Slash×Slash

Slash(m/m小説) レビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
→このブログについて

[タグ]キャラ:王族 の記事一覧

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Many Roads Home
Ann Somerville
Many Roads Home★★ summary:
Sardelsa大公の息子Yveniは、父親の死後、義理の兄の罠を逃れて命からがら故国を離れる。
あと2年たって19歳になれば、彼は法定年齢に達し、その時こそ国に戻って自分の継承権を主張し、簒奪者である義兄と対決することができる筈だった。
それまで身を隠し、力をたくわえるしかない。

姿をやつし、身分を偽り、密輸業者とともに船に乗ったYveniは、船の難破で連れを失って一人ぼっちになってしまう。
たよれる者がいる国まではまだ遠い。どうにか商隊とともに旅に出るが、道中でさらわれ、奴隷として売られる羽目に陥った。

Paoleは子供の頃に奴隷業者にさらわれ、売られてからずっと奴隷として生きてきた。いい主人も、悪い主人もいた。
だが最後の主人は思いやりがあり、Paoleに人の治療をする能力が生まれつきそなわっていることを知ると、彼に教育を施した。そして自分の死とともに、Paoleを解放した。
自由になり、村から村へと治療の旅を続けながら、だがPaoleは自分の内側に埋められない孤独を感じていた。
長い冬を1人の小屋でこす前に、彼は市場で奴隷を買う。1人でも、苛烈な運命から救い出せればいいと思ってのことだったが、その相手が本当の奴隷ではなくSardelsaの世継であると知り、Paoleは怒りにかられる。

YveniとPaole。2人の運命は奇妙な形で絡み合い、その中で、Yveniは国に戻って使命を果たそうともがくのだったが…
.....



作者のAnn Somervilleはサイトで素晴しいエンパスのシリーズを書いていて、彼女が商業デビューしたことが、私が商業スラッシュを買って読むようになったきっかけでした。
相当な筆力のある作家で、芯の通った設定とストーリー、キャラの間にあるテンションや、時に相手を傷つけずにはいられないほどの価値観のせめぎあいが読みどころです。
なかなか商業では彼女独自の持ち味を発揮できずにいるように見えましたが、「Many Roads Home」では2人の登場人物の生き方を、ファンタジー世界を舞台に鮮やかに描き出しています。(電話とかあるんで、ファンタジーと言ってもまたちょっと毛色がちがう感じですが)

Yveniは姉や妹を故国に残して、遠い国で奴隷として売られる。Paoleは奴隷を助けて、ついでに旅のつれになってくれればいいと思って大枚はたきますが、Yveniは彼にとって憎い国の人間だった。そして、奴隷ですらなかった。
なかなか本当のことを言わないYveniをPaoloは信頼できず、YveniはPaoleからどうにか逃れようとする。
2人のいきちがいと、激しい対立、やがてわかりあうまでに至る日々が丁寧に書かれています。

国を逃げた時にはまだ弱々しい、我侭で高慢な部分もあるYveniは、色々な苦難の中で自分の知らなかった世界を知り、成長していきます。
Paoleは彼を厭いながら、その中にあるしなやかな強さに惹かれていくけれども、いずれYveniが国へ戻り、自分の手の届かない存在になってしまうだろうこともわかっている。
故国からさらわれ、奴隷として異国に育ち、Paoleには戻る場所がない。そんな彼にしてみれば、Yveniの中にある理念や理想が、ひどくまぶしく見えるのです。

この作者の作品はディテールが細かいこと、設定が非常に骨太であることが特徴で、ファンタジーとかSFとか、非常にうまい。
今回もPaoleの(Yveniと出会う前の)村から村への旅と、その中で感じる孤独や、Yveniの逃亡の日々が細部に渡って書かれています。
スラとしての2人の関係というよりは、他の登場人物も含めたそれぞれの生き様と選択、それが交錯するさまがメイン。

そういう、ファンタジー世界のディテールを読むのが好きな人におすすめ。
作者のサイトではかなりの量のフリーストーリーが読めますので、こちらもおすすめです。とりあえず「Darshian Tales」を読むのがいいかな、と。

★ファンタジー

スポンサーサイト

The Vanguard
T.A. Chase
Vanguard★★ summary:
Launiocの王子Rathianは「Vanguard」の隊長でもあった。
Vanguardの兵士は国と王子のためだけでなく、互いのために苛烈に戦う。その起源は国の歴史を古く遡り、かつて悪魔にさらわれた王子とそれを取り戻した将軍との伝説にはじまる。
彼らは互いの献身と愛情によって国へ帰りつき、闇から愛する者を守るために、Vanguardを作ったのだった。

そして今、Vanguardは敵国Viliousと長い戦いの時代を迎えていた。
兵士は次々と過酷な戦場に送られ、あやしげな魔術の前に倒れた。部下を失うたびにRathianは苦しんでいたが、彼はリーダーであって弱さを誰かに見せるわけにはいかない。
痛みを分かちあう相手が、Rathianにはいなかった。

Stakelは敵国Villiousの戦士であり、女王の慰み物でもあった。彼はVanguardによって捕虜とされ、Rathian王子の前に引き据えられる。
Rathianは敵である筈のこの男に、何故か敵意を感じなかった。Stakelは女王に何の忠誠心もなく、ただ生きのびるために苛烈な日々を耐えてきていた。彼の中に、Rathianは純粋な生命のかがやきを見る。
そしてSkatelは、敵の王子であるRathianの中に、真実を見ていた。
.....



Vanguardは単純に言うと「ホモの軍隊」で、男同士の関係が公然と奨励されております。

古代ローマにあった「神聖隊」がモデルではないかと思う。男同士のカップルだけが入ることを認められたという隊です。
ギリシア・ローマの頃のホモってのは大体がお稚児さんものというか「庇護者」と「美青年」の組み合わせになりますが、これで軍を組むと、庇護者はいいところを見せようとしてはりきるし、美青年も庇護者の名に恥じまいと、死に物狂いで戦う。
大変に強い軍隊で、当時とても恐れられたという話です。…ネタじゃなくて史実だから世界は広いです。

そんなわけで、結構トンデモっちゃあトンデモな感じもあるのですが、大変に楽しいです。前提が割とはじけていて、全体にもところかまわずエロエロだったりしますが、やはりTAは筋立てがうまいのでおもしろい。
Vanguardの隊員たちに熱烈に慕われつつも、1人ですべてを背負わざるを得ない孤高の王子Rathian。彼はStakelを信頼することを覚え、はじめて他人に弱さを見せられるようになる。
そしてStakelは──故郷をさらわれて拷問に近い訓練を生きのびてから──誰も信頼したことのなかった彼は、心の深いところにRathianのための場所を作る。
両方とも強くていい男です。

2人の関係も甘くて強烈ですが、一方、Vanguard設立の時の昔語りなんかがすごくいい。
闇にさらわれた王子、そして変わりはてた帰還と、そのために払われた犠牲。あれだけで1本話になりそうな、とてもいいエピソードです。
その時の悲劇が原因でVanguardは作られ、そして時はめぐり、Rathianの時代に至ってすべてが決する。歴史に一区切りがつく、そのスケールがなかなかでかい。

エロエロでラブラブなファンタジーが好きな人に是非おすすめ!

★エロ多め
★ファンタジー(軍隊)

My Fair Captain
J. L. Langley
My Fair Captain★★★ summary:
銀河空軍の艦長であるNathaniel Hawkinsは、家を捨てて軍に入り、二度とその家には戻らなかった。
だが提督は、彼にその「家」の名前と伯爵としての身分を使って潜入任務を果たすよう指示する。奪われた武器の行方と相手の正体を探るために。
Nateはその任務を引き受け、惑星Regelenceに向かった。

潜入先のRegelenceでは、完全に生殖がコントロールされ、貴族社会は男性のみで構成されていた。
そこにはかつて地球文明に存在した宮廷の作法がいまだ息づき、未婚の、25歳以下の男性はかつての「令嬢」たちのように純潔を求められ、誰かと関係を結ぶことはおろか、つきそいなしで出かけることすら許されない。

王の三男、19歳のAiden Townsendの望みはただ絵を描くこと、絵書きになることだけだった。伴侶を得ることなど考えたこともない。
ある日、木の上でいつものようにスケッチに没頭していたAidenは、木から落下した自分が年上の男にかかえられているのを発見する。Deverellの伯爵、Nathaniel Hawkins。抗うにはあまりにも魅力的な男。

NateもAidenとの間に惹かれあうものを感じていた。
だがそれは許されるものではない。彼には仕事があるし、Aidenはまだ19歳で、しかもオフリミットな存在だ。

そんな時、何故かAidenのスケッチパッドが盗まれ始め、ついに彼は命を狙われる。
一体誰が、何の目的で? そしてそれはNateの任務と関わりがあるのだろうか?
.....



階級社会が厳然として生きている(ヴィクトリア朝あたりがモデルかなあ)惑星Regelenceの物語。
生活も服装も古風ですが、技術は非常に進んだ社会です。

Regelenceの王と伴侶(この人がまた格好いい。元殺し屋らしいのだ!)の間には、5人の子供がいる。遺伝子技術で2人の遺伝子を継いだ実子です。
Regelenceの人々はかなり活発な気質で、いざとなると恐ろしい戦士になると銀河でも恐れられていますが、この5人の子供──のうちの4人──も、とてもやんちゃでトラブルメーカー。何しろ王宮のセキュリティをハッキングして、システムを全部落として脱走とかしてしまう。
5人のうち長兄は責任を重んじる性格ですが、あとの4人はつねに親や周囲を引きずり回している。
その三男がAidenです。

J. L. Langleyらしい、不屈で明るいAidenと、強く何物にも曲げられない誇りを持つNateの組み合わせが、ぐっとツボ。
Aidenは箱入りで、外界のことを知らず、ただ絵を描くことだけを望んでいる。絵を描き始めると周囲のことなどまったくおかまいなしになってしまう彼を、両親はいつかとんでもないトラブルに巻き込まれるのではないかと心配しています。
Nateは多分40ちょっと前くらい(探して読み返したけど年が見つからなかった)。18年前に故郷を逃げるように去って、軍で自分の地位を作り、様々な武功を経て己の艦を手に入れた、まっすぐ見据えられると誰もが震え上がるような、鋭く強靭な男です。

そんなAidenとNateは一目で恋に落ちるけれども、どちらもそれぞれの理由で関わりをさけようとする。でもどちらも、互いへの気持ちを抑えようがない。

エロも熱々で、Nateの支配欲がそのままBDSMという形に向かうのを、Aidenはどこまでも受けとめる。Nateが求めれば求めるだけ、許す。無垢で純粋な筈のAidenがNateのもたらす熱の中に落ちていく様がじつにエロティック。
ほいでもってそんなAidenに、Nateはどんどんめろめろになってしまうわけです。

恋と、盗まれた武器の捜索と、その裏にある大きな陰謀が絡み合って、割と長い話ですがどこも飽きさせない。笑いどころも多いです。
周囲のキャラも生き生きしていて、彼らの様子もすっごく楽しい。
Nateの養子であり頭痛とトラブルの元でもある「Trouble」と、王の長子のRexleyのふれあいなんか、笑えるけどじんとくるなあ。
あと、Aidenの父親2人の話が読みたいんだよね。あちこち拾ってつなげるに、当時王位後継者であった少年が殺し屋と恋に落ち、自分の婚約を破棄してその恋をまっとうしたらしい。何て萌えシチュだ!
5人の子供がそれぞれに情熱的なのは、親の血からくるものなんだろうな。全員、キレると怖そうだし。

ラブラブでめろめろな話が好きな人、年の差保護者攻めが好きな人におすすめ。

★軍服萌え
★甘エロ(軽いBDSM)

The Englor Affair
J. L. Langley
The Englor Affair★★★ summary:
Regelenceの王宮から武器が盗まれた事件はNateたちによって解決されたが、より大きな陰謀の存在をも明らかにした。
誰が裏にいるのか確かめるため、Nateは惑星Englorへと向かう。

Regelence王の第二子Paytonは、ハッキングの腕前をたよりにされてNateに同道した。
身分は明かせない。慎みが求められる未婚の王族が自由に動き回っていることがばれれば、Paytonの名誉は地に落ちるだろう。

一介の従卒としてNateにつき従ったPaytonは、Englorの海兵隊大佐Simon Hollisterに出会う。
Simonはただの軍人ではなかった。彼はEnglorの女王の一人息子であり、王位の継承者だ。

Simonに惹かれながら、Paytonは迷う。この関係が明るみに出れば彼の名誉は地に落ちる。
だがもし任務を終えて故国に戻れば、Simonとは二度と会えまい。
ただ1度の恋。見つからなければ、誰にもわからない。それに手をのばして何が悪いだろう。

Paytonの身分を知らないまま、Simonはこの小柄で、活発で、勝ち気な年下の青年をどうにかしてそばに置けないものだろうかと思っていた。
そんなことはこれまで1度もなかった。誰と関係を持っても、遊びに飽きればきれいに別れる。それがSimonの楽しみ方だ。
だが、Paytonには何かがあった。王族としての人生を送る限り決して見つけることがないだろうと、Simonがあきらめていた何か。彼の心をわしづかみにする、何かが。
.....



前作「My Fair Captain」のAidenのひとつ違いの兄、ハッキング帝王のPaytonの話。
やはり弟と同じように活発で、不屈で、純粋で、なかなかに保護欲をそそる可愛い受けです。Regelenceの遺伝子の問題だと思うけど、みんな小柄で強靭。

Simonの国(というか惑星)Englorは、同性愛は違法でこそありませんが、表向きにできない後ろ暗い関係です。
そんなEnglorの王位継承者、SimonはPaytonと恋に落ちてしまう。

Simonがまたさわやかで強い。理想を通そうとして退廃の王宮に背を向け、自らの力で人生を切り開いてきた。傲慢なところもあるけれども、自信に満ちた態度と相まって美しい男です。キリリとして、じつに輪郭が強い。
彼はPaytonの正体を知って仰天するけれども、決してそこでびびったりしない。逆に好機とばかりに、Paytonとの関係を公式のものにしてしまう。
でもそれで恋がかなった筈のPaytonは、自分たちの関係が純粋なものではなく、政略的な計算の結果ではないかと思って、思い悩むのです。幸せなのに苦しい。純情だから仕方ないな!

Paytonをめろめろに溺愛しながら、あまりの忙しさにPaytonの迷いに気付かないSimon。
Simonのために尽くそうとして、ひとつひとつの言葉に傷つきながらもそれを隠して働くPayton。
鉄板の傲慢攻めとけなげ受け。

前作より笑いの要素は影をひそめていますが、その分Paytonのけなげさが際立って、カプとしてすごくおいしい話になってます。
好きだけど、こんなことしていいわけがない!とか、好きだけど、こんなに好きなのは自分だけかも!とか、ぐるぐるしてる様子がすごく可愛い。
勿論、陰謀を追うストーリーもきちんと書けていて、おもしろいです。

余談だけど、これがJ. L. Langleyを読んだ最初でした。
読んだきっかけは、「読者が選ぶ表紙大賞」みたいなのに選ばれていたから。…正直、そんないい表紙には見えなかったので、それで大賞を取っているならきっと内容がおもしろいにちがいない!と思って買ってみたのでした。で、大当たりを引いたんだけども。今でも表紙大賞についてはよくわからない。
しかし胸毛好きだよね、あっちの人は。

前作を楽しく読んだ人には勿論、絵に描いたような「格好いい攻め×けなげ受け」がツボな人におすすめ。
単独でも読めないことはないけど、キャラ名がわからなくなるので前作読んでおく方が楽しいです。

★甘エロ
★政略結婚?

The Sheikh and the Servant
Sonja Spencer
The Sheikh and the Servant★☆ summary:
奴隷のNooriは遠い北の海を越えた向こうの民だった。周囲の人々と違うきゃしゃな体つきと白い肌、金髪と青い目からも一目で明らかだ。
父親の死後、借金のためにamir(アラブの首長や王族のこと)に買われた彼は、そこで人の快楽に奉仕する日々をすごしていた。
ある日amirの客として訪れたとあるsheikh(同じく族長)の接待に割り当てられ、彼は熱心に相手に尽くした。
いつか親切な男が彼を買い、今の生活から這い出せるかもしれない。それがNooriの夢であったが、かなわないこともどこかで悟っていた。

だからそのsheikhが旅立ちの前にNooriを買ったと聞いて、彼は驚いた。
sheikhは滞在の間、Nooriの体に指一本ふれなかったのだ。

Shahinというのがその男の名前だった。彼のために、Nooriはすべてを賭けて尽くそうと思う。
だがShahinは、奴隷を得ようとして彼を買ったのではなかった。
Nooriは奴隷の立場から召使いとなり、Shahinによって自分の意思や決断を持つことを求められる。それはNooriにとってとまどうばかりの、だが新鮮な暮らしだった。
そんな日々の中、Nooriの心はShahinを求めるが、寡黙な男は相変わらずNooriにふれようとせず…
.....



アラブ風のファンタジー。日本ではよく見るけどスラでは珍しい気がしますね。
全体にほのぼのとした雰囲気と、淡々とした話運びで、のんびり読める感じです。

Nooriがけなげで可愛い。奴隷の立場を必要以上に恥じたり悲観したりもせず、でもふってわいた幸運には涙を浮かべるほど喜ぶ。まだ子供っぽい、純なところが残っています。
彼はすぐShahinに恋に落ちて、それをほとんど隠そうとしませんが、肝心のShahinが何を考えているのかよくわからず、彼の一言ずつに右往左往してしまいます。
懸命に生きながら、新しい人生に出会って、少しずつNooriが希望を持ちはじめ、持ち前のしなやかな明るさを発揮して場をなごませる、その様子がほほえましい。

ShahinはNooriの知性や品格を見て、快楽奴隷にしておくのは勿体ないと自分のところにつれていき、彼に「自分の判断」を持たせようとします。
それまで奴隷としてひたすら人の言うことだけに従ってきたNooriに、人として自立する道を教えようとする。
そんな日々の中で彼もまたNooriの細やかな心遣いや、優しさに惹かれるが、自分の立場を使って無理強いするようなことは決してできないと、心の深くにそういう気持ちを封印しています。
これがまた寡黙と言うか、ほぼ用事以外はしゃべらない男で、族長としての責任をすべてに優先させるあまり、重荷を背負いすぎているのではないかと周囲に心配されている。前の妻が死んでから、彼が身近に近づけたのはNooriだけなのです。

寡黙な族長とけなげな奴隷、という鉄板カプで、いじらしいというか何ともじれったく話が進んでいきます。
手をつないでるだけで盛り上がったり、微笑を見るだけで幸せになったりしつつ、一向にちゃんとくっつかない。いい感じのじれったさです。

アラブ系の話が好きな人、けなげな奴隷が素敵な主人に買われる話がツボの人におすすめ。エロ少な!ですが、そこが楽しいんだ。
居心地がいい、読み心地がなんとも可愛い話です。

★アラブ
★奴隷

'Til Kingdom Come
Evangeline Anderson
Til Kingdom Come★★ summary:
Elias Trueheartは「虚無」の存在であった。強大な魔法を持つ一族に生まれつきながら、彼は簡単な魔法ひとつ生み出すことができない。一族のつまはじき。
そんな彼の人生は、ある嵐の夜に粉々に砕ける。
魔法を忌避するBlackwaterの王と王子が彼の城を襲い、母の力を奪い、Eliasの首に輪をはめたのだ。
そしてEliasは、第二王子のThrain Blackwaterに人の目の前で犯された。

ThrainはずっとEliasを手に入れようとしていた。暴君である彼の父と兄、そのふたりを排除するために、彼は運命の相手であるEliasの力がどうしても必要だったのだ。
彼らの力を合わせれば、城の地下にとらえられた竜の力を目覚めさせることができる。

だが、Eliasを救うことと引き換えに、彼は兄の命令でEliasの純潔を踏みにじらなければならなかった。
Eliasは2度とThrainを信じないだろう。決して許さないだろう。
それでもどうにかして、2人は竜の力を目覚めさせなければならない。そこにしか、彼らの未来はないのだから。
.....



魔法に満ちあふれた一族の中で力を持たずに生まれてきたみそっかすと、魔法を忌避する一族の中で竜の力を求める男の物語。

「無理矢理→愛情へ」ってのは、BLではテンプレですがスラには余りなくて、「コンセンサスがないものは犯罪だから!」という感覚が根強いように見えます。しかしその中で、無理矢理もいいもんだと思うけどーとかこっそり井戸の中に呟いてる人もいると思う。日本のBL漫画も何だかんだで一部で流行ってるしさ。
「とりあえず合意が必要」というモラルのたがが、ファンタジージャンルになるとゆるみやすくなるようで、ファンタジーにはちらほらと無理矢理カップルがいたりします。

この2人も、最初は無理矢理からはじまります。Eliasは「無理矢理やられちゃった」方ですが、やった方のThrainにとっても不本意な行為だったというのが複雑なところ。
Thrainはあくまで、Eliasの命を救い、彼の信頼を得て、ふたりで敵を倒すつもりだった。この場合の「敵」はThrain本人の父親と兄です。
この兄が暴虐な男で、Thrainは兄の殺意からEliasを守るために兄の目の前でEliasを犯すのだけれども、それによって激しい自己嫌悪に陥る。Thrain自身、かつては兄の欲求のはけ口であり、そこから逃れるために強くなった男だったから。

Eliasは勿論、Thrainを憎む。憎みながら、Thrainの中にある深い傷に気付いていくのが、Eliasが生来持っている繊細さによるものでしょう。

Eliasの中には誰も知らなかった力があり、それは竜の出会いとともに解き放たれはじめる。その力はEliasをも燃やし尽くしかねない。
Thrainは力を尽くしてEliasがその魔法をコントロールする手助けをします。その交流を通して、彼らの気持ちは近づいたり、また遠ざかったりする。ThrainはEliasを助けたいけれども、Eliasは自分がThrainの復讐の道具のように使われている気がしてむなしくなったりとか。
Thrainは、次第に復讐よりもEliasが大切になってくるというのに。

Thrainが実に凛としたいい男で、ファンタジーBL好きなら鉄板な感じで楽しめます。
魔法のコントロールをするために2人でやむなくエロエロしてみたりして、なかなか趣向豊かな感じ。

★虜囚
★剣と魔法の世界

The Bonding
J.C. Owens
The Bonding★★☆ summary:
Gaven 2。

本当の親の元、本当の生まれ故郷に連れ戻されてなお、Gavenは自分が場違いなところにいるという思いを拭うことが出来なかった。
訓練と学びを続けながら、いまだに自分の行く道が見えてこず、気持ちがさだまらない。

彼の「師」となったVlarは人間ではなく、Finnarianという謎の多い種族だった。戦いに秀で、人との性交でエネルギーを得て、ほとんど永遠に近い時間を生きる。
VlarはGavenに剣を教え、そして今まで知らなかった歓びを教えた。
だが、GavenにとってVlarは相変わらず遠い存在のままだった。

迷いながら生きていくGavenの前に、Vlarの父親であるという男が現れ、VlarとGavenはひとつの対なのだと告げる。
その事実を受けとめ切れないGavenは、ある日、過去の復讐に燃える男に襲われ…
.....



Gaven」の続編です。
この作者はもともと一般向けヒストリー物の作家でもあるらしく、かなりしっかりとファンタジーの骨格を持った話を書いてくれます。

前作では、Gavenが自分の本当の生まれを発見し、しかし父親には拒否され、Vlarと師弟の関係になるまでの話でした。
Vlarは異種族なので、それっぽいエロエロがもっとあってもいいのにな!と思ってたら、今回はそのへんをしっかりカバーしてきました。やっぱりパラノーマルものはエロ濃でないとね! 吸血鬼ではありませんが、血吸いシーンもあります。

Gavenの成長物語としての側面もしっかりとしていて、迷える青年であり、愛されたい青年であるGavenが自分の価値に気付いて、しっかりとその足で立っていくまでがつづられています。前回もそうでしたが、今回も彼は結構な苦難に襲われて、じたばたしつつ、その苦しみで成長していくのです。
友達、親、そして師であり彼の人生の伴侶となるVlar。
彼らに値する存在になろうとGavenは頑張るのですが、元々、周囲の者たちは決してGavenを「足りない」とは思っていない。そのことに、Gavenだけが気付いてない。

Vlarが、Gavenとの深いつながりを感じて少し間を空けてみたり、でも他人がGavenに手を触れようとすると強い独占欲をむき出しにしたりと、「獣」っぽい感じがとてもいい。
命が危険にさらされた時、Vlarは自分の内なる「獣」に呑み込まれて人らしいところなどかけらもなくなってしまいますが、怯えつつもそれをしっかり見据えて受けとめようとするGavenの姿に、彼の成長が見て取れます。
そして、一度は冷たくGavenをあしらった父親が、Gavenの成長を間近から見つめ、息子への愛情を心の奥に秘めていたことも、話の後半で明らかになっていきます。

ファンタジー好きならかなり鉄板で楽しめる2冊です。
Vlarの父親が、またかなり物騒な種族と恋人同士らしくて、「ベッドに入るたびに命の危険がある」とか言ってましたが、そのうちそっちのなれそめも書いてくれないかな…不死身のFinnarian種と、Draconian(人竜?)種の恋なんてすごく萌える。

★異種×人

★Three-Star rating system★


[カテゴリ]View ALL
レビュー (310)
★★★ (88)
★★ (188)
★ (34)
モノクローム・ロマンス (10)
電子ブックリーダー (23)
iPodTouch・Stanza (19)
nook (4)
雑談 (84)
英語 (29)
文法 (4)
読書日記 (11)
…このブログについて (8)
…書店情報 (2)
[タグリスト]

04 | 2017/05 [GO]| 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カテゴリ一覧 最近の記事一覧 プロフィール リンク一覧 メールを送る
[カテゴリ]


モノクロームロマンス(M/M翻訳)


■公式サイト■

・2017年
・7月 ヘルハイ3巻
・夏 雑誌短編
・後半 王子二巻
・12月 アドリアンXmas
・冬 雑誌短編
・ほかにも出るかも
・不甲斐なくてごめん

*発行済*
・フェア・ゲーム
・フェア・プレイ
・ドント・ルック・バック
・恋のしっぽをつかまえて
・狼を狩る法則
・狼の遠き目覚め
・狼の見る夢は
・天使の影(アドリアン・イングリッシュ1)
・死者の囁き(アドリアン2)
・悪魔の聖餐(アドリアン3)
・海賊王の死(アドリアン4)
・瞑き流れ(アドリアン5)
・幽霊狩り(ヘルハイ1)
・不在の痕(ヘルハイ2)
・還流

*他訳者さん*
・わが愛しのホームズ
・ロング・ゲイン
・恋人までのA to Z
・マイ・ディア・マスター

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。