomanceに貼ってありますが、My Book Storeからも買えます。MBSではちがうフォーマットのファイルを落としなおすことができるので、MBSの方がおすすめ。Lindenのファイルはちょっと作りが甘いので、使ってるリーダーの種類によってはきちんと読めないかもしれない…


★歴史もの
★サスペンス

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Fair Winds
Chrissy Munder
FairWind★★☆ summary:
Rudy Haasは船とレースを何より愛していた。
だが、何とかやりくりしてレースの参加費分担を払い、ヒッチハイクで湖にたどりついてみると、仲間のクルーは彼が船に乗るのを拒否した。
Rudyは信じられなかった。5年もともにレースをしてきた仲間が、Rudyがゲイだというだけの理由で、彼をこれほど嫌うとは。

帰りの金もなく、船で寝るつもりだったので夜眠る場所もない。
だが何より、レースに出られないことがつらかった。
どうにかして船に乗るため、Rudyはクルーの募集を探してバーをのぞき、コルクボードに留めてあった紙を見て驚く。Devlin's Due。その船の名を、彼は知っていた。腕のいい連中だ。

Devlin's DueのクルーをたばねるIke Ujarkaは、口数が少なく謎めいた男だった。
Rudyは一目でIkeに惹かれる。それも強烈に。

だがとにかく今の彼は、ヨットマンとしてクルーたちからの信頼を、そしてIkeからの信頼を得なければならない。船を、新たな居場所を得るために。
.....



レースヨットの話。と言っても、まだレースに入る前までの話ですが。
Rudyがいかに海を愛しているかがつたわってくるので(舞台はでかい湖だけど)、彼が船を下ろされた時のショックや、次の船を探すための切羽つまった気持ちがよくわかります。
彼の人生は船のためにある。その居場所をいきなり奪われた、失望はでかい。
でもレースは待ってくれないので、新しい船を探さなければならない。そして彼はDevlin's Dueの連中に出会うのです。

Rudyがころがりこんだ新しい船「Devlin's Due」のクルーは、実に「チーム」感があふれていて、読んでいて楽しい。何だか家族みたいです。互いにののしりあったかと思うと一瞬で結束する。
そしてリーダーのIke。(「アイク」じゃないかと思うんだけど、どうしても「イケ」と脳内でローマ字読みにしてしまう…)
大柄で物静かで、独特の雰囲気をたたえた彼が、至るところで格好いい。彼のセリフは数えるほどしかない気がしますが、それでも格好いい。

Rudyは彼らにクルーとしての適性をテストされる短い日の中で、色々なことを体験します。容赦のないしごき、Ikeへの恋、船の上でのキス、湖上の嵐、事故…
そのすべてがRudyを強く揺さぶる。前の船を下ろされたからというだけでなく、彼の人生はその日々で大きく変わっていくのです。
スラではあるけれども、カプがどうとかと言うよりむしろ、Rudyの成長話という趣が強いですね。それがテンポよく、色々な人生のドラマを散りばめられながら語られます。筋は複雑ではないんですが、うまくできた話で、かなり手練な作者かと思う。

クルーとして迎えられることができるのか、不安ながらも、全力を尽くすRudyの懸命さがなかなかいじらしくて、応援しつつ読んでいました。
IkeとRudyだけでなく(このカプもなかなか味わい深いんですが。…Rudyはちょっと苦労しそうな気がする)、Devlin's Dueのクルーの話の続きが読みたいなあ。
微妙に書き残されたこともあるし。話はきっちり完結してますが、設定がもうちょっと深めに設定されている気配があって、作者側も続きを書くことを前提にしているのかもしれない。
楽しみです。
みんなでレースに出て、Rudyの前の船をけちょんけちょんにしてくれたらすごく嬉しいんだけどな!

スポーツもの、海もの、船ものが好きな人。「仲間」感があるものが好きな人におすすめ。

★ヨットレース

Slow-Play
Carol Lynne
Slow-Play★★ summary:
Bobby Quinnはチャータークルーズの船長という仕事と、まかされた船を愛していた。この船は彼が手に入れ、すみずみまで修復し、美しく磨き上げた。人生そのもののように愛した相手だった。
だが義理の兄はBobbyからその船を奪い、ただの雇われ船長として彼を働かせ続ける。かつてあれほど愛したこの船が、今はBobbyをつなぎとめる鎖となっていた。
家族からなるべく距離を置き、誰かと付き合うこともなく、Bobbyが遊びに出かけるのは友人たちとのポーカーだけであった。

Jules Petersは、孤独に慣れ、そして孤独に疲れていた。
目指した医者になり、大きな家に住みながら、彼のすることと言えば古い車を買い取り、パーツをひとつひとつ集めて元のように美しい姿に直すことだけだった。そんなことでもしていなければ、あまりにその家は孤独すぎた。

サンフランシスコ湾でのクルーズをプレゼントされたJulesは、船長のBobbyと出会う。
この若い男にかつてないほど強く惹かれながら、Julesはためらっていた。彼はもう孤独に慣れきっていて、その殻から出るのには勇気を要したし、Bobbyの若さは、Julesが望むような長い関係を求めていないように見えた。

BobbyもJulesに惹きつけられていたが、何より、今のBobbyには他人と付き合う余裕がなかった。
兄との関係はますます悪くなり、Bobbyは追いつめられる。自分を曲げて兄のために働き続けるか、それとも心から愛した船を捨てて別の人生を探すか。だがそれは、自分の体の半分をもぎ離すようなものだった。
.....



Poker Nightシリーズ2。

ポーカー仲間の1人Bobbyと、前作「Texas Hold 'Em」のEricが働いている病院の医師Julesとの話。
気付かぬままに人生の壁に行き当たり、疲れている2人の男が出会って、それぞれに新しい道を見出す話です。

40代前半あたりのJulesは、その年になるまで1人しか恋人と呼べる相手がおらず、そしてその関係は相手の死によって悲劇的な結末を迎えている。
彼はおだやかな人間ですが、用心深く、他人を自分のテリトリーにすぐ招き入れたりしない。
Julesの心には死んだ恋人が、もう20年近くも住みついていて、苦しんだ記憶はたやすく彼の心を離さない。

Bobbyは自分の金持ちの家族が道具のように人を使う様子を見て育ったため、金のある人間を信用しない。Julesのこともすぐには信用できない。彼もやはり、Bobbyを道具のように使っているのではないだろうか。死んだ恋人からのリバウンドで、手近に来た若い男に傾いているだけなのではないだろうか。
互いの悩みや、行き違いが、ストーリーを通してくっきりと浮き上がってきます。

ちょっと子供っぽく、一本気なところがあるBobbyと、慎重でおだやかなJulesとの組み合わせがいいコントラスト。
JulesはBobbyと付き合いはじめて、否応なくほかのポーカーの仲間とも関わりあっていく。JulesとBobbyだけではなく、友人全員が力を合わせ、Bobbyの窮地を救っていくのです。
「友人達+Jules」ではなく、全員まとめて友人になっていく様子がいい。前作のEricもごく自然にメンバーの中に馴染んでいて、相変わらず忙しいようですが、彼とZacもうまくやっているようです。

いったん壁を越えるとやたらとエロエロな関係になるので、たまにおいてけぼりの感もあるほどですが、それもCarol Lynneの作品の楽しい部分。
体の関係を作るのも、気持ちよさに溺れたり誤魔化されたりするのもいいけれども、それを支える信頼の土台を2人は作らなければならない。
そうやって向き合い、もがき、互いの大切さに気付いていく様子がかわいいです。

タイトルの「Slow-Play」はポーカーの戦略で、強い手を持っているのに逆に振る舞い、相手が賭けにのってくるよう仕向けるやり方。
シリーズ1と同じように「仲間で結束してがやがや」というのが好きな人におすすめ。「死んだ恋人の記憶から逃れられない年上の男」が好きなら、さらにおすすめ二倍です。

★船乗り/医者
★仲間

The Ghost and Mr. Moore
Ryan Field
The Ghost and Mr. Moore★☆ summary:
元ハリウッドの有名子役Dexter Mooreは、長年のパートナーとの破局を機に、娘をつれて小さな町の屋敷に移り住んだ。
噂によれば、その屋敷には幽霊がいるという。
何人もの持ち主が立て続けに変わったいわくつきの屋敷だったが、Dexterは気にしなかった。一目でその屋敷を気に入ったし、噂のおかげで破格の値段で買えたのだ。
ハリウッドを離れ、娘のそばにずっといても暮らしていける。何も心配はない。その筈だった。

だが彼は間違っていた。
第一に、その屋敷には本当に幽霊がいたのだ。
若い船長、Lang。この屋敷の最初の持ち主。彼はDexterの前に姿を見せる。
第二に、Dexterの元パートナーが投資に失敗し、彼らが築き上げてきた財産をすべて失ったのだ。

Dexterは幽霊と恋に落ちながら、どうにか金を稼ぐ方法を探し出そうとする。彼はもうハリウッドには戻りたくなかった。少なくとも、フルタイムでは。
生活密着のリアリティショーの取材を受けることにしたものの、それだけでは足りない。

意外にも、彼に答えを与えたのは幽霊であった。
.....



能天気なエロもの、というほどには能天気でもエロでもないんですが、何故かそういう印象の残った一冊でした。いい意味で。
Dexterの呑気さというか、おっとりしたところがそういう雰囲気を醸し出しているのかなあ。
ハリウッドの子役上がりで、かつては知らない者がいないほどのスター、その財産でパートナーとともにのんびり暮らして娘(養女でしょう)を育てているが、そのパートナーが19歳の青年に走って破局、娘と家政婦をつれて隠居。
嫌みなプロフィールなのに、非常になごむキャラです。
ゲイであることを自然に受けとめ、ゲイの多いビーチを散歩しつつ、「そう言えばストリッパーに憧れてたんだよな」と砂浜で彼ら相手にプライベートなストリップショーをしてみせたりする。それも毎日。おさわり禁止。
馬鹿なのか呑気なのか!でもかわいいんですよ。

幽霊が出てきた時も、Dexterは一度は否定するんですが、それにしても船長って格好いいなあと、あっさりエロっといってしまう。相手は幽霊だぞ、よく考えろ。
「金稼がないと」でリアリティショーの取材を受けたものの、「自分の日常なんてつまらないよな」と考え、どうにかならないかと相談した友人によって町の政治的な反対キャンペーンに巻き込まれ、「やるなら頑張らないと」でせっせとインターネットで発信したり、スピーチを暗記。ハロウィンでは気合いを入れて子供のために魔法の大釜(中にドライアイスを入れている)を用意し、自分は海賊の仮装にハイヒールブーツ。
真面目で、呑気で、愛らしい人だと思う。
そんな彼がふらふらと幽霊と恋に落ち、お互いを楽しくたぶらかしている(としか何だか言いようがない)のは何ともかわいい光景です。

もうちょっと幽霊のLangの方に性格とかエピソードがついた方がいいなあと思いますが(海でのエピソードとか聞きたかったな)、紋切り型でも「船長」というだけでとても格好いいし、Dexterにほれ込んでいるのも伝わってきます。
全体に嫌みがなく、楽しく読める話。最後はちょっとほろりときますが、やっぱりどこかおとぎ話っぽくて、後味もきれいでした。
重い話ばかり読んでいるとたまに息が詰まるので、こういう話は大好きだ。やや短めなのでさらっと楽しめます。

★幽霊
★元ハリウッドスター

The Manituw
Lisbeth Jenkins
The Manituw★★ summary:
イギリスから、水質汚染と生態系の調査にカナダの小さな町を訪れたRobert Silsburyは、予約した筈の船の船長が町の留置場にいるのを見て、初日から後悔していた。

July Cyrは、カナダ先住民と白人との非嫡出子であった。彼を憎んだり、嫌がらせをしてくる男たちは絶えない。顔なじみの警察官は、トラブルを避けるために、彼が飲みすぎると留置場に引きとって酔いが醒めるまで置いてくれるのだった。
深酒のせいで日にちをまちがえて、客を留置場で出迎える羽目になった彼は、相手の科学者が彼を解雇しないよう願うのみだった。
今年は船客も少なく、蓄えも底をつきかけ、しかも前金はとうに使い込んでしまっていたのだ。

Robertはこの船長を信用し切れないまま、結局Julyの船 "Manituw" に乗りこんで海洋調査に出る。
2人が互いに感じている磁力は、船の上で互いをつなぐ情熱に変わる。
ただのセックスではなく、もっと強い、心の結びつきへ。

だが彼らのどちらも、自分の過去を許し切れておらず、特にJulyは互いの情熱を信じるだけの希望を持てなかった。
調査が終わればRobertはイギリスに戻る。その先に何があるだろう? 2人の関係がこの瞬間以上のものに発展できる望みが、どこにあるだろう。
.....



過去の自分を許し切れていないまま、投げやりに暮らしている船長と、大切なものを守れなかった重さをかかえこんでいる科学者。
彼らがそれぞれに背負ったものは重く、彼らはそれを相手に見せる勇気を持てずにいる。

船長Julyの複雑なキャラが、物語に深い陰影をつけています。彼はRobertが「大丈夫、うまくいく」と言ってもそれを信じ切れず、プライドが邪魔をしてRobertにたよることもできず、"Do you love me?" とずばりと聞かれても、"No." と嘘をつく。
彼は、みじめといってもいいような底辺の暮らしをしているけれども(彼の住む家は美しく、快適に保たれてはいますが)、その暮らしから抜け出そうとはしていない。酒や、人々からの嫌がらせ。明日の約束のない日々。
彼は、そこから抜け出すのが怖いのかもしれません。

Julyの友達であるベストセラー作家のPhillipsが、また脇役としていい味を出しています。彼はJulyの人生を本に書いて大金を稼いでいる、シニカルで毒舌家な作家です。その一方で、「リアルな世界」を感じたいと言ってJulyと大げんかしては殴り合いになるような不思議な男でもある。
ただシニカルなだけではなく、彼は彼で切羽詰ったものをかかえこんでいるようにも見えます。それが何だかはわかりませんが、人の人生を書くばかりのPhillipsの中にはもしかしたら「自分の人生」というものが欠けているのかもしれないと、読みながらうがったことを想像してしまいました。

そのあたりのキャラの強烈な陰影にくらべてしまうと、Robertはちょっと無個性というか、全体にキャラとしてのまとまりが今一つだったかも。おとなしく見える一方で、内側に怒りや激情をかかえているのはわかるんだけど、そのあたりがスムーズに見えてこないのが惜しい。
エロの時にいきなり支配的になるのもなんだか唐突で、そこに何かあるのかと思ったら特にフォローもなかったので、そのへんは肩透かしだった。うむ。普段おとなしくてエロの時に強気な科学者!というのは萌えるんですけど、あんまりいきなりだったのでびっくりしたさ。

船の上での2人の気持ちのつながりあいとか、望みを持つまい、Robertにも持たせまいとするJulyの葛藤は、描写が強くて、読んでいて引き込まれます。
ラストの方は少し唐突にまとめられた感はあるけれども、このくらいの短さだと、先に想像の余地をたっぷり残したそういうまとめ方もありかなあ。

強い傷や過去をかかえた2人の話が好きな人におすすめ。ろくでなしっぽい船長にときめく人にも。
表紙がじつにエロくていいと思うのです。

★過去あり

★Three-Star rating system★


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