Slash×Slash

Slash(m/m小説) eBookレビューブログ

※万人向けの内容ではないのでご注意ください
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読書中:Lori Tolandの"The Long Con"
更新速度低下中ですが、そのうち帰還予定です。ちょっと待っててね!

Fair Game
Josh Lanyon
Fair Game★★★ summary:
Elliot MillsはFBI特別捜査官として順調なキャリアを積んでいた。
テロリストの銃弾が、彼の膝を吹きとばすまで。

苦痛に満ちた再建手術とリハビリを乗り越え、今の彼はPSU大学の歴史の講師となっていた。17ヶ月前の銃撃のことは、次第に遠い過去になりつつあった。
だがそんな時、父親からのたのみで、彼は大学の学生の行方不明事件を調べることになる。

その事件の捜査を担当していたのは、FBIのTucker Lance。
かつてElliotの恋人であった男。
そして、彼の膝が砕け、FBIにいられなくなった時、彼に背を向けた男。
二人の再会は、彼らの関係の残骸をもう一度掘り起こすことになるのだろうか。膝の痛みとともに、Elliotを今でもさいなむ記憶を。
.....



ミステリと恋愛と、男同士の意地や対立がよく絡みあった、Lanyonらしい作品に仕上がってます。
Elliotは不自由な膝を抱えながら、その生活に慣れようとあがいている。見下されるのが何より嫌いなのは、その不自由さと裏腹のプライドでしょう。
孤独僻があり、人を簡単にはよせつけず、自分をいつでも抑えようとする。ちょっとややこしく、面倒な男だったりもします。何たって趣味が「南北戦争のジオラマ作り」です…

そんな彼に再会したTuckerは、Elliotに対するフラストレーションを隠しきれない。Elliotは、Tuckerが自分に背を向けたと思っているし、Tuckerにしてみればそう仕向けたのはElliotです。
二人は対立しあい、怒りをぶつけ、相手を自分の中から締め出そうともする。事件とともに、二人のその対比が読みどころ。

Elliotが頑固に追い続けた事件は、やがてもっと大きな事件へとつながっていき、彼の身辺を犯人の影がおびやかしはじめる。
FBIや権力嫌いのアナーキストであるElliotの父親や、大学の名誉を何より重んじる学長など、周囲の人々の様子も丁寧に書き込まれています。特に父親とElliotの関係、事件が引き起こす彼らの対立は、話のもうひとつの軸と言ってもいいんじゃないかと思う。オヤジ、もう六十代なのにモテモテなのですよ。

ミステリ好き、硬派な雰囲気を味わってみたい人、強情な男好きなどなどにおすすめの一冊。
舞台はシアトルで、私はこれを読んでシアトル近辺に島がたくさんあるんだとか、ヨット遊びも盛んなんだとか、そういうことを知りました。おもしろそうな都市です。

★連続殺人
★膝の負傷

Keeping Promise Rock
Amy Lane
KeepingPromiseRock.jpg★★☆ summary:
Carrick Francisの子供時代は困難にあふれていた。義父との衝突、だらしのない母親、まだ幼い妹たちの世話…
いつかこの町から抜け出すことが彼の願いだった。
Deacon Wintersに出会うまで。

Deaconは父親の牧場を手伝う、物静かな年上の少年だった。人よりも馬相手の方が心が落ちつく、シャイな少年でもあった。
彼に恋をしたCarrickは、それまで思ってもいなかった未来を自分の中で描き始める。

少年から男へと、二人は育っていき、そして彼らは運命の中に投げ込まれる。
DeaconはCarrickの気持ちを受け入れる決心をするのだが、Carrickは彼に突き放されたと思いこむ。Carrickの決断は、二人を遠く引き離すもので……
.....



Amy LaneのPromiseシリーズ1。
まだ幼い少年の時に出会った二人が、困難をのりこえていくお話で、長さもあり、ドラマティックで読みごたえのある一冊です。

キャラクターの対比がいきいきとしていて、鮮やか。シャイで物静かなDeaconと、生命力に満ちあふれているがちょっと衝動的なCarrick。
ほかにも友人たちやCarrickの妹など、様々なサブキャラが絡んでくる、大きなひとつの「家族」のタペストリーという感じです。血がつながっている家族ではなく、流れ着くようにより集まった「家族」。
二人の話であると同時に、ひとつの大きな家族ができあがっていくまでの話でもある。

Carrickがかわいいし、いじらしいですね。必死に突っ張って生きていこうとしてきた彼にとって、Deaconの存在は錨のようなものでもある。Deaconがいるから、どこかへ漂い出して行かずに、地に足を付けて生きていられる。
Deaconは、でもCarrickが自分を理想化しているのではないかと、いつかメッキが剥がれるのではないかと、それを恐れている。静かに、誰にも言わずに恐れる、そして心をさいなまれる、それが彼の問題なのです。黙って苦しむ人は怖いですよ。
周りも心配しているんだけど、Deaconはひとりで転げ落ちていきそうになります。

読み始めた時は硬派な感じかと思ったんですが、全体には昼メロっぽい。感情表現が派手な感じなので、それが読んでいて何となく昼メロを想起させるんですね。
Deaconの言葉の足りなさと、かんしゃく玉がはじけるようなCarrickの気性のせいで、二人は離れることになる。それはDeaconにとってあまりにもつらい日々で、その日々を耐える二人の姿が物語の軸になっています。
二人の交わす手紙や、残されたDeaconの見栄、そして苦しみ。そんなものが切々と語られていく。

語り口はかなり大仰なので、うっかり取り残されてしまいそうになりますが、そのへんの流れのドラマティックさや感情表現にしっかりとのっかって楽しんでいければ非常に楽しく読める話です。
いかにも「ドラマ!」って感じなので、ドラマティックな話を読みたい人におすすめ。長さもあるし、読後感もよく、こってりと楽しめる一冊です。
ほかにもシリーズが出ているので(続編というよりシークエンスという感じ)読んでみる予定。

★手紙
★少年時代の初恋

英語覚え書き。
今回はミステリ絡みのネタで…と思ったらふたつしか思いつかなかったんだぜ。修業が足りません。


downtown
「下町」のことですが、ミステリで使われると「警察署」をさすスラングでもある。
"I'll take you to the downtown." とか "Let's go to the downtown." なんかで「ちょっと署まで来てもらおうか」って感じです。

do the time
くだけた言い回しで「服役する」。timeは懲役のこと。
"I've done the time!" とか前科者が言ってたら、「お勤めはちゃんとすませたぜ!」みたいなニュアンスだと思われ。
"Do you know he did the time?" (あいつが前科者だって知ってたか?)とかにも活用されます。


「downtown」なんかは知らないと右から左に流しがちですが、気がついてみるとたまに出てるスラングです。
この間見たテレビドラマで「彼はダウンタウンに行ったわ」ってそのままの字幕がついとりました。スラングは難しい。

DreamSpinnerPressが、出版社1000タイトル目を祝して5週間のセールに入りました。

3/14~20 ノベルの20%オフ
3/21~27 ノベラの20%オフ
3/28~4/3 短編の20%オフ
4/4~10 アンソロの20%オフ
4/11~17 ペーパーバック版の20%オフ

狙い目はやはり20日までのノベル、および27日までのノベラのセールかな!(ノベル=長編、ノベラ=中~長編)くらいの感覚で)
まあここはたまに20%オフはやってるのでそう必死になることもないんですが、何を買おうかなー。

にしても1000タイトルって凄いですね。ここはたしか7年目ぐらいの出版社だった気がするんですけど、私がM/Mを読み出した頃はまだLooseIDやSamhainの後塵を拝して一歩遅れている印象がありました。それが今では大手のひとつと言ってもいい、それどころかコンスタントにM/Mを出版してくれるありがたい出版社になってます。中の人がしっかりしてるんだろうなあ。

The Little Death
Andrea Speed
The Little Death★★ summary:
ロサンゼルス、エコー・シティ。
Jake Falconerは数年前に相棒を亡くしたまま、探偵事務所を続けているアルコール浸りの探偵だ。
そんな彼に、モデルの男が依頼を持ちかける。双子の弟が姿を消したと言う。

調査を始めたJakeは、殺された証人の事件で濡れ衣をかぶせられそうになり、銃撃され、圧力をかけられる。
失踪者はどこへ消えたのだろう?
足取りをたどるうちに、彼は高級なセックスクラブへとたどりつくのだが…
.....



ハードボイルド系のお話。
文章も何だかハードボイルドチックで、Jakeの死んだ相棒が「スペンサー」という名前だというところからも、ハードボイルドを意識しているのがよくわかります。(スペンサーはロバート・B・パーカーの小説の主人公で、ハードボイルドの代表的な探偵のひとり)
エコー・シティつーのは架空の都市だと思います。バットマンみたいなものかもしらん。

相棒を亡くし、恋人とも破局し、Jakeは酒瓶の底をのぞくような生活をしています。
その恋人と言うのは若く正義感にあふれた警察官で、今回の事件を通してJakeと再会し、「また飲んでるのか!」と小言を言うけれども、Jakeが危機に陥るたびにそこから引っぱり出しにやってきてくれる。
彼への気持ちがまだ残っているのを感じつつ、でもJakeはふらっと誘惑にかられて依頼人の男と寝ちゃったりするんだけどね。ダメな男だからしょーがない。ダメな男だけどいったん噛みついた事件は離さない。

あっちでめった打ちにされ、こっちでぶちのめされつつ、Jakeは真相に向かって這うように進んでいく。
由緒正しいハードボイルドとマカロニウェスタンを混ぜたような感じで(主人公がボコボコにされるのが伝統なのです)、何かなつかしい感じで読んでしまった。絶対その状態じゃ動けないだろ!という怪我でも動いちゃうのがハードボイルドの探偵なのだ。
よたよたとしながらへぼへぼと、でもしがみつくように事件を追っていく様子が楽しい。ラストまでしっかりと雰囲気を保っている点が高評価です。

キャラに感情移入すると言うよりは、雰囲気を楽しむ一本。
ハードボイルド好き、硬派な感じが読みたい人ににおすすめ。

★アル中の探偵

The Station
Keira Andrews
The Station★★ summary:
1841年、イギリス、エセックス。
富裕な家に生まれついたColin Lancasterは子供の頃から、厩舎回りで働くアイルランド人のPatrick Callahanが好きだった。Patrickは暴れ馬からColinを救い、乗馬を教えた。
だがある時を境に、ColinはPatrickのそばに行くことが出来なくなった。
Patrickが、男と厩舎の奥で及んでいる淫靡な行為を目にした時から。

同性愛は、つるし首になるほどの重罪だ。だがColinが衝撃を受けたのはそのことではなく、自分の反応だった。
Patrickへの気持ち、そして欲望が自分の内側で育っていくのを感じながら、彼は出来る限りPatrickを避けようとした。

だがある夜、Patrickの罪は明るみになる。そしてColinの運命も根底からくつがえり、彼らは二人でイギリスを追われることになるのだった。
.....



「いい育ちの息子」と保護欲の強い「召使い」パターンは個人的にとっても好みど真ん中。しかもその息子が、過酷な運命に陥っていく、というのも好物なので、非常に楽しく読みました。
全体にしっかり書けていて好感の持てるヒストリカルものです。

Colinは自分の人生に何となく確信が持てないでいる。ケンブリッジに行って、いつか妻をめとって、家の名を保っていく。そういう、前に「敷かれた」未来を持て余しています。
そんな時、Patrickを救おうと大胆な行動に出た彼は、Patrickとともにイギリスを追われてオーストラリアへの移民船に乗せられるのです。

さて、かつてヨーロッパはこうした開拓地に労働力として犯罪者を送り込みました。アメリカもそうした地のひとつです。アメリカは、一発当てたい人や新たな夢を求める人が目指す地だったと同時に、追放された者が流れ着く世界の果てでもあった。
そしてアメリカの開拓が一段落した後は、オーストラリアがそうした場所になったのです。
今回の話の後半も、そうしたオーストラリアでの話。カンガルー食ったりしてます。

子供の頃からのPatrickへの気持ちをかかえていたColinですが、Patrickは彼を突き放そうとします。Patrickは故郷のアイルランドを離れてイギリスに流れ着き、そこも追われてオーストラリアに行くという漂泊の人生を送っており、彼は誰も信じていない。少なくとも、誰も信じるなと自分に言い聞かせ、Colinにもそう言い聞かせるのです。
しかし根がまっすぐなColinは、誰かを信じることをやめようとしないし、何よりもPatrickを信じることをやめようとしない。
少年のまっすぐさとPatrickの苛立ちの葛藤が、読んでいてなかなか楽しい。

それなりに過酷な道行きなのですが、悲惨ではなく、全体に希望も感じられる話です。
事態が転がり出すまでは少し展開が遅いかなーという印象もありますが、定植者の女性とか、現地案内人とか、周囲のキャラもほのぼのしてて、後半はのびのび読めます。
ヒストリカル好き、つっけんどんだけど保護欲のある召使い(元)とかに萌える人におすすめ。後味がいいです。
タイトルの「The Station」のStationは駅のことではなく、牧場とかのこと(オーストラリア用法)だと思います。知らなかったので、途中まで、映画の「駅馬車」みたいにどこかの駅を目指す話かと思って読んでたんだな…

★追放
★オーストラリア

2011年個人的ベストリーディング!です。
読んだもののレビュー書かずに放置されてるものもあり、「2011年に読んだもの」ではなく「2011年にレビューしたもの」の中から5冊リストアップしました。うむ。
こうやってざっくり振り返るのもおもしろいですね。レビューだけでなく、自分の読書記録にもなっているのだなあとあらためて実感。"The Trap"や"Imperfect"なんかは読みやすいこともあって、何回か読み返して楽しんでる一冊です。

The Trap
 Indigo Wren
・昔の親友に島に監禁されて…!という話。設定の無茶苦茶さを力押ししててとても楽しい。

The Dark Tide
 Josh Lanyon
・Adrien Englishの第五作&完結編。やはりこのシリーズは全体で一作なのだなあと思わされる一冊。

Promises Marie Sexton
・Codaシリーズの1。不屈と頑固のカップルが何とも愛らしい。

Imperfect
 Cassidy Ryan
・口の悪い相棒物。とにかくそれに尽きる…!

Dark Horse
 Kate Sherwood
・主人公の優柔不断っぷりにちょっと苛々もさせられますが、感情表現のうまさは圧巻。


こんなん読んだけどおもしろかった!とか、コレおもしろかったならこっちもおすすめ!などなど、是非みなさまのベストリーディングも聞かせていただけるとうれしいです。

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