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[タグ]キャラ:捜査官 の記事一覧

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Chasing Smoke
K. A. Mitchell
Chasing Smoke★★★ summary:
FBI、そして国土安全保障省で働くDaniel Gardnerは、母親が家を引き払う手伝いをするため、渋々クリスマスに休暇をとって生まれ故郷へ帰る。彼は家族と折り合いが悪く、そして故郷にはもう苦い記憶しかなかった。
自分を殴った酒飲みの父親、家庭内での言い争い、苦い恋と失恋の傷。
15年前の恋。彼を誰より惹きつけ、混乱させ、傷つけた年上の少年、Trey。

Treyの父とDanielの父はベトナムでの戦友で、彼らは家族ぐるみのつきあいをしていた。DanielはTreyへの恋に落ち、Treyも時にはそれに応えるようにも見えたが、彼はいつも人前ではDanielなどいないかのようにふるまいつづけ、自分がゲイであることを否定しつづけていた。
Danielは故郷を去る時、Treyに一緒に来てくれるよう懇願した。だがTreyはその願いを一蹴するように軍隊に入り、Danielの人生からそれきり消えたのだった。

あれはもう遠い昔のことだ。その筈だった。

だが戻った実家に空き巣が入り、その捜査に訪れた刑事の顔を見て、Danielは呆然とする。Trey。
彼は刑事になっていた。そしてそれが何のためか、Danielには一瞬でわかった。DanielがFBIをこころざしたのと同じ理由だ。
遠い日の犯罪の正体を暴くため。そしてTreyの父親の無実を証明し、妻殺しの罪を晴らすため。

再び動き出した過去の事件が、彼らを結びつける。
だがそれが解決した時、2人を待つものは今度こそ最後の別れなのかもしれない。
.....



Treyは、かつてのDanielにとって家族よりも必要な、大切な相手だった。Danielは自分を投げ出すようにしてTreyを求め、TreyはDanielに惹かれながらも、その先にあるものが恐しくて彼をつきはなす──
お互い複雑な家庭をかかえた少年同士の、切羽つまった、抑えきれない情動は、結局破綻します。
Danielは今でもその傷をどこかにかかえている。彼は今の恋人にも誠実に対そうとするが、人生や自分自身を彼らと分かちあうことができない。かつてTreyにしたように、自分をひらいてみせることができない。

TreyはTreyで、ゲイであることを恐れ、Danielを恐れ、同時に父親の犯罪によって彼の少年時代は滅茶苦茶になっています。
15年たって、彼は自分にとってDanielがどんなに大切な存在だったかわかっているが、距離を近づけようとしても、Danielがどこかに逃げ道を残していることを感じる。
体だけならいくらでも近づけるのに、Danielは過去の傷にしがみついて、Treyを許そうとしていない。
それでも2人は惹かれあう。

頑固で一途で繊細なDanielと、迷いと怒りに満ちた過去を持つ執念の男Trey。この2人の、緊張感に満ちた、時にもう未来などないかのような関係が読みどころです。
どちらも相手を恋しいと思う。人生の中で、これほど何かをほしいと思ったことはない。だがどちらの男も、相手の人生の中に自分の姿をはめこむことができない。
この事件が解決すれば。そしてDanielの休暇がおわれば。母親の家を売ったら、Danielがこの町に戻ることは2度とない、それはどちらもわかっている。

一方、謎解きの部分もしっかりしています。そして謎解きでも2人は対立する。
空き巣が「何か」を探していたと感じるDanielは、家の荷物の中からベトナム戦争中のポラロイド写真を見つけ、それが何かを意味すると感じる。だがTreyは簡単にはとびつかない。彼は父親が有罪にされた事件について、15年間ずっとかかえこみ、ずっとその重さを感じてきた。袋小路にいることに慣れてきた。その彼にとって、Danielはあまりに簡単に出口を指さしているように思える。

この話は、2人の男が自分なりの「出口」を探すまで、の物語でもあります。Danielにとっては過去の怒り、その過去がつくってきた自分自身の殻。Treyにとっては、父親の事件にとらわれつづけてきた自分からの。
タイトルの「Chasing Smoke」の「Smoke」は、まるで煙のようにとらえどころのない15年前の事件、そしてさらに昔のベトナム戦争でおこった「何か」と同時に、過去の自分自身を表しているようにも思えます。
そして「Smoke」は過去からたちのぼるばかりのものではない。事件を調べ出した2人を、現実の炎が追ってくる。煙の裏に隠れた殺人者を、2人がつきとめるまで。

読みおわって気付いたのですが、K.A.Mitchellを読んだのは2冊目でした。
Collision Course」を読んだことがあって、これずっとレビュー書こうかどうか迷ってるんですよね。すごくおもしろかったんですが、1つどでかく腑に落ちないところがあって、それがまた、自分の英語力でニュアンスを読みおとしたせいじゃないかという疑いが抜けず。
んで何度か読み返している作品です。どっちも多少ボリュームがありますが、エロ満載で(この人はエロのテンションを高めるのがうまいと思う)、ベタ惚れなんだけど甘々ではない、読みごたえのある話です。ほかのも読んでみよう。

話も人間関係もがっつりと読みたい、という人向け。
相当に自我の強いキャラ同士ですが、大体において受け攻めの分担ははっきりしてる感じなので(100%ではない)、やっぱりカプは固定が落ちつくよね!という人にも。

★エロ多め
★再会

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Shades of Gray
Brooke McKinley
Shades of Gray★★★ summary:
FBI捜査官のMiller Suttonは、有能で、非情であった。犯罪者を追いつめ、利用し、すべての物事を白黒はっきりつけながら生きてきた。
だが麻薬組織の幹部のひとり、Dannyと向き合った時、Millerのクリーンな世界は崩壊を始める。

FBIの罠にかけられたDannyは、ボスを裏切って裁判で証言するという取引を呑む。
それがどれほど危険なことか、彼は知っていた。裏切り者は楽には死ねない。地の果てまでも、追われるだろう。
FBI捜査官のMillerは身の安全を保障し、証人保護プログラムを組むと言ったが、Dannyはそれを信じていなかった。
だがそれが彼の運命なのかもしれない。泥水を飲むようにして生きてきた。麻薬のディーラーに拾われ、友人を組織に引きずりこんで死なせ、刑務所に入り、そして裏切り者としての死を迎える。
彼にふさわしい最後かもしれなかった。

MillerとDanny。FBI捜査官と情報提供役の犯罪者。
光の当たる場所ですべてに白黒をつけて生きてきた男と、暗い世界で多くの泥にまみれてきた男。
お互いが理解できるはずもない2人だった。だが彼らは互いに惹かれ、Millerははじめて白と黒だけでは解決しない世界の存在をつきつけられる。

生きのびるために。愛するものを守るために。時には暗い選択をし、重荷を背負わなければならないこともある。
その選択を、はたしてMillerはできるだろうか。そしてそんな自分に耐えられるだろうか。
.....



正義を盾に犯罪者を道具のように扱う捜査官と、泥の中で生きのびてきたしたたかな犯罪者。
しかもいずれ証人保護プログラムがはじまれば、彼らは二度と会うことも、連絡を取ることもできない。
こういうシチュは萌える!

MillerとDannyの価値観、2人の変化や融合が丁寧に書かれていて、緊張感のある話になっています。
Dannyがいいですね。減らず口を叩き、癇癪をおこしながらも、彼の中にはひどくやわらかい部分がある。これまで自分が気持ちをよせた2人の相手──古い友人と元妻──の人生を台無しにしてしまったのを見て、もう誰とも深く関わるまいとする。
ボスに対しても、恐れや憎しみもあるが、その一方で時おりに示される信頼や優しさに、心の深くで忠誠をおぼえてもいる。
弱さと強さが複雑に絡み合った様子がリアルで、とても強烈なキャラです。

Millerは、Dannyの中にある繊細な痛みに惹かれますが、その一方で自分が「FBI捜査官」であるということにしがみつこうとして、Dannyを傷つけることもある。
彼にとっては、白黒のつく世界がすべて。
だがDannyは彼を惹きつけ、彼の世界を揺さぶる。これほどまでに誰かを求めたことはない。これまでの白黒のついた美しい世界がすべて色あせて見えるほどに。

過去の追憶と現在の展開がうまい具合に混ざり合っていて、Dannyの中にある深い傷が徐々にあらわれる構成が巧みです。Dannyの人生が明らかになっていくにつれ、Millerとの対比がより際立つ。
彼らはまるで違う世界を生きてきた。まさに白と黒。
そしてDannyは、自分の生きる混沌の世界にMillerを引きずり込みたくはない。たとえMillerがそれをよしとしたとしても、状況はあまりにも絶望的で、彼らに道はない。
そんな中でのDannyの葛藤と荒々しさ、Millerへの愛しさ、そして暗い人生を生きのびてきた男のしたたかさが文章の中に凝縮しています。


Danny wanted to howl and rage like a wounded animal, demand that they find a way to make it work. But there was no point in that. Danny had learned early that sometimes there was nothing to do but suffer through.


Danny視点で、まだ知らないはずのMillerのファーストネームが地の文に書かれていたり、Millerの婚約者の存在感があまりにも薄いことなど、気になる点もありますが、でも全体に骨太で、最後まで緊張感を失うことなく書ききられた話です。
こういう、「心理の成り立ちと変化を詳細に描写した作品」って英語の方がいい気がしますね。日本語でひとつひとつ語られたらかなりループになると思うけど、英語は言葉の輪郭がくっきりしているので、読みやすいというか入ってきやすい。

FBI捜査官と犯罪者とか、マフィアに追われる明日のない2人、とかそういうシチュに萌える人ならまず買いの1作。

★FBI×犯罪者
★密室

Dangerous Ground
Josh Lanyon
Dangerous Ground★★★ summary:
外交安全局の捜査官であるTaylor MacAllisterとWill Brandtは、3年の間コンビを組んでいた。
仕事、友情──すべてがうまく回っていた。
Taylorが撃たれて瀕死の傷を負うまでは。

Willは、それが自分のせいだと知っていた。
TaylorはWillを口説こうとして、Willはきっぱりと拒否した。Taylorに気持ちが動かなかったからではない。その逆だ。Willは2人の間にあるパートナーとしての絆と友情を何より大事にしていた。
それを壊したくはない。
そのすぐ後、Taylorは無謀な行動から撃たれ、彼らの間にあるものは決定的に変わってしまった。

Willは休暇を取って、Taylorを強引に登山につれていく。それでまた彼らの仲が落ちつくだろうことを願って。
ぎこちない2人は、山中で、飛行機の残骸と脱出に失敗した乗客の死体、それに巨額の現金を見つける。カジノ強奪事件の犯人と金だ。

Taylorは長い間、この相棒に恋をしていた。だがその気持ちが返されないものであることもわかっていた。
こんな状態に、いつまで耐えられるだろう? Willがもし今の恋人と長くシリアスな関係になったとして、毎日そんなWillと顔を合わせて平気な顔で仕事ができるとは、Taylorには思えなかった。

パートナーを解消しようと言い出すTaylorに、Willは動揺する。
そして彼らの背後には、飛行機を探す別の人影が迫っていた。
.....



休暇中の捜査官2人の、山の中でのストーリー。
TaylorはWillが好きで、WillもTaylorが好きだけど、2人の「好き」はくいちがっている。恋人になりたいがあきらめている男と、とにかく相棒のままずっと仲良くいたい男。
なかなか厳しいシチュエーションです。

Willは大柄で物静かで、いつも物事を現実的かつ冷静に判断する。対するTaylorは癇癪玉のような激しさと衝動を持ち合わせているが、2人はずっと互いを信頼していた。
でもTaylorの銃撃事件以来、TaylorはWillが罪悪感からやたら保護者的になっているのを感じ、それにうんざりしている。強気だからな、Taylor。

2人とも、元のようにしっくりくる相棒関係が恋しい。Willはそこに戻ろうとするし、あきらめているTaylorはWillから離れようとする。やっぱりここでも2人はくいちがいます。
相手に執着しているのはTaylorの方かと思いきや、WillもまたTaylorを失うくらいなら「セックスぐらいどうでもいい」というところまで追いつめられています。Taylorが自分と寝たいと言うのならそれでもいいか、とか。
冷静沈着をモットーとするWillが、これに関してはあんまりまともじゃない。

だがしかし、Taylorは意外と内面にロマンティックなところがあって、「セックスで全部片づくと思うなよ」となる。Willは「お前の望みはそれなんだろ」とくるし、Taylorは「お前は何もわかってない!」と反発する。
2人はまた対立し、怒りを剥き出しにしながら、互いの中を深くのぞきこみます。

導入部から彼らが互いの呼吸を探りあう、ひりひりくるような緊張感が漂っています。
たしかLanyonを読んだのはこれが最初だったんだけど、実に「男臭い」キャラにぐっときて、今でも大好きなコンビです。2人ともにきつく絡まった感情の糸の中でもつれながら、それぞれにもがいている。
その感情の強さや繊細さに、時おりほろりときます。

クライムサスペンスとしても上質にできていて、後半は追いつ追われつ、血なまぐさくスピーディな展開になっています。自分たちの感情の出口とともに、2人は生き残る道も探さないとならない。
戦う男たちの絆にぐっとくる人、男っぽいスラが好きな人にオススメ。

★山登り
★相棒

Old Poison
Josh Lanyon
Old Poison★★☆ summary:
Dangerous Groundの続編。

外交安全局の捜査官、Taylor MacAllisterとWill Brandtは3年にわたって仕事のいいパートナーであったが、1週間のキャンプとその時の事件を経て、2人は恋人同士になった。
それが一時的な関係で終わるのか、何かが始まっていくのか、見定めようとしながら、彼らは今の関係を満喫していた。どちらもが予想しえなかったほど、2人は互いにしっくりきた。

だがそんなある日、Taylorは差出人不明のプレゼントを受け取る。毒蛇の入った酒のボトル。
Willは誰かがTaylorにうらみを持っているのではないかと恐れるが、Taylorはそれを笑い飛ばした。
だがWillはどうしても不安が拭えず、Taylorが日本赴任時代の過去を話そうとしないことも気になっていた。

Taylorは、Willと関係を持ちはじめてからもまだ2人のことに自信が持てないでいた。自分ばかりがWillを好きで、相手によりかかっている気がする。
Willもまた、互いの将来と彼らの関係とを、どう秤にかけていいか考えあぐねていた。Taylorは愛しい。だがもし彼らの関係が明るみに出れば、どちらかは仕事を辞めなければならないかもしれない。
.....



冷静なWillとやんちゃなTaylor、という組み合わせが前作よりはっきりと浮き上がってくる続編です。
Willと仕事のコンビを一時的に解消しなければならないことや、その他聞きたくないことを聞かされたTaylorは、感情のあまりにひたすらに走り出してしまう。Willのそれ以上の説明も聞かず、ただあふれてくる感情に突き動かされて、全力疾走する。
彼には、そういうところがあります。感情が豊かで、自分でも時おりそれを扱えない。だからこそ、そばにWillのようなおだやかな男がそばにいると落ちつく。
いい組み合わせです。そういうところにぐっとくる。

前作でのWillは、彼らがつきあうのがいい考えだとは思っていなかった。そのことは彼にとってはもう過去のことだけれども、Taylorの方がまだそれを振り切れないでいます。
望んでいるのは、自分だけではないだろうか。Willはいつかまた、やはりTaylorとつきあうのがいい考えではないと思うのではないだろうか。
彼はまだ悶々としていて、そんなTaylorにさらに過去からの物事がふりかかる。捨ててきた筈の過去。
畳みかけるような展開の中で、2人はまた自分たちの関係を見つめ直し、新しい絆をつながなければならない。

好きな話の続編で、好きな話なんですけど、気が散る点がひとつ。
「日本での過去」が物語のひとつのキーになっているのですが、そこに出てくる「日本」の描写にどうしても微妙なズレが見えて、落ちついて筋を楽しめない時がある。
こればっかりはほんと、仕方ないですね。よく書けている方だとは思うんですが。
Taylorに警告のように届くのは「a cobra bottled in rice wine」で、rice wineが日本酒だというところから推察するに、これはマムシ酒かハブ酒。

個人的に多少のつまずきはありますが、それでもやっぱり、好きな話です。
彼らの間にある感情の激しさも相変わらず情熱的で、緊張感に満ちているし、2人の関係が少しずつ変わっていくストーリーからも目が離せない。
しかしWillの元彼は格好いいなあ。あれはTaylorが不安になるのも無理はない。

Lanyonのキャラらしい、内側に鋼のように強い熱を持った、輪郭の強い男たちの話。
そういう強い男が好きな人、前作の「Dangerous Ground」を楽しんだ人ならやはりまちがいなく買いの一冊です。前作よりTaylorが可愛い。

★仕事仲間(パートナー)

Devlin And Garrick
Cameron Dane
Devlin And Garrick★★★ summary:
少年のころからの夢だった消防士として働きながら、Devlin Morganは5年前にサンフランシスコですごした週末を忘れることができなかった。
自分が暮らす静かな町を離れて、はじめてゲイバーへ足を踏み入れた夜。
場違いなとまどいから去ろうとした彼に声をかけたのは、スキンヘッドをタトゥで覆ったバイカー、Gradyn Connell。

一夜の遊びのつもりが、甘い週末をすごした2人は、それからもメールと電話を交わし、まるで離れた場所に住む恋人のような日々をすごした。
Gradynが唐突に冷たく別れを宣言するまでは。
それから5年。Devlinはどうしてもそのことを乗り越えられずにいた。

ある日、妹の働くガレージに足を踏み入れたDevlinは、そこにGradynがいるのを見て愕然とする。
Gradynはすっかり変わっていた。スキンヘッドだった髪は長くのばし、緑だった目は青い色に。盛り上がるような筋肉がついていた体はすっかり絞られいる。

しかも、GradynはDevlinを知らない顔をして、名を「Garrick Langley」だと名乗った。

一体この男は何者なのだろう。そして、何を隠しているのだろう。
ひとつだけ、Devlinにははっきりとわかっていることがあった。
Gradynだろうと、Garrickだろうと、今度こそすべてがはっきりするまで目の前の男を逃がすつもりはない。
.....



Aidan And Ethan」の続編です。あれもティーン独特の純粋さと、大人の男の苦悶とかが絡み合ってて情熱的な話でした。
そのAidenの弟で、ちょっとこまっしゃくれた顔を見せていたDevlinと、彼の恋の話です。

Devlinは突然戻ってきた兄(前回の話で)との和解も終わり、夢だった消防士になり、幸せに暮らしている。でも彼は、誰とデートしてもときめくものがない。
いつまでも、5年前のサンフランシスコの週末のことを忘れられない。
そんな彼の前に、名前を変えた「Garrick」という謎の男が現れて、もう大変です。
お前あいつだろ!とか、何で知らない顔するんだよ!とか、今度こそ逃がさないぞ!とか。

一方のGarrickは、色々な状況に追いつめられてDevlinの住む町にきてしまったことを、今さら後悔していた。
5年前、一方的に酷いことを言ってDevlinとの連絡を絶ったのは彼自身です。だけれども、彼は自分の命が危険にさらされた時、何も考えずにDevlinのいるところへと走り出してしまった。
サンフランシスコの週末を忘れられないのは、彼も同じです。

2人の現在と、5年前の追憶が重なり合うように構成されていて、物語運びはなかなか巧みです。
そして何より、Cameron Dane独特のほとばしるような情熱と迫力が凄い。わりと、情熱に流されすぎてエロ過剰になりがちな人なのですが、今回はそのへんのバランスもよく、話とエロがうまい具合に絡み合ってると思います。
Devlinがまた若いから、情熱のままに走って勢いが余る感じが鮮やか。その勢いにたじたじと、年上のGarrickは呑まれてしまうわけです。
周囲の人たちもそれぞれのドラマを持っていて、かわいい。前の話の主人公たちだったAidenとEthanがもうちょっと出てくるとうれしいんだけど。

情熱的な話が読みたい時におすすめ。とにかく気持ちの描写がこってりと濃厚です。
前シリーズの「Aidan And Ethan」は読んでなくてもこれ単独で読めますが、ネタバレがあるので、後から「Aidan And Ethan」を読むつもりなら順番に読んだ方がいいです。あっちは基本、おっさんですが。

★再会
★死んだ筈の男

Blood Heat
Josh Lanyon
Blood Heat★★★ summary:
Dangerous Groundシリーズ3。

外交安全局の捜査官Taylor MacAllisterとWill Brandtは、長年仕事上のパートナーであり、パートナーとしては互いの呼吸をよくわかっていた。
だが、5ヶ月前にTaylorが撃たれて瀕死の傷を負い、3ヶ月前、彼らは恋人同士になった。

この新しい関係に、2人のどちらも確信が持てずにいた。関係が明るみに出れば、彼らはパートナーではいられない。TaylorはWillがいつか彼の手を離すのではないかと不安だったし、Willはその不安をどうしたらいいのかわからなかった。

そして、Willにはパリへの昇進の話が持ち上がっていた。
行け、とTaylorは言う。彼はその昇進がどれほどWillにとって大切なものか知っていた。
行くなとは言えなかった。
だが、Willが行けば彼らの関係は終わるだろう。Willがどう言おうと、2年の時間は長い。

Taylorの信頼を得られないことに、Willは苛立つ。
2人はニューメキシコに容疑者の女性を引き取りにいくが、女性は逃げ出し、賞金稼ぎやロシアマフィアを巻きこんだチェイスが始まって…
.....



Dangerous Groundシリーズ3。
Lanyonは「シリーズ物はだらだら続けず、適切なところで幕を引くべき」という考えの持ち主なので、実はこれはもう2で終わったと思ってた。好きなシリーズなので、3が出てすごくうれしい!

相変わらずのTaylorとWill。気持ちが先走ってまっすぐで無謀なTaylor、物事をあらゆる角度から見て冷静にコントロールするWill。
直情型×思慮型で、直情型は相手がとにかくただ大好き(わんこか)、思慮型はどんどん相手にはまっていながら、いつものごとく冷静。でも一皮剥くと、自分で思ってるほど冷静じゃない。
2人は色々な物事を互いの間にぶら下げたまま容疑者の女性を追いかけ、洪水に襲われたり、山の中をはいずり回ったりする。

Taylorはとにかく、Willのパリ昇進のことを受け入れようともがいている。あまりに努力しているので、WillがそんなTaylorの様子を見て心を痛めているほど。
Willにとっては「2年経ったら帰ってくる」なのですが、Taylorはそのことをどうしても信じられない。離れてしまえば終わったも同然だと思っている。「大丈夫、うまくいく」と言われれば「そうだな」とWillに笑顔で返しますが、その目の中にあるものは、深いあきらめです。
Willにはもうどうしたらいいのかわからない。行かない、という選択肢はない。でもこんな状態のTaylorを置いていくことは望まない。

Willがこれまでの2作を経て、この3作目でずずいっとTaylorに傾いているのが楽しいです。
元々彼はTaylorと関係を持つことに乗り気ではなくて(仕事とプライベートがややこしくなるから)、そのことが今でもTaylorの「俺がWillを好きなほど、Willは俺を好きではない」という頑固な判断の元になってしまっているのですが、実はもうWillの方が抜けられなくなっているんじゃないかなあ。
Taylorが眠っている時だけ、ものすごい優しいキスをしたりとか、割とWillも不器用です。

2人がごつごつとぶつかりあいながら、事件の中で翻弄されていく。
Taylorが人質に取られた時のWillの反応と、Willが人質に取られた時のTaylorの反応の差が笑えます。Taylor、やっぱり頭より先に手!なんだな。こいつほんと可愛い。
アクションも小気味よく、容疑者の女性や賞金稼ぎのキャラもさりげなく練り込まれてます。
ラストは…これは次作出るよなあ。出ないとすごく困る…
この1冊で完結はしてますけどね。シリーズ続行希望。

文章がハードボイルドっぽくてとても男臭い話なので、そういう話や、アクション絡みが好きな人におすすめ。
シリーズ1から読まないとかなりわからないので、1から行きましょう。

★パートナー

Icecapade
Josh Lanyon
Icecapade★★★ summary:
2000年の1月1日、Noel Snowはベッドの中で目を覚まし、横にいるRobert Cuffeの姿を眺めた。
それは記憶に残る一夜だった。

そしてそのまま、Noelは脱兎のごとく逃げ出したのだった。
RobertはFBIの捜査官で、Noelは宝石泥棒だ。どれだけRobertに追われる瞬間を楽しんでいたとしても、Noelは牢屋に入るつもりはなかった。

その後10年たち、足を洗ったNoelは、犯罪の経験を元にしてベストセラー作家になっていた。
だがそのことがはからずもRobertのキャリアとプライドに傷をつけていることを知り、深く後悔した彼はクリスマスの夜に毎年Robertの電話にメッセージを残したが、男が電話を取ることも、コールを返してくることもなかった。

贖罪は無理なのだろう。Noelはシリーズ最後の本にRobertへのメッセージを込めたが、そもそも彼がNoelの本を読んでいるかどうかもわからない。

だが、2010年のクリスマスの夜、Noelの扉口には、10年ぶりに見るRobertが立っていた。
最近起こっている宝石の窃盗について、Noelに疑いが向けられていると彼は言い…
.....



HisForTheHolidays.jpg4人の作家によるクリスマスアンソロジーの一編。「His for the Holidays」でまとめ買いするとちょっとお得。

この一編は、ロシアのマフィア家族の中で育ち、家族の犯罪の片棒を担ぐ代わりに一人で宝石泥棒になった男と、彼を追い続けてきた男のロマンス。
洒落てて、ちょっと映画みたいです。Noelって「泥棒」というより「怪盗」という感じだし。


たった一夜、二人はベッドをともにしたことがある。Robertを酔わせてNoelが仕組んだ様子なのですが、実際にRobertが本当に前後不覚になるほど酔っていたのかどうかは謎で、想像がひろがる10年前のエピソードです。

Noelは犯罪から引退し、人里離れた牧場で馬たちと一緒に暮らしている。
そんな静かなクリスマスの夜は、Robertの訪れとともによって崩れる。さらに近隣住民が次々と助けを求めて訪問し、地面の割れ目に落ちたラマを救ったり、動かない発電機を救おうとしたり、忙しいクリスマスとなるのです。

Robertは頑固で、口数が少なく、感情を自分の中に押し込めるのが上手な男ですが、彼が尋問するためにNoelを訪問したのではないことはすぐにわかる。
Noelを逃がしたくないからと言いながら、彼は隣人の手助けに行くNoelから目を離さずにそばについて回り、Noelがどんな暮らしぶりなのか、すべてを見ようとします。Noelが隠そうとしている弱さすら、Robertは見抜いてしまう。

NoelはRobertの訪問の理由を探りながら、「もしかしたら」という望みを持ったり、そんな自分をいましめたりする。
犯罪一家の中で育ち、そこから逃れるために個人で犯罪を重ね、Noelには他人ときちんとした人間関係を築けたことがない。やり方を知らない。
でももしかしたら、Robertなら、と彼は思う。Noelを誰よりもよく知るこの男なら。
たとえ、かつて追う者と追われる者であったとしても。

傷つきたくないけど望みは持ちたい。そんなNoelの様子が微笑ましいし、切ない。

まあやっぱり猫とネズミの恋物語は萌えるよね!ってことで。
大体のことは笑って流してしまえそうなNoelが、Robertには毎年クリスマスの贖罪の電話をかけずにいられないというところも切ないですね。許されたいと思っているのか、つかまってもいいと思っているのか。
短めですが、Lanyonらしく切れ味がよく、ロマンティックで余韻のあるクリスマスストーリーです。

★FBI×宝石泥棒
★再会

★Three-Star rating system★


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