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M/M小説 (原書)レビューブログ

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[タグ]キャラ:スポーツ選手 の記事一覧

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Training Season
Leta Blake
training season★★☆ summary:
Matty Marcusはすべてを犠牲にして──自分のすべてを、そして家族のすべてを──オリンピックの夢にかけてきた。
だがその夢はかなわず、負傷によってフィギュアスケート選手としてのキャリアすら終わりかねないところにいた。

支援者の好意により、Mattyはモンタナの牧場で冬をすごすことになる。だがMatty当人は不満で一杯だった。何故、なにもないモンタナなどに彼が行かねばならないのか。

だが行ってみると意外と居心地がいい。そして、隣の牧場主Rob Lovelyはまさに理想のカウボーイという様子だった。

そう時間のたたないうちに、二人はベッドを共にするようになる。その中でRobはMattyを導き、感情をコントロールしてそこから力を得るすべを教えてくれる。
二人の関係は完璧なものに見えたが、Mattyはたとえ恋のためでもスケートをあきらめることなどできず…
.....



フィギュアスケートもの。
Mattyのキャラに好き嫌いが分かれるかな、と思います。こう、非常に自分中心でひけらかし系で、リップ塗ったらグロス塗らなきゃ!と騒ぐタイプ(文字通り)。
私も最初ちょっと腰が引けたのですが、この作者は筆が巧みで、そのMattyの態度が己の自身の中を隠す鎧であることや、Mattyの奥底に弱さが隠れていることをRobとの関係の中から暴き出していきます。
そうなると、かわいいやつじゃないか。やっぱり服とか化粧に小うるさいのはどうかと思うけど、でもまあ美を競う競技だしな、フィギュア。

Mattyの家族は疲れ切っている。フィギュアはとても金のかかるスポーツで、夢だけでは続けていけないのです。Mattyの親はすべての金や引退後のたくわえを切り崩し、弟たちの大学へ行く金も使い果たしている。
その夢を背負いながら、Mattyは挫折できない。彼はわがままに、一人よがりに夢を追っているように見えますが、実は芯のところで家族の期待を背負って、それに心を折られまいとあんなに生意気な態度で世界へ挑んでいるのではないかと思うのです。ほんとに生意気だけど!
そのあたりを読んでいくとフィギュア好きはなんかそれだけで泣けるぞ!!ほんと!

Robがまた、いい奴。いい奴!彼もまたあきらめてきた夢がある。挫折がある。でもすべてを受け入れる、まさにモンタナの自然のような包容力の深さがあります。
それと同時に彼はセックスに関しては強い支配欲があり、Mattyを甘やかしながらどんどんとセックスの中で新たな主従関係を築いていく。
BDSMシーンはなかなか濃い。普通のマスター/サブともちょっと違いますが、支配の中でMattyを支え、弱さを暴きたてて、解放していく様子はドラマティックです。
プレイも一部マニアックでな。窒息プレイとか、トイレプレイ(軽めです)とかあって、びっくりしたよ正直。

そんなわけで、全体におもしろかったし、Mattyが傷だらけになりながら夢を追っていく様子は痛々しくて本当につらかった。いくつか私の趣味からそれた部分もあるんですが、それがちゃんとこの物語を構成する要素として成り立っているのもわかるので、マイナスがプラスを相殺しない感じの、希有なお話です。
フィギュア好きな人は特に、実にあちこち痛いので、心が元気な時に読むように。オリンピックのシーンとか本当に涙が出たよ。
Mattyの夢はどうなるのか。Robもまた、一度は手放した夢を取り戻せるのか。

ちょっと変わったBDSM好き、生意気な受けがひとつずつ落ちていくような話が好きな人にオススメ。

★フィギュアスケート
★包容×小生意気

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The Foxhole Court
Goodreads-icon.pngNora Sakavic

TheFoxhallCourt.jpg★★★ summary:
All for the Game1巻。
ヤクザもの×天涯孤独×スポ根×メンヘラ。言ってしまえばそういうシリーズ。
そして青春。

Neil Jostenには秘密があった。今の誰にも正体を知られるわけにはいかず、過去の誰にも居場所を知られてはならない。
だがExyというスポーツは、いくら母親に折檻されようがやめられなかった。逃げつづける彼の、それだけが生きる意味だった。
8年間、大量のパスポートを使い、髪の色と瞳の色を変えながら彼は生きのびたが、母親は旅の途中で死んだ。車ごと彼女を燃やして見送ったのはNeilひとり。

大学のチームにスカウトされ、彼はそれが最悪の判断だと知りながらパレルモの州立大学のチームに加わる。そこはまるで「寄せ集め」としか言いようのないプレーヤーの巣窟で、Neilも早速ドラッグを盛られてその洗礼を受ける。
いつか過去に追いつかれたらここも逃げなければならない。
今の自分を捨てて。次はどこへ?
それともここで、戦うに足るものを見つけられるのだろうか。
.....



全三巻のスポ根もの。て言ってしまうと語弊があるけど、根本的にはこれ青春小説だと思うんです。孤独な主人公がついに仲間を発見し、お互いを変えて、友情を軸にチームの勝利と栄光への道を模索する。

しかしこの主人公のNeilは組織から逃げつづけている男。見つかれば悲惨な死が待っているとわかっているし、いつか見つかると思って諦めているふしもある。
チームメイトもじつにカラフル。
同じチームにいるKevinはこのスポーツExyの生みの親を母に持ち「Exyの息子」と言われるエリートプレーヤーである一方、ヤクザ組織との関係も深く、かつていた常勝チーム内での自分の位置を示す「2」のタトゥを左頬に入れられている。
そのKevinを奇妙なほどに守っているのがAndrew、少年院上がりの凶暴な少年。普段は裁判所命令で感情を抑える薬を飲んでいて、いつも退屈したような顔をしていますが、一瞬で凶暴になる絵に描いたようなメンヘラ。そして優秀なゴールキーパーだが何のやる気もない。
彼はNeilが何かを隠していると勘で察知し、Kevinを守るためにNeilからその秘密を引きずり出そうとするのです。

ほかにも様々にアクの強い少年少女が寮で暮らしながら、ゴタゴタとExyのシーズンを戦っていく。スポーツ以外のことでも、彼らはそのシーズンをのりきっていかなければならない。いやいや、じつに騒がしいシーズン。大学スポーツも命がけだ。

Exyというのは作者が考え出した架空のスポーツで、ラクロスとアイスホッケーを合わせた感じの非常にフィジカルコンタクトが激しいスポーツだとのこと。
Neilはアタッカーで、大体は二人一組で攻め上がっていく。
まあNeilはアタッカー向きだよね。負けず嫌いでどこか自己破壊的なほどに衝動的なところもあり、一巻では敵にするべきでない相手に喧嘩を売ってしまう。その結果、チームメイトが命を落とします。
そこから話はまた新たなフェイズに入っていくのだけれども。逃げなきゃ逃げなきゃと言いながら、そのNeilの中には運命に対する怒りがあって、そのはけ口として自分に許しているのがExyだけなんだろうな。
Andrewがキーパーっていうのはもうプレイ中に「動きたくねえんだろ」感がすごく強い。でもまあ、彼もちゃんと理由があってキーパーなのです。それはまだ先の話。

YAなので全体にエロはなく、一巻はもう最後まで「誰とカプになるんだ!?」の問いがぶらさがったまま。その辺とか、Neilが心を少しでも開いていけるかな…というのは二巻以降に持ち越しで、まず一巻は導入部。
GRのレビューで「二次っぽい」という評価を見て膝を打ったんだけど、なんていうか学園パロっぽいキャラの濃さと設定の尖り方があります。漫画っぽいというか。私はそれはすごく好きなので、是非読む側がのっかっていって積極的に楽しみたい三冊。三冊通すとかなりえげつない(痛い)シーンもあるのでそこはご注意。
主人公の名前が同じせいもあるだろうけど、読みながらドン・ウィンズロウの「ストリート・キッズ」シリーズを思い出した。あれも人をたよることを知らない主人公の話だった。そういう青少年の痛々しさ、ギザギザハート的な繊細さが隠しきれないNeilの成長を読めてよかった。

一巻はKindle無料だし、三冊セットもあるので、読む時は一気読みオススメです。
三巻通して、追いつ追われつのサスペンス感と、Neilの成長ぶりと、大学スポーツリーグでの栄光と挫折の階段を楽しめるシリーズ。ぐっとくるロマンスも(最後には)ちゃんとあるよ!

★スポ根
★組織からの逃亡

The Next Competitor
Goodreads-icon.pngKeira Andrews

TheNextCompetitor.jpg★★☆ summary:
フィギュアスケートの男子シングル金メダルを獲るためにAlex Gradyはひたすらにスケートに捧げた生活を送っていた。
四回転サルコウはすでに跳べる。だがオリンピックまでにはルッツも跳べるようにならなければ。

集中した、ほとんど取り憑かれたような日々の中、友情などに割いている時間はない。
同じ練習場にいるほかのスケーターから嫌われたり、お高くとまっていると思われてもかまわない。勝利こそすべてだ。
四年に一度のチャンスを逃すわけにはいかないのだ。

だがいつしかAlexの目は、Matt Savelliに引き寄せられていく。おだやかで人当たりのいいペアの男性スケーター。
二人は水と油のように対立しあった。
事実、誰とでもうまくいくMattを唯一嫌い、そして唯一嫌われているのがAlexであった。それともそこには隠れた感情があるのだろうか。
.....



フィギュアスケートものです。
わりと練習風景なんかもよく描かれていて、フィギュア好きな人でもそこを織り込んで楽しめるのではないかと思います。

この本のセカンドエディションが出たのが2016年。で、オリジナルは2010年かな、に出ていまして、カナダで練習している若き日本の人気スケーターなんかも登場していたりしますが、作者いわく「あの時は羽生もカナダで練習していなかったからね…偶然なの…」て前書きに書いています。にしてもこの2018年にも色々ありましたよフィギュア、て再読していて思いました。うむ。すごいなこの変化。
なので、まだこの話の中では「四回転ジャンプ一種類じゃ…二種類ないと…」てやってます。そこはそれとして。

厳しい女コーチに鍛えられながらAlexは必死に頂点を目指す。
そんな中、一緒に練習している人々との仲間意識なんか育てるひまはない。そしてその中のMattとは、とにかくそりがあわない。優等生タイプで「みんな仲良く」なMattを見るたびになにか腹が立つし、Mattも妙にAlexにつっかかってくる。

Alexは決して冷たい男ではない…いやまあ冷たいところはあるか、でも若い頃から競技スポーツの中で上を目指して必死にやってきた者の、それはひたむきな献身の姿です。周囲から常に評価の目で値踏みされてきた若者の、ある種の防御反応でもあるかもしれない。
でも彼は、子犬みたいに慕ってくる日本のスケーターの男の子を無碍にはできずについ相手をしてしまうし、競技で失敗して泣いているスケーターがいればそこにレポーターが入らないように態度悪く追い返す。普段の顔はつんけんしていても根っこまでそういう子じゃないんだよ、といういい感じのツンデレ候補。

そんな彼とMattも、さすがにトレーニングの中で少しは打ちとけるようになっていきます。というかAlexは相手のことを知ってしまうとあんまり冷たい顔はできない子なんだろうな。だからあまり人に近づかないのだけれども、Mattは生来のナチュラルな押しの強さでその距離をつめる。
そんな時、Mattが競技中にパートナーの女性をリンクに落下させてしまいます。

自己嫌悪で落ち込んで八つ当たり気味のMattを、Alexはこっそり人気のいないリンクに引っぱり出して一緒に滑る。これは可愛いシーンです。
しかしほかのスケーターたちとの交流はAlexの練習の足をひっぱり、コーチはまた孤立を命じるのです。
このコーチはじつに苛烈な女性コーチですが、ラトビアのスケーターを家に下宿させて教えているとか、なかなかよいエピソードも持っていて、スケート界の紆余曲折をくぐってきたような風格を漂わせている。
スポーツもののコーチの存在感て本当に大事だ。

スケートはシーズンになると各国をめぐって試合に参加していきますが、その中で色々なことがおきる。体調を崩したり、航空会社が荷物をなくしたり。
そういう周囲のディテールもきちんと書きこまれていて、競技者としてのAlexの側面と人間的な弱さとを同時に描き出している。
好みとしてはもう少しAlexとMattが対立している時間が長くてもいいよね!とか思いますが(対立カプ好きなのでな)、二人の距離の縮まり方は自然な感じで可愛いし、氷の女王っぽいAlexがデレていくのを愛でる展開もよいものでした。

競技か、恋か。
それは選ばなければならないものなのか?
その上、Alexの言葉を選ばない物言いは時にトラブルを呼びよせてしまう。今はネットの炎上もおっかないからなー、大変だなー、と読みながらしみじみします。マスコミは本当にもう少し選手を大事にしてやらなきゃ駄目だよ。
勝利とはすべてを賭けるほどのものなのか。そうだとしても、4年に1度のオリンピックで金メダルをとれるのはたった一人です。
競技スポーツ好きの人なら、コーチのセリフ "Victory depends on four and a half minutes on ice. Life cannot."(勝利は氷の上の4分半だけで決まる。人生はそうではない)がぐっと胸に来るのではないかと思います。

フィギュア好きな人、競技スポーツ好きな人におすすめ。全体に甘くて読みやすいロマンスです。

★オリンピック
★喧嘩からはじまる恋

★Three-Star rating system★


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